Alpha
古楽器の録音に力を入れており、そのクオリティは世界トップクラス。発足してまだ7年ながらフランスを代表するレーベルへと成長を遂げた。
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「フィラルモニカ夫人」と
17世紀末のロンドンの音楽愛好家たち [ル・コンソート、ルイーズ・エアトン]発売日:2023年11月10日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
フランス最前線の俊才たちが奏でる、みずみずしいロンドンの南国趣味これまで2度の来日公演を成功させ2020年代の古楽シーンを日本でも賑わせているフランスのチェンバロ奏者ジュスタン・テイラーが、ウィリアム・クリスティとの共演でも注目される気鋭バロック・ヴァイオリン奏者テオティム・ラングロワ・ド・スヴァルトをはじめ、新世代の名手たちと伸縮自在の編成で新鮮な演奏を聴かせる古楽器アンサンブル、ル・コンソート。好評が続くALPHAレーベルでのリリース最新作は、バロック後期の英国を舞台にしたアルバムです。18世紀初頭、声楽の本場イタリアで成功を重ねた若きヘンデルの渡英後すぐロンドンでオペラが流行しましたが、それはその頃までに同地でイタリア人音楽家たちの技量が定評を得ていたため。このアルバムでは17世紀後半にナポリからロンドンに渡ったヴァイオリンの名手マッテイスを筆頭に、イタリアのトリオ・ソナタに大きな影響を受けた世代であるパーセルの小編成作品、そしてヘンデル渡英の時期に「フィラルモニカ〔=音楽愛好〕夫人」の筆名の下、イタリア語の表題を添えロンドンで刊行された2つの曲集から選曲し、起伏に満ちたプログラムで1700年前後の英国人たちのイタリア熱狂を活写します。いずれ劣らぬ気品に満ちた構成が美しい英国の音楽と、マッテイスが綴った情熱的な響きとのコントラストも絶妙。英国の大都市の気風と南国の音楽家とが互いに刺激を与えあった300年前の世界の躍動を、ル・コンソートならではの精緻とパッションの調和する演奏が遺憾なく甦らせてゆくさまが、古楽器の味わいをよく捉えた俊才技師ユーグ・デショーのエンジニアリングで克明に味わえます。
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発売日:2023年10月20日
CD価格:2,475円(税込)
ドヴォルザークとシューベルトの一連の録音が好評を博しているブッシュ三重奏団による、ラヴェルとショスタコーヴィチ。対照的とも言える2人の作曲家が生み出したこれらの作品は、自身のルーツであるバスク地方の舞曲などにインパイアされたラヴェル、友人イワン・ソレルチンスキーの追悼のために書かれたショスタコーヴィチと、曲の成り立ちも性格的にも違っていながら、いずれも第3楽章にパッサカリアが採用されており、さらにそれぞれ第一次、第二次の世界大戦が影を落としているという共通点を持っています。 どちらも聴衆の心を深く揺さぶる力を持つこれらの作品を、ブッシュ三重奏団はごく自然な流れで一枚のアルバムに収めました。彼ららしい瑞々しい表情で陰りも深く刻み、それぞれの特色を明確にしながら、これらの作品の新しい側面を開くことにも成功しています。
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ショスタコーヴィチ(1906-1975):
交響曲 第14番 「死者の歌」
5つの断章 [ミッコ・フランク、アスミク・グリゴリアン、マティアス・ゲルネ、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団]発売日:2023年10月20日
CD価格:2,475円(税込)
ゲルネとフランクによるショスタコーヴィチ第1弾、
グリゴリアン参加の「死者の歌」ドイツの実力派バリトン、マティアス・ゲルネと、ミッコ・フランク指揮フランス放送フィルハーモニー管弦楽団が、ショスタコーヴィチが残したバスと管弦楽のための作品のリリースを開始。 第1弾の交響曲第14番には今世界で最も注目されているソプラノの一人、2022年にはヤナーチェク《イェヌーファ》でレコード・アカデミー賞ビデオ・ディスク部門を受賞し、ノット指揮東京交響楽団による《サロメ》で成功を収めたのも記憶に新しい、アスミク・グリゴリアンが参加しています。深みのある声で低音域も美しく響かせるゲルネと、豊かな声量と艶を持つグリゴリアン、2人の表情が死について歌われたこの作品に奥行きを生み、フランクによるオーケストラの繊細なコントロールと相まって、濃厚な陰影を感じさせる秀演となっています。 今後は交響曲第13番「バビ・ヤール」と、「ミケランジェロの詩による組曲」のリリースを予定。収録作曲家:
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ラフマニノフ(1873-1943):
ピアノ・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.28(オリジナル版)
前奏曲集 Op.32 より [ルーカス・ゲニューシャス]発売日:2023年10月20日
CD価格:2,475円(税込)
ゲニューシャスが作曲家自身のピアノで明らかにする、ソナタ第1番が生まれたときの姿!ショパン・コンクール、チャイコフスキー・コンクールなどで輝かしい受賞歴を誇るルーカス・ゲニューシャス。アスミク・グリゴリアンとの共演によるラフマニノフに続くALPHA第2弾は、やはりラフマニノフによるピアノ・ソナタ第1番。しかもゲニューシャス自身がロシア国立音楽博物館にコンタクトを取り、そこに保管されているオリジナルの手稿譜を使っての初録音が実現しました。 難曲として知られるこの作品ですが、1907年にドレスデンで作曲されるも周囲に受け入れられず、翌年初演を行うピアニスト、コンスタンティン・イグムノフらの提案で大幅なカットが施されています。しかしモスクワに保管されている未出版の手稿譜には元の形が完全に残されており、それは現在演奏されるものより100小節以上も長く、特に第1楽章後半、第3楽章の中盤以降に大きな違いが聴かれ、難易度はさらに上がっています。ゲニューシャスはこの作品に「圧倒的な力強さと壮大さはピアノ協奏曲第3番に並ぶ」と惚れ込んでおり、持ち前の技術力と強靭な表現力でその魅力を最大限に引き出しました。 今回はさらに、スイスのルツェルン湖畔に残るラフマニノフの別荘に於いて、彼の60歳の記念にスタインウェイが贈った楽器を使って録音。生誕150年没後80年となる2023年にふさわしい、記念すべき一枚となりました。
収録作曲家:
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バルトーク(1881-1945):
管弦楽のための協奏曲
ヴィオラ協奏曲 [アミハイ・グロス、アレクサンドル・ブロック、リール国立管弦楽団]発売日:2023年10月06日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:3,300円(税込、送料無料)
圧倒的統率力! アレクサンドル・ブロックによるバルトーク、
ソリストにはアミハイ・グロスが登場アレクサンドル・ブロックとリール国立管弦楽団によるALPHA第5弾は、バルトークの管弦楽のための協奏曲とヴィオラ協奏曲という組み合わせ。細部まで行き届いたコントロールと全体を見通す堅固な構築力で、高いテンションを保ちながら難曲を鋭利にまとめ上げるブロックの高い統率力と、それに十全に応えるリール国立管の集中力と演奏技術は今回も健在で、両作品の素晴らしさを十二分に引き出しています。 ヴィオラ協奏曲ではベルリン・フィル首席奏者のアミハイ・グロスが登場。見事な技術で緊張感漲る演奏を聴かせますが、一瞬の弛緩や解放で表情に幅を持たせつつ集中を持続させる表現力の高さはさすがの一言に尽きます。収録作曲家:
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ヴァイル、ブレヒト & ハウプトマン:
《三文オペラ》の音楽 [コメディ・フランセーズ、マキシム・パスカル、ル・バルコン]発売日:2023年10月06日
CD価格:2,475円(税込)
《三文オペラ》の歌の数々をコメディ・フランセーズとル・バルコンによる秀演で2023年7月のエクサン・プロヴァンス音楽祭で行われた公演のライヴ。ジョン・ゲイの『ベガーズ・オペラ』のエリザベート・ハウプトマンによるドイツ語訳を元に、ブレヒトが脚色して台本を作成、ヴァイルが曲を付けて大ヒットした《三文オペラ》の音楽を収めています。 歌はコメディ・フランセーズの役者たち、演奏をマキシム・パスカル率いるル・バルコンが担当するという興味深いもので、彼らの相互作用によりたいへん活き活きとした音楽となっており、作品本来の味わいに加え現代的な風合いがセンス良く加えられているのがポイントです。歌詞は新しいフランス語訳を使用。音楽は1928年に初演された時の熱狂を再現するべく、当時の形を元に若干のアレンジが加えられているようです。 またロートレックらを魅了した伝説の歌手イヴェット・ギルベールの詞にヴァイルが曲を付けた「PAUV’ MADAME PEACHUM 貧しいピーチャム夫人」は、今回が初録音という貴重なもの。本来台詞を挟む音楽劇(オペラ/ミュージカル)ですが、このアルバムでは曲の間を今回の演出を担当するトーマス・オスターマイアーが口上役として語りで繋ぐという趣向となっています。
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ヴァイル、ブレヒト & ハウプトマン:
《三文オペラ》の音楽[LP 2枚組] [コメディ・フランセーズ、マキシム・パスカル、ル・バルコン]発売日:2023年10月06日
LP 2枚組価格:4,500円(税込、送料無料)
《三文オペラ》の歌の数々をコメディ・フランセーズとル・バルコンによる秀演で2023年7月のエクサン・プロヴァンス音楽祭で行われた公演のライヴ。ジョン・ゲイの『ベガーズ・オペラ』のエリザベート・ハウプトマンによるドイツ語訳を元に、ブレヒトが脚色して台本を作成、ヴァイルが曲を付けて大ヒットした《三文オペラ》の音楽を収めています。 歌はコメディ・フランセーズの役者たち、演奏をマキシム・パスカル率いるル・バルコンが担当するという興味深いもので、彼らの相互作用によりたいへん活き活きとした音楽となっており、作品本来の味わいに加え現代的な風合いがセンス良く加えられているのがポイントです。歌詞は新しいフランス語訳を使用。音楽は1928年に初演された時の熱狂を再現するべく、当時の形を元に若干のアレンジが加えられているようです。 またロートレックらを魅了した伝説の歌手イヴェット・ギルベールの詞にヴァイルが曲を付けた「PAUV’ MADAME PEACHUM 貧しいピーチャム夫人」は、今回が初録音という貴重なもの。本来台詞を挟む音楽劇(オペラ/ミュージカル)ですが、このアルバムでは曲の間を今回の演出を担当するトーマス・オスターマイアーが口上役として語りで繋ぐという趣向となっています。 ※180g重量盤
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アルフォンシーナ
アルゼンチンの歌さまざま [マリアナ・フローレス、キート・ガート、ロマン・ルキュイエ、ローラン・コンピニ]発売日:2023年10月06日
CD価格:2,475円(税込)
爽快と情熱の間を軽やかに舞う、アルゼンチンの歌手&撥弦奏者による傑作選異才レオナルド・ガルシア・アラルコンが結成した地中海古楽の精鋭集団ラ・カペラ・メディテラネアの中軸を担う名歌手マリアナ・フローレスと、古楽の枠を軽々と超える活躍を続けてきた撥弦楽器奏者キート・ガート。それぞれに多くの名盤を刻みながら、個性あふれるパフォーマンスで21世紀の古楽シーンを盛り上げてきたアルゼンチンの俊才プレイヤー2人が手を取り、タンゴやフォルクローレに彩られてきた同国の音楽シーンの魅力が凝縮されたソングブック的アルバムを作りました。 マリアナ・フローレスは数年前に大御所撥弦奏者ホプキンソン・スミスとNAIVEでダウランド・アルバムを出したのも記憶に新しい一方、キート・ガートといえば優秀録音レーベルMA Recordingsでタンゴと古楽を垣根なく行き来する精鋭集団ラ・キメラのアルバムもよく知られており、このようなジャンル越境型のアルバムでの両者の出会いは絶好の企画と言ってよいでしょう。 古楽やクラシックの演奏家にも人気の高い「アルフォンシーナと海」ほか、選ばれたナンバーはどれも抜群の軽妙さに言い知れぬ憂愁が滲む忘れがたい歌ばかり。ロマン・ルキュイエのウッドベースが折々に心地よい低音の膨らみを添える中、ガートの撥弦はさまざまな楽器を濃淡鮮やかに弾きこなし、爽快なサウンドで南米世界への憧憬をかきたててやみません。 素材感豊かな撥弦の響きをバックに、晴れやかさの中に深いラテン情緒を感じさせるフロレスの声はどこまでも美しく味わい深く、欧州と深く結びついた都市文化から広大な自然なくしては生まれ得ない独特の抒情まで、海と大河と広野に囲まれたアルゼンチンならではの音楽の魅力を心行くまでお楽しみください。
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さすらい人 [ジュリエット・ジュルノー]
発売日:2023年10月06日
CD価格:2,475円(税込)
「ピアノの森」で吹き替えを担当したジュリエット・ジュルノー、
ソロ・デビュー盤のテーマは「さすらい人」フランス出身で数々のコンクールに入賞、オペラ・コミック座やリール・オペラ座などでコレペティートルとしても活躍したジュリエット・ジュルノー。日本では、2018年に放送されたアニメ「ピアノの森」でソフィ・オルメッソンの吹き替えピアノを担当したことでも知られる彼女にとって、初めてのリサイタル盤が登場です。 「言葉のない”さすらい人”」というテーマからは孤独をイメージするところですが、彼女の表現はむしろ輝かしく、内面に籠るだけではなく外に目を向けたときの美しさや憧憬を感じさせ、「さすらい人」に対する新しい感覚を聴く者に与えてくれるものとなっています。 -
幻燈
アコーディオンの世界 ~バロックから現代まで [テオ・ウルド]発売日:2023年10月06日
CD価格:2,475円(税込)
アコーディオンが描く多彩な世界2023年現在25歳の若きアコーディオン奏者テオ・ウルド。6歳でマルセイユ地方音楽院、16歳でパリ国立高等音楽院に進学、在学中から数々のコンクールで入賞し、2019年に卒業以来幅広い活動でアコーディオンの可能性を追求し続けています。アコーディオン4人の「エオリーナ四重奏団」、ヴァイオリンとチェロとの「フィリア・トリオ」としても活動、現代作曲家とのコラボレーションから古典作品の編曲・演奏など、彼の活動が集約されているのが今回のアルバムと言えそうです。 電子楽器との共演によって生み出される多彩な響きから、バッハの「シャコンヌ」での圧巻の表現力まで、彼の演奏とアコーディオンの魅力を堪能できる一枚です。
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バッハとイタリア
~半音階的幻想曲、イタリア協奏曲 ほか
[ジュスタン・テイラー]発売日:2023年09月22日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:3,300円(税込、送料無料)
俊英ジュスタン・テイラーが紐解くイタリア音楽のバッハへの影響、
スコット・ロスゆかりの名器を使用!コロナ禍に二度も来日し、私たちに素晴らしい音楽を停滞なしに届けてくれたチェンバロの若き俊才、ジュスタン・テイラーが大バッハとイタリアの関係を紐解く一枚。 バッハは故郷のザクセン地方を離れることは滅多にありませんでしたが、ヨーロッパ中の最新の音楽情報を常に収集していました。なかでもコンチェルタンテ様式の発祥の地であるイタリアの革新的な音楽に細心の注意を払い、ヴィヴァルディやマルチェッロ兄弟の作品を研究し、自身の鍵盤作品に、アルプスの向こうの煌びやかな輝きを巧みに盛り込んでいました。 このアルバムには、バッハが研究のために鍵盤独奏用に編曲したイタリアの作品や、その集大成である半音階的幻想曲やイタリア協奏曲を収録。イタリアのオリジナル作品などの小品で収録曲を繋いでゆく構成も興味深いものです。 スコット・ロスが愛奏したことで知られるアサス城の名器を自在に操るテイラーの生き生きとした表現がたいへん魅力的で、チェンバロにもここまで振幅のある表現が出来るのかと感心させられる一枚です。 -
ヴィラ=ロボス(1887-1959):
組曲「アマゾンの森」
グラス(1937-):
メタモルフォシス I (「アマゾンの流れ」より) [シモーネ・メネセス、カミラ・プロヴェンツァーレ、フィルハーモニア・チューリッヒ]発売日:2023年09月22日
CD価格:2,475円(税込)
シモーネ・メネセスが深い共感を持って描き上げる、
ヴィラ=ロボス最後の大作「アマゾンの森」ブラジル出身でパーヴォ・ヤルヴィの助手を務め、現在はフランスを拠点に活躍するシモーネ・メネセス。2019年には初来日を成功させ、2022年にリリースされたドキュメント映像『メタノイア』(Accentus Music)は世界各地でたいへん高い評価を得ています。 近現代とブラジルの作品を得意とする彼女が深い愛情を寄せているのが、晩年のヴィラ=ロボスが映画『緑の館』のために書いた曲を演奏会用に再構成した「アマゾンの森」。今回はAcademia Brasileira de Músicaの新校訂版から、メネセスが管弦楽とソプラノ独唱のための11曲(約45分)を抜粋、組曲版として収録しています。全曲版に聴かれる合唱の参加こそないものの、熱帯雨林の厳しい自然と熱量を大オーケストラで表現する音楽を雄大に歌い上げています。ソプラノ独唱にはメネセスと同じイタリア系ブラジル人のカミラ・プロヴェンツァーレ(プロヴェンサリ)が参加、深みのある歌声を聴かせます。 併せて収録されたのは、フィリップ・グラスがブラジルの創作パーカッション・グループ、ウアクチのために書き下ろし、後に管弦楽版も作成した「アマゾンの流れ」から終曲「メタモルフォシス I」。ループするように繰り返されるリズムが心地よい作品です。 またこのプロジェクトは報道やドキュメント写真で名高いセバスチャン・サルガドとのコラボレーションとなっており、「アマゾンの森」の各曲に対応する美しい写真をサルガドが提供、メネセスのコンサート会場で展示されるほか、このアルバムのブックレットにも掲載されています。 -
グルックが魅せられた
オートコントル歌手ルグロ
フランス17-18世紀のオートコントル歌手たちVol. 3 [レイナウト・ファン・メヘレン、ア・ノクテ・テンポリス]発売日:2023年09月22日
CD価格:2,475円(税込)
モーツァルト時代の多芸な名歌手に寄せられた傑作群、
ファン・メヘレンの美声で!17~18世紀のフランス音楽史を彩り、数々の重要作品の名舞台を華やがせた名歌手たちの活躍に光を当てたアルバムが、近年ALPHAから続々登場しています。 その中でも特に当時のフランスならではのオートコントルと呼ばれる高音域男声歌手たちを紹介してきたのが、この困難な声域で鮮やかな美声を自在に操り、欧州古楽シーンを賑わせてきたベルギーの名歌手レイナウト・ファン・メヘレンと、彼を中心に名手が集まるア・ノクテ・テンポリス。17世紀にリュリの傑作を続々初演したデュメニ、18世紀半ばにラモーと仕事を重ねたジェリオットに続いて彼らが今回紹介するのは、モーツァルトのパリ訪問時の手紙にもたびたび登場する歌手=興行主ジョゼフ・ルグロ(1739~1793)です。 ルイ15世の治世後半、ドイツ語圏の交響曲や協奏曲がパリで注目されつつあった1760年代に頭角を現し、広い音域にわたって演技力の高い柔軟な歌唱を聴かせたその技量は多くの人々に注目され、マリー=アントワネット妃の実家ウィーンから招かれパリを沸かせた名匠グルックも数々のフランス語オペラでルグロを起用、とりわけ『オルフェオとエウリディーチェ』パリ版の表題役は歴史に残る配役となりました。作曲家の知名度にかかわらず1760~70年代のさまざまな名品からルグロのための歌を厳選。ロマン派前夜のドラマティックな表現からロココ絶頂期の艶やかな旋律美まで、充実した古楽器オーケストラと共に古典派時代のフランス音楽特有の味わいをファン・メヘレンの美声で堪能できる興奮と発見に満ちたプログラムは見逃せません。 ヴェルサイユ・バロック音楽センターの二コラ・ソーによる監修を経た珍しい18世紀フランス型のクラリネットの導入など、管弦楽パートの演奏解釈にも趣向が凝らされています。 -
〈HAYDN 2032〉
ハイドン交響曲全曲録音シリーズ
Vol.14 ~帝国の響き
交響曲 第33・53・54番 [ジョヴァンニ・アントニーニ、バーゼル室内管弦楽団]発売日:2023年09月08日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
金管・打楽器が映える充実編成!
中期作を中心にハイドンの真価に迫る作曲家生誕300周年となる2032年までに「交響曲の父」ハイドンが残した107曲もの交響曲を全て録音してゆくHAYDN 2032シリーズでは、指揮を務めるジョヴァンニ・アントニーニ自身のグループであるイル・ジャルディーノ・アルモニコと共に、古楽器を使いこなし瑞々しい演奏を聴かせるバーゼル室内管弦楽団も既に多くの名演を聴かせてくれています。 第14弾の演目に選ばれたのは、作曲家の生前から高い人気を誇り、19世紀半ばに「帝国 L’Impériale」の綽名が添えられた交響曲第53番をはじめ、トランペットとティンパニが添えられ勇壮な響きが堪能できる中期の充実作3編。当初は契約により、エステルハージ侯爵家のために書いた作品の宮廷外での発表を禁じられていた宮廷楽長ハイドンでしたが、この頃には主君の計らいもあってパリやロンドン、アムステルダムなど大都市を中心に多くの作品が各地でさかんに演奏されるようになり、急速に国際的な知名度を築きつつあった時期でした。短期間のうちに何度か手直しされ序奏や金管パートの拡張があった第54番、初期作品では異例とも言える大編成をとる第33番に加え、第53番フィナーレの異稿としても使われた人形音楽劇のための序曲も収録。舞台音楽でも経験を積みつつあったハイドンの真相に迫ります。 今回もアントニーニ自身のコメントや最新研究を踏まえた作品解説などライナーノートも充実(英、仏、独語/国内仕様盤は日本語訳付)。収録作曲家:
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〈HAYDN 2032〉
Vol.9 別れのとき[LP 2枚組]
ハイドン(1732-1809):
交響曲 第35番・第45番・第15番
ベレニーチェの告別の場面 [ジョヴァンニ・アントニーニ、イル・ジャルディーノ・アルモニコ、サンドリーヌ・ピオー]発売日:2023年09月08日
2LP+1CD+ハイレゾDL価格:5,250円(税込、送料無料)
交響曲全曲録音第9巻がアナログに!
「別れ」をテーマにした厳選3曲、ピオーが歌うハイドン晩年の稀少声楽曲入りイタリアの古楽器合奏団イル・ジャルディーノ・アルモニコを主宰するジョヴァンニ・アントニーニが、この団体とバーゼル室内管弦楽団を指揮して進める交響曲全曲録音シリーズHAYDN 2032。作曲家の生誕300周年までの完成をめざし名演が次々現れるプロジェクトですが、第9弾のテーマは「別れ」。 旅立ちや人生の転機が何かしら作品成立の背景にあった3曲の交響曲のうち、中軸を占めるのはやはり「告別」の綽名で知られる第45番。疾風怒濤期特有のスリリングな短調展開がクライマックスに達したところで突如ゆったり始まる各楽器のソロ部分は、名手揃いのこの楽団だからこその頼もしさで、最後まで聴きどころに事欠かない精妙解釈を味わえます。 エステルハージ宮廷楽団着任後まもなく書かれた第15番、ニコラウス侯の人生に大きな影響を及ぼした旅からの帰還を祝う第35番も、それぞれダイナミックかつスタイリッシュな逸品。最後の交響曲第104番とともに、ハイドンのロンドン滞在の末尾を飾った演奏会で披露された独唱曲は、贅沢にも名歌手ピオーの歌で聴くことができます。 発見に満ちた77分あまりを彩る、最新の研究成果が反映された解説(仏、英、独語)も充実の内容です。収録作曲家:
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INFINITE VOYAGE - 終わりなき航海
シェーンベルク:弦楽四重奏曲 第2番
ベルク:弦楽四重奏曲
ヒンデミット:メランコリー
ショーソン:終わりなき歌 [エマーソン弦楽四重奏団、バーバラ・ハンニガン、ベルトラン・シャマユ]Vocal and Chamber Music - SCHOENBERG, A. / HINDEMITH, P. / BERG, A. / CHAUSSON, E. (Infinite Voyage) (Hannigan, Chamayou, Emerson String Quartet)
発売日:2023年09月08日
NMLアルバム番号:ALPHA1000
CD価格:2,475円(税込)
エマーソン弦楽四重奏団、47年の歴史に幕。
ラスト・アルバムはバーバラ・ハンニガンとの共演。2023年10月をもって解散することを発表した、現代弦楽四重奏の雄エマーソン弦楽四重奏団。ラスト・アルバムの中心演目に選ばれたのは、2015年のバーバラ・ハンニガンとの初共演から録音を決めていたという、シェーンベルクの弦楽四重奏曲第2番。 調性から無調への流れを1つの作品の中で体験するようなこの作品を彼らは「私たちを未知の音響的領域へと誘う、深い感情的な根を持つ、登らなければならない高い樹」に例えており、第3楽章から加わるソプラノ独唱についてハンニガンは「世紀末の原始的な叫びで愛からの解放を願う、重い一撃」だと語ります。 併せて収録されたのは、シェーンベルクの元で学び本格的な作曲家としてデビューしてまもなくのベルクによる弦楽四重奏曲、二十代前半の若きヒンデミットによって書かれ、ハンニガンが「宝石のような作品」と大切にしている「メランコリー」、そしてベルトラン・シャマユが加わり美しく歌い上げられるショーソンの傑作「終わりなき歌」。 半世紀近くに渡る彼らの芸術の余韻を重く美しく引くアルバムです。 -
ブルックナー(1824-1896):
交響曲 第8番 ハ短調 WAB 108
ノーヴァク版 第2稿 [パーヴォ・ヤルヴィ、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団]BRUCKNER, A.: Symphony No. 8 (Zürich Tonhalle Orchestra, P. Järvi)
発売日:2023年08月25日
NMLアルバム番号:ALPHA987
CD国内仕様 日本語解説付き価格:3,300円(税込、送料無料)
パーヴォ・ヤルヴィ、
ブルックナー交響曲第8番を再録音!パーヴォ・ヤルヴィとチューリヒ・トーンハレ管弦楽団によるブルックナー後期3大交響曲の第2弾として、フランクフルト放送響との全集録音から10年ぶりの再録音となる第8番が登場。約15年ぶりの再録音となった前回の第7番では全ての楽章においてテンポが速くなっているのが特徴でしたが、第8番では逆に全楽章で遅くなっており、特に第4楽章では2分30秒を超える差が生じています。しかしながら演奏は、むしろより引き締まった印象を与えるもので、たいへん力強く聴きごたえのある出来栄え。またホールの特性もあってか各パートのフレーズが際立ち、見通しのよい録音であることも良い結果をもたらしているといえるでしょう。 今回もヴァイオリンを両翼、左奥にコントラバスという弦の配置を採用していますが、金管楽器については、前回第7番で右に独立して配置したワーグナー・チューバはホルンと持ち替えとなるために左へ集約、その代わりバス・チューバ(シンカポール交響楽団の夏目友樹がエキストラ参加)をティンパニ隣の最上段ほぼ中央に配してワーグナー・チューバとのアンサンブルに親和性を持たせ、その右にトロンボーン、さらに右にトランペットという、やや特殊な配置となりました。中央に低音金管楽器が置かれることで得られる安定感に加え、第1楽章クライマックスではトランペットとホルンによるリズム動機が左右から鳴り響くという効果も得られています。 パーヴォの拘りが大きな実を結んだブルックナー・シリーズ、今後発売予定の第9番にも期待が大きく膨らむところです。収録作曲家:
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バッハ・ミニマリスト
J.S.バッハ、グレツキ、アダムズ [ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブラ、シモン=ピエール・ベスティオン、ラ・タンペート]BACH MINIMALISTE (Camboulas, La Tempête, Bestion)
発売日:2023年08月25日
NMLアルバム番号:ALPHA985
CD国内仕様 日本語解説付き価格:3,300円(税込、送料無料)
刺激的な美しさ!
バッハとミニマル、インプロヴィゼーションの出会いシモン=ピエール・ベスティオンが2015年に結成したラ・タンペート。これまで主に声楽アンサンブルとしてCDをリリースしてきましたが、器楽アンサンブルにも力を入れている彼らならではの、目の覚めるような弦楽合奏によるアルバムが届けられました。 ベスティオンが「まるで現代の曲のように聴こえる」という大バッハのチェンバロ協奏曲第1番第1楽章から、同じニ短調で書かれたグレツキの協奏曲になだれ込むというオープニングからたいへんスリリング。チェンバロは、指揮者ベスティオンの弟でアンサンブル・レ・シュルプリーズの共同主宰者でもあるルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブラが担当しています。またガット弦を用いているため、ジョン・アダムズなどはたいへん新鮮な響き。 現代ノルウェーの作曲家クヌート・ニーステッドが、バッハのコラール「甘き死よ来たれ」BWV 478を元にゆったりとしたインプロヴィゼーションの要素を加えて作曲した合唱曲「不滅のバッハ」は、弦楽合奏版とラ・タンペートのためのア・カペラ版と2回収録しており、トーンクラスターが美しく響くこの作品で、今回ただ1曲だけ彼らの高度な合唱(メンバーはアンサンブルと兼任)を聴くことが出来ます。最後は、視力を失った死の床のバッハが口伝で譜面を起こさせたという伝説を持つ美しいコラールを小編成で収録。 これまでのアルバムでも古楽と現代を行き来する先鋭的なプログラムを得意としてきた彼らですが、今回はより刺激的な構成になっているといえるでしょう。 -
『モーツァルトとマンボ』 3
美しきキューバ娘 [サラ・ウィリス、ジョナサン・ケリー、ヴェンツェル・フックス、シュテファン・シュヴァイゲルト ほか]Horn Recital: Willis, Sarah - FERNÁNDEZ, J. / MOZART, W.A. / OLIVERO, E. / WHITE LAFITTE, J. (Mozart y Mambo: La Bella Cubana)
発売日:2023年08月25日
NMLアルバム番号:ALPHA937
CD国内仕様 日本語解説付き価格:3,300円(税込、送料無料)
世界的大ヒット企画が完結!
ベルリン・フィル・メンバーも参加の「モーツァルトとマンボ」第3弾ベルリン・フィルの人気ホルン奏者サラ・ウィリスがキューバのミュージシャンたちと録音し、世界的な大ヒットとなった2020年のアルバム「モーツァルトとマンボ」(ALPHA578/NYCX-10151)、2022年の「キューバン・ダンス」(ALPHA878/NYCX-10336)に続く三部作の完結編が登場。「モーツァルトはきっと素晴らしいキューバ人になったはず」という現地の友人の一言がきっかけとなり、彼女自身が大好きなキューバの音楽とモーツァルトを取り合わせるというなんとも不思議な企画が立ち上がりましたが、これが非常に面白い相乗効果を生みました。 3つのアルバムを合わせてサラ・ウィリスとハバナ・リセウム・オーケストラによるモーツアルトのホルン協奏曲全4曲が揃いますが、ここにもう1曲モーツアルトを加えたいという彼女の熱意に応えて、ベルリン・フィルから3人の首席奏者たちがハバナへ駆けつけ協奏交響曲の録音が実現しました。 彼らはアンコールとして19世紀にフランスで活躍したキューバ出身の作曲家・ヴァイオリニスト、ホセ・ホワイト・ラフィットが作曲した「美しきキューバ娘」も演奏。4人のソリストもオーケストラも肩の力を抜いて、音楽を心から楽しんでいるのが伝わる素晴らしい演奏を聴かせています。 最後はキューバ国内はもとより世界中で親しまれている名曲「グァンタナメラ(グァンタナモの娘)」のライヴ感覚溢れるパフォーマンスで、コロナ禍を乗り越えて完結したこのシリーズを締めくくります。収録作曲家:
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魂は音
グルヌラン(1625/35頃-1700頃):
ギターによるフランス風組曲集(1680) [ブリュノ・エルストロフェール、シャンタル・サントン=ジェフリ]GRENERIN, H.: Suites Françaises (L'âme-son) (Helstroffer)
発売日:2023年08月25日
NMLアルバム番号:ALPHA1007
CD価格:2,475円(税込)
新時代型バロック撥弦奏者が見出した、ルイ14世お気に入りの楽器ギターの名手による作品集フランス・バロックの独奏曲といえば何といってもクラヴサン(チェンバロ)やヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)の音楽が有名ですが、同国の音楽美学を確立させた一大文化人である国王ルイ14世はそれらの名手を宮廷に多く抱えながら、自身はスペイン風ギターを好んで奏でていました。世紀初頭にスペイン人ブリセーニョによってパリに紹介され、当時クラヴサン音楽家たちもその作品を手本と仰いだリュートより弾きやすく、和音を中心に鳴らす奏法の手軽さもあって、世紀末頃にはテオルボの名手でもあったド・ヴィゼーが、ギター向けの音楽で王から信頼を得ていたことも知られています。 しかしルイ14世の治世全盛期のギター音楽は意外に知られておらず、王室音楽総監督リュリと同世代のアンリ・グルヌランという作曲家の作品が、4編の組曲他こうしてまとめて紹介されることとなったのは画期的というほかありません。グルヌランについてはこれまでその作品が顧みられず、生涯もほとんど知られていません。しかし1680年に発表された彼の曲集には、ルイ・クープランのクラヴサン曲を連想させる「小節線のない」プレリュードや分散和音を生かした書法がギターに合うよう応用されており、同時代のリュート音楽とはまた違った機動性豊かな舞曲の魅力を味わうことができます。 世紀前半と後半の様式をそれぞれ代表するボエセとカンペールの声楽作品では、バロックから近代歌曲までフランス作品に抜群の適性をみせるサントン=ジェフェリも参加。テオルボの名手として現代と17世紀の作品を行き来するブリュノ・エルストロフェールの自在な撥弦、細やかな音使いを的確に収めたALPHAならではの自然派録音で、その魅力をじっくりお楽しみください。
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コメディ・フランセーズ
ゲンスブールを歌う (アナログ盤)
コメディ・フランセーズの俳優たち [コメディ・フランセーズの俳優たち]発売日:2023年08月25日
LP 2枚組価格:3,825円(税込、送料無料)
シャンソン歌手、俳優、ソングライターとして20世紀のフランスに大きな足跡を残しながら、その言動が常に物議をかもしたセルジュ・ゲンスブール。彼の手によるシャンソンの数々を、フランスの由緒ある国立劇団の1つ、コメディ・フランセーズの芸達者な役者たちが、歌い奏でるアルバム。 皮肉、ユーモア、エロス、背徳といった要素を存分に封じ込めた、雰囲気たっぷりのアルバムです。
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サン=ジャンの私の恋人
バロックから近代シャンソンまで [ステファニー・ドゥストラック、ヴァンサン・デュメストル、ル・ポエム・アルモニーク]Vocal Music (Mezzo-Soprano): d'Oustrac, Stéphanie - CARCEL, R. / CARRARA, E. / DELMET, P. / GROUYA, T. / MARINIER, P. (Mon amant de Saint-Jean)
発売日:2023年08月25日
NMLアルバム番号:ALPHA988
CD価格:2,475円(税込)
新鮮! 近代フランスの歌を自然に紡ぐ古楽器の響き、
古のフランスの響きに馴染むアコーディオン16~17世紀のエール・ド・クールやフランス各地に口承で伝わってきた民衆歌など、ルイ14世の時代よりもさらに古いフランス音楽を高雅で自然に現代に蘇らせ、世界中から熱いまなざしを集めてきた21世紀のユニークな古楽グループ、ル・ポエム・アルモニーク。イタリア・バロックでも実績を示しつつ、中心メンバーの母語であるフランス語を歌詞とする音楽への適性はやはり抜群で、詩句の味わいを最大限に引き出す新鮮で薫り高い演奏解釈はどの時代の作品でも出色の仕上がりを誇ります。 その親和性が「古楽」の枠に縛られないことを立証するユニークな選曲のアルバムが登場。彼らと同じくフランス民衆世界の古謡を得意とするレ・リュネジアンの『うんざりだ、冬ってやつは』(ALPHA887)でも絶妙な妙声を聴かせたステファニー・ドゥストラックの味わい深い歌い口は、さりげなく織り交ぜられたバロック宮廷音楽と近代シャンソンを易々と行き来し、無理なく即興的な音を紡いでゆくアコーディオンと共に、時にはシャンソンを古楽のように、また古楽をシャンソンのように聴かせる巧妙さ。古楽器アンサンブルをバックバンドとして、サティやトゥルーズ=ロートレック、モディリアーニらが生きた1900年前後から20世紀中盤までの、古き良きフランスの芳香に満ちたシャンソンの名曲群をしなやかに歌いこなすそのセンスは、もはやクロスオーヴァ―やジャンル越境などといった表現が陳腐に思えるほど、圧倒的に自然な「フランスの息吹」に貫かれています。 聴くほどに惹きつけられるその魅力に、主宰者デュメストルが学究性に閉じこもらないセンス抜群の古楽プレイヤーであることを改めて強く認識する1枚です。 -
トゥビン(1905-1982):
バレエ組曲『クラット(悪鬼)』
弦楽のための音楽
バツェヴィチ(1909-1969):
弦楽のための協奏曲
ルトスワフスキ(1913-1994):
葬送音楽 [パーヴォ・ヤルヴィ、エストニア祝祭管弦楽団]TUBIN, E.: Kratt (Estonian Festival Orchestra, P. Järvi)
発売日:2023年07月07日
NMLアルバム番号:ALPHA1006
CD価格:2,475円(税込)
パーヴォ・ヤルヴィが描くトゥビンと、バルトークへのオマージュパーヴォ・ヤルヴィとエストニア祝祭管弦楽団によるALPHAレーベル第4弾。彼らの祖国エストニアが誇る大作曲家トゥビンの出世作である『クラット』からの組曲と弦楽のための音楽、そしてバルト三国のお隣ポーランドの2曲を収録しています。 トゥビンの出世作でありエストニアの音楽史上初めてのバレエ音楽とされる『クラット』は、ブタペストで出会ったコダーイから民謡を研究するよう勧めらた後に構想され、ストラヴィンスキーやバルトークの手法も参考に書き上げられた、エストニアに伝わるクラット(悪鬼=ゴブリン)の神話を元にした作品。1943年ナチス・ドイツ占領下のエストニアで初演され、1961年には組曲が編まれました。多彩な管弦楽法が用いられた、たいへん聴き映えのする作品です。また新古典主義的な「弦楽のための音楽」では、トゥビンの様々な手法のエッセンスを味わうことが出来ます。 バツェヴィチの「弦楽のための協奏曲」はバルトークの「管弦楽のための協奏曲」をヒントに、バロックの合奏協奏曲の様式とポーランドの民族舞踊の要素を昇華させた作品。 ルトスワフスキの「葬送音楽」は、バルトークの「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」に影響され、その思い出に捧げられた代表作の一つで、独自の解釈による十二音技法を展開させています。 ヤルヴィとエストニア祝祭管はそれぞれの作品への深い共感とエッジの効いた演奏で、その魅力を十二分に伝える快演を聴かせます。
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コンスタンティン・クリンメル(バリトン)
シューベルト(1797-1828):
美しき水車小屋の娘 [コンスタンティン・クリンメル、ダニエル・ハイデ]SCHUBERT, F.: Schöne Müllerin (Die) (Krimmel, Heide)
発売日:2023年07月07日
NMLアルバム番号:ALPHA929
CD価格:2,475円(税込)
クリンメルの「水車小屋」登場1993年ドイツ生まれのバリトン、コンスタンティン・クリンメルのALPHAレーベル3枚目のソロ・アルバム。 ドイツ・ロマン派のバラード集(ALPHA549)、ウィーン古典派のアリア集(ALPHA892)に続く今作は、待望の正統派歌曲集「美しき水車小屋の娘」となりました。彼の美しく滑らかな歌声をこれまで以上に堪能できるアルバムです。
収録作曲家:
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自然のロマン
ドイツ・ロマン派のフルート音楽 [ジュリエット・ユレル、エレーヌ・クヴェール、エマニュエル・ベルトラン]Flute Music and Arrangements - REINECKE, C. / SCHUBERT, F. / WEBER, C.M. von (Nature romantique) (Hurel, Couvert E. Bertrand)
発売日:2023年07月07日
NMLアルバム番号:ALPHA982
CD価格:2,475円(税込)
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禁断の果実 [ベンヤミン・アップル、ジェームズ・ベイリュー]
Vocal Recital (Baritone): Appl, Benjamin - CASUCCI, L. / DEBUSSY, C. / EISLER, H. / FAURÉ, G. / GRIEG, E. / GURNEY, I. (Forbidden Fruit)
発売日:2023年06月23日
NMLアルバム番号:ALPHA912
CD価格:2,475円(税込)
ベンヤミン・アップルが問いかける、禁断の果実とは?フィッシャー=ディースカウ最後の弟子と言われるドイツのバリトン、ベンヤミン・アップルのALPHAレーベル第2弾。エデンの園でアダムとエバ(イヴ)が食べた禁断の果実をモチーフとした、民謡からロマン派、近代、現代、そしてミュージカルのナンバーまでを収め、その解釈の多様性を巡りながら、現代の禁断の果実とはなにか、蛇は今もどこかに潜んでいないかと、問いかける内容となっています。 長くパートナーを務めるジェームズ・ベイリューとの息もぴったり。曲間にはアップルが語る『創世記』からの語句が短く添えられ、彼の美声と幅広い表現力を様々な角度から堪能することの出来るアルバムです。
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〈次世代ソリストたちによるモーツァルト Vol.6〉
モーツァルト(1756-1791):
ピアノ協奏曲 第11番・第13番
オーボエ協奏曲 [ロマン・ボリソフ、ガブリエル・ピドー、ハワード・グリフィス、ウィーン放送交響楽団、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団]MOZART, W.A.: Piano Concertos Nos. 11 and 13 /Oboe Concerto, K. 314 (Borisov, Pidoux, ORF Vienna Radio Symphony, Griffiths)
発売日:2023年06月23日
NMLアルバム番号:ALPHA991
CD価格:2,475円(税込)
注目のシリーズ第6弾には、ガブリエル・ピドーとロマン・ボリソフが登場!無名の若き名手から中堅まで幅広いソリストの登場が話題を呼んでいる<次世代ソリストたちによるモーツァルト>の第6弾。数々の受賞歴と古楽器での活躍、YouTubeでのパフォーマンスと話題を振りまきながら、2022年にALPHAからデビュー・アルバム「ロマンス」(ALPHA789)を発売したオーボエのガブリエル・ピドーと、2021年のルール・ピアノ・フェスティバルに参加しラフマニノフの素晴らしいパフォーマンスで聴衆を圧倒したロマン・ボリソフが登場。両者とも、明朗ながら細やかな歌いまわしで、作品の素晴らしさをごくシンプルかつ効果的に打ち出す才は、まさに新世代の俊英だといえるでしょう。
収録作曲家:
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POÉTIQUES DE L'INSTANT 瞬間の詩法 II
ラヴェル(1875-1937):
弦楽四重奏曲 ほか
ブルーノ・マントヴァーニ(1974-):
弦楽四重奏曲 第5番 [ヴォーチェ四重奏団、ジュリエット・ユレル、レミ・ドゥラングル、エマニュエル・セイソン]Chamber Music (20th-21st Centuries) - RAVEL, M. / MANTOVANI, B. (Poétiques de l'instant, Vol. 2) (Quatuor Voce, Hurel, Delangle, Ceysson)
発売日:2023年06月09日
NMLアルバム番号:ALPHA933
CD価格:2,475円(税込)
ヴォーチェ四重奏団が豪華ゲストと共に紡ぐプロジェクト第2弾!ヴォーチェ四重奏団のプロジェクト、「POÉTIQUES DE L'INSTANT」。ラヴェルあるいはドビュッシーによる弦楽四重奏のための名作を他の作品や新作と併せて並べ、一連の絵画のように関連付けたプログラムを構成する企画の第2弾が登場です。ドビュッシーの弦楽四重奏曲をメインに据えた前作(ALPHA798)に続き、今回はラヴェルの弦楽四重奏曲を中心として、「序奏とアレグロ」とハープのエマニュエル・セイソンが編曲した「マ・メール・ロワ」でゲストと共演しています。 近代フランスに於いて多いとは言えない弦楽四重奏曲の作例の中でも、ドビュッシーと並んで傑作とされるラヴェルの作品は、新進作曲家としての地位を確立した27歳の頃に書かれ、循環形式の応用のほか、美しいメロディと変拍子やポリリズムを前向きな曲想の中に盛り込んだ、たいへんラヴェルらしもの。またセイソンの編曲による「マ・メール・ロワ」は、鳥の鳴き声や銅鑼の模倣など、耳を惹く意外性も併せ持った美しい出来栄えとなっています。 新作は現代フランスの作曲家ブルーノ・マントヴァーニがヴォーチェ四重奏団のために書いた弦楽四重奏曲第5番。鋭いアクセントや半音階進行などを盛り込みトレモロを多用したフレーズが、4つの楽器に次々と伝播していくような構造を持っており、バラバラなようでいて楽器同士が忙しく会話をしているような統一感のあるたいへん興味深い作品です。 ジュリエット・ユレル、レミ・ドゥラングルといった豪華なゲストとヴォーチェ四重奏団は、これらの作品を活き活きと瑞々しく聴かせ、その魅力を十二分に表出しています。
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レグレンツィ(1626-1690):
オラトリオ『悔悛者の心の死』 [オリヴィエ・フォルタン、アンサンブル・マスク、ラファエレ・ジョルダーニ、クリスティーナ・ファネッリ、ハナ・ブラジコヴァ]LEGRENZI, G.: Morte del cor penitente (La) [Oratorio] (Blažíková, Fanelli, Giordani, Shelton, Ensemble Masques, Fortin)
発売日:2023年06月09日
NMLアルバム番号:ALPHA975
CD価格:2,475円(税込)
室内編成で驚くほど豊かに織り上げられる、
17世紀後半イタリアのオラトリオ17世紀半ばから後半にかけ、ミラノやボローニャ、ヴェネツィアなどで活躍した作曲家レグレンツィは、カヴァッリやカリッシミら17世紀中盤のイタリアを代表する作曲家たちの後を受け、コレッリやA.スカルラッティら後期バロックと呼びうる時代の大家たちとの橋渡しをなす存在。複数のヴァイオリンが歌い交わす室内楽曲の発展に大きく寄与した一方、声楽作品も多く残していますが、録音は必ずしも多くありません。 ここではヴェネツィア滞在中の1673年に初演された、人間の罪深さを自覚し信心深く生きることを促すカトリック寓意物語『悔悛者の心の死』を、長くスキップ・センペの頼れるアシスタントとして活躍してきたオリヴィエ・フォルタンを中心に集まった名手たちがコントラスト鮮やかに全曲演奏。コレッリやムファットなどにも通じる端正な音作りやA.スカルラッティやボノンチーニの初期作品にも比しうる歌心には、すでに次の世紀の到来さえ予感させるものがあります。 鈴木雅明やフィリップ・ヘレヴェッヘらとの共演でも注目されるハナ・ブラジコヴァーを筆頭に表現力きわだつ歌手たちの妙技を、欧州各地で多忙な活躍を続ける腕利きの器楽勢が鮮やかにサポート。通奏低音以外は各パート一人ずつとは思えない変幻自在の響きの聴きごたえに唸らされます。収録作曲家:
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ドビュッシー(1862-1918):
夢ごこち(管弦楽編曲歌曲集)
海 [ヴァンニーナ・サントーニ、ミッコ・フランク、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団]DEBUSSY, C.: Mer (La) / HOLLOWAY, R.: C'est l'extase (Santoni, Radio France Philharmonic, Franck)
発売日:2023年06月09日
NMLアルバム番号:ALPHA981
CD価格:2,475円(税込)
ミッコ・フランクによるドビュッシー「海」と歌曲集、
注目のヴァンニーナ・サントーニ参加ALPHAレーベルからの、ミッコ・フランクとフランス放送フィルによるドビュッシー第2弾。「選ばれし乙女」と「夜想曲」ほかを組み合わせた前作(NYCX-10297/ALPHA777)同様、声楽を伴う管弦楽曲と純粋な管弦楽曲を組み合わせていますが、今回収録された声楽曲は、ブラームスの編曲などでも高い評価を得ている現代イギリスの作曲家ロビン・ホロウェイが、ドビュッシーの「忘れられたアリエッタ」と「3つの歌曲(メロディ)」ほかを管弦楽伴奏の歌曲集に仕立てたもの。作品へのリスペクトが溢れた編曲で、それぞれの曲が持つ世界観をぐっと広げました。 歌うのは今注目されているフランスのソプラノ、ヴァンニーナ・サントーニ。大きな評判となったロトとレ・シエクルによる《ペレアスとメリザンド》(HMF)でメリザンドを歌ったことも記憶に新しい彼女が、艶やかな歌声を披露しています。 併せて収録された「海」では、暗い海から立ち上がる色彩感をじっくりと豊かに描いており、ミッコ・フランクとフランス放送フィルの面目躍如たる素晴らしい演奏を聴かせています。 -
-★『レコード芸術』特選盤(2023年7月号)★-
ヴェネツィア弓決戦
18世紀のヴェネツィア共和国とヴァイオリンの名手たち [シュシャーヌ・シラノシアン、アンドレア・マルコン、ヴェニス・バロック・オーケストラ]Violin Recital: Siranossian, Chouchane - LOCATELLI, P.A. / TARTINI, G. / VERACINI, F.M. / VIVALDI, A. (Duello d'archi a Venezia)
発売日:2023年05月26日
NMLアルバム番号:ALPHA935
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
ヴィヴァルディと肩を並べた個性派続々!
豪華な顔合わせで聴く鮮烈バロック鬼才インマゼールとのデュオ・アルバムや古楽器によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲録音で話題を呼び、その後もタルティーニ、ロンベルク、バッハと幅広い時代の音楽で痛快な名演を聴かせ続けるヴァイオリン奏者シュシャーヌ・シラノシアン。 タルティーニの協奏曲集に続くアンドレア・マルコン&ヴェニス・バロック・オーケストラとの新たな録音は「赤毛の司祭」ヴィヴァルディが自ら鮮やかなカデンツァまで書いた協奏曲「ムガール大帝」に、いずれ劣らぬ同時代の実力派作曲家3人の協奏曲をカップリングした充実企画! いずれもバロック期にしてはかなり長大と言ってよい力作ばかりで、ヴェラチーニの管楽器入り協奏曲、無伴奏カプリッチョをカデンツァ風に添えてのロカテッリ『ヴァイオリンの技法』からの1編、タルティーニの艶やかな旋律と和声に陶然とさせられるD 61と、それぞれの作曲家の個性の違いが明確になる選曲が絶妙。シラノシアンはますます冴えわたる弓さばきで18世紀イタリアならではの歌心とヴィルトゥオジティを縦横無尽に披露し、マルコン率いる合奏勢もこれに応えて地中海の情熱をはらんだ起伏豊かなドラマを聴かせてくれます。 バロック舞踏とヴィヴァルディ研究で注目されるオリヴィエ・フレの解説(国内仕様盤は日本語訳付)も的確かつ注目の情報を盛り込んだ読み応えある内容。多角的に生々しい18世紀へ引きずり込まれること必至の、ALPHAレーベルならではの突き抜けたイタリア・バロック・アルバムの登場です。 -
デュティユー(1916-2013):
チェロ協奏曲「遙かなる遠い国へ」
デュサパン(1955-):
チェロ協奏曲「アウトスケイプ」(改訂版) [ヴィクトル・ジュリアン=ラフェリエール、デイヴィッド・ロバートソン、クリスティーナ・ポスカ、フランス国立管弦楽団]DUTILLEUX, H.: Tout un monde lointain / DUSAPIN, P.: Outscape (Julien-Laferrière, Orchestre National de France, D. Robertson, Poska)
発売日:2023年05月26日
NMLアルバム番号:ALPHA886
CD価格:2,475円(税込)
ジュリアン=ラフェリエールが弾く
現代チェロ協奏曲の傑作二題1990年フランス生まれのジュリアン=ラフェリエール。2017年に新設されたエリザベート王妃国際音楽コンクール・チェロ部門の初代覇者となり、ALPHAからは既に2枚のアルバムをリリース、高い評価を得ています。 今回のアルバムは現代のチェロ協奏曲を2曲収録。1970年にロストロポーヴィチによって初演されたデュティユーの「遥かなる遠い国へ」は、ボードレールの『悪の華』をモチーフにした5楽章からなる作品。2015年に作曲されたデュサパンの「アウトスケイプ」は、今回が世界初録音となっています。 高度なテクニックと鋭い感性で、近現代作品にこれまでも高い親和性をみせてきたジュリアン=ラフェリエールらしく、ここでも冴えわたる演奏で作品の世界観を表現しきっています。 -
シューマン(1810-1856):
クライスレリアーナ
創作主題による変奏曲
ヴィトマン(1973-):
11のユモレスク [アーロン・ピルザン]SCHUMANN, R.: Kreisleriana / Geistervariationen / WIDMANN, J.: Elf Humoresken (Pilsan)
発売日:2023年05月26日
NMLアルバム番号:ALPHA896
CD価格:2,475円(税込)
アーロン・ピルザンが弾くシューマンとヴィトマン1995年オーストリア生まれのアーロン・ピルザンは、モーツァルテウムでカール=ハインツ・ケマーリングに学んだのち、ハノーファー音楽学校のラルス・フォークトのもとで研鑽を積みました。2014年にCDデビュー、2021年にはALPHAより、こだわりの不等分律によるバッハの「平均律」をリリースし、大きな話題を呼んでいます。 ALPHA第2弾となる今作ではシューマンの2作品と、シューマンから大きな影響を受けているというヴィトマンを収録。シューマン若き日の傑作の一つ「クライスレリアーナ」は際立った構成力で物語を語るように聴かせ、シューマンの生涯最後の作品とされる変奏曲では、慈しむような美しいタッチで魅了します。 ヴィトマンによる「ユモレスク」はその第10曲に、後に収められたシューマンの変奏曲が1小節引用されているなど、関連性の深い作品。ピルザンはこの作品でも持ち前のメリハリの効いたコントロールで、現代的な音の間に散りばめられた美しいフレーズをごく自然に引き立て、浮かび上がらせています。
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BECAUSE
黒人霊歌と黒人作曲家による歌曲集 [レジナルド・モブリー、バティスト・トロティニョン]Vocal Recital (Counter-Tenor): Mobley, Reginald L. - BURLEIGH, H.T. / PRICE, F.B. / STRONG, B. / TROTIGNON, B. / WHITFIELD, N. (Because)
発売日:2023年05月26日
NMLアルバム番号:ALPHA936
CD価格:2,475円(税込)
カウンターテナーとジャズ・ピアノによる、ポップスのような黒人霊歌ジョン・エリオット・ガーディナーなど一流の古楽指揮者に信頼を置かれているアメリカ出身のカウンターテナー、レジナルド・モブリー。ジャズやポップスでの活動も多く、プロとしての初舞台は日本のミュージカル・シアターで、当時は東京ディズニーランドのアクター/シンガーとして働いていたのだそう。 今回の彼にとって初めてのソロ・アルバムは、黒人霊歌と黒人作曲家による歌曲を集めたもので、共演はクラシカルな作品の発表も多いフランスのジャズ・ピアニスト、バティスト・トロティニョン。黒人霊歌の多くはトロティニョンによるアレンジで収められており、冒頭からフュージョンを思わせるビートに乗せた疾走感溢れる演奏で惹きつけられます。 さらに、初の黒人女性作曲家と言われるフローレンス・プライスの作品から、モータウン・レコードのソングライター、バレット・ストロングによるソウル・ナンバーまでを収録、張りのあるカウンターテナーで楽しむことが出来ます。
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〈次世代ソリストたちによるモーツァルト Vol.5〉
モーツァルト(1756-1791):
ピアノ協奏曲 第15番、第16番、第17番 [クレア・フアンチ、ハワード・グリフィス、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団]MOZART, W.A.: Piano Concertos Nos. 15-17 (Next Generation Mozart Soloists, Vol. 5) (Claire Huangci, Salzburg Mozarteum Orchestra, Griffiths)
発売日:2023年05月12日
NMLアルバム番号:ALPHA928
CD価格:2,475円(税込)
次世代アーティストのシリーズに、クレア・フアンチが登場!2006年浜松国際ピアノコンクール奨励賞、2011年ミュンヘン国際音楽コンクールに最年少で出場して第2位、2018年にゲザ・アンダ国際ピアノコンクール優勝など多くの入賞歴を持つクレア・フアンチ。既に様々なレーベルからCDを発売し来日公演も成功させている彼女が、次世代アーティストによるモーツァルトの協奏曲のシリーズに登場します。 モーツァルトが独自のピアノ協奏曲を確立した1784年作曲の3曲を収録していますが、フアンチは作品を自己のものとして完全に消化し、溌溂として瑞々しい音楽を繰り広げています。 彼女との共演も多く、このシリーズではお馴染みのハワード・グリフィス率いるモーツァルテウム管弦楽団のサポートも素晴らしく、ピアノと丁々発止のやり取りを展開しスリリングで躍動的な音楽づくりに貢献しました。
収録作曲家:
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ECHO - 谺
シューベルト、レーヴェ、
シューマン、ヴォルフ:
歌曲集 [ゲオルク・ニグル、オルガ・パシチェンコ]Vocal Recital (Baritone): Nigl, Georg - SCHUBERT, F. / LOEWE, C. / SCHUMANN, R. / WOLF, H. (Echo)
発売日:2023年05月12日
NMLアルバム番号:ALPHA934
CD価格:2,475円(税込)
ニグルとパシチェンコの共演によるバラード・アルバムバロックや現代のオペラで活躍するバリトン歌手ニグルと、歴史的な楽器での演奏を中心に世界的に活躍するピアニスト、パシチェンコの共演によるアルバム第2弾。演奏に15分もかかるシューベルトの「すみれ」ほか、物語性の高いバラードを集めたアルバムです。 ニグルの歌唱はやさしく語り掛けるような表現がたいへん印象的ですが、時折聴かせるドラマティックな高揚や、品の良いユーモアも大変魅力的。寄り添うようなパシチェンコのピアノも素晴らしく、一部ではグラーフの楽器が装備するヤニチャーレン・ペダル(トルコ風の打楽器が鳴るペダル)や、特殊なストップによる音色の変化も楽しむことが出来ます。 ジャケットは前作(ALPHA646)に続き作曲家パスカル・デュサパンによる写真。
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ブリテン(1913-1976):
ヴァイオリン協奏曲
ブルッフ(1838-1920):
ヴァイオリン協奏曲 第1番
イン・メモリアム [カーソン・レオン、パトリック・カーン、フィルハーモニア管弦楽団]Violin Recital: Leong, Kerson - BRITTEN, B. / BRUCH, M. (Violin Concertos)
発売日:2023年05月12日
NMLアルバム番号:ALPHA946
CD価格:2,475円(税込)
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ヴェネツィアの夜
7世紀ヴェネツィアの教会音楽、世俗音楽 [ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブラ、アンサンブル・レ・シュルプリーズ ほか]NUIT À VENISE (Ensemble Les Surprises, Camboulas)
発売日:2023年04月28日
NMLアルバム番号:ALPHA927
CD価格:2,475円(税込)
フランス古楽シーン最前線の実力あればこそ、
17世紀の生々しい響き!ヴェロニク・ジャンスやマティアス・ヴィダルといった名歌手たちとの緊密なアンサンブルで、フランス17~18世紀の知られざる声楽作品の魅力を脈々と伝えてきたアンサンブル・レ・シュルプリーズ。演奏作品が作曲された当時のあり方と妥協なく対峙し、現代のリスナーの興奮を誘う演奏へと昇華させるそのセンスは、フランスのバロック音楽様式にも大きな影響を与えたイタリア音楽にも抜群の適性をみせることが、今回のアルバムで立証されました。 17世紀の“水の都”ヴェネツィアを舞台に、その音楽活動の一大拠点だったサン・マルコ教会の音楽監督として巨匠モンテヴェルディが迎えられていた時代に光を当て、知られざる作曲家たちの作品も含め声楽・器楽および聖俗両面の作品を鮮やかに組み合わせ、17世紀後半に至る豊かな音楽遺産を起伏に富んだプログラムで堪能させてくれます。 弦・管・鍵盤8人からなる器楽勢のアンサンブルも魅力なら、詩句とメロディの官能性を鮮やかに引き出してゆく歌手それぞれの声と各楽器の音色の溶けあいや交錯も実にエキサイティング。サン・マルコ教会に限られない諸々の教会や貴族の私邸、アーケードの下に陣取った楽隊などの音楽によるヴェネツィアの祝祭シーズンを再現したかったと語る指揮者ベスティオン・ド・カンブラの狙いは、ALPHAならではの自然派録音が捉えた響きの克明さも手伝って十二分に実現していると言ってよいでしょう。 -
MEETING MY SHADOW
ベートーヴェン:エロイカ変奏曲
ブラームス、メシアン、スクリャービン、スカルラッティ [ギオルギ・ギガシュヴィリ]Piano Recital: Gigashvili, Giorgi - SCARLATTI, D. / BEETHOVEN, L. van / BRAHMS, J. / SCRIABIN, A. (Meeting My Shadow)
発売日:2023年04月28日
NMLアルバム番号:ALPHA930
CD価格:2,475円(税込)
ジョージアの若き俊英ギオルギ・ギガシュヴィリ、
注目のデビュー・アルバム2000年ジョージア(グルジア)生まれのギオルギ・ギガシュヴィリ。現在ネルソン・ゲルナーに師事している彼は、2019年のブゾーニ国際ピアノ・コンクール第3位と聴衆賞、2021年ゲザ・アンダ国際ピアノコンクールでオルタンス・アンダ=ビュールレ賞など数多くの受領歴を誇り、同じくジョージア出身のヴァイオリニスト、リサ・バティアシュヴィリのアルバム(ドイツ・グラモフォン)ではフランクのソナタで共演しています。またエロクトロ・ユニットTsdunebaのシンガーでもあり、ポップスを最も愛するという彼に、マルタ・アルゲリッチは「ピアノも一緒に続けるように」と強く勧めたといいます。 そんな彼の初めてのアルバムがALPHAから登場。彼にとってクラシックのピアノ演奏は自分の「影」の面ということかもしれませんが、弱冠22歳にしてその表現の幅広さと奥深さには驚くべきものがあり、時代も国も多岐にわたるプログラムに統一感と物語性を与える構成力も素晴らしいものです。 -
MAYRIG(母)
~アルメニアの母たちに捧ぐ~
歌、ヴァイオリン、ピアノによるアルメニアの音楽 [エヴァ・ザイシク、ダヴィド・ハルトゥニアン、クセニャ・マリアレヴィチ]Vocal Recital (Mezzo-Soprano): Zaïcik, Eva - APRIKIAN, G. / KOMITAS VARDAPET / AGHABAB, H. / GANATCHIAN, P. (Mayrig: To Armenian Mothers)
発売日:2023年04月28日
NMLアルバム番号:ALPHA947
CD価格:2,475円(税込)
苦難の歴史を辿った東ヨーロッパの国に生きる女性たちに、ザイシクらが迫る古代の王国にまで遡る民族と言語の歴史を持ちながら、近世にはトルコやペルシャ、ロシアなどの大国の支配を受け、ソ連崩壊とともに再び独立国家となったアルメニア。ハチャトゥリアンやアルチュニアンなどソ連時代の作曲家たちの故郷としても有名ですが、ここではマーラーやR.シュトラウスと同世代でアルメニア音楽の国際的認知に大きな貢献を果たしたコミタスと、メシアンに師事しパリのシパン=コミタス合唱団を長く指揮してきたガブリス・アプリキアンの曲を中心に、ソプラノ、ピアノ、ヴァイオリンという編成でアルメニアの近代音楽を紹介する内容となっています。 土の香りを感じさせるコミタスの舞曲や歌、アプリキアンの柔軟な音作りによる「東」を感じさせる音楽を通じて打ち出されるテーマは「母」。女性という存在の社会における大きさに迫りながら、個人としての喜怒哀楽を描き出す音の機微は、フランスの古楽シーンで圧倒的な存在感を誇る新世代歌手エヴァ・ザイシクの声を得て迫真の表現で浮き彫りになってゆきます。 カントロフとベルキンの門下でヨーロッパ東西それぞれの演奏伝統を受け継ぐアルメニア出身の名手ダヴィド・ハルトゥニアンのヴァイオリンが紡ぎ出す妖艶な響きにも陶然とさせられます。
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-★『レコード芸術』特選盤(2023年6月号)★-
聖女マリア/母マリア/娼婦マリア [アンナ・プロハスカ、パトリツィア・コパチンスカヤ、カメラータ・ベルン]
発売日:2023年04月21日
CD国内仕様 解説・歌詞日本語訳付き価格:3,520円(税込、送料無料)
プロハスカとコパチンスカヤ、
挑戦を恐れない2つの個性が描く、2人のマリアの物語2022年に発売されたイザベル・ファウストとの共演盤『カフカ断章』(HMF)が高い評価を受けたアンナ・プロハスカ。ALPHAレーベルからも個性的なアルバムをリリースしてきている彼女が、今回は長年の盟友、奇才パトリツィア・コパチンスカヤと手を組み、新約聖書に登場する聖母マリアとマグダラのマリアという2人の物語に挑みます。 コパチンスカヤにとっては2019年リリースの『つかの間と、永遠と』の流れを汲む企画と言え、そこでマルタンの『キリスト受難の6つの印象(複連祭壇画)』を中心に据えたのと同様、今回も同じマルタンの『マリア三部作(三連祭壇画)』を核とした選曲により、聖なるマリア、母としてのマリア、そして卑しい身分の象徴としてのマリアとその救済という側面に切り込み、西洋世界に於ける女性のイメージの二面性を描き出すとともに、その意味を問うという内容となっています。 2人が絶大な信頼を置く作曲家、ヴァイオリニストであるミチ(美智)・ウィアンコが多くの曲で編曲を務めており、カメラータ・ベルンの高いアンサンブル能力と、その音色が持つ煌びやかさを内に秘めたほの暗さを魅力的に引き出しました。さらにはプロハスカとコパチンスカヤによる、作品の振幅の激しさをものともしない表現力と強烈な個性が、時に寄り添い時に激しくぶつかり合いながら、このアルバムの得も言われぬ魅力を作り出しています。 -
-★『レコード芸術』特選盤(2023年6月号)★-
J.S.バッハ(1685-1750):
三位一体節のためのカンタータ(第47番・第60番・第78番)
トリオ・ソナタ 第2番 [ダミアン・ギヨン、モード・グラットン、セリーヌ・シェーン、トーマス・ホッブズ、ブノワ・アルヌー、ル・バンケ・セレスト]発売日:2023年04月21日
CD国内仕様 日本語解説、歌詞日本語訳付き価格:3,520円(税込、送料無料)
ル・バンケ・セレストによるバッハのカンタータ第3弾日本でも高い知名度と人気を誇るカウンターテナー、ダミアン・ギヨン率いるル・バンケ・セレストによるバッハ。ALPHAとZIG-ZAGからこれまでアルト独唱を中心としたカンタータのアルバム2枚をリリースしましたが、今回は三位一体節に関わる、全くの趣の異なった3つの作品を収録しています。声楽器楽ともに世界中で活躍する名手たちが、1パート1人で担当する声部の綾が素晴らしく、さらにきめ細かかつダイナミックな表現も楽しめるアルバムです。 また使用されているオルガンは、歴史的オルガンに通じたドミニク・トマ工房が18世紀テューリンゲン式のモデルで建造したもので、カンタータの間には名手モード・グラットンによる独奏も収録。カンタータ第47番の前には、その冒頭合唱曲の主題の元となったBWV 546の前奏曲も聴くことが出来ます。
収録作曲家:
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ダウランド(1563-1626):
ラクリメ、あるいは7つの涙 [ミュジカル・ユモール(ジュリアン・レオナール、ミリアム・リニョル、リュシル・ブーランジェ、トーマス・ダンフォード ほか)]発売日:2023年04月14日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
名手たち集結のコンソートで聴くダウランドジュリアン・レオナールを中心に、フランスほかヨーロッパで活躍するヴィオール(=ヴァイオル、ヴィオラ・ダ・ガンバ)奏者たちとリュートのトーマス・ダンフォードによるアンサンブル、ミュジカル・ユモールが奏でるダウランド。1604年に出版された『ラクリメ、あるいは7つの涙』全21曲を収録しています。 トレブル、テナー、ベースそれぞれ2種類の楽器を使用。通常続けて演奏される7つの「涙」を、間に動きのあるガリアードを挟んで分ける曲順とすることで各曲の個性と美しさが際立ち、たいへん新鮮に響きます。 名手たちそれぞれが奏でる声部の綾もたいへん魅力的。
収録作曲家:
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ヴェネツィアのサンタンジェロ劇場
~ヴィヴァルディと同時代のオペラ・アリア集~ [アデル・シャルヴェ、ル・コンソート]発売日:2023年04月14日
CD国内仕様 日本語解説・歌詞日本語訳付き価格:3,520円(税込、送料無料)
アデル・シャルヴェ、躍進!
伸縮自在の古楽アンサンブルと聴かせるヴィヴァルディ時代の息吹バロック・オペラが歌劇界を沸かせ、古楽に高い適性を持つ歌手たちが広く活躍するフランス。その最前線で躍進を見せるメゾ・ソプラノのアデル・シャルヴェが、同国の新世代を代表するチェンバロ奏者ジュスタン・テイラーとバロック・ヴァイオリン奏者テオティム・ラングロワ・ド・スヴァルトを中心とする才人集団ル・コンソートと共に、待望のソロ名義によるオペラ・アリア集をALPHAレーベルに録音しました。「赤毛の司祭」ヴィヴァルディが熾烈な競争社会で人気を博した頃のヴェネツィア歌劇界に光をあて、当時の水の都を席捲した人気劇場の一つサンタンジェロ劇場を沸かせた作品の数々をじっくり聴かせます。 近年ヴィヴァルディ研究に大きな貢献を果たしている音楽学者で、自身バロック・ヴァイオリンを弾く古楽舞踏の専門家でもあるオリヴィエ・フレ(ライナーノートも担当)の協力のもと、収録作の大半は今回が世界初録音! ヴィヴァルディはもちろんのこと、後年ドイツやスウェーデンでも重用されたケッレーリ、バッハも憧れたドレスデン宮廷楽団での活躍も知られるリスト―リら、ヴィヴァルディ作品に全く遜色のない音楽を書く作曲家たちがヴェネツィアにひしめいていたことが強く実感できる選曲に驚かされます。 いかなる秘曲もこれほど瑞々しく味わえるのは、リート歌手として先に注目を集めたシャルヴェならではの緻密で繊細な表現力もさることながら、柔軟に各作品の機微に触れてゆくル・コンソートの精妙な解釈あればこそ。大型リュートの一種テオルボをチェロと同数(3挺)起用し、数人だけの室内楽的な語らいから精悍なオーケストラ・サウンドまで伸縮自在の編成が、来るべきロココへの一歩を予感させるバロック後期の音楽世界の魅力を余すところなく伝えてやみません。 -
モーツァルト(1756-1791):
弦楽四重奏曲 第19番 「不協和音」
チャイコフスキー(1840-1893):
弦楽四重奏曲 第1番
スヨン・リュー(1980-):
YESSORI [エスメ弦楽四重奏団]String Quartets - MOZART, W.A. / TCHAIKOVSKY, P.I. / LYUH, Soo Yeon (Yessori - Sound from the Past) (Esmé Quartet)
発売日:2023年04月14日
NMLアルバム番号:ALPHA923
CD価格:2,475円(税込)
エスメ弦楽四重奏団、ALPHAから第2弾2016年にケルン音楽大学で結成され、「愛する」という意味の古いフランス語からその名を取ったエスメ弦楽四重奏団。韓国出身の女性4人組で、2018年にはウィグモア・ホール国際弦楽四重奏コンクール優勝をはじめ4つの賞に輝くなど、ヨーロッパ各地のコンクールで高い評価を得ています。2022年には初来日公演も成功させました。 彼女たちのアルバム第2弾となる今作には、モーツァルトの『ハイドン・セット』から「不協和音」、「アンダンテ・カンタービレ」を第2楽章に持つチャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1番という有名作を披露。さらに朝鮮半島伝統の二胡であるヘグム(奚琴/けいきん)の名手スヨン・リューが、2016年にクロノス・クァルテットのために書いた「Yessori」(You Tubeにはスヨン・リューが弾くヘグムとクロノス・クァルテットの5人による演奏がアップされていますが、ここでは弦楽四重奏版)を高い技術と表現センスでたいへん面白く聴かせます。 彼女たちの音楽が持つ幅広い表現力、力強さと推進力の魅力をたっぷりと味わうことの出来るアルバムです。
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『無骨なる美しさ』
~テレマンとバロック期の民衆伝承音楽~ [フランソワ・ラザレヴィチ、レ・ミュジシャン・デュ・サン=ジュリアン]BEAUTÉ BARBARE (Richaud, Les Musiciens de Saint-Julien, Lazarevitch)
発売日:2023年04月14日
NMLアルバム番号:ALPHA949
CD価格:2,475円(税込)
民俗音楽の気配からバロックが浮かび上がる、ラザレヴィチの真骨頂!今や世界的な活躍をみせるフランスの個性派フラウト・トラヴェルソ(バロックフルート)奏者フランソワ・ラザレヴィチは、世界各地の横笛や各種の縦笛、バグパイプなども使いこなす名手。バロックの古典的レパートリーだけでなく、時に民俗音楽プレイヤーも加わる主宰団体レ・ミュジシャン・ド・サン=ジュリアンでは中世音楽からフランス17-19世紀の俗謡、アイルランド伝統音楽など広範な演目に柔軟な音楽性を発揮。今回のアルバムでは、生前は同世代のバッハよりも高い人気を誇ったテレマンを扱いますが、いかにもラザレヴィチらしい変幻自在の選曲に驚かされます。 20代の頃ポーランドのシロンスク(シュレジエン)地方の貴族に仕えていた頃、スラヴ系の民俗音楽の豊かな「無骨なる美しさ」に衝撃を受け、後年も「彼らの即興に接していれば、僅か数週間で一生分のメロディに出会える」と語ったほど大きな影響を受けたテレマンの音楽から、民俗音楽との関連を示す作品を厳選、伝統音楽のフィールドで活躍する奏者を交えつつ、ツィンバロムやバラバン、フルラといった民俗楽器を使って野趣あふれる演奏を繰り広げます。原盤解説でも「18世紀音楽の再現より、テレマン作品に潜むエネルギーを引き出したかった」と語りながら、作品の本質を見失わず確かな筋道を探り当ててゆくセンスはさすが新時代の本格古楽器奏者と言えるでしょう。 民衆音楽から大きな影響を受けていたバロック期の宮廷音楽の素顔に、意外な角度から迫った1枚。ALPHA初期から活躍する技師アリーヌ・ブロンディオの丁寧なエンジニアリングも魅力の一端を担っています。
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-★『レコード芸術』特選盤(2023年5月号)★-
モーツァルト(1756-1791):
レクイエム(1804年パリ初演版)
パイジェッロ(1740-1816):
ナポレオン1世戴冠式のためのミサ [ジュリアン・ショーヴァン、サンドリーヌ・ピオー ほか ナミュール室内合唱団、ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ]発売日:2023年03月24日
CD国内仕様 解説・歌詞日本語訳付き価格:3,520円(税込、送料無料)
ナポレオン治世下で絶賛された傑作の異版を、最前線の古楽器演奏でソリストとしても活躍してきたヴァイオリン奏者ジュリアン・ショーヴァンと共に、フランスの古楽器演奏シーンの最前線をゆくル・コンセール・ド・ラ・ロージュ。ALPHAで好評のうちにスタートしたモーツァルト後期作品シリーズ第3弾は『レクイエム』が演目の中心ですが、革命期前後のフランスにおける演奏習慣を常に意識している団体だけに、一般的なジュスマイヤー補筆版に手を加えた1804年パリ初演版という意外なヴァージョンで臨みます。 1800年前後は歿後間もないモーツァルトの作品復権が進み、フランスでも『フィガロの結婚』や『魔笛』が上演され話題を呼んでいた頃で、その成功を受け1804年12月21日にケルビーニ指揮によるこのヴァージョンで披露された『レクイエム』も熱狂をもって迎えられました。パリでも人気のあった18世紀ナポリ楽派の巨匠ヨンメッリの同題作冒頭が最初に盛り込まれているほか、ジュスマイヤーの手による後半を中心に大胆なカットも加えられて演奏時間は30分あまり。しかしながら、バセットホルンの代わりにコーラングレ(イングリッシュホルン)が使われ、「喇叭は不思議な響きをTuba mirum」のトロンボーン独奏が冒頭は堂々たる金管のユニゾン、その後はバスーンに置き換えられるなど随所に聴きどころが秘められており、その魅力をショーヴァンの元に集まった古楽器の名手たちがコントラスト豊かに伝えます。 カップリングは人気オペラ作曲家として欧州を席巻した後、ナポレオンに忠誠を誓い、充実したイタリア歌劇様式でこのフランス皇帝を魅了した大御所パイジェッロが、同年12月2日のナポレオン皇位着任を祝う式典のために書いたミサ曲。こちらも当時流の管楽器が聴かせる豊かな響きと相俟って聴き応え充分。「クレド」に挿入されたハープ独奏も美しさに満ちています。 ピオー、サントン=ジェフェリ、ヴィダル……とフランス最前線の実力派が揃った申し分ない独唱陣の立ちまわりも聴き逃せません。
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マレ(1656-1728):
歌劇《アリアーヌとバッキュス》 [ユディト・ファン・ヴァンロイ、ヴェロニク・ジャンス、マティアス・ヴィダル ほか エルヴェ・ニケ、ル・コンセール・スピリチュエル]MARAIS, M.: Ariane et Bacchus [Opera] (Wanroij, Perbost, Carpentier, Concert Spirituel Orchestra, Niquet)
発売日:2023年03月24日
NMLアルバム番号:ALPHA926
CD 2枚組価格:3,975円(税込、送料無料)
貴重な全曲盤、ニケとフランス古楽界を代表する歌手たちによる待望の録音!ヴィオールの比類ない名手として名を馳せたフランスの作曲家マラン・マレは、王室楽団でオペラ指揮者としても活躍。1693年にはジャン=バティスト・リュリの後を継いで王室音楽総監督の座にあった息子ルイ・リュリとの共作で《アルシード(エルキュールの勝利)》を作曲、その後《アリアーヌとバッキュス》(1696)、《アルシオーヌ》(1706)、《セメレ》(1709)と3編の抒情悲劇を独力で完成させ、オペラを書く手腕でも高く評価されました。 18世紀以前のフランス・オペラ蘇演に確かな実績を持つ鬼才エルヴェ・ニケによる今回の録音は、リュリ亡き後の歌劇作曲家としてマレが本格的な歩みを始めた重要作でありながら全曲録音に恵まれてこなかった《アリアーヌとバッキュス》の全貌に触れられる待望のプロジェクト! ミノタウロス退治の恋人テーセウスに去られ悲しむアリアーヌに迫る酒神バッキュスの物語で、同じパリを沸かせたルーセル作品を130年以上先取りする名品をダイナミックに聴かせます。 抜群の心理表現を見せるヴェロニク・ジャンス、21世紀のフランス歌劇界で圧倒的な活躍をみせるマティアス・ヴィダルと活躍目覚ましいファン・ヴァンロイによる表題役の鮮やかな歌唱もさることながら、二人のテオルボ奏者が加わる豪華な通奏低音勢をはじめ、1700年頃のパリ・オペラ座の編成を忠実に再現したオーケストラも存在感抜群! ALPHAレーベルの真骨頂ともいうべきバロックオペラ録音です。
収録作曲家:
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シェーンベルク(1874-1951):
弦楽三重奏曲
レガメイ(1907-1982):
クラリネット、ファゴット、
ヴァイオリン、チェロとピアノのための五重奏曲 [ニコラ・アルトシュテット、イリヤ・グリンゴルツ、アレクサンダー・ロンクヴィヒ ほか]SCHOENBERG, A.: String Trio / REGAMEY, C.: Clarinet Quintet (Gringolts, Power, Altstaedt, Bieri, Sambeek, Lonquich)
発売日:2023年03月24日
NMLアルバム番号:ALPHA948
CD価格:2,475円(税込)
アルトシュテットとロッケンハウス音楽祭のメンバーによる、
シェーンベルクの名作と知られざるレガメイの注目作1946年、心筋梗塞で倒れ生死をさまよったシェーンベルクがその直後に書き始め、身体的心象的状況を反映させた弦楽三重奏曲は、通しても20分に満たない演奏時間ながら、3挺の弦楽器のみによる表現の限界に挑むかのような起伏の激しい難曲。クリンゴルツ、パワーそしてアルトシュテットの3人が、息もつかせぬ緊張感の高い演奏を聴かせています。 1907年、現ウクライナのキーウにスイス・ポーランド系のユダヤ人として生まれたコンスタンティン・レガメイは、作曲家のほか、ピアニスト、音楽評論家としても活躍し、1936年からはワルシャワ大学でインド言語学の講師も務めていたという多才な人物。収録された五重奏曲は彼がポーランドのレジスタンス運動に加わった1942年に作曲が始められ、ノルマンディー上陸作戦当日の1944年6月6日、秘密裏に初演されました。特異な編成であることも含めてメシアンの「世の終わりのための四重奏曲」を連想させますが、時代の重い空気を帯びているものの動きある作品で、メンバーの妙技が随所で発揮されています。 -
『コメディ・フランセーズ、ゲンスブールを歌う』 [コメディ・フランセーズの俳優たち]
発売日:2023年03月24日
CD価格:2,475円(税込)
シャンソン歌手、俳優、ソングライターとして20世紀のフランスに大きな足跡を残しながら、その言動が常に物議をかもしたセルジュ・ゲンスブール。彼の手によるシャンソンの数々を、フランスの由緒ある国立劇団の1つ、コメディ・フランセーズの芸達者な役者たちが、歌い奏でるアルバム。皮肉、ユーモア、エロス、背徳といった要素を存分に封じ込めた、雰囲気たっぷりの一枚です。
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『幼き日の印象』
エネスク、ドビュッシー、イザイ、ラヴェル、ロータ
ヴァイオリン作品集 [サラ・ネムタヌ、ロマン・デシャルム]Violin and Piano Recital: Nemtanu, Sarah / Descharmes, Romain - ENESCU, G. / DEBUSSY, C. / RAVEL, M. / YSAŸE, E. / ROTA, N. (Impressions d'enfance)
発売日:2023年03月10日
NMLアルバム番号:ALPHA834
CD価格:2,475円(税込)
サラ・ネムタヌが自らのルーツに迫る、ルーマニアとフランスのヴァイオリン作品フランス国立管弦楽団のコンサート・マスターを20年務めるサラ・ネムタヌと、ピアニスト、ロマン・デシャルムによるルーマニアとフランスを中心とした作曲家によるヴァイオリン作品集。 フランスでルーマニア系の家庭に生まれたネムタヌが自らのルーツに迫るべくここに収めた作品群は、高度なテクニックと濃厚さと鋭さを併せ持つ彼女の個性にうってつけのものばかり。豊かな表現力でこれらの作品の持つ魅力を新たな側面から引き出しています。 最後にアンコールのように収められたニーノ・ロータも素晴らしい演奏。
収録作曲家:
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『SO ROMANTIQUE !』
19世紀フランスのオペラ・アリア集 [シリル・デュボワ、ピエール・デュムソー、リール国立管弦楽団]Opera Arias (Tenor): Dubois, Cyrille - BIZET, G. / DELIBES, L. / DONIZETTI, G. / THOMAS, A. (So Romantique !)
発売日:2023年03月10日
NMLアルバム番号:ALPHA924
CD価格:2,475円(税込)
シリル・デュボワが魅せる!
フランス・ロマン派の知られざる美しきアリア集バロックからロマン派まで、フランス・オペラを中心に目覚ましい活躍をみせるフランスのテノール、シリル・デュボワによる、19世紀のフランスに於けるオペラ・アリアを集めたアルバム。 ドニゼッティがパリで作曲した《連隊の娘》や、トマの《ミニョン》、ドリーブの《ラクメ》など有名な作品はほんの一握りで、現在では全曲はおろかその一部の演奏も珍しくなってしまった数々のオペラのアリアが収録されているのがポイントですが、さらには、それらがたいへん魅力的であることに驚かされます。 豊かな表現力と高度なテクニック、余裕のある高音の張りなど、デュボワの実力が作品の美しさを十二分に引き立てており、こちらもフランス・オペラのスペシャリストであるピエール・デュムソーの棒もオーケストラ全体をたっぷりと歌わせて、その歌唱にぴたりと寄り添っています。 -
『LUMEN』
バッハ、ショパン、C.エル=バシャによる前奏曲と即興 [カミーユ・エル=バシャ]Piano Recital: El Bacha, Camille - BACH, J.S. / CHOPIN, F. / EL BACHA, C. (Lumen)
発売日:2023年02月24日
NMLアルバム番号:ALPHA916
CD価格:2,475円(税込)
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トゥール(1959-):
カンティクム・カンティコルム・カリタティス
ア・カペラ作品集 [エンドリク・ウクスヴァラフ、コレギウム・ムジカーレ室内合唱団]TÜÜR, E.-S.: Canticum Canticorum Caritatis / Missa Brevis / Triglosson Trishagion (Collegium Musicale Chamber Choir, Üksvärav)
発売日:2023年02月24日
NMLアルバム番号:ALPHA917
CD価格:2,475円(税込)
注目のエストニアの作曲家、トゥールの美しいア・カペラ作品集1959年、エストニアのヒーウマー島に生まれたトゥールは、タリンでパーカッションとフルート、さらに作曲を学んだ後、プログレッシブ・ロック・グループ「IN SPE」で活躍し人気を博したという経歴の持ち主。現在は作曲に専念しています。ミニマル、スペクトル分析、十二音技法、音響作曲法などの影響を受けた前衛的な作風ではありますが、その多彩なリズムと刺激的な音響の面白さで人気があり、2020年にリリースされたパーヴォ・ヤルヴィ指揮による管弦楽作品集(ALPHA595)も話題となりました。 今回のアルバムには彼の無伴奏混声合唱のための作品が収められおり、多くは宗教的な題材に基づくもので、トゥールならではの和声の美しさを堪能することができます。 エンドリク・ウクスヴァラフ率いるコレギウム・ムジカーレ室内合唱団の表現力も素晴らしく、その特徴的な音響を構成する音程とリズムを高い技術力で再現。トラック8は彼らに献呈された作品です。
収録作曲家:
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メンデルスゾーン(1809-1847):
〈弦楽四重奏曲全集 Vol.2〉
弦楽四重奏曲 第4番-第6番 [ヴァン・カイック四重奏団]MENDELSSOHN, Felix.: String Quartets (Complete), Vol. 2 (Van Kuijk Quartet)
発売日:2023年02月24日
NMLアルバム番号:ALPHA931
CD価格:2,475円(税込)
ヴァン・カイックQによるメンデルスゾーン弦楽四重奏曲全集、第2弾2012年にフランスで結成され、2015年にはウィグモア・ホール国際弦楽四重奏コンクールで優勝、ALPHAレーベルからモーツァルトを軸に次々とアルバムをリリースし、2019年春には初来日も成功させたヴァン・カイック四重奏団によるメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲全集、完結となる第2弾です。 姉ファニーの死を乗り越えようとする時期に書かれ悲愴感のあふれる最後の弦楽四重奏曲第6番、その活動が最も充実していた時期に書かれた第4番、第5番と続きます。 ヴァン・カイック四重奏団はそれぞれの作品に深く寄り添い、しなやかで力強い演奏を聴かせます。
収録作曲家:
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『私的な旅』
ドイツ、オーストリアとフランスの歌曲集 [サンドリーヌ・ピオー、ダヴィッド・カドゥシュ]発売日:2023年02月17日
CD国内仕様 日本語解説/歌詞日本語訳付き価格:3,520円(税込、送料無料)
ピオーとカドゥシュの新生デュオが誘う、歌で紡ぐ旅初めて行ったデュオでのリサイタルを成功させたサンドリーヌ・ピオーとダヴィッド・カドゥシュによる、待望のアルバムが登場。新たな出会いの喜びとそこから見えるもの、憧れの地への旅、到達できない場所への探求といったものを出発点として、様々な作曲家と詩人たちによる言葉の交差を楽しむというのがテーマとなっており、結果的には有名作を多く含むドイツ語圏とフランスの作品を収めた内容となっています。 どの作品でも詩情を奥深く表現するピオーの特性が生きており、「魔王」での切迫した表情も歌姫の貫禄十分。フランスを中心にソリストとして活躍めざましいカドゥシュのピアノも、これにそっと寄り添う素晴らしいサポートを聴かせてます。
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-★『レコード芸術』特選盤(2023年4月号)★-
アンソニー・ロマニウク
『Perpetuum ~無窮動』 [アンソニー・ロマニウク]発売日:2023年02月10日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
アンソニー・ロマニウクのソロ第2弾、鍵盤作品縦横無尽!バロックからロマン派、現代に至るまで幅広い時代の作品を、広く深い知見とテクニックに裏打ちされた類まれな適応力で演奏し、世界各地のアーティストから篤い信頼を得ているアンソニー・ロマニウク。来日公演でもその個性で聴衆を魅了した彼のセカンド・ソロ・アルバムは、前作『BELLS 鐘』(NYCX-10300/ALPHA631)の方向性をさらに推し進めたものといえ、古楽器から現代楽器、そして電子楽器までを操り、バロックから現代音楽、ポップスに至るまでを、まさに縦横無尽に行き交う内容となっています。一見ばらばらな選曲ですがその流れが極めて自然なことにまず驚かされ、聴き進むほどに、それぞれの作品を引き立てる楽器選択の素晴らしさにも気付かされることでしょう。 これからの鍵盤楽器のありようを提案しつつ、際立って優れた構成力で全体を美しくまとめ上げた、新しい魅力に溢れるアルバムです。
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『Couleurs de l'Incendie』
オリジナル・サウンドトラック [サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ) ほか]ROUSSEL, G.: Couleurs de l'Incendie (Original Motion Picture Soundtrack) (Calleja, Kerber, Piau, Chauvin, Rizzi, Roussel)
発売日:2023年02月10日
NMLアルバム番号:ALPHA879
CD価格:2,475円(税込)
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『TRANSFIGURATIONS 変容』
室内楽編成によるシェーンベルクとベルク作品集 [ヘット・コレクティーフ]SCHOENBERG, A.: Verklärte Nacht (Transfigured Night) / BERG, A.: Piano Sonata, Op. 1 (arr. T. Mulleman) (Transfigurations) (Het Collectief)
発売日:2023年02月10日
NMLアルバム番号:ALPHA867
CD価格:2,475円(税込)
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-★『レコード芸術』特選盤(2023年4月号)★-
パーヴォ・ヤルヴィ指揮
ブルックナー(1824-1896):
交響曲 第7番 [パーヴォ・ヤルヴィ、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団]発売日:2023年01月27日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:3,300円(税込、送料無料)
パーヴォ・ヤルヴィ、約15年ぶりのブルックナー7番再録音!フランクフルト放送交響楽団と11年の歳月をかけて完成させたブルックナー交響曲全集の発売が記憶に新しいパーヴォ・ヤルヴィが、その第7番を再び取り上げました。先の全集の中でも第7番はパーヴォ初のブルックナー録音として2006年11月の収録であったため、再録音のタイミングとして近すぎるとは言えないでしょう。 旧盤と収録時間を比較すると全ての楽章で速くなっており、特に第2楽章では1分30秒近い差が出ていますが、演奏はくっきりとした音楽の輪郭を感じさせながら、むしろロマンティックな印象を与えるもので、フレーズ感のメリハリの効いた、個性的な解釈も随所に聴くことが出来ます。また今回は版の明記がされておりませんが、第2楽章での打楽器の使用を始め旧盤同様ノーヴァク版を基調としながらも、第4楽章冒頭の頻繁なリタルダンドなどは前回以上にイン・テンポで進められている印象です。 対位法的な面白さをしっかり味わえるヴァイオリンの両翼配置に加え、ワーグナー・チューバをホルンとは反対となる右側、トロンボーンとバス・チューバの前に持ってくることでアンサンブルの親和性を向上させるとともに、響きに奥行きを与えることにも成功。再録音の期待に応える素晴らしいアルバムです。 パーヴォ・ヤルヴィとチューリヒ・トーンハレ管は、ブルックナー生誕200年となる2024年までに、さらに第8番、第9番の録音を予定しているということです。
収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2023年4月号)★-
〈HAYDN 2032 第13集〉
ハイドン交響曲全曲録音シリーズ
Vol.13 ~ホルン信号
交響曲 第31番・第59番・第48番 [ジョヴァンニ・アントニーニ、イル・ジャルディーノ・アルモニコ]発売日:2023年01月27日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
ソロ続々の「ホルン信号」を中心に、第13弾は全て表題付きの傑作揃い!ハイドン生誕300周年にあたる2032年までに、この「交響曲の父」が残した107曲の交響曲全てを録音してゆくジョヴァンニ・アントニーニの注目企画が、第1巻(ALPHA670)がリリースされた2014年から8年を経てますます充実をみせています。エステルハージ侯爵家での30年近くに及ぶ現役活動中、ウィーンから遠く離れた侯爵領で世評を気にせず試行錯誤を繰り返しながら書かれたハイドンの一連の交響曲は、ティンパニやトランペット、クラリネットを使わない小規模な二管編成でも驚くほど多彩な音楽作法で聴きどころが尽きませんが、今回はその中でも特に味わい深い中期前半の3曲を厳選。 各パートのソロが多く聴きどころに事欠かない長大な第31番「ホルン信号」、独立した管楽器パートが一対のオーボエとホルンだけの小規模編成で変幻自在の展開が続く第59番「火事」、打楽器が入らないオリジナル版の演奏でも勇壮なスケールを存分に感じさせる第48番「マリア・テレジア」、といずれもアントニーニ自身の楽団であるイル・ジャルディーノ・アルモニコならではの、全奏者の個性が生かされながら豊かな一体感あふれる解釈が映える作品ばかり。特に「ホルン信号」では、圧倒的かつ痛快な吹奏でデュナーミク豊かなサウンド作りをみせる4人のナチュラルホルン奏者たちの活躍もさることながら、コントラバスやヴィオラにまでソロが出てくる終楽章での大規模室内楽風アンサンブルが絶妙で、個々の楽器の妙味をじっくり味わえます。 最新研究を反映した解説(国内仕様盤は日本語訳付き)でも、各曲の表題にまつわる謎やアントニーニの解釈上の見解など情報満載。どこまでも見逃せない内容です。
収録作曲家:
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『聖と俗と』
~ヴィヴァルディ独唱作品集~ [ティム・ミード、ジョナサン・コーエン、アルカンジェロ]VIVALDI, A.: Sacred and Secular Works (Sacroprofano) (Mead, Arcangelo, J. Cohen)
発売日:2023年01月27日
NMLアルバム番号:ALPHA914
CD価格:2,475円(税込)
気鋭カウンターテナーと俊才集団による“赤毛の司祭”の声楽世界聖職者として研鑚を積み司祭になったにもかかわらず、教会の仕事もそこそこにヴェネツィアのピエタ慈善院の音楽教員として女子生徒たちからなるオーケストラを指揮、自らもヴァイオリンを圧倒的な腕前で弾きこなしたヴィヴァルディ。作曲家として彼が残した作品は「四季」の4曲のような独奏協奏曲やソナタなどの器楽ばかりでなく、謝肉祭シーズンの水の都を湧かせたオペラや教会向けの声楽作品も多く残しています。 バロック・オペラの世界を中心に、本拠の英国に留まらない活躍をみせるジョナサン・コーエン指揮の古楽器楽団アルカンジェロが、この大作曲家と本格的に録音物で向き合うのは今回のアルバムが初。やはり声楽中心の選曲で、パートナーに選ばれたのは躍進めざましい英国のカウンターテナー歌手、ティム・ミード! 温もりと透明感を兼ね備えた圧倒的な美声は、ヴィオラ・ダモーレ独奏の典雅な響きに彩られる「ニジ・ドミヌス」から、躍動感豊かに恋の栄光を歌いあげる「恋の神よ、分かった、おまえの勝ちだ」まで、ヴィヴァルディの聖と俗の両面を鮮やかに描き出してゆきます。弦楽のための協奏曲やシンフォニアでの立ちまわり含め、アルカンジェロの一体感ある音楽性も絶妙のアンサンブルで存在感豊かに音楽の魅力を伝えてくれます。
収録作曲家:
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『モーツァルトとマンボ』 2
キューバン・ダンス
(ヴァイナル・ヴァージョン) [サラ・ウィリス、ハバナ・リセウム・オーケストラ、ホセ・アントニオ・メンデス・パドロン、サラバンダ ほか]発売日:2023年01月20日
LP 2枚組価格:4,425円(税込、送料無料)
大ヒット・アルバム「モーツァルトとマンボ」第2弾のアナログ盤登場!ベルリン・フィルの人気ホルン奏者サラ・ウィリスがキューバのミュージシャンたちと録音し、世界的な大ヒットとなった2020年のアルバム「モーツァルトとマンボ」(ALPHA578/NYCX-10151)。「モーツァルトはきっと素晴らしいキューバ人になったはず」という現地の友人の一言がきっかけとなり、彼女自身が大好きなキューバの音楽とモーツァルトを取り合わせるというなんとも不思議な企画が立ち上がりましたが、これが非常に面白い相乗効果を生みました。 その後コロナ禍を乗り越えて2022年にリリースされ、こちらも大ヒットとなった第2弾のアナログ盤が登場します。 モーツァルトのホルン協奏曲2曲と共に今回メインとなるのは、キューバの若い作曲家たちに委嘱した「ホルンと弦楽とパーカッションのためのキューバン・ダンス」6曲。ベルリン・フィルではあまり聴くことの出来ないサラ・ウィリスの伸びのあるソロと、陽気で熱気あふれるキューバ音楽の魅力をたっぷりと味わうことが出来ます。 ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ・バンドのツアーにも参加したカルロス・カルンガの張りのある歌声、今回の録音中に83歳の誕生日を迎えたというギロ(グイロ)の名手エンリケ・ラサガの妙技、そしてハバナ・リセウム・オーケストラの素晴らしい演奏も大きな聴きどころです。
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コパチンスカヤ&サイ
ヤナーチェク、ブラームス、バルトーク:
ヴァイオリン・ソナタ集 [パトリツィア・コパチンスカヤ、ファジル・サイ]発売日:2023年01月13日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
コパチンスカヤ&サイ、スーパー・デュオ再び!今や鬼才の名を欲しいままにしているヴァイオリニスト、パトリツィア・コパチンスカヤ。2008年にリリースされた彼女のデビュー・アルバムでパートナーを務めたのが、こちらも当時から鬼才の呼び声高いコンポーザー・ピアニスト、ファジル・サイでした。その後も共演を重ね、名コンビとしての評判を揺るぎないものにしているこの二人が、およそ15年ぶりに録音に臨んだのがこちらのアルバム。 お互いに「火山のように不屈の精神力とエネルギーを持つピアニスト」、「公演の度に異なったキャラクターと新しいストーリーを自然に繰り出してくる変幻自在なヴァイオリニスト」と評する二人がここで聴かせるのは、バルトーク、ブラームス、ヤナーチェクによる全く異なった性格を持つソナタ3曲。2つの個性が時に寄り添い、時にせめぎ合いながら紡ぐ音楽は、他では味わえない陶酔感と火花が飛ぶような激しさを併せ持つ唯一無二のもの。 特にコパチンスカヤが「始まりから終わりまで実に素晴らしい」と評するバルトークがハイライトで、終楽章の緊張感溢れる掛け合いは格別です。
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フランク(1822-1890):
交響曲 ニ短調
贖罪/呪われた狩人 [アラン・アルティノグル、フランクフルト放送交響楽団]FRANCK, C.: Symphony in D Minor / Rédemption: Morceau symphonique / Le chasseur maudit (Frankfurt Radio Symphony, Altinoglu)
発売日:2023年01月13日
NMLアルバム番号:ALPHA898
CD価格:2,475円(税込)
コンサートのみならずオペラでも世界的に高い評価を得ているアラン・アルティノグル(アルティノグリュ)が、2020/21のシーズンからシェフを務める(パンデミックのため実質2021/22シーズンから)フランクフルト放送交響楽団との初録音に選んだのは、2022年が生誕200年であるフランクの作品集。有名な交響曲と、演奏機会の多くない2曲を組み合わせたプログラムとなっています。 特に「贖罪」は、オラトリオ『贖罪』の間奏曲として1872年に作曲されたものの、翌年別の曲に差し替えられお蔵入りとなったもので、2021年に世界初録音(FUG791)が行われた貴重な作品。今回の録音にあたっては「呪われた狩人」と共に、最新の出版譜が使用されています。 故国フランスの近代音楽史に大きな影響を与えたフランクの作品を、アルティノグルは深い共感を持って歌い上げます。
収録作曲家:
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プーランク(1899-1963):
モノ・オペラ《人間の声》
シンフォニエッタ [ヴェロニク・ジャンス、アレクサンドル・ブロック、リール国立管弦楽団]POULENC, F.: Voix humaine (La) / Sinfonietta (Gens, Lille National Orchestra, A. Bloch)
発売日:2023年01月13日
NMLアルバム番号:ALPHA899
CD価格:2,475円(税込)
ジャンスとブロックの共演によるモノ・オペラの傑作《人間の声》別れを告げられた恋人からの電話を深夜に受け、精神的に追い詰められていく女性を描くコクトーの脚本にプーランクが作曲した《人間の声》。フランス・オペラに格別の相性を示す歌姫ヴェロニク・ジャンスが鬼気迫る演技で歌い上げ、フランス近代音楽で高い評価を得ているアレクサンドル・ブロック率いるリール国立管弦楽団が緊張感溢れる鋭い響きでこれを支える、注目のアルバムです。演奏される機会もそう多くはないこの難曲に、最新の録音として多くの期待に応える一枚といえるでしょう。 カップリングは《人間の声》の10年ほど前に作曲された「シンフォニエッタ」。こちらは打って変わってフランスらしいエスプリに溢れた愛らしい作品で、ブロックの多彩な表現力を堪能することが出来ます。
収録作曲家:
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『ザ・ホィール』
キャロライン・ショウ室内楽作品集 [イ・ジャルディーニ]SHAW, C.: Wheel (The) / Gustave Le Gray / Thousandth Orange (I Giardini)
発売日:2022年12月23日
NMLアルバム番号:ALPHA881
CD価格:2,475円(税込)
話題の作曲家、キャロライン・ショウの室内楽作品1982年に生まれ、ニューヨークを拠点としてヴォーカル、ヴァイオリン、作曲、プロデュースで活躍するキャロライン・ショウ。2013年作曲の「8声のためのパルティータ」でピュリッツァー賞を最年少で受賞、2020年のグラミー賞ではアルバム「オレンジ」が最優秀室内楽・小編成アンサンブル・パフォーマンス賞を受賞し、今アメリカで最も話題となっている若手作曲家の一人です。 ここではフランスを中心に活躍するアンサンブル、イ・ジャルディーニのメンバーによる室内楽作品を収録。どの作品も美しく、抒情性の中に前衛性やジャズ、エスニックなどの要素をスパイスのように効かせており、聴きやすいだけでなく、凝った音がたいへん興味を引く音楽となっています。 素焼きの植木鉢を音程別に並べ堅いマレットで叩く独特な楽器が活躍する作品も収録。
収録作曲家:
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シェーンベルク(1874-1951):
月に憑かれたピエロ
幻想曲/6つの小さなピアノ曲
ウェーベルン(1883-1945):
4つの小品他 [パトリツィア・コパチンスカヤ、ミーサン・ホン、ジュリア・ガレゴ、レト・ビエリ、トーマス・カウフマン、ヨーナス・アホネン ほか]発売日:2022年12月16日
CD国内仕様 解説・歌詞日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
コパチンスカヤが歌う「月に憑かれたピエロ」、
歌詞日本語訳付きが再登場!異才のヴァイオリニストとして不動の地位を築いたといえるパトリツィア・コパチンスカヤ。彼女がヴァイオリンではなく歌でソロをとり、派手なピエロの衣装を着てベルリン・フィルハーモニーほか欧米各国で公演した「月に憑かれたピエロ」は大きな話題となりました。2021年に満を持してCDリリースされ、世界的なヒットとなったアルバムの国内盤を再発売いたします。 このシェーンベルクの問題作は、5人の奏者による室内アンサンブルと、「語るように歌う」シュプレヒゲザング(あるいはシュプレヒシュティンメ)と呼ばれるソロのために書かれおり、現在はソプラノ歌手がソリストを務めることが多く、演奏至難なことで知られています。コパチンスカヤのアプローチは、歌うことよりも演劇的にダイナミックな表情を付けて語ることに主眼が置かれており、これは、この作品を委嘱し初演したアルベルティーネ・ツェーメが歌手ではなく女優であったことを踏まえると、彼女なりに原点を追求した形と言えるかもしれません。時に叫び声に近い激しい表現を加えながらも、コパチンスカヤが持つ音楽的な下地がその芸術性をしっかりと支えており、彼女の、そして作品の新たな魅力を堪能することの出来る素晴らしい出来栄えとなっています。 そのほかの作品では、コパチンスカヤはいつも通りヴァイオリンで参加しており、シェーンベルクが「私的演奏協会」のために編曲したのち、「ピエロ」に近い編成で再編曲した版の「皇帝円舞曲」などを収録しています。収録作曲家:
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ラモー(1683-1764):
歌劇《ゾロアストル》(1749年版/全曲) [アレクシ ・コセンコ、ジョディ・デヴォス、ヴェロニク・ジャンス 、レイナウト・ファン・メヘレン、タシス・クリストヤニス、マティアス・ヴィダル ほか]RAMEAU, J.-P.: Zoroastre [Opera] (Devos, Gens, Mechelen, Christoyannis, Vidal, Witczak, Namur Chamber Choir, Les Ambassadeurs, Kossenko)
発売日:2022年11月25日
NMLアルバム番号:ALPHA891
CD 3枚組価格:4,425円(税込、送料無料)
貴重な初演版、当時のオペラ座楽団の編成で!
ラモーによる楽器法の粋、錚々たる名歌手たちの妙技バッハやヘンデルとほぼ同世代で、遅咲きながらフランス王室のみならずパリ市民の音楽シーンを牽引する存在となっていった大御所ラモー。 リュリの歿後、少しずつ時代遅れになりつつあった全5幕形式のフランス正統派歌劇(抒情悲劇)に新たな活況を呼び込んだのも彼で、《ダルダニュス》から10年のブランクを経て1749年に発表した《ゾロアストル》は、初演こそ意欲的・先進的な構成が無理解にさらされ失敗に終わったものの、1756年の改訂版上演以降はフランスの人々にも受け入れられ喝采を浴びました。 そして今回ここに登場するのは、ヴェルサイユ・バロック音楽センターの全面協力を得て実現した幻の初演版! 映像含め既存録音もいくつかある改訂版では音楽構造の分かりやすさを優先させたため失われてしまった、ラモーと台本作家カユザックによる当初の哲学的・先進的アイデアを本来の姿のままに辿れる、最新校訂の楽譜による貴重な初録音です。 初演当時のオペラ座の編成に合わせ管楽器奏者を増やし、低音を左右に振り分けるなど楽器配置も当時流にこだわりながら、故マルゴワールから音楽監督の座を受け継いだ名門楽団ラ・グランド・エキュリーを加えた大編成でこの録音に臨むのは、トラヴェルソ奏者コセンコのもとALPHAやAparté、SONYなど多くのレーベルで名盤を連発しているレザンバサドゥール。頼もしい通奏低音勢に支えられながら、題名役のファン・メヘレンを筆頭に、デヴォス、ジャンスら世代を越えての注目女声歌手、そしてヴィダルにクリストヤニスと、欧州歌劇界の大御所たちが演技力たっぷり織り上げてゆく物語。序曲から絶好調のオーケストラも、随所の聴きどころでの強い求心力で存在感を発揮します。 素顔のラモー芸術の真価を知らしめる新たな名演の登場と言ってよいでしょう。収録作曲家:
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『うんざりだ、冬って奴は』
~路傍の人たちの嘆きの歌を集めて~ [アルノー・マルゾラーティ、ステファニー・ドゥストラック、レ・リュネジアン、サントメール・オードマリア女声合唱団]MERD'V'LÀ L'HIVER - Complaintes des gens de rue (D'Oustrac, Audomaria Women's Choir of Saint-Omer, Lunaisiens, Marzorati)
発売日:2022年11月18日
NMLアルバム番号:ALPHA887
CD価格:2,475円(税込)
「道端」にこそ真実が。古楽プレイヤーたちが魅せる「音楽史の裏側」童謡や民俗舞踊などの伝統音楽にも光を当て、ALPHAに名盤も多いル・ポエム・アルモニークで創設以来重要な役割を演じてきた歌手アルノー・マルゾラーティが、同団体の仲間も含めた経験豊かな古楽プレイヤーを集め、自ら主宰する個性派団体レ・リュネジアン。フランス革命以降の時代を中心に、西洋音楽史の主流がすくい切れずにいた音楽領域を探り続けてきた彼らは『セントヘレナ ~ナポレオンの伝説』(MU044/国内仕様盤NYCX-10219)でもユニークな名演を聴かせました。 今回は時代をぐっと下り第一次大戦前後、ベル=エポックから狂乱の時代に至る華やかなフランス文化の裏で辛酸をなめ、路傍に追いやられた人々の暮らしを扱った詩句にもとづく歌の数々に光を当てます。 俳優として研鑽を積んだ後クリスティに見出され、今やミンコフスキやマナコルダら実力派指揮者たちとの共演が続く個性派歌手ドゥストラックとともに、マルゾラーティは演技力抜群の朗読と鮮やかな歌唱を自在に行き来し、小劇場の極上レビューのごとく変幻自在の音楽世界を展開。ル・ポエム・アルモニークの伝統音楽系アルバムでも活躍した名手続々の器楽勢も、雑味交じりの民俗楽器や手廻しオルガンなど楽器の持ち味を最大限に引き出し、冒頭の「怒りの日」から鮮烈な存在感で歌を彩り続けます。 土臭いシャンソン風味と表裏一体の高雅なワルツも魅力なら、唯一19世紀初頭生まれの歌「フュアルデスの嘆き」での堂々たる展開も聴きごたえあり。いかにもALPHAレーベルらしい1枚です。
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『ノクターン』
ラフマニノフ(1873-1943):
徹夜祷、ビザンティン聖歌 [シモン=ピエール・ベスティオン、ラ・タンペート]発売日:2022年11月11日
CD価格:2,475円(税込)
ベスティオンとラ・タンペートが描く、典礼音楽としてのラフマニノフ「徹夜祷」様々な時代、地域の音楽をユニークな形で組み合わせるコンセプト・アルバムで、世界の合唱シーンを常に刺激するフランスの声楽アンサンブル、ラ・タンペート。今回は指揮者ベスティオンが、一見シンプルな印象を与えながら、実際は合唱をオーケストラのように扱う複雑な手法が当時としては革新的と語る難曲、ラフマニノフの「徹夜祷(晩祷)」に臨みました。 この作品に深い感動を覚えたというベスティオンは、ロシアとルーマニアで経験した正教会の儀式を踏まえ、その典礼的な文脈の中に位置付けてみるために、ビザンティン聖歌と交互に演奏するという手法を採用しています。 宗教音楽らしい奥深さをぐっと増した、たいへん興味深いアルバム。
収録作曲家:
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モーツァルト(1756-1791):
歌劇《皇帝ティートの慈悲》 K.621 [ニッキー・スペンス、シモナ・シャトゥロヴァー、アンナ・ステファニー、キアラ・スケラート、ノルマンディ・ルーアン歌劇場、ベン・グラスバーグ]MOZART, W.A.: Clemenza di Tito (La) [Opera] (Spence, Šaturová, Stéphany, Orchestre de l'Opera de Rouen Haute-Normandie, Glassberg)
発売日:2022年11月11日
NMLアルバム番号:ALPHA793
CD 2枚組価格:3,975円(税込、送料無料)
俊才グラスバーグと注目歌手たちが魅せる、欧州歌劇界最前線のモーツァルト齢23にしてブザンソン国際指揮者コンクールで優勝したのが2017年。20代の新世代シェフ、英国出身のベン・グラスバーグが音楽監督を務めるフランスのノルマンディ・ルーアン歌劇場は、21世紀に入ってからの急成長で話題をふりまくオペラハウスです。このタッグで、近年リートや近現代作品の録音が増えているニッキー・スペンスをタイトルロールに迎えて、モーツァルトが最晩年に遺したオペラ《皇帝ティートの慈悲》を聴くことは、いわば2020年代初頭時点におけるヨーロッパ歌劇界の先端を体感することと同義と言ってよいでしょう。 タイトルロールの他にもシモナ・シャトゥロヴァー(ヴィテリア)やキアラ・スケラート(セルヴィッラ)ら躍進めざましい歌手たちが続々登場、迫真の表現と細やかな解釈でモーツァルト最晩年の光と影を捉え、堂々たるドラマを織り上げてゆきます。レチタティーヴォのスリリングな展開に寄り添うフォルテピアノも見事なら、オーケストラの立ち回りも実に緩急鮮やかで聴きどころに事欠きません。 中低音に比重を置いた弦楽セクション(6/6/5/5/3)も伸縮自在の機動力をみせ、18世紀の二管編成でも最大級と言ってよいオーケストレーションを立体的に楽しませてくれます。
収録作曲家:
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〈次世代ソリストたちによるモーツァルト Vol.4〉
モーツァルト(1756-1791):
ピアノ協奏曲 第23番・第24番 [ジュリアン・トレヴェリアン、クリスティアン・ツァハリアス、ウィーン放送交響楽団]MOZART, W.A.: Piano Concertos Nos. 23-24 (Next Generation Mozart Soloists, Vol. 4) (Trevelyan, ORF Vienna Radio Symphony, Zacharias)
発売日:2022年11月11日
NMLアルバム番号:ALPHA883
CD価格:2,475円(税込)
次世代ヴィルトゥオーゾたちによるモーツァルト第4弾1998年英国生まれの若きピアニスト、ジュリアン・トレヴェリアンが弾くモーツァルトを2曲収録。2015年のロン=ティボー国際コンクールにおいて1位なしの2位に史上最年少の16歳で入賞して以降、様々なコンクールで入賞を繰り返している俊才です。 今回はモーツァルトを得意としてきた名ピアニスト、クリスティアン・ツァハリアスによる絶好のサポートを得て、自作カデンツァを含むプログラムを披露。柔らかいタッチと多彩な表現が大きな魅力です。
収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2023年1月号)★-
シベリウス(1865-1957):
交響曲 第3番・第5番
ポヒョラの娘 [サントゥ=マティアス・ロウヴァリ、エーテボリ交響楽団]SIBELIUS, J.: Symphonies Nos. 3 and 5 / Pohjola's Daughter (Gothenburg Symphony, Rouvali)
発売日:2022年10月28日
NMLアルバム番号:ALPHA645
CD国内仕様 日本語解説付き価格:3,300円(税込、送料無料)
漲る生命力!
ロウヴァリによるシベリウス第3弾は、難曲第3番と人気曲第5番の組み合わせ世界各国で高い評価を得た第1番、第2番に続く、ロウヴァリとエーテボリ響によるシベリウス交響曲全集の第3弾が登場。これまで第2番はレコード芸術誌2021年11月号「新時代の名曲名盤500」で同曲の第1位に、第1番は第2位に選出されています。 今回はシベリウス転換期の重要作第3番と高い人気の第5番、そして第3番の前年に書かれた交響詩「ポヒョラの娘」を収録。これまでのアルバム同様、今回もテンポやダイナミクスの設定に個性的な解釈が聴かれますが、新鮮であると共に大きな説得力を持つことに驚かされます。 (以下「曲目・内容」欄に記載)収録作曲家:
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『憧れ ~ライヴ・イン・ロッテルダム』
マーラー(1860-1911):
交響曲 第4番
ベルク(1885-1935):
初期の7つの歌/4つの歌 Op.2
(全て声楽と室内アンサンブル版) [バーバラ・ハンニガン、ラウル・ステファニ、ロルフ・フェルベーク、カメラータRCO]BERG, A. / MAHLER, G. (Austrian) - Vocal and Orchestral Music (Sehnsucht) (Hannigan, Steffani, Camerata RCO, Verbeek)
発売日:2022年10月28日
NMLアルバム番号:ALPHA872
CD国内仕様 解説・歌詞日本語訳付き価格:3,520円(税込、送料無料)
小編成と無観客、パンデミックの時代ならではのライヴで聴く、ウィーン世紀末主にオランダで指揮者、編曲者として活躍しているロルフ・フェルベークと、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の団員で組織される室内アンサンブル、カメラータRCOによるベルクとマーラー。 ベルクの『初期の7つの歌』では、ピアニストとして活躍したレインベルト・デ・レーウがオリジナルのピアノ譜から編曲した版(作曲者自身による管弦楽版も参考にしていると思われます)、『4つの歌曲』はオランダ放送フィルの打楽器奏者であり、デ=メイ「指輪物語」の管弦楽編曲などでも知られるヘンク・デ・フリーヘルによる版を使用。マーラーの交響曲第4番は、シェーンベルクの弟子であったエルヴィン・シュタインが「私的演奏協会」のために編曲したもの。 ソリストを務めるのは後期ロマン派、新ウィーン楽派から同時代音楽までのスペシャリストであるバーバラ・ハンニガンと、オランダの若きバリトン、ラウル・ステファニ。2020年からの世界的パンデミックの中で、様々な管弦楽作品を小編成のカメラータRCOのために編曲してきたというフェルベークとアンサンブルの意思疎通は非常に親密なもので、ハンニガンらも奥行きのある表情でこの秀演をさらに表現豊かなものにしています。 このアルバムはロッテルダムのデ・ドゥーレンにて収録されたストリーミング用無観客公演の様子を収めたもの。今の時代ならではのライヴ・パフォーマンスと言えるでしょう。
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メンデルスゾーン(1809-1847):
〈弦楽四重奏曲全集 第1集〉
弦楽四重奏曲 第1番-第3番 [ヴァン・カイック四重奏団]MENDELSSOHN, F.: String Quartets (Complete), Vol. 1 (Van Kuijk Quartet)
発売日:2022年10月28日
NMLアルバム番号:ALPHA873
CD価格:2,475円(税込)
ヴァン・カイックQによるメンデルスゾーン弦楽四重奏曲全集、第1弾2012年にフランスで結成され、2015年にはウィグモア・ホール国際弦楽四重奏コンクールで優勝、ALPHAレーベルからモーツァルトを軸に次々とアルバムをリリースし、2019年春には初来日も成功させたヴァン・カイック四重奏団が、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲全集に臨みます。 第1弾には第1番から第3番までを作曲順に収録。作曲家十代後半の作品で当時まだ冒険的であった短調で書かれた第2番、二十歳の頃に書かれ第2番同様ベートーヴェンの影響が強い第1番、作曲家として演奏家として多忙な日々を送っていた二十代の終わりに書かれた3曲のうちの1曲である第3番。 ヴァン・カイック四重奏団は、若き日の2作品の瑞々しさと第3番の充実ぶりを、彼ららしい流麗な音楽の語り口と躍動的な表現で聴かせます。
収録作曲家:
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〈次世代ソリストたちによるモーツァルト Vol.3〉
ヴァイオリン協奏曲 第4番
フルート協奏曲 第1番
ピアノ協奏曲 第6番 [ルズヴィ・グディム、ジョセフィーヌ・オレック、ジェネバ・カネー=メイソン、ハワード・グリフィス、ウィーン放送交響楽団]MOZART, W.A.: Concertos, K. 218, 238, 313 (Next Generation Mozart Soloists, Vol. 3) (Gudim, Olech, Kanneh-Mason, Griffiths)
発売日:2022年10月28日
NMLアルバム番号:ALPHA882
CD価格:2,475円(税込)
次世代ヴィルトゥオーゾたちによるモーツァルト第3弾は、粒ぞろいの名手が集結!30年以上にわたり若いアーティストたちを支援しているスイスのオルフェウム財団とALPHAが協力し、次世代の若いソリストたちによるモーツァルトの協奏曲をリリースするシリーズ第3弾。 ルズヴィ・グディムはオスロ出身でジュリアード音楽院に学び、ユーディ・メニューイン国際コンクールなど数多くのコンクールに入賞、イツァーク・パールマン、クリスティアン・テツラフを始め数多くの巨匠たちと共演を重ねている俊英。ジョゼフィーヌ・オレックはフランス出身で2017年よりロッテルダム・フィルの首席フルート奏者を務め、2019年にはカール・ニールセン国際音楽コンクールで優勝し、Es-durやORCHIDといったレーベルから既にソロ・アルバムもリリースしています。ジェネバ・カネー=メイソンはイギリス出身で音楽一家に育ち(チェリストのシェク・カネー=メイソンは兄)、数多くのコンクールに入賞しヨーロッパ各地で活躍している2003年生まれの若きピアニスト。才能豊かな3人による演奏が楽しめます。
収録作曲家:
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シューベルト(1797-1828):
ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調 Op.99
ピアノ五重奏曲 イ長調 「鱒」 [ブッシュ三重奏団、ダニエル・パルミツィオ、ナオミ・シャハム]SCHUBERT, F.: Piano Trio No. 1 / Piano Quintet, "Die Forelle" (Palmizio, Shaham, Busch Trio)
発売日:2022年10月28日
NMLアルバム番号:ALPHA884
CD価格:2,475円(税込)
ブッシュ三重奏団によるシューベルト第2弾、「鱒」登場!2012年にロンドンで結成されたブッシュ三重奏団。メンバーのマティウがアドルフ・ブッシュの所有していたグァダニーニのヴァイオリンを使用していることから、この名ヴァイオリニストの名前を冠しています。 ALPHAレーベルで、ドヴォルザークのピアノを含む室内楽作品全集を完結させた彼らが、続いて取り組んでいるシューベルトの第2弾。「冬の旅」などと同時期の作品ながら伸びやかな美しさを湛えたピアノ三重奏曲第1番、二十代前半に書かれ活き活きとした曲想と親しみやすいメロディで広く人気のピアノ五重奏曲「鱒」を収録。彼ららしく起伏に富んだ瑞々しい演奏で、これらの作品の魅力を最大限引き出しています。 「鱒」で共演のダニエル・パルミツィオは数々のコンクールで入賞し、ソリストとして活躍するヴィオラ奏者、指揮者。バッハのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ(ヴィオラ版)とブラームスのヴィオラ・ソナタを集めた録音(Zefir Records)などで高く評価されています。 ナオミ・シャハムはゲヴァントハウス管のコントラバス奏者を経て、ブタペスト祝祭管、マーラー・チェンバー、ウエスト・イースト・ディヴィアン管などで活躍しています。
収録作曲家:
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『フランクール兄弟とその周辺』
フランス18世紀、ヴァイオリンとクラヴサンのための作品集 [テオティム・ラングロワ・ド・スヴァルト、ジュスタン・テイラー]発売日:2022年10月21日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
フランス最前線をゆく2名手の鮮やかな共演!
バロックとロココの洗練を伝える一族の音楽、馥郁とフランス新世代を担うクラヴサン奏者ジュスタン・テイラーの快進撃が止まりません。独奏者としての注目度もさることながら、声楽家との共演や室内楽への関心の高さは録音活動にもよく表れています。彼とともにアンサンブル「ル・コンソート」を創設したバロック・ヴァイオリン奏者テオティム・ラングロワ・ド・スヴァルト(スワルト)も同様に躍進めざましい新世代名手で、こちらはharmonia mundi franceでの大御所ウィリアム・クリスティとの二重奏盤も話題を呼びました。 この若き俊才2人が阿吽の呼吸で紡ぎ出す演奏が、いかに瑞々しい音楽のひと時を生むかを強く印象づけるアルバムが登場。フォルクレ、ラモーと「一族」単位で音楽遺産を追ってきたテイラーの録音活動の一環として、今回はクライスラーの偽作で名前だけは有名なフランクールを紹介。 フランソワ・フランクールは『四大元素』で有名なジャン=フェリ・ルベルの息子フランソワ・ルベルとオペラで共作を続け、マリー=アントワネット婚礼祝典でリュリの作品を古典派風に改作するなど世紀後半まで活躍しましたが、若い頃にはヴァイオリン奏者として鮮烈なソナタも続々発表。彼の兄や甥などの作品を交え、共作舞台音楽の足跡も追う体系的な選曲は、全く未知の作品ばかりであるにもかかわらず、たおやかに伸縮するラングロワ・ド・スヴァルトの弦の魅力、これに呼応するテイラーの優美というほかないタッチの妙で、次へ、また次へ……と聴き進めずにおれません。 フランス古楽シーンの充実を圧倒的に印象づける鮮烈な1枚、ALPHAならではの見逃せないリリースです。 -
『私の中のゴッホ』
ゴッホとクリムトの時代を巡るア・カペラ・コーラスの旅 [ペーター・ダイクストラ、オランダ室内合唱団]Choral Concert: Netherlands Chamber Choir - DEBUSSY, C. / MAHLER, G. / SAINT-SAËNS, C. / SCHOENBERG, A. / STRAUSS, R. (Van Gogh in Me)
発売日:2022年10月21日
NMLアルバム番号:ALPHA638
CD価格:2,475円(税込)
極上の美しさ! ダイクストラが導くア・カペラの世界ペーター・ダイクストラ率いるオランダ室内合唱団による、ゴッホとクリムトが生きた19世紀末近辺のフランスとドイツの音楽を集めたア・カペラ・アルバム。 サン=サーンス、ドビュッシー、リヒャルト・シュトラウス、シェーンベルクといった大家の合唱作品が聴けますが、サティの「ジムノペディ第1番」(この編曲による世界初録音)などの合唱編曲版などが収録されているのが嬉しいところ。中でも、妻アルマの作品と会話のように交互に収められたマーラーの編曲版に注目で、彼らならではの高純度のア・カペラで歌われる「原光」や交響曲第5番「アダージェット」の美しさは、まさに天国的と言えるでしょう。合唱編曲の多くは、この分野で定評のあるドイツの作曲家クリトゥス・ゴットヴァルトによるものです。 またこの作品はイタリアのアート集団「fuse*」とのコラボレーションとなっており、実演では、ステージ上の大きなスクリーンにゴッホとクリムトの絵を元にしたイメージを投影し、それが観客と演奏者の生体反応をリアルタイムに反映して次々と変化していく、インスタレーションの要素を導入していました。その様子もブックレットにカラーで掲載されています。
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『タランテッラとフォリアを少々』
ラルペッジャータALPHA録音集成[6枚組 BOX] [クリスティーナ・プルハール、ラルペッジャータ]発売日:2022年10月14日
CD 6枚組価格:4,425円(税込、送料無料)
ラルペッジャータの世界進出はALPHAレーベルと共に
神々しささえ宿る初期の5アルバムを一堂に!オーストリア出身で古楽器ハープとテオルボを弾きこなすクリスティーナ・プルハールを中心に、フランスで活躍する世界的撥弦楽器奏者たちを軸としたユニークな編成で、地域性に根差した伝統音楽のテイストを適切に取り入れて新鮮な17世紀音楽解釈を打ち出し、世界を興奮させてきた古楽アンサンブル・ラルペッジャータ。その躍進は奇しくもフランス随一のレーベルALPHA創設初期の快進撃と重なり、当時ディレクターが力を入れていた口承音楽や即興演奏などの領域にも踏み込んだスタイリッシュなアルバム作りで話題を呼んできました。 後にメジャーレーベルへと移る前の、いわば稀少な原石が世界市場を揺るがす宝石へとカットされてゆく過程の彼らが、いかに魅力的な古楽世界を切り拓いていたかを、ALPHAで制作された5つのアルバムを通じて実感できる貴重なBOXが装いも新たにカタログ復活となります(旧品番: ALPHA818)。 17世紀のローマで幾多の芸術家たちの仕事を横目に活躍をみせたカプスベルガーやランディ、声の魔術師マルコ・ビズリーを中心に名歌手たちがバロックの粋を描き出すカヴァリエーリ《魂と肉体の劇》、イタリア伝統音楽に新境地を拓いたプレイヤーたちをゲストに、バロック期の即興演奏を民俗音楽と結びつけ古楽のイメージを一新した伝説的アルバム2作……ALPHAならではの、演奏現場の気配まで伝えるカリスマ的録音技師ユーグ・デショーのエンジニアリングも群を抜いて素晴しく、欧州シーンの最前線をゆくソリスト続々の演奏陣から繰り出される古楽器の音色や歌声のひとつひとつを克明に味わい尽す喜びが6枚のCDに詰まっています。 -
『デュオ/ソロ』
無伴奏チェロ作品とアルメニア民謡の出会い [アストリグ・シラノシアン]Vocal and Cello Recital: Siranossian, Astrig - BACH, J.S. / KODÁLY, Z. / LIGETI, G. (Duo Solo)
発売日:2022年10月14日
NMLアルバム番号:ALPHA880
CD価格:2,475円(税込)
アストリグ・シラノシアンがチェロと美声で紡ぐ、東と西の出会いリヨンの生まれでアルメニアの血を引くアストリグ・シラノシアンが、無伴奏チェロのための名曲と、自らのルーツであるアルメニアの伝承歌を並べた興味深いアルバムをリリース。特に大バッハの無伴奏チェロ組曲第1番では、各楽章の間にアルメニアのごく短いメロディを挟み込み、西洋クラシックを代表する名曲と東洋的な節回しが対話するような興味深い構成となっています。 各民謡では、チェロのみによって奏でられる「アラガツの山」を除く5曲で、自らのチェロの伴奏に乗って歌うシラノシアンの美しい弾き語りも堪能。 人の声と、それに最も近いと言われるチェロとの、いわばデュオを披露して楽しませてくれます。
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『魔法のオペラ』
モーツァルト、ハイドン、サリエリ ほか
ウィーン古典派のアリア [コンスタンティン・クリンメル、リュディガー・ロッター、ホフカペレ・ミュンヘン]Opera Arias (Baritone): Krimmel, Konstantin - MOZART, W.A. / HAYDN, J. / SALIERI, A. (Krimmel, Hofkapelle München, Lotter) (Zauberoper)
発売日:2022年10月14日
NMLアルバム番号:ALPHA892
CD価格:2,475円(税込)
魔術、哲学、フリーメイソン…
ウィーン古典派の素顔に迫る選曲、俊才クリンメルの美声で古楽器演奏と共にヘンデルやモンテヴェルディのようなバロック作品からRシュトラウス、ブリテンといった近代作品に至るまで、さまざまな指揮者たちとステージを重ねオペラ、歌曲、宗教音楽と幅広い分野で注目を集めている1993年生まれのドイツのバリトン歌手、コンスタンティン・クリンメル。骨太の選曲で好感を呼んだALPHAデビュー盤のドイツ歌曲集(ALPHA549)に続き、新作は実力派の古楽器オーケストラとの共演によるウィーン古典派のアリア集。今回も注目のプログラムで、モーツァルトが活躍し人気を失ってゆく頃のウィーンにどれほど精彩に富んだ歌劇世界が広がっていたか、作曲家の知名度に惑わされることなく見事に伝えてくれる選曲になっています。 テーマは「魔法」。18世紀末の大都市に暮らす人々を喜ばせた奇術的パフォーマンスの奥にフリーメイソン思想にも通じる哲学的神秘が息づく、妖術・魔法の類が題材となったオペラからバリトン歌手のためのナンバーを厳選。この分野の嚆矢となったヴラニツキー《オベロン》、国際的名声を爆発させつつあった頃のサリエリの隠れ名作《トロフォニオの洞窟》、モーツァルト《魔笛》のヒットに続いたシカネーダー劇団の合作《賢者の石》にヴィンターの《魔笛 続編》、見過されがちなハイドン後期の充実歌劇《哲学者の魂》など、ぴりっと風刺が効いた短い曲から充実の大作までの作品美をじっくり堪能させてくれます。 ホフカペレ・ミュンヘンの的確な演奏解釈も頼もしく、18世紀ウィーンの息吹を脈々と感じられる1枚に仕上がっています。 -
『失われた宝石の数々』
19世紀フランス歌劇のコロラトゥーラ秘曲集 [ジョディ・デヴォス、ピエール・ブルーズ、フランダース放送合唱団、ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団]Opera Arias (Soprano): Devos, Jodie - ADAM, A. / AUBER, D.-F. / MASSÉ, V. / MEYERBEER, G. (Bijoux perdus)
発売日:2022年09月30日
NMLアルバム番号:ALPHA877
CD価格:2,475円(税込)
どれ一つとっても、忘却されたことが嘘のよう!
華麗なコロラトゥーラがデヴォスの名歌唱で甦るイタリアのベルカント作品やワーグナーの楽劇などの傍ら、フランス19世紀のオペラは近年までやや日陰の存在に甘んじていましたが、21世紀に入って急速に復権が進み、かつてヨーロッパ全域の歌劇世界を牽引した当時の勢いが生々しく思い起こされつつあります。現代蘇演される幻の名作も少なくありませんが、ここではそうした19世紀の知られざる声楽作品の再発見に大きく寄与している新世代の名歌手ジョディ・デヴォスの独唱で、オーベール、マイアベーア、トマらをはじめとする重要作曲家たちの作品に盛り込まれた華麗なコロラトゥーラ・ソプラノのためのナンバーを厳選。 中には《ディノーラ》の影の歌のようにモッフォ、サザーランド、ダムラウら新旧の名歌手たちが歌いこなした作品もありつつ、多くは滅多に録音されない稀少作品ばかり。18世紀の名カストラート、ファリネッリを主人公にしたオーベール《悪魔の取り分》や、バレエ《ジゼル》の作曲者アダンの秘作でタイトルの元にもなっている《失われた宝石》など、多くは他ではまず聴けない稀少さでありながら、デヴォスの伸びやかな歌唱もあり、どの曲も第一級のイタリア・オペラにもひけをとらない抜群の存在感で耳を捉えてやみません。 ブルーズ率いるブリュッセル・フィルも、作品の魅力をよく捉えた迫力満点の演奏で好サポートを聴かせます。ロマン派フランス音楽の面白さを再認識させ、未知の音楽への探求心を改めて掻き立ててくれる1枚です。 -
モーツァルト(1756-1791):
《ドン・ジョヴァンニ》序曲
ピアノ協奏曲 第23番
交響曲 第40番 [アンドレアス・シュタイアー、ジュリアン・ショーヴァン、ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ]発売日:2022年09月23日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
古楽器の敏捷性と機微が光る堂々たる大作群、
シュタイアーの即興性溢れるフォルテピアノも絶妙Apartéレーベルでのハイドン「パリ交響曲」シリーズで注目すべき実績を上げた後、ALPHAでモーツァルトの重要な管弦楽作品を体系的に録音してゆくSimply Mozartシリーズを開始したフランス最前線の古楽器オーケストラ、ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ。「ジュピター」などを収録し世界中で高い評価を博した第1弾(ALPHA776/NYCX-10256)に続き、第2作は同じ後期交響曲群中唯一の短調作品であるト短調の第40番と、パリに自筆譜が残っている2作(《ドン・ジョヴァンニ》序曲、ピアノ協奏曲第23番)という重要作揃いのプログラムです。 協奏曲のソリストに迎えられたフォルテピアノの大御所アンドレアス・シュタイアーは、意外にもモーツァルト協奏曲の録音が決して多くはなく、20世紀終わりにTeldecからリリースされたコンチェルト・ケルンとの4曲(第9、17、18、19番)以来の満を持しての新録音! 随所に聴こえる通奏低音としての即興含め、当時の演奏習慣を踏まえた装飾が盛り込まれた解釈の流麗さはますます冴えわたるばかり。シュタイアーとともに自筆譜を検討し演奏に反映させたというル・コンセール・ド・ラ・ロージュの各セクションも古楽器ならではの機微に満ちた解釈で、ヴァイオリンを弾きながら指揮するショーヴァンのもと意欲溢れる一体感で各作品の深みと迫力をあざやかに伝えてやみません。 なおここではクラリネットの入った版を使用。終楽章の半音階的楽想をふまえ第40番にあえて添えられた「十二音技法」という副題(彼らのコンサートの聴衆から募集し、団員によって選ばれたものとのこと)にも現れている通り、作品本来の姿を徹底して見つめ直した先に垣間見えるモーツァルトの先進性に改めて驚かされます。 自筆譜がパリに辿り着いた経緯やシュタイアーへのインタビューなど、解説も貴重な情報満載です(仏・英・独語/国内仕様盤は日本語訳付)。収録作曲家:
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『ラモー、ポンパドゥール夫人の庇護下で』
《アストレの帰還》と《シバリスの住民たち》 [ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブラ、アンサンブル・レ・シュルプリーズ]RAMEAU, J.-P.: Retour d'astrée (Le) / Les Sybarites [Operas] (Perbost, Witczak, Lefebvre, Ensemble Les Surprises, Camboulas)
発売日:2022年09月23日
NMLアルバム番号:ALPHA876
CD価格:2,475円(税込)
ラモー芸術の粋が詰まった稀少な二つの“1幕物”。
フランス最前線の精鋭陣による演奏で1733年、齢50の年に初めてのオペラ《イポリートとアリシ》で物議を醸して以来、遅咲きながら瞬く間にフランスで最も話題の舞台音楽作曲家となったラモー。独自の作風を見出し名声の絶頂を迎えた彼の評判は間もなくルイ15世の王室に届き、1740年代には王の公妾となった稀代の文化人ポンパドゥール夫人からの愛顧を受けつつ、独特な作風をより洗練されたものへと進化させてゆきます。 フランス最前線の古楽シーンから届いた今回の録音では、そんな時期にポンパドゥール夫人の肝煎りで複数回上演された音楽劇《愛の驚き》から、過去に録音されることのなかったプロローグ(序幕)と、1757年の再演時に新たに挿入された第2幕の原型となった《シバリスの住民たち》を収録。 すでに名歌手ヴェロニク・ジャンスとの共演盤『PASSION』(ALPHA747/国内仕様NYCX-10234)でフランス古楽との抜群の相性を印象づけたアンサンブル・レ・シュルプリーズが、俊才歌手たちとともに、両作品の細部にいたるまで徹底的に吟味した解釈で比類ない名演に昇華。詩句の味わいを活かした歌唱もさることながら、無孔ナチュラル・トランペットを吹きこなすマドゥーフ兄弟やボンポルティ国際コンクール優勝者でもあるヴァイオリンの出口実祈など、注目すべき演奏家たちが多数揃った器楽勢の頼もしい共演も見事です。 ラモー特有の音使いのユニークな魅力を心ゆくまで味わえる一編です。収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年11月号)★-
ストラヴィンスキー(1882-1971):
春の祭典
カプリッチョ
八重奏曲 [ナターリア・ミルステイン、ミッコ・フランク、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団]STRAVINSKY, I.: Sacre du printemps (Le) / Capriccio / Octet (Milstein, Radio France Philharmonic, M. Franck)
発売日:2022年09月16日
NMLアルバム番号:ALPHA894
CD国内仕様 日本語解説付き価格:3,300円(税込、送料無料)
ミッコ・フランクによる「春の祭典」、
ナターリア・ミルスタインを迎えた「カプリッチョ」も収録!ミッコ・フランクと手兵フランス放送フィルハーモニー管弦楽団による、ストラヴィンスキーの3様の作品を収めた興味深いアルバム。 「ピアノと管楽器のための協奏曲」(1920)に続き、弦楽器を含む編成で1929年に完成した2曲目のピアノ協奏曲とも言える作品が、ここに収められた「カプリッチョ」。フランスでロシア系音楽一家に生まれた若き名手ナターリア・ミルスタインが、力強くも瑞々しい演奏を聴かせます。 1920年代のストラヴィンスキーは管楽器に重きを置いていましたが、1923年完成の「八重奏曲」は木管と金管の混成でオーボエやホルンを欠くやや特殊な編成で書かれたもの。ここではフランス放送フィルのメンバーによる妙技を楽しむことが出来ます。 1910年にバレエ・リュスのために書かれた代表作「春の祭典」ですが、ミッコ・フランクは大規模な編成をいたずらに鳴らすことなく、深いスコアの読み込みとメリハリの効いたリズム処理により、作品の持つ狂気と物語性を、決して表面的にならずに緻密に奥深く表現しています。収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年11月号)★-
『モーツァルトとマンボ』 2
キューバン・ダンス [サラ・ウィリス、ハバナ・リセウム・オーケストラ、ホセ・アントニオ・メンデス・パドロン、サラバンダ ほか]Horn Recital: Willis, Sarah - ARAGÓN, J. / GAVILONDO, P. / MOZART, W.A. / OLIVA, E. / OLIVERO, E. / VERA, M.T. (Mozart y Mambo - Cuban Dances)
発売日:2022年09月09日
NMLアルバム番号:ALPHA878
CD国内仕様 日本語解説/歌詞日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
大ヒット企画の続編登場!
豪華ゲストも参加の「モーツァルトとマンボ」第2弾ベルリン・フィルの人気ホルン奏者サラ・ウィリスがキューバのミュージシャンたちと録音し、世界的な大ヒットとなった2020年のアルバム「モーツァルトとマンボ」(ALPHA578/NYCX-10151)。「モーツァルトはきっと素晴らしいキューバ人になったはず」という現地の友人の一言がきっかけとなり、彼女自身が大好きなキューバの音楽とモーツァルトを取り合わせるというなんとも不思議な企画が立ち上がりましたが、これが非常に面白い相乗効果を生みました。コロナ禍を乗り越え、満を持してその第2弾が登場します。 モーツァルトのホルン協奏曲2曲と共に今回メインとなるのは、キューバの若い作曲家たちに委嘱した「ホルンと弦楽とパーカッションのためのキューバン・ダンス」6曲。ベルリン・フィルではあまり聴くことの出来ないサラ・ウィリスの伸びのあるソロと、陽気で熱気あふれるキューバ音楽の魅力をたっぷりと味わうことが出来ます。 ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ・バンドのツアーにも参加したカルロス・カルンガの張りのある歌声、今回の録音中に83歳の誕生日を迎えたというギロ(グイロ)の名手エンリケ・ラサガの妙技、そしてハバナ・リセウム・オーケストラの素晴らしい演奏も大きな聴きどころです。 -
『主が建ててくださらなければ』
対抗宗教改革期からバロック期にかけての独唱教会音楽 [エヴァ・ザイシク、ヴァンサン・デュメストル、ル・ポエム・アルモニーク]VIVALDI, A.: Nisi Dominus / Invicti, bellate/ RAZZI, S.: O dolcezza (Zaïcik, Le Poème Harmonique, Dumestre)
発売日:2022年09月09日
NMLアルバム番号:ALPHA724
CD価格:2,475円(税込)
新生ル・ポエム・アルモニークならではの、三つの世紀にわたるイタリア音楽世界フランス屈指のユニークなレーベルAlphaの創設当初から、作曲家の知名度にかかわらず破格のクオリティを誇る注目盤を連発、年を追うごとにレーベルそのものとともに世界的注目度を高めてきたル・ポエム・アルモニーク。17世紀以前の音楽に合わせた編成だったアンサンブル発足時からメンバーは大きく変わり、演目によってはバロック式のオーケストラや歌劇界のソリストたちを交えたカンパニーとしても活躍、演目の幅も大きく広がりました。しかし音楽監督ヴァンサン・デュメストルの感性は一貫してぶれることがなく、結成当初と同じく口承で残ってきた民俗伝統と宮廷音楽との交錯も見据えながら、常に新たな古楽のあり方を追求し続けています。 そんな彼らの最前線を示す、ルネサンス末期からバロックに至るイタリア音楽の「ありのまま」を追求した新録音が登場。主宰者デュメストルはイタリア南部の伝統楽器コラシオーネとバロックギターを適宜持ち替え、時に民俗音楽をも思わせる柔軟な歌唱を聴かせる声楽陣とともに、生々しいイタリア教会音楽の真相に迫ります。 ヴィヴァルディやロカテッリでは弦楽合奏の精緻な響きもさることながら、欧州各地の歌劇場での活躍もめざましいエヴァ・ザイシクの清らかな歌が圧巻。 クレジットされている16名の弓奏弦楽器奏者にはフランスの名手たちもさることながら、パリでの活躍が長いヴァイオリンの川久保洋子や畑野達哉、チェロの五味敬子ら日本からの奏者も目立ちます。 静かな緊迫感と穏やかさをたたえた場の空気感まで伝えるAlphaならではの自然派録音も絶妙な、古楽というフィールドの魅力を再認識させてくれる1枚です。
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『ユリスのごとく旅する者の幸せよ』
フランスの詩聖ジョアシャン・ド・ベレーと
16世紀の作曲家たち [ドゥース・メモワール]Vocal Ensemble Music (Renaissance) - BELLAY, J. du / ARCADELT, J. / LASSUS, O. de (Heureux qui, comme Ulysse) (Kwal, Doulce Mémoire, Dadre)
発売日:2022年09月09日
NMLアルバム番号:ALPHA870
CD価格:2,475円(税込)
早世の詩聖デュ・ベレーがルネサンス期の作曲家たちに与えた音楽的霊感に迫る、
Alphaならではの好企画!フランス・ルネサンスの詩人といえば、同時代の作曲家たちの他ラヴェルやプーランクなど近代作曲家たちもその詩に作曲したピエール・ド・ロンサール(1524-1585)が有名ですが、このロンサールと交流を持ち、知識人の文語だったラテン語ではなくフランス語で詩作した7人の重要詩人たちが「プレイヤッド(すばる=七星に例えた同時代の優れた詩人7人)」と呼ばれ、文学史では重視されてきました。 中でも早くからロンサールと知遇を得ていたジョアシャン・デュ・ベレー(1522-1560)は、1549年に『フランス語の擁護と顕揚』を著しラテン語に劣らぬフランス語の洗練と重要性を説きつつ、美しい詩作の魅力で宮廷人たちに高く評価されました。作品は音楽家たちにも注目され、フランドル楽派のアルカデルトやラッススら音楽史上名高い重要作曲家が曲をつけた例も少なくありません。 フランス中部トゥールを拠点に、古楽研究と筋の通った演奏実践を続けるドゥース・メモワールは今回、デュ・ベレーの詩にもとづく多様な同時代作曲家たちの作品を厳選。詩句の味わいを活かしながら抜群の古楽歌唱を聴かせる声楽陣、素朴にして妖艶な音色が美しい古楽器奏者たちが織りなす多様な編成で、詩の洗練を大前提とした16世紀フランス声楽の美の真相に迫ります。 ア・カペラ編成でも独唱でも歌われる多声シャンソンや器楽演奏に加え、古楽器の伴奏に乗せフランス語ラップ界の俊才クワルが端正に聴かせるデュ・ベレー作品の朗読も絶美。文学的洗練の音声的側面を、世界的古楽グループの入念なプログラムで堪能できるAlphaならではの充実盤に仕上がっています。 -
アダムズ(1947-):
管弦楽作品集 [パーヴォ・ヤルヴィ、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団]ADAMS, J.: Orchestral Music (Zürich Tonhalle Orchestra, P. Järvi)
発売日:2022年09月09日
NMLアルバム番号:ALPHA874
CD価格:2,475円(税込)
パーヴォ・ヤルヴィが描く、ジョン・アダムズのポートレートパーヴォ・ヤルヴィとチューリヒ・トーンハレ管弦楽団による、現代アメリカを代表する作曲家ジョン・アダムズの管弦楽作品集。ミニマル、ポスト・ミニマル、ネオ・ロマンティックなどと分類されるアダムズですが、実際はそのどれでもあると同時に一つには括れない柔軟な作風を持っており、同時代のジャズやポップスともお互いに刺激を与え合っています。ここにはそんな彼が約20年に渡って書いた作品を収録。 「スロニムスキーのイアーボックス」は、ストラヴィンスキーの「ナイチンゲールの歌」のいくつかの瞬間がモチーフになっており、管弦楽の爆発的な色彩を楽しめる作品。「父はチャールズ・アイヴズを知っていた」のタイトルは、アダムズによるとモートン・フェルドマンの「フュルステンベルク通りでハイネに会った」に無意識に触発されたようだとのことで、彼の父親カール・アダムズ(この父親からクラリネットを習ったことが、ジョン・アダムズの音楽の原点でした)がアイヴズの知り合いだった事実はないそうですが、マサチューセッツとコネティカットという隣りあわせの州に住んでいた彼らが出会うことがあれば、お互い昼はビジネスマン、夜はアーティストの顔を持つ二人として意気投合しただろうとのこと。曲は、引用を多用したアイヴズの作品をさらに引用するという手法が用いられた、アメリカならではの作品を作り続けた大作曲家へのオマージュとなっています。 「トロンバ・ロンターナ」はポスト・ミニマル的な手法で書かれたファンファーレで、「離れたトランペット」を意味する名が示すように、左右に振り分けられた2つのトランペットが呼び交わす様を神秘的な音響が支える作品。ちなみに「ショート・ライド・イン・ア・ファスト・マシーン」と共に『2つのファンファーレ』として出版されていますが、これは作曲家が意図したカップリングではないとのことです。 「ロラパルーザ」は「傑出したもの(人)、とんでもないもの」といった意味を持つアメリカの俗語で、サイモン・ラトル40歳のプレゼントとして書かれた作品。この語感をもとにしたモチーフがトロンボーンに現れるほか、様々な要素が組み合わされており、吹奏楽にも編曲された人気曲です。作曲家監修のもと、パーヴォ・ヤルヴィとトーンハレ管は作品のツボを心得た躍動感あふれる演奏を聴かせており、聴き込むほどにその面白さを実感できるアルバムに仕上がっています。
収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年11月号)★-
ヘンデル(1685-1759):
戴冠式アンセム(全4曲)
デッティンゲン・テ・デウム [エルヴェ・ニケ、ル・コンセール・スピリチュエル]発売日:2022年08月26日
CD国内仕様 日本語解説、歌詞日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
生々しい18世紀式の迫力そのままに響く、ヘンデルの充実傑作群!ヘンデルの合唱曲の中でも、金管や打楽器を交えたオーケストラが壮麗な響きを作り出す大作はロマン派時代にも人気が高く、19世紀にも多くの作品が蘇演され評判を呼んでいました。その迫力はヘンデル生前の演奏様式に立ち返っても有効なだけでなく、時に現代楽器演奏をも凌ぐインパクトさえ与えうるものであることを、欧州古楽シーンの最前線をゆく才人エルヴェ・ニケがありありと伝える痛快な名演が登場します。 『メサイア』作曲の2年後、オーストリア継承戦争中の英国軍勝利を祝して書かれた1743年の『デッティンゲン・テ・デウム』と、英国王室の式典で今なお演奏される「司祭ザドク」をはじめとする『戴冠式アンセム』(1727年、ジョージ2世の戴冠式のために作曲)のカップリングですが、注目は初演時に近づけた編成の大きさ! 総勢35名の合唱、コントラバス2を含む弦20名、2パートのオーボエ各5にファゴット6、トランペット8にティンパニ2組という大編成を採用。金管には18世紀流の指孔なしナチュラルトランペットの名手マドゥーフ、木管には『王宮の花火の音楽』録音から楽器再現も含めてニケの協力を続けるジェレミー・パパセルジオーら、最前線の名手たちが加わっての演奏はまさに圧倒的。古楽器ならではの響きを伴うファンファーレの痛烈な迫力から、合唱と器楽の玄妙な交錯まで、聴き手をはっとさせる強い存在感の解釈がそこかしこに詰まっています。 ニケとヘンデルの相性の良さを改めてよく示す新時代の名盤です。
収録作曲家:
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ブリッジ、ドビュッシー、ブリテン:
チェロ・ソナタ
ヤナーチェク:おとぎ話 [トルルス・モルク、ホーヴァル・ギムセ]Cello and Piano Recital: Mørk, Truls / Gimse, Håvard - BRIDGE, F. / BRITTEN, B. / DEBUSSY, C. (Cello Sonatas)
発売日:2022年08月26日
NMLアルバム番号:ALPHA560
CD価格:2,475円(税込)
名手モルクが奏でる、20世紀を反映するチェロ作品群ノルウェー出身の名手トルルス・モルクが、20世紀に生まれた4つのチェロ作品を収録したアルバムをALPHAからリリース。 第1次世界大戦中に書かれたブリッジとドビュッシーのソナタは、戦争への絶望、抵抗、平和や美への希求など当時の世相と作曲家の心理状態が大きく反映したもの。ブリッジに才能を見出されたというブリテンが1961年に書いたソナタは名手ロストロポーヴィチとの出会いから生まれており、彼に捧げられています。 ヤナーチェクが1910年に書いた3楽章の作品は「おとぎ話」と名付けられ、ヴァシリー・ジュコーフスキーの詩に基づいて作曲されたもの。 モルクはこれらの作品に寄り添いうように歌い、大きな包容力で聴かせます。ピアノは長年共演を続けるホーヴァル・ギムセ。
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『光に寄す』
サン=サーンス(1835-1921)/
アーン(1874-1947):
合唱曲集 [クリストフ・グラッペロン、アクサンチュス]SAINT-SAËNS, C. / HAHN, R.: Choral Music (À la lumière) (Accentus Chamber Choir, Kohn, Grapperon)
発売日:2022年08月26日
NMLアルバム番号:ALPHA864
CD価格:2,475円(税込)
新時代に向かう精鋭集団アクサンチュス、フランスの後期ロマン派を代表する二人の世界へ合唱という形態が聴かせる表現の驚くべき幅広さを、気鋭指揮者ローラン・エキルベイとともに世界に印象づけてきたアクサンチュス。彼らの拠点でもあるフランスにおいて、21世紀の音盤世界でユニークな立ち位置を占めるレーベルAlphaからのリリースは、19世紀フランス楽壇に新境地を切り開いた名匠サン=サーンスと、早くから才能を開花させ世紀をまたいで音楽シーンを賑わせたアーンの合唱作品集です。 どちらもそれぞれの関心から、バロック以前のポリフォニー音楽を作風の一助としてきた作曲家だけに、注目される機会が多いとは言えない合唱曲の分野にも名品が続々。ロマン派時代ならではの音作りながら古楽との相性が意外にも良い彼らの音楽と、美しい響きに独特の人間的温もりをたたえたアクサンチュスの歌唱が相まって、このアルバムに大きな存在感を与えています。 指揮はエキルベイのもとで経験を積み、ミンコフスキを支える合唱指揮者としても19世紀フランスの声楽作品で実績を上げてきたクリストフ・グラッペロン。俊英室内合唱団の輝かしい新時代の幕開けを飾る注目の新録音です。
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『ゲタリー』
ラヴェル(1875-1937):
ピアノ協奏曲 ト長調 (ピアノと八重奏版)他 [オーレル・マルタン]Piano Recital: Marthan, Aurèle - ALBÉNIZ, I. / CHALMIN, D. / COUPERIN, F. / SAINT-SAËNS, C. / STRAVINSKY, I. (Guéthary)
発売日:2022年08月26日
NMLアルバム番号:ALPHA871
CD価格:2,475円(税込)
パリ音楽院のほかクレモナやロンドンでも学んだピアニスト、オーレル・マルタンが、故郷であるフランス領バスクの港町ゲタリーに思いを馳せて作ったアルバム。メインとなるのはバスク地方出身の大作曲家ラヴェルによるピアノ協奏曲で、ここではピアノと8人の奏者による小規模編成にアレンジされた版を使用しており、気心の知れた友人たちと息の合った演奏を聴かせます。 そのほかバスクや海の印象を元にした、あるいは近い雰囲気を持つ有名無名の曲が集められた、たいへん美しいアルバム。ラストには、原曲の持つイメージを大胆にデフォルメして重いピアノ曲に生まれ変わった「ホテル・カリフォルニア」と、フランスのバンド、ラ・フェムの曲をほぼそのままピアノに置き換え中間部にサン=サーンスの「水族館」のフレーズを挿入した「Sur la planche(サーフボードの上で)」という、ロック作品を2曲収録しています。
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年10月号)★-
〈HAYDN 2032〉
ハイドン交響曲全曲録音シリーズVol.12
~遊びと愉しみ
ハイドン(1732-1809):
交響曲 第61番・第66番・第69番
作者不詳:
おもちゃの交響曲 [ジョヴァンニ・アントニーニ、バーゼル室内管弦楽団]発売日:2022年07月08日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
金管・打楽器の華々しい活躍と、あの謎の名曲
絶好調の全曲録音シリーズ第12巻登場2032年の作曲家生誕300周年に向け、100曲以上が現存しているハイドンの交響曲の全てを録音してゆくジョヴァンニ・アントニーニのHAYDN 2032プロジェクト。今回はハイドンがエステルハージ侯爵家での作曲経験を充分に積み、ひときわ充実した楽器編成のために交響曲を書く機会が増えてきた1775~76年の作品3曲に、「おもちゃの交響曲」を加えた選曲。 20世紀にヨーゼフ・ハイドン作ではないと判明して以降、レーオポルト・モーツァルトかエドムント・アンゲラーかなど、異説が多く提唱されながらも今なお作曲者が確定していない「おもちゃの交響曲」ですが、少なくとも1760年代には楽譜が存在していた真正の18世紀作品であることだけは間違いなく、滅多になされない古楽器での録音を俊才アントニーニによる技ありの指揮で聴けるのは画期的です。 ハイドン作の3曲のうち比較的知られている第69番は、晩年まで戦果を上げ続けた老将軍ラウドン(ロウドン)にちなんだ作品。トランペットとティンパニが響きに華やぎを添えます。第66番は比較的小ぶりの編成ながら、豊かな音作りにハイドンの芸術性の充実が感じられるもの。 イル・ジャルディーノ・アルモニコやゼフィーロでも活躍する名手エミリアーノ・ロドルフィ(オーボエ)や、引く手あまたのカルレス・クリストバル(ファゴット)など俊才古楽器奏者も加わるバーゼル室内管弦楽団の機動力も頼もしく、音楽学者クリスティアン・モーリッツ・バウアーによる最新研究を踏まえた恒例の解説(英・仏・独語/国内仕様には日本語訳付)とともにハイドン作品の奥深さを十全に伝えてくれます。収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年10月号)★-
モーツァルト(1756-1791):
ピアノ協奏曲 第17番・第24番 [エリック・ル・サージュ、フランソワ・ルルー、イェヴレ交響楽団]発売日:2022年07月08日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:3,300円(税込、送料無料)
ル・サージュが満を持しておくるモーツァルトの協奏曲フランス音楽のスペシャリストとしてはもちろん、ドイツ音楽の解釈でも定評があり、シューマンやブラームスの体系的録音で高く評価されているエリック・ル・サージュ。意外にもモーツァルトに関しては、これまでフランク・ブラレイとのデュオやアンサンブルでしか録音を行ってきませんでしたが、今回ついに、盟友フランソワ・ルルーのサポートを得た2つの協奏曲が登場します。 古典派における短調協奏曲の傑作第24番では、フォーレによるカデンツァを使用しているのがル・サージュらしいところ。演奏はピリオド・アプローチとは言えませんが巨匠風の重たいものでもない、様々な解釈を越えて全くのオリジナルにまとめ上げた、まさにル・サージュならではのもの。軽やかさと伸びやかさ、力強さと抒情性の絶妙なバランスが素晴らしい、聴き応えたっぷりで後味の良い演奏に仕上がっています。
収録作曲家:
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『DAS HEIßE HERZ』
シューマン(1810-1856)/
ヴィトマン(1973-):
歌曲集 [クリスティアン・イムラー、アンドレアス・フレーセ]WIDMANN, J.: Heisse Herz (Das) / SCHUMANN, R.: Lieder und Gesänge aus Wilhelm Meister (excerpts) / 6 Gedichte und Requiem (Immler, Frese)
発売日:2022年07月08日
NMLアルバム番号:ALPHA856
CD価格:2,475円(税込)
バッハ・コレギウム・ジャパンとの共演でも知られるドイツのバス=バリトン歌手クリスティアン・イムラーが歌う、シューマンとヴィトマンの歌曲集。持ち前の滑らかな声と豊かな歌唱力で、作品の世界を奥深く表現しています。 現代最も多忙な作曲家の一人イェルク・ヴィトマンが、ドイツの詩人クレメンス・ブレンターノやクラブント、ハインリヒ・ハイネ、子供の不思議な角笛などの詩に曲をつけ、2018年に初演された「DAS HEIßE HERZ (「燃ゆる心」の意)」は、今回が初録音。ピアニストのアンドレアス・フレーセがトラック18で1フレーズだけ、美しいテノールでハーモニーを重ねています。
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『CREATION』
~ロッケンハウス室内楽音楽祭40周年記念~
ヴィンケルマン、メルラン : チェロ協奏曲 ほか [ニコラ・アルトシュテット、イリヤ・グリンゴルツ、ヴィルデ・フラング、ギドン・クレーメル、ヨーナス・アホネン、クレメラータ・バルティカ ほか]Cello Recital: Altstaedt, Nicolas - WINKELMAN, H. / MERLIN, R. / MUSTONEN, O. (Creation)
発売日:2022年07月08日
NMLアルバム番号:ALPHA861
CD価格:2,475円(税込)
ロッケンハウス音楽祭40周年を祝う、新作ばかりを豪華アーティストの共演でギドン・クレーメルが中心となり、1981年にオーストリアのロッケンハウスで始められた室内楽音楽祭。40周年となる2021年はコロナ禍の中ながら無事に開催され、ヘレナ・ヴィンケルマンとラファエル・メルランによるチェロ協奏曲2曲が現在の芸術監督ニコラ・アルトシュテットのソロで初演されたほか、音楽祭に所縁のあるアーティストたちが多数の新作を寄せました。 ヴィンケルマンの協奏曲が25分で「ソネット74」が9分ほど、メルランの協奏曲が15分ほどあるほかは、ほとんどが1分前後、長くて3分台という演奏時間の小品ばかり。エサ=ペッカ・サロネン、レーラ・アウエルバッハ、エリッキ=スヴェン・トゥールなどの人気作曲家や、パトリツィア・コパチンスカヤ、オッリ・ムストネンといった気鋭の演奏家たちによる作品が次々と現れ、まるで万華鏡のような面白さです。 音楽祭の創立者クレーメルのほか、参加アーティストの豪華さもこの音楽祭ならでは。
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『シューベルト・イン・ラヴ』
ポップス調アレンジで聴くシューベルト作品の魅力
[LPヴァージョン] [ローズマリー・スタンドレー & アンサンブル・コントラスト with サンドリーヌ・ピオー、エレル・ベッソン]発売日:2022年07月08日
LP価格:2,850円(税込)
フランスで活躍するポップス界の歌姫が贈る、シューベルトの新しい魅力フランスを中心に活躍し、1930-50年代のポップスを歌うバンド"モリアーティ"のヴォーカリストであるローズマリー・スタンドレーと、近現代音楽を中心にクロスオーヴァー系もアコースティックな楽器でセンスあざやかにこなす実力派集団、アンサンブル・コントラストが手を組んだシューベルトの作品集。ピアノを担当するグループの中心メンバー、ジョアン・ファルジョによる、原曲のイメージを生かした美しくも物憂いアレンジで収めています。 方々から引っ張りだこの人気ソプラノ、サンドリーヌ・ピオーと、ヨーロッパ・ジャズ界で話題の女性トランペッターでALPHAからアルバム(ALPHA298)をリリースしているエレル・ベッソンも参加。心地よく力の抜けたヴォーカルと演奏が、シューベルト作品が本質的に持つ魅力を新しい角度から楽しませてくれます。ピオーがリードする「夜と夢」も絶品。 2020年発売のアルバム(ALPHA418)から、器楽のみによる4つのトラックを省いてアナログ化したもの。
収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年9月号)★-
ベートーヴェン(1770-1827):
チェロ・ソナタ 第1番・第2番・第3番 [ブリュノ・コクセ、モード・グラットン]発売日:2022年06月24日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
古楽界の革新的名手2人によるベートーヴェン始動!チェロを中心に様々な中低弦古楽器を操り、最新研究成果を反映させた数々の企画盤で私たちを楽しませ続けているブリュノ・コクセが、十代の頃からの夢だったというベートーヴェンのソナタを録音しました。 フォルテピアノは、フィリップ・ヘレヴェッヘはじめ多くの古楽演奏家から篤い信頼を集め、コクセ率いるアンサンブル、レ・バッス・レユニでも鍵盤を担当するモード・グラットン。使用されたフォルテピアノは、第1番と第2番ではベートーヴェンが初めて手に入れたメーカーと考えられるシュタインの再現楽器、第3番では作曲家が最後まで所持していたとされるメーカー、ブロードウッドのオリジナルを使用。いずれも作曲年代にあわせた選択ということではないようですが、音色の違いを聴けるのは大きな楽しみです。 活き活きとしたコクセのチェロに、多彩な表現で知られるグラットンのピアノが絡み、両者とも楽器の限界に挑むかのような振幅の激しい表現を聴かせてくれるのが魅力で、第2番冒頭の強打と直後の弱音などでは、何ごとかと驚かされるほど。演奏に全く堅いところがなく、聴いていてどこかすっきりとした感覚を呼び起こすほどに自由で闊達、さらに古楽器ならではの個性的な響きがアクセントとなり、非常に気持ちの良いアルバムに仕上がっています。 たくさんの巨匠たちが残してきたこれら傑作の名盤の系譜に、新たに連なる一枚といっても過言ではないでしょう。
収録作曲家:
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『ESTONIAN PREMIERES』
現代エストニアの管弦楽作品 [パーヴォ・ヤルヴィ、エストニア祝祭管弦楽団]Orchestral Music (Estonian) - AINTS, T. / KÕRVITS, T. / KRIGUL, U. / SUMERA, L. (Estonian Premieres) (Estonian Festival Orchestra, P. Järvi)
発売日:2022年06月24日
NMLアルバム番号:ALPHA863
CD価格:2,475円(税込)
パーヴォ・ヤルヴィが紐解く、現代エストニアを代表する管弦楽作品の魅力パーヴォ・ヤルヴィが生まれ故郷エストニアで開始したパルヌ音楽祭をきっかけに、2011年に創設されたエストニア祝祭管弦楽団。ALPHAからの3枚目のアルバムは、エストニアを代表する5人の作曲家の作品集です。 詩的かつ情景的な作風で知られるトヌ・クルヴィッツが、世界的パンデミックで人々が孤独にさらされた2020年、パーヴォ・ヤルヴィに献呈した「To The Moonlight」は「管弦楽のための3つのブルース」の副題を持ち、ブルースのイディオムを用いつつ、困難の時代を生きる人々の心情を表し、またこれに寄り添う美しさを湛えた作品となっています。 管弦楽作品からエレクトロニクス、映画音楽などでも知られるウロ・クリグルによる「Chordae」は元々古代ギリシャ語とラテン語から取った表題に、「和音」、楽器の「弦」、「同意」など様々な言語に引っかけた意味を含ませており、多くの音が重なり合って作られる様々な和音やリズムが次々と現れるドラマティックな作品。また「The Bow」も、「お辞儀」や楽器の「弓」など様々な意味を含むタイトルを持つ力強く美しい作品。いずれもパーヴォ・ヤルヴィに捧げられています。 グレゴリオ聖歌や東洋音楽から影響を受けているエレナ・トゥルヴェによる「L’ombre derrière toi」は、3つのヴィオラ・ダ・ガンバと弦楽のために書かれた作品で、ここではヴィオラと2つのチェロがソロをとって演奏されます。 オペラなど舞台作品が有名なタウノ・アインツの「序曲エストニア」は、2012年にエストニアの詩人ジャン・ペクの「Mu isamaa(我が祖国)」に作曲した際に、その詩から受けた印象を管弦楽で表現したというもの。 エストニアで最も重要な交響曲作曲家とされるレポ・スメラによる「オリンピック・ミュージック I」は、1980年モスクワ・オリンピックの際、タリンで開催されたヨット・レースのオープニングのために作曲されました。 いずれも調性的で聴きやすいながらも刺激的な作品で、まだまだ知られざるエストニア音楽界の奥深さを教えてくれるアルバムです。
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『好ましきもの』
フランス18世紀クラヴサン作品で辿る、ルイ15世の一日 [セリーヌ・フリッシュ]発売日:2022年06月17日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:2,970円(税込)
カフェ・ツィマーマンの名手が18世紀フランスの響きの真相に迫った、ロココの極致!18世紀のフランス音楽では、ドイツ音楽の堅牢さともイタリア音楽の歌心とも違う、独特な繊細さが大きな魅力となっていますが、作品が生み出された当時の状況や生活様式などを知ることで、その本来の魅力をより深く味わうことが出来ます。歴史的背景への知見を大切にしてきたフランスの気鋭集団カフェ・ツィマーマンの共同主宰者でもあるセリーヌ・フリッシュは今回、そうした文脈の中に作品を並べることで、いかに豊饒な音楽世界が紡ぎ出されているか、各曲の機微を捉えた演奏でありありと示してゆきます。 ポンパドゥール夫人を愛人として迎え、ロココの華やぎに彩られたフランスを長く治めたルイ15世(1710-1774)を主人公に、王室の暮らしの一端を連想させるクラヴサン小品を並べ、その一日を目覚めから就寝まで追体験する本盤は、知名度の低い作曲家たちからクープランの有名作まで驚くほど新鮮に聴こえる画期的プログラム。多彩な音色を使い分けられる使用楽器はロココの繊細な響きそのまま、18世紀音楽の知られざる側面をたっぷり味わわせてくれます。 国内仕様盤には、グスタフ・レオンハルトとの思い出など興味深いエピソード満載の解説訳付き。
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年9月号)★-
J.S.バッハ(1685-1750):
管弦楽組曲(初期稿再現版)(全4曲) [アンサンブル・マスク]BACH, J.S.: Overtures (Suites) Nos. 1-4 (Ensemble Masques, Fortin)
発売日:2022年06月17日
NMLアルバム番号:ALPHA832
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
俊英オリヴィエ・フォルタンと名手たちが解き明かす、
管弦楽組曲が生まれたときの姿カナダ出身のチェンバロ奏者オリヴィエ・フォルタンほか、世界各地の有名古楽器アンサンブルで活躍する名手たちが集ったアンサンブル・マスク。来日公演で日本での知名度も上がっている彼らは、それぞれの高い技術と音楽性、そして極小編成での親密なコミュニケーションを生かし、作品本来の姿を明らかにするパフォーマンスで定評があります。 ここでもバッハの名曲、管弦楽組曲を各パート1人の編成で収録していますが、それだけではなく、現在知られている形の原型とされる、弦楽とオーボエを中心とした編成を再現してみせました。 中でも特徴的なのは通常フルートの独奏が入る組曲第2番で、調を全音下げてイ短調としたうえでオーボエが独奏を受け持ちます。フルートの重要レパートリーとなっている「バディネリ」も、もちろんオーボエが演奏。さらに、通常トランペットとティンパニが入る華麗な第3番は弦楽器のみ、同じく第4番では3本のオーボエが加わります。 いずれも、バッハが本来構想したであろう形であることも興味深いですが、通常と全く違う響きが味わえることにまず興味を惹かれるアルバムと言えそうです。収録作曲家:
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ブリテン(1913-1976):
歌劇《ねじの回転》 [ベン・グラスバーグ、サリー・マシューズ、ジュリアン・ハバード、キャロル・ウィルソン、ジゼル・アレン、エド・ライオン ほか モネ劇場室内管弦楽団]BRITTEN, B.: Turn of the Screw (The) [Opera] (S. Matthews, J. Hubbard, C. Wilson, G. Allen, E. Lyon, La Monnaie Chamber Orchestra, Glassberg)
発売日:2022年06月17日
NMLアルバム番号:ALPHA828
CD 2枚組価格:3,975円(税込、送料無料)
ブリテンの最高傑作の一つを、グラスバーグによる切れ味よいタクトと色彩感豊かな心理描写で伝統あるベルギーのモネ劇場によるブリテンの歌劇《ねじの回転》。とある少年と少女の元へやってきた新任の女性家庭教師が、子供たちと、彼らを連れ去ろうと狙う亡霊たちとのやり取りに追い詰められていくという、サイコホラーです。 指揮は、コロナ禍直前の2020年1月に東京交響楽団との共演で初来日も成功させた、イギリスの若き俊英ベン・グラスバーグ。小編成のアンサンブルから実に色彩豊かな響きを導き出しています。 メイン・キャストの家庭教師を演じるのは、グラインドボーンの《ルサルカ》(DVD: OA1302D/BD: OABD7266D/NYDX-50106)でもダイナミックな歌唱と切々とした表情を両立する素晴らしい演技を見せたサリー・マシューズ。ここでも徐々に追い詰められていく表現が実に見事。 2021年4月に上演された舞台が非常に高い評価を受け、その後すぐにセッション録音されたアルバムです。
収録作曲家:
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『おお、わが麗しの栗毛の君』
~フランス・バロックのブリュネットの世界~ [ア・ノクテ・テンポリス(レイナウト・ファン・メヘレン、アンナ・ベッソン、ミリアム・リニョル、シモン・リンネ、ロリス・バリュカン)]Baroque Music (18th Century French) - BALLARD, C. / COCHEREAU, J. / COUPERIN, F. (Oh, ma belle brunette) (Mechelen, A Nocte Temporis)
発売日:2022年06月10日
NMLアルバム番号:ALPHA833
CD価格:2,475円(税込)
フランス・バロックの貴族社会を彩った恋の歌。
名手たちが当時の傑作器楽曲を交えて伝える機微文化百般に通じた絶対君主ルイ14世のもと、前世紀以来の高雅な宮廷歌曲(エール・ド・クール)が発展、王室音楽総監督リュリもフランス語の韻文を鮮やかに音楽化し傑作フランス語オペラを続々発表した17世紀フランス。しかし上流階級の人々はそうした堅固な芸術様式ばかりでなく、他愛ない恋物語を短くシンプルな詩句に歌い込んだ、より軽く短い歌も喜んで愉しんでいました。 古代の理想郷に暮らす羊飼いの青年が「栗毛(ブリュネット)の君よ」と歌いかける設定の歌が多いためブリュネットと総称されるようになったこの曲種は、王室勅許のもと楽譜出版を任されていたバラール出版局から3度にわたり集大成的曲集が編まれたほど人気があり、今に伝わります。 このアルバムはクープランやマレなど同時代の王室周辺で活躍した名手たちの器楽作品を交え、ブリュネットの名品の数々をフランス・バロック後期の宮廷音楽世界に文脈づける試み。さまざまなバロック・オペラや教会音楽・歌曲の解釈にすぐれ人気絶頂の名歌手ファン・メヘレンを中心に、器楽ではジャン・ロンドーのアンサンブルであるネヴァーマインドで活躍する横笛奏者アンナ・ベッソン、バッハの無伴奏チェロ組曲をフランス式にヴィオールで録音したミリアム・リニョルら4人の俊才が機微鮮やかな演奏を聴かせます。 驚くほど巧みなアンサンブルで彼らが支えるファン・メヘレンの美声にも酔いつつ、知られざるフランス・バロックの素顔に迫れるALPHAならではの好企画盤です。 -
『UNE PRIÈRE ある祈り』
ユダヤの祈りの音楽 [アンサンブル・コントラスト(ジョアン・ファルジョ、アントワーヌ・ピエルロ、アルノー・トレット)、カリーヌ・デエ、ピエール・ジェニソン、デボラ・ネムタヌ、サラ・ネムタヌ]Chamber Music - BLOCH, E. / BRUCH, M. / KOVÁCS, B. / PROKOFIEV, S. / RAVEL, M. / SHOSTAKOVICH, D. / WILLIAMS, J. (Une prière)
発売日:2022年06月10日
NMLアルバム番号:ALPHA763
CD価格:2,475円(税込)
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『波と影』
~弦楽九重奏によるドビュッシー 海 他 [コレクティフ9]WOOLF, L.P.: Contact / DEBUSSY, C.: La mer / Suite bergamasque (excerpts) / Préludes, Book 1 (excerpts) (Vagues et ombres) (Collectif9)
発売日:2022年05月27日
NMLアルバム番号:ALPHA858
CD価格:2,475円(税込)
弦楽合奏が生む新鮮な色彩感で聴くドビュッシー!マーラー作品の編曲を収めたアルバム(ALPHA770)で大きな話題を集めたモントリオールの弦楽九重奏アンサンブル、コレクティフ9によるドビュッシーほか。ドビュッシー作品の編曲は全て、コントラバスを担当するメンバーのベルタン=マギによります。 「雪の上の足跡」の静謐な味わい、コラールのフレーズが帯びる美しさなど、なるほどと思わせる上手い編曲で、ピアノとはまた一味違う色彩を帯びているのがなんとも魅力的。また「月の光」の編曲は、冨田勲のモーグ・シンセサイザー版へのオマージュとなっています。 アメリカの女性作曲家ルナ・パール・ウールフによる「コンタクト」は、クジラの親子が水中で呼び合う声にインスパイアされた、コレクティフ9のためのオリジナル作品。
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チャイコフスキー(1840-1893):
交響曲 第1番 ト短調 Op.13 「冬の日の幻想」
イタリア奇想曲 イ長調 Op.45
歌劇《エフゲニー・オネーギン》よりワルツ [パーヴォ・ヤルヴィ、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団]TCHAIKOVSKY, P.I.: Symphony No. 1, "Winter Daydreams" / Capriccio Italien / Eugene Onegin, Act II: Waltz (Zürich Tonhalle Orchestra, P. Järvi)
発売日:2022年05月20日
NMLアルバム番号:ALPHA838
CD価格:2,475円(税込)
全集より分売! パーヴォ・ヤルヴィの「冬の日の幻想」新型コロナ・ウイルス感染症による世界的パンデミックを乗り越えて完成、2021年10月に発売され大ヒットとなったパーヴォ・ヤルヴィとチューリヒ・トーンハレ管弦楽団によるチャイコフスキーの交響曲全集。セットのみでの発売だった交響曲第1番が待望の分売にて登場しました。 ロシア民謡的なフレーズの躍動感も素晴らしく、緊密なアンサンブル、各奏者の生き生きとした表現、濃密なオーケストラのうねりが作品のロマン性を引き立て、それでいて気品も感じさせるという、パーヴォならではチャイコフスキー像が刻まれています。
収録作曲家:
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チャイコフスキー(1840-1893):
交響曲 第3番 ニ長調 Op.29 「ポーランド」
歌劇《エフゲニー・オネーギン》よりポロネーズ
戴冠式祝典行進曲 ニ長調 [パーヴォ・ヤルヴィ、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団]TCHAIKOVSKY, P.I.: Symphony No. 3, "Polish" / Eugene Onegin: Allegro moderato / Festival Coronation March (Zürich Tonhalle Orchestra, P. Järvi)
発売日:2022年05月20日
NMLアルバム番号:ALPHA839
CD価格:2,475円(税込)
全集より分売! パーヴォ・ヤルヴィの「ポーランド」新型コロナ・ウイルス感染症による世界的パンデミックを乗り越えて完成、2021年10月に発売され大ヒットとなったパーヴォ・ヤルヴィとチューリヒ・トーンハレ管弦楽団によるチャイコフスキーの交響曲全集。セットのみでの発売だった交響曲第3番が待望の分売にて登場しました。 第1楽章第1主題やスケルツォ、終楽章のポラッカなどでのキビキビとしたリズムの処理、そして各パートまで行きわたった細やかな歌心はパーヴォならでは。作品の魅力を最大限引き出しており、現状、ほかの交響曲と比べて人気があるとは言えない評価を引き上げるに十分です。 やはりリズムのキレが際立つ「ポロネーズ」、「1812年」と同じロシア帝国国歌をラストで高らかに歌い上げる「戴冠式祝典行進曲」も素晴らしい演奏。
収録作曲家:
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ボノンチーニ兄弟:
チェロと通奏低音のためのソナタ集 [マルコ・チェッカート、アカデミア・オットボーニ]BONONCINI, G. / BONONCINI, A.M.: Cello Sonatas (Ceccato, Accademia Ottoboni)
発売日:2022年05月13日
NMLアルバム番号:ALPHA826
CD価格:2,475円(税込)
イタリア屈指の俊才が解き明かす「兄ジョヴァンニだけではない」ボノンチーニのチェロ芸術近年ますます研究が進むとともに、抜群の腕前を誇る名手たちも続々登場、刺激が絶えることのないバロック・チェロの世界。現代でいう「チェロ」の標準形が定まる前の、イタリア17世紀~18世紀初頭における低音弦楽器向け独奏曲の研究はとりわけ熱い領域の一つで、ヴィヴァルディの有名なソナタ集以前にどれほど魅力的なチェロ音楽の世界があったかが徐々に明らかになりつつあります。 ここではイタリア古楽界を低音域から支える多忙な俊才の一人マルコ・チェッカートが、リ・インコーニティの中心メンバーでもあるアンナ・フォンターナや異能撥弦集団イ・バッシフォンディの名手シモーネ・ヴァッレロトンダといった強力な共演陣を迎え、近年にわかに解き明かされつつあるボノンチーニ兄弟のチェロ音楽世界の面白さをじっくり紹介。 兄ジョヴァンニ・ボノンチーニは後年ヘンデルの好敵手としてロンドンでも活躍しましたが、実は17世紀のうちからイタリアを席巻していた早熟の天才でした。弟アントニオ・マリアも兄に劣らぬ俊才ぶりで、早くに亡くなったもののウィーンの皇室でも抜擢された他、やはりロンドンでも曲集が刊行されるなど国際的名声を博しました。 兄弟は弦楽芸術の一大拠点だったモデナ出身で、特に兄はチェロ奏者としても卓越した腕前を誇っていましたが、近年まで彼のチェロ作品とされるものは歿後出版されたイ短調のソナタ1曲しか知られておらず、本盤では近年発見された17世紀末作曲のシンフォニア2曲をチェッカートの名演で味わえる点も大きな魅力。弟は兄の作品のさらに上をゆく技巧性で奏者の腕前を際立たせる内容で、フックス楽長時代のウィーンの音楽世界の奥深さも垣間見えます。 聴きどころの尽きないAlphaならではの古楽器アルバムです。
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アルベニス(1860-1909):
イベリア [ネルソン・ゲルナー]ALBÉNIZ, I.: Iberia, Books 1-4 (Goerner)
発売日:2022年05月13日
NMLアルバム番号:ALPHA829
CD価格:2,475円(税込)
名手ゲルナーが深い共感を込めて歌い上げる「イベリア」1969年アルゼンチン生まれ、何度かの来日で日本でも人気のネルソン・ゲルナー。彼がスペイン語話者として強い共感を受けるという「イベリア」が登場。ドビュッシーやメシアンも絶賛した20世紀ピアノ史に残る名曲を、高い技術はもちろん、その奏でる音の美しさで世界中から支持を集めている彼ならではの、繊細なタッチとダイナミックな表現で聴くことができます。 「ラバピエス」での高度でピアニスックティックなフレージングとポリフォニックで複雑なリズムの箇所での目の覚めるようなテクニック、夜の神秘を思わせる「ヘレス」での祈りなどが大きな聴きどころです。
収録作曲家:
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『天使のように、悪魔のように』
~アリオスト『狂えるオルランド』によるバロック独唱曲集~ [ジュリア・セメンツァート、バーゼル室内管弦楽団]Opera Arias (Soprano): Semenzato, Giulia - HANDEL, G.F. / PORPORA, N. / ROSSI, L. / STEFFANI, A. (Angelica diabolica)
発売日:2022年05月13日
NMLアルバム番号:ALPHA830
CD価格:2,475円(税込)
古楽シーンの新時代に輝くソプラノが魅せる、筋の通ったバロック歌劇プログラム17世紀のバロック・オペラや18世紀ナポリ楽派の宗教曲からプッチーニ《三部作》に至るまで、広い時代のイタリア歌劇作曲家たちの解釈で、欧州の明敏な聴き手たちをすでに虜にしつつある新世代のイタリア人歌手ジュリア・セメンツァート。 古楽にこだわりありのレーベルAlphaから堂々リリースとなるソロ・アルバムのテーマは、近世イタリアで大いに愛された詩人アリオストの傑作『狂えるオルランド』の女主人公アンジェリカを標題に、その悪魔的ともいえる激しい感情の起伏を音楽化した17~18世紀のオペラから名場面を厳選。アルチーナや《ガウラのアマディージ》のメリッサなど、他の物語に登場する女妖術師たちの歌も交え、濃やかな歌詞のニュアンスが活きるバロック特有の表情豊かな音楽世界を一本筋の通ったプログラムで聴かせます。 共演は古楽器演奏にも秀でた新時代型の才人集団バーゼル室内管弦楽団。Alphaではジョヴァンニ・アントニーニ指揮のもとハイドンの交響曲全曲録音にも参画する彼らの音作りも、冒頭の勢いよい打楽器とバロックギター掻き鳴らしから折々の金管・木管ソロ、しなやかな通奏低音の扱いなど各セクションが実に巧みで、曲ごとの声楽パートの魅力を精緻に盛り上げます。歌やその詩句と器楽とが混然一体となったバロック舞台の真髄を味わえ、作曲家ごとの音作りの違いの面白さにも気づかせてくれます。 ヴィヴァルディ登場以前からヴェネツィアを湧かせてきたポッラローロや、ドイツで活躍しヘンデルにも多大な影響を与えたステッファーニなど、近年再評価めざましい作曲家たちの音世界を発見する喜びもさることながら、ヘンデル作品で聴かせるアルト音域の深みから圧倒的に力強いコロラトゥーラまで、セメンツァートの堂に入った歌いこなしは今後ますますの活躍を期待させてやみません。
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年8月号)★-
『ジョージ・アンタイルの見た世界』
~アンタイル、フェルドマン、ケージ、ベートーヴェン作品集 [パトリツィア・コパチンスカヤ、ヨーナス・アホネン]発売日:2022年04月29日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:2,970円(税込)
コパチンスカヤが親密な共感で作り上げた、「音楽の悪童」へのトリビュート・アルバム鬼才パトリツィア・コパチンスカヤがジョージ・アンタイルを取り巻く世界を描きあげたアルバム。 「未来派ピアニスト」を自称していたアンタイルはベートーヴェンを崇拝しており、リサイタルの際自らの作品の前に好んでその曲を演奏していたということで、ここにはベートーヴェンの個性が色濃く出始めた時期のヴァイオリン・ソナタ第7番を収録。はじけるような個性的な解釈はコパチンスカヤならではです。 アルバムの核となっているもう一つの作品は、アンタイル自身のヴァイオリン・ソナタ第1番。ヨーロッパに渡り、「狂乱の時代」のパリでピカソやストラヴィンスキーらと交流を持った彼は、詩人エズラ・パウンドに恋人でヴァイオリニストのオルガ・ラッジを紹介され、彼女のためにこの作品を書きました。当時のパリの雰囲気をよく反映した、サティやミヨーなどにも通じる洒脱で躍動感のある作品です。 その後生まれ故郷のアメリカに戻って親交を深めたのがモートン・フェルドマンやジョン・ケージで、彼らによる実験性あふれる作品も収録しています。 ここでコパチンスカヤと共演するのは、彼女が自分の「ドッペルゲンガー」と呼ぶフィンランドのピアニスト、ヨーナス・アホネン。二人の息の合った切れ味鋭い演奏が、それぞれの曲の魅力を引き立てています。
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チャイコフスキー
ラフマニノフ
プロコフィエフ
ロシアのピアノ作品集 [ティアンス・アン(安天旭)]Piano Recital: Tianxu, An - TCHAIKOVSKY, P.I. / RACHMANINOV , S. / PROKOFIEV, S.
発売日:2022年04月29日
NMLアルバム番号:ALPHA855
CD価格:2,475円(税込)
中国の、あの若きヴィルトゥオーゾ、CDデビュー!藤田真央の第2位入賞で日本中が沸いた2019年のチャイコフスキー国際コンクール。このファイナルでスタッフの手違いにより、想定と違う曲順でオーケストラの演奏が始まるというハプニングに遭いながらも、素晴らしい反射神経でこれに応え、第4位と特別賞を受賞した当時19歳の中国のピアニストが、ティアンス・アンでした。審査員のデニス・マツーエフが「人並外れた成熟」と絶賛、2021年にはコロナ禍の中、ロシアと中国の19の都市でヴァレリー・ゲルギエフとの共演を含む公演を行うなど、世界中で活躍しています。 ALPHAレーベルから発売となるデビュー・アルバムは、そんなゆかりの深いロシアの作品を集めたもの。チャイコフスキーで聴かせる儚いタッチの絶妙さと歌心、プロコフィエフでの若々しさ漲る激しい打鍵、ラフマニノフでの余裕あるヴィルトゥオジティと瑞々しい表現。現在の彼の高度なテクニックとピアニズムを十二分に味わうことのできる、素晴らしいアルバムとなっています。
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年8月号)★-
ドビュッシー(1862-1918):
「選ばれた乙女」
交響的断章「聖セバスティアンの殉教」
夜想曲 [ミッコ・フランク、メロディ・ルルジアン、エマヌエラ・パスク、フランス放送少年少女合唱団、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団]発売日:2022年04月22日
CD国内仕様 日本語解説・歌詞訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
透明感あふれる「選ばれた乙女」と、彩色豊かな「夜想曲」
ミッコ・フランクが描くドビュッシーミッコ・フランクとフランス放送フィルによるドビュッシー。「選ばれた乙女」ではソフィ・ジャナン率いるフランス放送少年少女合唱団が素晴らしい歌唱を聴かせ、作品の透明度をさらに上げるたいへん美しい効果を生んでいます。 アンドレ・カプレの協力によりまとめられた「聖セバスティアンの殉教」からの交響的断章では、室内楽的なアンサンブルと大管弦楽の響きの対比を堪能。そして夜想曲は「雲」での澱みと揺らぎの妙、色彩感高く聴かせる「祭」を経て、再び合唱が加わり、より広がりのある音楽を聴かせる「シレーヌ」に回帰することにより、アルバム全体で弧を描くような構成にまとめて上げています。収録作曲家:
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『FIGARO? SÌ!』
ロッシーニ(1792-1868):
アリアと二重唱 [フロリアン・センペイ、マルク・ミンコフスキ、ボルドー・アキテーヌ国立管弦楽団]発売日:2022年04月22日
CD国内仕様 日本語解説、歌詞日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
話題のバリトン、センペイ、
ミンコフスキのサポートを得たソロ・デビューCDは定評あるロッシーニ!2009年、ボルドー国立歌劇場での《魔笛》のパパゲーノ役でデビューしたフロリアン・センペイ。その後はヨーロッパ各地の劇場で活躍し、特に《セビリアの理髪師》のフィガロを当たり役として、2020年2月の新国立劇場公演でも見事な歌唱を披露しました。 そんな彼の待望のソロ・アルバムが、縁の深いボルドー国立歌劇場のオーケストラと、総監督マルク・ミンコフスキのサポートを得て登場。自家薬籠中のロッシーニのナンバーに活き活きとした生命力を与え、その魅力を十二分に伝えてくれます。収録作曲家:
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『POÉTIQUES DE L'INSTANT 瞬間の詩法』
ドビュッシー(1862-1918):
弦楽四重奏曲 ト短調
フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ
抒情的散文 [ヴォーチェ四重奏団、ジョディ・デヴォス、ジュリエット・ユレル、エマニュエル・セイソン]DEBUSSY, C.: Proses lyriques (arr. Y. Balmer for voice and string trio) (Poétiques de l'instant) (Devos, Quatuor Voce, Hurel, Ceysson)
発売日:2022年04月22日
NMLアルバム番号:ALPHA798
CD価格:2,475円(税込)
ヴォーチェ四重奏団が豪華ゲストと共に紡ぐ新プロジェクト第1弾!ヴォーチェ四重奏団が新たに取り組むプロジェクト、「POÉTIQUES DE L'INSTANT 瞬間の詩」。ドビュッシーとラヴェルが弦楽四重奏のために書いた名作を他の作品や新作と併せて並べ、一対の絵画のように関連付けたプログラムを構成しようとする企画の第1弾。 ドビュッシーの名作弦楽四重奏曲では心地よい緊張感を湛えながら美しい演奏を聴かせ、名手ユレルとセイソンがヴィオラのベッカーと共に奏でるソナタでは、その先進性をよく捉えた刺激的な音楽が楽しめます。 パリ高等音楽院の教授を務めるイヴ・バルメールによる、ベルギーのワロン地方の詩人フィリップ・ジャコテの作品にインスパイアされた弦楽四重奏のための「風に舞う断片」は、ノイズを取り入れた激しい表現。これが一つの頂点となり、ドビュッシーが自身の散文に曲をつけた歌曲をバルメールが弦楽四重奏とソプラノのために編曲した「抒情的散文」では、活躍目覚ましいデヴォスが登場し、余韻が美しく後を引いて幕を閉じます。
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発売日:2022年04月15日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
名手ヘルムヒェンが19世紀のベヒシュタインを自在に操り、
シューマン本来の響きを追求!「子供の情景」「クライスレリアーナ」に続き1838年に生み出された「8つのノヴェレッテ(短編小説の意)」は、第8番を除けば概ね小品ながらも、全体で大きな幻想的物語を紡ぐような、ロベルト・シューマン絶頂期の傑作。「暁の歌」は彼が精神的錯乱を起こす数カ月前に作曲され、自身の手によって出版された最後の作品であり、夜明けに心の中を巡る様々な感情を音楽で表現したものと言われます。 これらロベルトの作品に、クララ・シューマンがロベルトと恋愛関係になったとされる1835年に作曲した「音楽の夜会」から3曲を収録。ヘルムヒェンは彼らが活躍した時代に近い19世紀のベヒシュタインを用い、インスピレーション溢れる多彩な表現で、これらの作品本来の響きを堪能させるとともに、その音楽的充実度の高さに改めて気付かせる、素晴らしい演奏を聴かせてくれます。 -
-★『レコード芸術』特選盤(2022年7月号)★-
『BELLS - 鐘』
ピアノ、チェンバロ、フォルテピアノ、フェンダー・ローズによる、古今東西鍵盤音楽の旅 [アンソニー・ロマニウク]発売日:2022年04月15日
CD国内仕様 日本語解説/原盤解説日本語訳付き価格:2,970円(税込)
話題のピアニストがその鬼才の片鱗を露わに!
4つの時代の楽器を操る鍵盤音楽の旅フォルテピアノやチェンバロなどの古楽系鍵盤奏者として各方面に出演するほか、同時代の作品解釈にも一家言あり、柴田俊幸とのバッハのフルートと鍵盤のための作品集(FUG792/NYCX-10272)ではチェンバロとフォルテピアノ、パトリツィア・コパチンスカヤのアルバム『TAKE TWO』(ALPHA211/NYCX-20002)ではチェンバロとトイ・ピアノで共演しているアンソニー・ロマニウク。生まれ育ったオーストラリアでジャズにどっぷりとはまった後、アメリカへ渡りクラシック・ピアノを学習、数年後から古楽を学んだ彼は、当地でロックや電子音楽にも深く熱中していきました。 そんな彼が思い描く鍵盤楽器の音楽を存分にやり遂げた、目の覚めるような構成によるソロ・デビュー・アルバムがこちら。バードからチック・コリアまでの作品を、モダン・ピアノを中心としながらも、フォルテピアノ、チェンバロ、そしてフェンダー・ローズまでを縦横無尽に駆使して演奏しています。その楽曲解釈は、確固たるアカデミックな基礎の上にロックやヒップホップを吸収した世代ならではの小気味よい風通しの良さが感じられ、彼がどの作品からもそれぞれが持つ美しさを聴く者に示してくれる抜群の才気の持ち主であることを知らしめています。 フェンダー・ローズによるバッハの面白さなど意外性も相まって、最後まで一気に聴かせるアルバムです。 -
『これは彼女の詩』
~女性作曲家による歌曲集 [ゴルダ・シュルツ、ジョナサン・ウェア]Vocal Recital (Soprano): Schultz, Golda - BOULANGER, N. / CLARKE, R. / MAYER, E. /SCHUMANN, C. / TAGG, K. (This Be Her Verse)
発売日:2022年04月15日
NMLアルバム番号:ALPHA799
CD価格:2,475円(税込)
注目のソプラノ、ゴルダ・シュルツのソロ・デビュー盤、
古今の女性作曲家たちによる歌曲集ドイツ、オーストリアをはじめとするヨーロッパの歌劇場で活躍し、2017年の新国立劇場《ばらの騎士》ではゾフィー役で大きな評判となった南アフリカ出身のソプラノ、ゴルダ・シュルツ。オペラだけでなく歌曲のリサイタルにも積極的な彼女が、デビュー・アルバムのプログラムに選んだのは、ロマン派から現代までの女性作曲家たちによる歌曲集。 リュッケルトの有名な詩にクララ・シューマンが作曲した作品に始まり、近年注目が集まるエミーリエ・マイヤーがシューベルトと同じゲーテの「魔王」に作曲した珍しい作品、英国のヴィオラ奏者だったレベッカ・クラークがイェーツの詩に美しい曲をつけたものなど、有名なものから知られざるものまで、独自の感性で選ばれた数々の歌曲を、深い共感を持って歌い上げています。 ラストに収められたのは、シュルツと直接親交のある南アフリカのピアニスト、キャサリーン・タッグと、アメリカでオペラの脚本家として活躍するリラ・パルマーによる作品で、ピアノの内部奏法も駆使し、高い緊張感とポップスのように親密な美しさを併せ持っています。 ピアノはシュルツとの共演歴の長いジョナサン・ウェア。 -
-★『レコード芸術』特選盤(2022年7月号)★-
『ライヴァルたち』
~フランス・オペラ、オペラ・コミークからのエールと二重唱 [ヴェロニク・ジャンス、サンドリーヌ・ピオー、ジュリアン・ショーヴァン、ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ]発売日:2022年04月08日
CD国内仕様 歌詞・解説日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
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〈次世代ソリストたちによるモーツァルト Vol.1〉
ヴァイオリン協奏曲 第1番 K.207
ピアノ協奏曲 第8番 K.246 「リュッツォウ」
ホルン協奏曲 第4番 K.495 [ステファン・ワーツ、ジャン・チャクムル、イヴォ・ドゥドラー]MOZART, W.A.: Concertos, K. 207, 246, 495 (Next Generation Mozart Soloists, Vol. 1) (Waarts, Çakmur, Dudler, Camerata Schweiz, Griffiths)
発売日:2022年03月25日
NMLアルバム番号:ALPHA794
CD価格:2,475円(税込)
30年以上にわたり若いアーティストたちを支援しているスイスのオルフェウム財団とALPHAが協力し、次世代の若いソリストたちによるモーツァルトの協奏曲をリリースするシリーズ。 第1弾には、2014年メニューイン国際コンクールの覇者、オランダのステファン・ワーツ、2018年浜松国際ピアノコンクールの覇者、トルコのジャン・チャクムル、ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団のソロ・ホルン奏者、スイス出身のイヴォ・ドゥドラーが登場。若手とはいえ既に国際的な評価を得ている彼らならではの高い技術力と個性的な表現を聴かせてくれます。カデンツァもそれぞれ自作を披露。
収録作曲家:
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〈次世代ソリストたちによるモーツァルト Vol.2〉
ヴァイオリン協奏曲 第3番 K.216
ファゴット協奏曲 K.191
ピアノ協奏曲 第5番 K.175 [ジユ・ヘ、テオ・プラート、メロディ・チャオ]MOZART, W.A.: Concertos, K. 175, 191, 216 (Next Generation Mozart Soloists, Vol. 2) (Ziyu He, Plath, Mélodie Zhao, Griffiths)
発売日:2022年03月25日
NMLアルバム番号:ALPHA795
CD価格:2,475円(税込)
30年以上にわたり若いアーティストたちを支援しているスイスのオルフェウム財団とALPHAが協力し、次世代の若いソリストたちによるモーツァルトの協奏曲をリリースするシリーズ。 第2弾には、2016年ユーディ・メニューイン国際コンクールの覇者、中国のジユ・ヘ、hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)首席ファゴット奏者で既にソロ・アルバムの発売もある、ドイツのテオ・プラート、こちらもCD発売歴は既に長く、2021年にはハイドンのピアノ協奏曲全集(CPO 555400)もリリースした中国系でスイス出身のメロディ・チャオらが登場。若手とはいえ既に国際的な評価を得ている彼らならではの高い技術力と個性的な表現を聴かせてくれます。カデンツァはジユ・ヘがサム・フランコ作のもの、プラートとチャオはそれぞれ自作を披露しています。
収録作曲家:
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『DISSONANCE(不調和)』
ラフマニノフ(1873-1943):
歌曲集 [アスミク・グリゴリアン、ルーカス・ゲニューシャス]RACHMANINOV, S.: Songs, Opp. 4, 8, 14, 21, 26, 34 (selections) (Dissonance) (Grigorian, Geniušas)
発売日:2022年03月25日
NMLアルバム番号:ALPHA796
CD価格:2,475円(税込)
注目のソプラノ、アスミク・グリゴリアンによる
ダイナミックなラフマニノフ!ザルツブルク音楽祭、バイロイト音楽祭、コヴェント・ガーデン王立歌劇場などのステージにおいて、圧倒的な歌唱力と表現力で聴衆を魅了し続けているアスミク・グリゴリアンのソロ・アルバムが、ALPHAから登場。演目はオペラではなく、ラフマニノフの歌曲です。しかし彼女自身が、「ラフマニノフの歌曲はオペラなみの力強い表現が必要。彼は数分のオペラを何曲も書いた。」と語るように、ここで聴かせる彼女のダイナミックな歌唱には驚かされます。 そしてそれをピアノで支えるのは、ショパン・コンクール、チャイコフスキー・コンクールなどでの輝かしい受賞歴のほか、世界中の大ホールでの演奏実績を誇るルーカス・ゲニューシャスという万全の布陣。グリゴリアンの幅広い表現の魅力を存分に味わうことの出来る、聴き応えたっぷりのアルバムです。収録作曲家:
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SENTIMENT
バッハ、ヘルテル、モーツァルト
18世紀ファゴット協奏曲集 [マティス・シュティーア、アンサンブル・レフレクトーア]Bassoon Concertos - BACH, J.S. / HERTEL, J.W. / MOZART, W.A. (Sentiment) (Stier, Ensemble Reflektor)
発売日:2022年03月25日
NMLアルバム番号:ALPHA825
CD価格:2,475円(税込)
ARD受賞を経て躍進するケルンWDR響の新世代名手、
意外な魅力あふれる18世紀ファゴット協奏曲集20代でケルンWDR交響楽団の首席奏者となり、2019年にはARDミュンヘン国際音楽コンクールのファゴット部門で1位なし2位(アンドレア・チェッラッキと同位)に輝いた新世代の俊才マティス・シュティーアが、18世紀の前半・中盤・後半から1作ずつ名作を選んだプログラムで協奏曲アルバムをリリース。 共演のアンサンブル・レフレクトーアは、ベートーヴェンの交響曲第5番にラモーとテュールの作品を加えたアルバムでCDデビューしたのち、近年はバッハをテーマにした音楽祭をリューネブルクで立ち上げ、古典的名作からジャンル越境型の現代作品まで幅広く手掛ける異才集団。彼らの相乗効果で、「穏当なバロック&古典派の協奏曲アルバム」という印象を良い意味で裏切る聴き応えに仕上がっています。 古楽器奏者としても知られるリンドン・ウォッツ門下に学んだシュティーアは隅々まで歌心に満ちていながら甘すぎない、確かな様式感ある演奏を披露。室内楽のように緊密な連携でオーケストラと共に音楽を作り上げてゆきます。疾風怒濤期の陰影鮮やかなヘルテルの短調の作品では古楽器風とも言える音作りが際立つ一方、オーボエ・ダモーレ独奏版として復元されることの多いバッハの協奏曲ではファゴットの美音が驚くほど自然に馴染み、普遍的な編曲作品としての価値さえ感じさせます。 味わい充分のモーツァルト作品まで含め、新世代の活躍にますます期待が高まるアルバムと言えるでしょう。 -
CAIRO JAZZ STATION [ABDALLAH ABOZEKRY、ISMAIL ALTUNBAS、JOÃO BARRADAS、LORIS LEO LARI]
発売日:2022年03月25日
CD価格:2,250円(税込)
エジプトのカイロでアラブ音楽を愛する家族に生まれたアブダラ・アボゼクリーが奏でるサズ(バルカン半島などで見られる撥弦楽器)、トルコのマニサに生まれ、幼いころからパーカッションに親しんだというイスマイル・アルトゥンバスによるダルブッカ(アラブ音楽で用いられる脚付きの太鼓)、ポルトガルに生まれヨーロッパで広く活躍するジャズ・アコーディオン奏者で、先ごろクラシックにも「デビュー」(FUG786)したジョアン・バラーダス、クレモナ生まれのロリス・レオ・ラリの奏でるベースという、違う地域から集まった4人が、お互いのルーツを持ち寄って作り上げたアルバム。 アラブ音楽をベースにイタリアの香りとジャズのテンションを加えた作品で、スピード感溢れる中にも親密さと温かみのある仕上がりになっています。
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年6月号)★-
C.P.E.バッハ(1714-1788):
フルートと鍵盤のためのソナタ集 [フランソワ・ラザレヴィチ、ジュスタン・テイラー]発売日:2022年03月18日
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:2,970円(税込)
古楽器の味わいを妥協なく引き出してゆく名手二人、C.P.E.バッハ至福のデュオフラウト・トラヴェルソ(古楽器フルート)だけでなく民俗楽器にも通暁、フランス各地の伝統的なバグパイプやミュゼットの名手としても知られる俊才フランソワ・ラザレヴィチ。ALPHAレーベルで幾多の名盤を制作してきた彼の共演者には、大バッハのソナタ集(ALPHA490)でのチェンバロの鬼才ジャン・ロンドー、アイルランド伝統音楽のアルバム(ALPHA234)での異才ヴァイオリン奏者デイヴィッド・グリーンバーグなど抜きん出た個性の持ち主が目立ちますが、今回は近年躍進目覚ましいフランスの古楽鍵盤奏者ジュスタン・テイラーとの録音となっています。 しかも大バッハの次男、個性という点ではこちらも申し分ないユニークな天才C.P.E.バッハの作品集は嬉しいリリース。父の多声音楽への関心を受け継ぎながら、刻一刻と変わりゆく人心の機微を音の響きへと変えてゆく多感主義的作風は時代に先駆けた存在感で、18世紀半ばの作品にしてロマン派を先取りするような瞬間があちこちに聴かれます。 彼を長く雇いながら冷遇し続けたフリードリヒ大王はフルートを愛奏し、フォルテピアノに普及当初から関心を寄せ続けた音楽愛好家。C.P.E.バッハがその宮廷で綴った作品を中心に、ラザレヴィチとテイラーは楽器の自然な響きの魅力を十全に引き出しながら、一瞬ごと音楽性に満ちたデュオを繰り広げてゆきます。 この二人の間にしか生まれえない音空間の味わいを、ALPHAならではの自然なエンジニアリングの響きで楽しめるのも嬉しいところ。奏者二人それぞれの音楽小宇宙を堪能できる独奏曲も収録されており、隅々まで聴き深め甲斐のある1枚に仕上がっています。
収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年6月号)★-
ブラームス(1833-1897):
弦楽六重奏曲 第1番・第2番 [ベルチャ弦楽四重奏団、タベア・ツィンマーマン、ジャン=ギアン・ケラス]発売日:2022年03月18日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
名手集結! ブラームスの名作に新時代の美演が登場人気、実力共に現在最高のアンサンブルの一つ、ベルチャ弦楽四重奏団。ブラームスの名作、弦楽六重奏曲を演奏するにあたり彼らが共演者に選んだのは、いずれも現代を代表する名手であり、友人でもあるタベア・ツィンマーマンとジャン=ギアン・ケラスでした。6人は2021年3月、コロナ禍の中ヨーロッパ・ツアーを敢行、キャンセルとなった公演もあったものの、ルクセンブルクやハンブルクで大きな成功を収め、この録音に臨んでいます。 前向きな躍動感を常に感じさせるテンポ、旋律の美しさを余すところなく表現する伸びやかな歌、6人のテクニックと感性、親密さと緻密さを併せ持つ鉄壁のアンサンブルが、作品の魅力を十二分に引き出しています。 アマデウスQ、アルバン・ベルクQといった往年の名四重奏団の伝統を引き継ぐとともに、ピリオド解釈など現代の風を呼吸する彼らならではのブラームス像を感じ取ることの出来る、素晴らしいアルバムです。
収録作曲家:
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『ダンス・ウィズ・ミー』
~20世紀のダンス・ミュージック [バーバラ・ハンニガン、ルシエンヌ・ルノダン=ヴァリ、ベルラーヘ・サクソフォン・クァルテット、ルートヴィヒ管弦楽団]発売日:2022年03月18日
CD国内仕様 日本語解説・歌詞大意付き価格:2,970円(税込)
バーバラ・ハンニガン、ルシエンヌほか、豪華ゲストと奏でる
華麗なダンス・ミュージックの世界オランダの6つのオーケストラのメンバーが、新たなる表現の場として2012年に結成したルートヴィヒ管弦楽団。オーケストラ発足時からコラボレーションを続けているバーバラ・ハンニガンと共にこれまで、『クレイジー・ガール・クレイジー』(ALPHA293)、『ラ・パッショーネ』(ALPHA586/NYCX-10136)といったアルバムをリリースしており、いずれも世界的に高い評価を得ています。 そのメンバーによる小編成のバンドが演奏するダンス・アルバムが登場。ハンニガンが4曲でヴォーカルを担当するほか、2枚のソロ・アルバムも好調でクラシックからジャズまでこなす“裸足のトランペッター”ルシエンヌが「コパカバーナ」でソロを聴かせ、バンドのメンバーとしても参加しています。 また2021年に「ゴルトベルク変奏曲」のリリースで大きな話題となったベルラーヘ・サクソフォン・クァルテットも登場。「愛の挨拶」から「ランバダ」まで、様々なダンス・ミュージックが次から次へと現れる、たいへん楽しいアルバムです。 -
『死の中にありて生を讃えよ』 [アンナ・プロハスカ/ラ・フォリア・バロックオーケストラ]
Vocal Recital (Soprano): Prohaska, Anna - BRUHNS, N. / BUXTEHUDE, D. / CAVALLI, F. / GRAUPNER, C. / TUNDER, F. (Celebration of Life in Death)
発売日:2022年03月18日
NMLアルバム番号:ALPHA745
CD価格:2,475円(税込)
異才プロハスカの見据える「死」と「生」。
確かな一貫性で中世からバロックへ、そして……!中世から現代までの様々な重要作で名演を聴かせてきただけでなく、ソロ・アルバムにおいては独自の観点から知名度の低い曲も積極的にとりあげ、現代社会を見据えた挑戦的なプログラムを提案しつづけてきた異才アンナ・プロハスカ。コロナ禍により全世界の人々が新たな暮らしを模索しはじめた2020年夏、隔離体制の中録音されたバッハ・アルバム『救済』(ALPHA658)も記憶に新しいところ、パンデミックを見据えたテーマに基づくさらなるアルバムが登場しました。 中世音楽や伝承歌、17-18世紀のバロック作品を中心に「生」と「死」、そして「疫病」を軸として集められた有名・無名の傑作群を、ドレスデンで発足した古楽器グループと縦横無尽に歌い上げてゆきます。ベルリオーズやラフマニノフも引用した有名なグレゴリオ聖歌が、ハーディガーディの異界的な響きのなかで唱えられる幕開けに続き、玄妙な中世音楽を経てバロックへ至る多様なスタイルに一貫性を与えるのは、確かな存在感で聴く者を惹きつけてやまないプロハスカの美声。 トラック26はヘルマン・ヘッセの『車輪の下』にも登場し、そのメロディがロックに取り入れられたり日本でもCMで使われた有名曲ですが、もともとの歌詞はペストの蔓延を嘆く内容なのだそう。さらには“すべての孤独な人々よ” “誰一人救われることはなかった”と歌われるビートルズの「エリナー・リグビー」、“なに一つ上手くいかなかったが、いつか私は、歌の神の前でひたすら唱えることだろう、ハレルヤと“と歌う、ヨーヨー・マなど多くのクラシックのアーティストもカバーするレナード・コーエンの「ハレルヤ」といった、普遍的なメッセージを持つポップスの名曲も収録。 打楽器や撥弦楽器のサウンドも魅力的な古楽器奏者たちの共演も頼もしく、プログラムの中軸を見据えた解釈の充実度が、選曲の妙に奥行きを与えています。 -
パーセル(1659-1695):
英国王室のための
オードとウェルカム・ソング集 [ダミアン・ギヨン、ル・バンケ・セレスト]PURCELL, H.: Royal Odes (Scheen, N. Scott, Arnould, Jerosme, Le Banquet Céleste, Guillon)
発売日:2022年03月11日
NMLアルバム番号:ALPHA780
CD価格:2,475円(税込)
実力派カウンターテナー、ギヨンを中心にフランス語圏の精鋭が集うパーセルバロックの声楽曲ジャンルの中でも、ドイツの教会カンタータやフランスのグラン・モテなどと同じく、ほどよい長さで充実した名曲が多いのが英国のオードとウェルカム・ソング(貴人に捧げられた詩句を歌詞に、複数の歌手と合奏で演奏される音楽)。とくに17世紀後半の王政復古期に彗星のごとく現れ、35年余の短い生涯のうちに絶大な人気を確立し「英国のオルフェウス」と讃えられたヘンリー・パーセルの作品群は、バッハの教会カンタータにも比しうる名作の宝庫で、これらを通じてパーセルに開眼する人も少なくありません。 およそ1680-90年代にかけ英国王室のために書かれた24作から1680年代半ばに作曲された3作を厳選、多様な楽器で彩られる通奏低音以外は各パート1人、声楽陣も独唱と合唱を兼ねつつ各パート2人の引き締まった編成でその魅力に迫るのは、来日経験豊富でファンも多いカウンターテナー、ダミアン・ギヨン率いる古楽アンサンブル、ル・バンケ・セレスト。これまでALPHAでリリースしてきたバッハ録音群と同じく、室内楽的な親密さで曲構造を明快に示しながら瑞々しく聴かせるパーセルの味わいは、その芸術性に新たな光を当てるものとなっています。 精鋭歌手陣には、欧州バロック・オペラの世界で絶大な人気を誇るセリーヌ・シェーンやブノワ・アルヌーなど実力派が参加。リュートのアンドレ・ヘンリヒやチェンバロのブリス・サイーをはじめ、器楽陣に加わる名手たちの的確な音使いもあり、フランス語圏の古楽器奏者たちが浮き彫りにする「フランス王室音楽に影響を受けた世代の英国音楽」の魅力は興趣が尽きません。
収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年6月号)★-
サロネン(1958-):
チェロ協奏曲
ラヴェル(1875-1937):
ヴァイオリンとチェロのためのソナタ [ニコラ・アルトシュテット、ペッカ・クーシスト、ディーマ・スロボデニューク]発売日:2022年03月04日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
躍進目覚ましいアルトシュテットによる、サロネンのチェロ協奏曲ヨーヨー・マのために書かれ、2017年、彼をソリストにシカゴで初演されたサロネンのチェロ協奏曲でしたが、作曲者の母国フィンランド初演のために、指揮も担当したサロネンが招いたのがアルトシュテットでした。 カオスを表現する冒頭の響きからチェロの音が立ち上がってくる神秘的な冒頭、コンガやボンゴによるリズミカルなマントラとチェロとの対話、チェロが弾く音型をエレクトロニクスでループさせて作られた鳥の鳴き声のような効果。12音をはじめ現代的な技法が用いられながらも、エスニックな味わいもありたいへん面白く聴ける作品です。これを独自の感性で練り上げたアルトシュテットの手腕も素晴らしいもの。 カップリングはサロネンと同じフィンランドのヴァイオリニスト、クーシストとの共 演によるラヴェルのソナタ。こちらの切れ味鋭い表現にも注目です。
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『BLEU』
ショパン(1810-1849)/
プーランク(1899-1963):
チェロ・ソナタ他 [イ・ジャルディーニ(ポーリーヌ・ビュエ、ダヴィド・ヴィオリ)]CHOPIN, F.: Cello Sonata, Op. 65 / POULENC, F.: Mélancolie / Cello Sonata / Metamorphoses / Septembre (Bleu) (Buet, Violi, I Giardini)
発売日:2022年02月25日
NMLアルバム番号:ALPHA762
CD価格:2,475円(税込)
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ドゥロン(1660-1716):
《コロニス》 全2幕のサルスエラ [ヴァンサン・デュメストル、ル・ポエム・アルモニーク]DURÓN, S.: Coronis [Operetta] (Dumestre, Druet, Auvity, Pichanick, Bunel, Le Poème Harmonique, Dumestre)
発売日:2022年02月25日
NMLアルバム番号:ALPHA788
CD 2枚組価格:3,975円(税込、送料無料)
演奏陣充実!
南国情緒あふれるスペイン・バロック劇音楽、気品と躍動感に富んだ演奏でその古雅な響きに満ちた卓越した演奏解釈で注目され、フランスから欧州古楽シーンを牽引するル・ポエム・アルモニークによる、スペイン後期バロックの劇音楽という意外なレパートリー! イタリアのA.スカルラッティやフランスのカンプラと同い年のスペイン人作曲家ドゥロンは、21世紀に急速に復権が進み録音が増えつつある隠れた大物の一人で、ハプスブルク家最後のスペイン王カルロス2世の宮廷に迎えられ、数多くのサルスエラを作曲し音楽劇の世界に新境地を拓きました。 《コロニス》は1705年、スペイン王室が継承戦争の流れの中でブルボン家に渡ろうという頃に披露された重要作(長く作者不詳とされていましたが、2009年にドゥロン作と確定)。海の神ネプテューン(ネプトゥーノ)と太陽の神アポロ(アポロン)が水の精コロニスとの恋をめぐって争い、最終的にアポロが勝つ……という筋書きはまさにブルボン家の勝利宣言と取れる内容ですが、17世紀末イタリア音楽風のメロディセンスを軸に据えながら、スペインや新大陸の民衆音楽に通じる躍動感あふれる要素をそこかしこに盛り込むドゥロン随一の作曲感覚はここでも十全に発揮され、時代を越えて私たちを惹きつけてやみません。 キンタンス、マング、オヴィディら21世紀の古楽シーンで躍進めざましい独唱者たちに加え、器楽勢では8人にも及ぶ通奏低音をはじめ、スペイン古楽に欠かせないバホン(バスーン)の名手パパセルジオーをはじめ手練のプレイヤーが続々。ル・ポエム・アルモニークならではのノーブルな抒情に随所で絶妙なアクセントを添える打楽器や撥弦楽器のサウンドも痛快で、スペイン宮廷音楽の魅力を十全に味わえる演奏に仕上がっています。 -
『ロマンス』
オーボエとピアノのための作品集 [カブリエル・ピドー/ホルヘ・ゴンサレス・ブアハサン]Oboe Recital: Pidoux, Gabriel - DRANISHNIKOVA, M. / ELGAR, E. / SCHUMANN, R. / WALLNER, L. (Romance)
発売日:2022年02月25日
NMLアルバム番号:ALPHA789
CD価格:2,475円(税込)
風格十分!
フランスの若きオーボエ奏者ガブリエル・ピドー、デビューフランスの権威ある音楽賞「ヴィクトワール・ド・ラ・ミュジーク・クラシック」に於いて2020年「インストゥルメンタル・ソリスト・オブ・ザ・イヤー」を受賞した、パリ生まれの若きオーボエ奏者ガブリエル・ピドー。弦楽器奏者の家系に生まれヴァイオリンを学んでいましたが、7歳のころ敢えて弦楽器から離れオーボエに転向したという彼は、パリ国立高等音楽院に学びモダン楽器はもちろんピリオド楽器の奏法も身につけ、Sarbacanes(サルバカーヌ/フランス語で吹き矢の意)というピリオド管楽器合奏団の主要メンバーでもあります。またVIVALDI GUYSというユニット名で、テクノ調にアレンジされたヴィヴァルディの協奏曲に合わせてオーボエを吹き、踊る動画を公開して話題になったという一面も。 そんな彼のデビュー・アルバムは、オーボエのためのロマンティックな作品を集めたもの。ロベルト・シューマンの有名作、素晴らしい作品ながら知られておらず、今回が初めての録音と思われるヴァルナーの「3つの小品」、逆にこの作品のみで知られるドラニシニコヴァの「詩曲」を収録。さらにエルガーの「愛の挨拶」とクララ・シューマンの「3つのロマンス」という、ヴァイオリンのために書かれた作品も軽やかな味わいで演奏しています。 さらっとした歌いまわしでメロディラインの美しさを十二分に表現する手腕は、新しい世代の器楽奏者らしい素晴らしいもの。共演はキューバ出身のピアニストで、ソロやアンサンブルで既に高い評価を得ているホルヘ・ゴンサレス・ブアハサン。 -
発売日:2022年02月25日
CD価格:2,475円(税込)
世界に羽ばたく合唱界の精鋭団体の名演続々。
これがフランス楽壇の底力!日々活躍するソリストたちはもとより、オーケストラやオペラでもトップクラスの重要団体を続々輩出しているフランス。合唱団だけを見ても注目すべきグループは少なくありません。近年の例だけで考えても、近現代作品で驚くべき実績をあげてきたアクサンチュスや古楽方面で活躍するピグマリオン、ディアボルス・イン・ムジカなど、明らかに頭一つ飛び出た存在感を誇るアンサンブルの名が次々と思い浮かぶことでしょう。 そうしたフランスの合唱世界を陰に陽に支えてきたベタンクール=シュレール財団の創設30周年を機に、同国の音楽活動を録音面で盛り上げてきたレーベルAlphaが、近年の重要グループによる注目音源をよりすぐったユニークなアンソロジーを制作。バロック・オペラ復権に大きく寄与したクリスティやニケらの合唱団、フランス語圏の古楽レパートリーでは主演・客演問わず活躍範囲の多いベルギーのナミュール室内合唱団、彼らに新境地をもたらしたアルゼンチン出身のアラルコン、作曲家オアナと深いつながりを持つエラベディアン、パリの日常を高水準の合唱で彩ってきたノートルダム大聖堂の聖歌隊、さまざまな合唱団との名演で知られる女性合唱指揮者ニコール・コルティ…と、この1枚に登場する合唱団を追うことで音楽鑑賞の喜びが幾倍にも増幅されるであろうことも間違いありません。 音楽鑑賞の注目からは外れやすい合唱という分野に、いかに単体で追うに足る世界が広がっていたかを追認できる好企画。ブックレットに掲載されている、ベタンクール=シュレール財団から賞を授かってきた合唱団のリストも実に見応えがあります。 アナログ盤(ALPHA853)も同時発売。 -
発売日:2022年02月25日
LP 2枚組価格:3,825円(税込、送料無料)
世界に羽ばたく合唱界の精鋭団体の名演続々。
これがフランス楽壇の底力!日々活躍するソリストたちはもとより、オーケストラやオペラでもトップクラスの重要団体を続々輩出しているフランス。合唱団だけを見ても注目すべきグループは少なくありません。近年の例だけで考えても、近現代作品で驚くべき実績をあげてきたアクサンチュスや古楽方面で活躍するピグマリオン、ディアボルス・イン・ムジカなど、明らかに頭一つ飛び出た存在感を誇るアンサンブルの名が次々と思い浮かぶことでしょう。 そうしたフランスの合唱世界を陰に陽に支えてきたベタンクール=シュレール財団の創設30周年を機に、同国の音楽活動を録音面で盛り上げてきたレーベルAlphaが、近年の重要グループによる注目音源をよりすぐったユニークなアンソロジーを制作。バロック・オペラ復権に大きく寄与したクリスティやニケらの合唱団、フランス語圏の古楽レパートリーでは主演・客演問わず活躍範囲の多いベルギーのナミュール室内合唱団、彼らに新境地をもたらしたアルゼンチン出身のアラルコン、作曲家オアナと深いつながりを持つエラベディアン、パリの日常を高水準の合唱で彩ってきたノートルダム大聖堂の聖歌隊、さまざまな合唱団との名演で知られる女性合唱指揮者ニコール・コルティ…と、この1枚に登場する合唱団を追うことで音楽鑑賞の喜びが幾倍にも増幅されるであろうことも間違いありません。 音楽鑑賞の注目からは外れやすい合唱という分野に、いかに単体で追うに足る世界が広がっていたかを追認できる好企画。ブックレットに掲載されている、ベタンクール=シュレール財団から賞を授かってきた合唱団のリストも実に見応えがあります。 (ALPHA852のアナログ盤。収録内容は同一。) -
-★『レコード芸術』特選盤(2022年5月号)★-
〈HAYDN 2032 第11集〉
ハイドン交響曲全曲録音シリーズVol.11
『パリの人々のお気に入り』 [ジョヴァンニ・アントニーニ、バーゼル室内管弦楽団]HAYDN, J.: Symphonies, Vol. 11 - Nos. 2, 24, 82, "L'ours", 87 (Haydn 2032 Project, No. 11. Au goût parisien) (Basel Chamber Orchestra, Antonini)
発売日:2022年02月11日
NMLアルバム番号:ALPHA688
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:2,970円(税込)
ハイドン全曲録音、活動後期へ向かう重要な存在「パリ交響曲」の真相へ!作曲家の生誕300周年にあたる2032年に向けて、ハイドンの交響曲全てを録音してゆくアントニーニのプロジェクトは今回11作目。中期の作品が中心となっていたこれまでの選曲から一歩進んで、作曲家50過ぎの重要作2作が軸となるプログラムです。 テーマは「パリの人々のお気に入り」。オーケストラ演奏会が新たな娯楽として注目され始めていた当時のパリでは、ドイツ語圏で書かれた交響曲が人気を集めていましたが、その活況に大きく貢献した作曲家の一人がハイドンでした。 彼の交響曲第82~87番の6曲は、かのフランスの首都で開催されていた演奏会の一つコンセール・ド・ラ・ロージュ・オランピークのために作曲されたため「パリ交響曲集」と呼ばれており、今回は「熊」の綽名で知られる大編成向け第82番と、やや小ぶりの編成が緻密に活かされた第87番の2曲がこのセットから選ばれています。 他の2曲はいずれも初期作品で、それらの作曲に至る「前史」となった重要作。その経緯を含め、今回も指揮者アントニーニと音楽学者モーリッツ=バウアーによって現場経験と最新研究をふまえ書かれた解説文は興味深い内容となっています。 バーゼル室内管弦楽団は今回、コンサートマスターや管楽器のトップ奏者に平素イル・ジャルディーノ・アルモニコで活躍するプレイヤーたちも編入、ピリオド楽器を使う意義が十全に伝わってくるメリハリの効いた解釈は今回も絶好調。初期のエステルハージ宮廷楽団のサイズまで員数を絞った第2番のクリスピーさから、トランペットとティンパニが存分に存在感を発揮する「熊」の豪奢な響きまで、変幻自在の創意が秘められているハイドン世界の魅力を存分にお楽しみください。
収録作曲家:
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ペルゴレージ(1710-1736):
スターバト・マーテル(1769年パリ版)
ハイドン(1732-1809):
交響曲 第49番 ヘ短調「受難」 [ジョディ・デヴォス、アデル・シャルヴェ、ジュリアン・ショーヴァン]PERGOLESI, G.B.: Stabat Mater / HAYDN, J.: Symphony No. 49, "La passione" (Devos, Charvet, Maîtrise de Radio France, Le Concert de la Loge, Chauvin)
発売日:2022年02月11日
NMLアルバム番号:ALPHA784
CD国内仕様 歌詞日本語訳/解説日本語訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
ペルゴレージの「スターバト・マーテル」合唱付きと、
ハイドンの教会音楽風交響曲の相性フランスのシーン最前線で最もダイナミックな活躍をみせている古楽器オーケストラの一つで、とりわけ古典派以降の作品解釈で評価が高いル・コンセール・ド・ラ・ロージュ。ここで聴かせるのは競合多きペルゴレージの傑作『スターバト・マーテル』……と思いきや、演奏陣にはこちらも近年ますます存在感を強めつつあるフランス少年少女合唱団の名が。ごく一般的な独唱二人版と音楽そのものは同じでありながら、ここでは1769年にパリで楽譜出版された合唱入りヴァージョンを使用。随所で合唱が響きに膨らみを持たせ絶妙なアクセントとなっており、それは冒頭から素晴らしい効果をあげています。 ナポリの作曲家ペルゴレージが1736年に早世した後も、彼の『スターバト・マーテル』は畢生の傑作として愛され、特にイタリア音楽の愛好者が増えつつあったパリでは定期演奏会コンセール・スピリチュエルの定番曲として、折々に編成を変えながら再演され続けました。指揮者ショーヴァンは今回グヮダニーニ1780年製オリジナルのヴァイオリンを携えコンサートマスターとして楽隊を率い、20名程度の合奏を40名規模の合唱と効果的に対話させながら、俊才デヴォスとシャルヴェの美声とともにメリハリある音楽作りを聴かせます。 さらに興味深いことに、アルバム後半には当の楽譜がパリで出版される前年、ハイドンが古来の教会音楽作法を駆使して作曲した、交響曲第49番「受難」を併録(作品の性質をふまえ通奏低音楽器としてオルガンを導入)。演奏の精妙さとあいまって両作は驚くほど自然に繋がり、これらの作品が人気を誇った18世紀後半のパリの気配が鮮やかに甦るかのよう。 ヴェルサイユ・バロック音楽センターのジュリアン・デュブリュクとショーヴァンによる、当時の演奏実践をふまえた解説も興味深い内容となっています。 -
シューベルト(1797-1828):
冬の旅 D.911 [ベンヤミン・アップル、ジェームズ・ベイリュー]SCHUBERT, F.: Winterreise (Appl, Baillieu)
発売日:2022年02月11日
NMLアルバム番号:ALPHA854
CD価格:2,475円(税込)
フィッシャー=ディースカウ最後の愛弟子による『冬の旅』1982年にドイツのレーゲンスブルクに生まれたベンヤミン・アップル。フィッシャー=ディースカウが2012年に亡くなる2週間前までレッスンを受けていたという、最後の弟子による『冬の旅』がALPHA CLASSICSから登場。生涯をかけて8回、ライヴも入れると十数種の『冬の旅』録音を残した師から受け継いだ表現は、この歌曲集の暗い影ばかりを追うものからは遠く、持ち前の美声を生かしてそれぞれの曲が持つ美しさを豊かに歌い上げています。 「辻音楽師」の浮遊するような表情も絶妙。アップルは今後も数枚のアルバムをALPHA CLASSICSよりリリース予定です。
収録作曲家:
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〈HAYDN 2032〉
ハイドン交響曲全曲録音シリーズ 1st BOX (Vol.1-10) [ジョヴァンニ・アントニーニ、イル・ジャルディーノ・アルモニコ、バーゼル室内管弦楽団]発売日:2022年02月04日
CD 10枚組価格:5,100円(税込、送料無料)
壮大にして痛快な全曲録音プロジェクト、既存10作がお求めやすいBOXに!20世紀末のイタリアで、生命感あふれる演奏でバロック音楽解釈に新風を巻き起こした才人古楽器集団イル・ジャルディーノ・アルモニコを率いるリコーダー奏者ジョヴァンニ・アントニーニ。近年はルネサンス作品を集めた驚くべきアルバムを作ったり、古楽器と現代楽器を使い分けながら多角的な活動を続けるバーゼル室内管弦楽団とも痛快なベートーヴェン交響曲全集をリリースするなど、その活動領域の広がりは目を見張るばかり。2013年以降はAlphaレーベルを録音パートナーに選び、ハイドン生誕300周年となる2032年までにこの作曲家の100曲以上ある交響曲を全て録音するというプロジェクトも手がけ、アルバムが出るたび大きな話題を呼んできました。 自身のグループであるイル・ジャルディーノ・アルモニコと精鋭集団バーゼル室内管弦楽団という二つの楽団を共演に選び、イタリア古楽界の先端で活躍する名手たちもメンバーとして加えながら、今夏までにリリースされてきた10枚がこのたびBOX化。起伏のドラマに富んだ鮮烈な演奏はどの巻をとっても比類なく、細部に至るまで考えられた新鮮な解釈が思いがけないハイドン芸術の粋を十全に伝えてやみません。時代背景や作品成立の経緯を伝えるハイドン作品以外の併録作も絶好の名演揃いです。 なおバーゼル室内管では笠井友紀がコンサートマスターを務めています。
収録作曲家:
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SOLO BACH-ABEL
無伴奏ガンバによる、バッハとアーベル作品集 [リュシル・ブーランジェ]Bass Viol Recital: Boulanger, Lucile - BACH, J.S. / ABEL, C.F. (Solo Bach-Abel)
発売日:2022年01月28日
NMLアルバム番号:ALPHA783
CD 2枚組価格:2,850円(税込)
名手リュシル・ブーランジェ、無伴奏アルバムで新境地へ!古楽先進国フランスの俊才集団ピグマリオンの一員で、Alphaにはバッハのソナタ全曲録音もあるヴィオラ・ダ・ガンバ奏者リュシル・ブーランジェは、チェロやコントラバスよりも先に子供の頃からガンバに親しんできた古楽ネイティヴ世代。今回の無伴奏2枚組は、ガンバ奏者=作曲家アーベルの無伴奏作品に、バッハのさまざまな独奏曲からの編曲を組み合わせたプログラム。 ケーテン時代からのバッハの仕事仲間クリスティアン・フェルディナント・アーベルの息子で、バッハ自身の末男ヨハン・クリスティアン・バッハのロンドンにおける仕事仲間となったカール・フリードリヒ・アーベルは、ガンバの作曲家としては大物であるにもかかわらず、単独の無伴奏曲が散発的にあるだけで大作がないため、群小作曲家の一人と見なされがちな存在。「アーベルをバッハと対等の存在として扱えるように」(ブーランジェ談)と周到に編まれたプログラムは、この作曲家の小品を組み合わせた小ソナタ仕立てのセクションと、意外にもガンバの響きになじみやすい他の楽器のためのバッハの名曲群をもとに、自由に編まれた組曲とソナタが軸になりました。 生前は多くの自作を色々な別編成のために編曲し続けたバッハですが、ここで広く知られた曲まであたかもオリジナルのガンバ作品であるかのように響かせるブーランジェの手腕は圧巻。無題の作品も多いアーベルの音楽も、無伴奏のソナタを前提として書かれていたかのような味わい深い魅力とともに甦ります。
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年4月号)★-
『ヘンデル ー 魅惑の女性たち』
~ソプラノのためのアリア傑作選~ [サンドリーヌ・ピオー、ジェローム・コレアス、レ・パラダン]HANDEL, G.F.: Opera Arias (Enchantresses) (Piau, Les Paladins, Correas)
発売日:2022年01月21日
NMLアルバム番号:ALPHA765
CD国内仕様 日本語解説・歌詞訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
名歌手ピオー待望の新たなるヘンデル傑作選は、強い存在感の女性たちが主役故郷フランスをはじめ欧州各地の歌劇場でバロック・オペラの名歌手として注目されてきただけでなく、フランス歌曲をはじめとする近代作品でもユニークな実績を重ねている最前線のソプラノ歌手サンドリーヌ・ピオー。古楽レパートリーによく合う透明感と独特の力強さを兼ね備えたその美声は、これまでにも一流指揮者たちによる数々のヘンデル作品の上演で多くの人々を虜にしてきました。 しかしソロ名義でヘンデル作品を集めたアルバムはNAIVEレーベルでの2作以来、実に10年以上ぶり! 今回は「魅惑の女性たち」と銘打ち、ヘンデル作品にしばしば登場する、妖術を操るなど個性的な女性役を中心とした名ナンバーが揃います。その顔ぶれは悲運の女性ルクレツィアや《エジプトのジューリオ・チェーザレ(ジュリアス・シーザー)》のクレオパトラなども含め、ピオー自ら「当初は軽めの役で注目されてきた自分のイメージを一新する、目的のためには人を殺めることさえいとわない力強い女性たち」を選んだと語る通り。 また自身も古楽歌手として出発しながらバロック歌劇指揮者としても明敏な才覚を発揮するジェローム・コレアス率いるレ・パラダンは、4/3/3/3/1という弦楽陣にオーボエやトランペットが折々加わる編成での参加。彫りの深い響きの妙は独唱をみごとに支えるとともに、器楽トラックでもフランス語圏の団体ならではの陰影鮮やかなサウンドを響かせます。 「わが運命に泣く」や「泣かせてください」などのヒットナンバーはじめ、ピオーと古楽器勢が真正面からヘンデルに向き合い、聴き深めるほどに味わいを増す濃密な解釈を織り上げた新たな傑作アンソロジーの登場です。
収録作曲家:
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バティスト・トロティニョン(ピアノ)
ANIMA - アニマ [バティスト・トロティニョン]ANIMA / BAPTISTE TROTIGNON
発売日:2022年01月14日
NMLアルバム番号:ALPHA785
CD価格:2,475円(税込)
実力派ジャズ・ピアニストによるシンフォニック・オーケストラのための作品集2000年のレコード・デビュー以来多数のアルバムをリリースし、数多くの受賞歴を誇るフランスのジャズ・ピアニスト、バティスト・トロティニョン。これまでもロックやシャンソンなど様々なジャンルを取り込んだ曲を発表し、その引き出しの多さが大きな魅力である彼ですが、今回はシンフォニック・オーケストラのために書いた作品を集めたアルバムが登場です。 とはいえ”シンフォニック・ジャズ”と呼ばれるジャンルとは違い、手法はモダンながらも、どれもクラシカルな管弦楽作品と呼べる曲となっています。トラック1-3ではソロ・ピアノでも参加。映画のワンシーンを連想させるようなメロディとリズムが魅力の、たいへん美しいアルバムです。
収録作曲家:
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『HYPNOS(ヒュプノス) 眠り』 [シモン=ピエール・ベスティオン、マッテオ・パストリーノ、アドリアン・マビール、ラ・タンペート]
Choral Concert: Tempête (La) - FÉVIN, A. de / GREIF, O. / ISAAC, H. / SCELSI, G. / TAVENER, J. (Hypnos)
発売日:2022年01月14日
NMLアルバム番号:ALPHA786
CD価格:2,475円(税込)
中世とルネサンス、瞑想的な20世紀音楽。
眠りと死をたゆたう静謐な合唱空間古楽レパートリーに希有ともいえる適性を見せながら、アルバム作りに際しては必ず20世紀以降の作品など近現代の要素をバロック以前の音楽に交え、あくまでオーガニックな響きを保ちながら常に新鮮な音楽体験へ誘ってくれるフランスの声楽アンサンブル、ラ・タンペート。これまでにも近東伝統歌謡とドイツ初期バロック、ないしマショーとストラヴィンスキーなどを並列的に扱ったユニークなアルバムをリリースしていますが、今回のテーマは「眠りと死」。表題のヒュプノスとは古代ギリシャの眠りの神で(「催眠術」をあらわす欧州言語ヒュプノシスの語源)、神話では兄弟のタナトス(死の神)とともに夜の女神から生まれたとされています。 指揮者ベスティオンは原初のキリスト教会における礼拝を想像上で自由に再現することを意識しながら、西と東が交わるギリシャの地にも思いを馳せつつ、ほのかな異界感を漂わせたグレゴリオ聖歌以前のカトリック聖歌にまで遡る、ルネサンス以前の音楽を味わい深いア・カペラ中心の響きで今に甦らせてゆきます。 それらの音と違和感なく並ぶ20世紀作品もみな自然な響きの魅力を活かした楽曲ばかり。ピュアな和声感に二度や七度の不協和なはずの音の重なりが自然と隣り合うサウンドは、ラ・タンペートのやや東洋的趣きも感じられる独特な古楽歌唱の効果と言ってよいでしょう。 現代性と昔日らしさの補助線のように、バス・クラリネットと古楽器コルネットが声楽を支える音作りも精妙。「深く聴く」という体験の余韻をじっくり味あわせながら、此岸と彼岸の境が静かに溶けてゆく音の流れに出会える1枚です。 -
ジョアン・ファルジョ(1975-):
LOVESCAPES
デイヴィッド・テプファーの詩にもとづく作品集 [サンドリーヌ・ピオー、ローズマリー・スタンドレー、デイヴィッド・テプファー、ジャンヌ・ジェラール、アンブロワジーヌ・ブレ、デルフィーネ・ハイダン 他]FARJOT, J.: Vocal Music (Lovescapes) (Piau, Barbeyrac, Bré, Haidan, Standley)
発売日:2022年01月14日
NMLアルバム番号:ALPHA787
CD価格:2,475円(税込)
ピオー参加! 日本の四国での印象から生まれた詩を中心とした歌曲集アメリカのオレゴン州に生まれ現在はフランスで活躍する作家デイヴィッド・テプファー。日本のしまなみ海道を自転車で妻と巡った体験から生まれた代表作『四国』を中心に、その詩を元にした歌曲や、それらの印象から生まれたピアノ曲などを収録したアルバムです。 作曲はアンサンブル・コントラストでピアニストを務めるジョアン・ファルジョ。フランスの歌姫ピオーが歌曲集『ラヴスケープス』(約23分)を歌うほか、19世紀中盤のポップスをレパートリーとする歌手ローズマリー・スタンドレーが語りを務め、2017年まで10年にわたりトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団のソロ・ヴァイオリン奏者を務めたジュヌヴィエーヴ・ロランソー、神戸国際フルートコンクール2013年の覇者マチルド・カルデリーニなども参加しています。 目の前に様々な風景が次から次へと広がっていくような、たいへん美しいアルバムです。
収録作曲家:
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ジュベール(1973-):
ヴェルレーヌの詩による作品集 [アンサンブル・ロマンス・サン・パロール、マリー=ノエル・マールテン、ジュリアン・ジュベール]JOUBERT, J.: Ariettes oubliées / Aquarelles (Romances sans parole, Maerten)
発売日:2021年12月24日
NMLアルバム番号:ALPHA723
CD価格:2,475円(税込)
21世紀のネオ・ロマンティシズムかネオ・ルネサンスか、
心に沁み入る音で紡がれるヴェルレーヌの世界フランス19世紀後半の詩壇を代表する一人ポール・ヴェルレーヌ(1844-1896)の詩はフォーレやドビュッシーをはじめ、さまざまな作曲家たちによって歌曲化されてきましたが、ここで曲をつけているのは1973年生まれのフランスの作曲家ジュリアン・ジュベール。 オルレアン音楽院で教鞭をとり後進の育成にもあたっているジュベールが紡ぐ音楽は、前衛的実験的な語法とは一線を画した耳になじみやすい音作り。ポスト・ドビュッシー世代やデュリュフレ、デュティユーなどにも通じるフランス近代路線の語法を基調に、時としてルネサンスのマドリガーレにも通じるような響きで歌われるヴェルレーヌの美しい詩は、添えられた器楽オブリガートとともに新鮮な魅力で私たち21世紀の聴き手に訴えかけてきます。収録作曲家:
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ヴェネツィアの鏡
~G.B.レアーリとヴィヴァルディ~ [ル・コンソート (ジュスタン・テイラー、テオティム・ラングロワ・ド・スワルト、ソフィ・ド・バルドネーシュ、アナ・ザルゼンシュタイン)]Chamber Music (Italian Baroque) - REALI, G.B. / VIVALDI, A. (Specchio Veneziano) (Julien-Laferrière, Le Consort)
発売日:2021年11月12日
NMLアルバム番号:ALPHA771
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
俊才テイラーと仲間たちが浮き彫りにする、ヴィヴァルディの影に潜む異才の存在イタリア・バロック屈指の才人ヴィヴァルディの作風はあまりにも個性的で、その作風は彼一代で成し遂げた偉業といってよいのかもしれませんが、そこにもまたルーツは存在するのだということが近年、1700年前後のヴェネツィアにおける作曲家たちの仕事が解き明かされるにつれ明白になってきました。 今回、初期のものを中心としたヴィヴァルディ作品と対置されるのは、彼より3歳年下のヴァイオリン奏者レアーリ。ヴィヴァルディとほぼ同じ頃に作曲家としてもデビューし、優れた才覚を発揮しました。 遠く離れたアムステルダムの版元が彼の『シンフォニア集』と題したトリオ・ソナタ集を出版したのは、ヴィヴァルディの『調和の霊感』より2年早い1709年のこと。生涯については未だ謎の多いこの作曲家の音楽は、トリオ編成に「チェロ」と明記したソロ・パートを添えて華やかな活躍の場を与えるなど、ヴィヴァルディ初期の試行錯誤に通じる様々な仕掛けに満ちています。両者の「ラ・フォリア」を冒頭と末尾に配したプログラム展開も絶妙。 近年ウィリアム・クリスティとのデュオ・アルバムもリリースした俊才ラングロワ・ド・スワルトを筆頭に、名手たちが弾く弦楽器は全てが18世紀以前に高く評価されていた製作家のオリジナル。テイラーの細やかな通奏低音演奏とあいまって、18世紀初頭のヴェネツィアという「ヴィヴァルディを育てた世界」の面白さを実感できる1枚です。
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年2月号)★-
Bach before Bach
バッハへ至る、ドイツ・ヴァイオリン芸術の道 [シュシャーヌ・シラノシアン、レオナルド・ガルシア・アラルコン、バラージュ・マーテー]Chamber Music (17th-18th Centuries) - BACH, J.S. / FARINA, C. / MUFFAT, Georg / SCHMELZER, J.H. (Bach Before Bach) (Siranossian, García Alarcón, Mate)
発売日:2021年11月12日
NMLアルバム番号:ALPHA758
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
シラノシアンとアラルコンが熱く解き明かす、大バッハのヴァイオリン芸術の源流大バッハが、ヴァイオリン音楽の最高傑作のひとつ『無伴奏ソナタとパルティータ』に至るまでに書いた作品や、大きな影響を受けたであろう作曲家をテーマとしたアルバム。イタリアからヴァイオリン芸術をドイツに持ち込んだファリーナから、その後のドイツ・オーストリアを支えた巨匠ムファットやヴェストホフ、バッハのソナタ2曲と若き日のフーガ、シラノシアンがザルツブルクでラインハルト・ゲーベルに学んでいたころから親しんでいるヴァルターのパッサカリア、かつてバッハの作とされていたものの、今では同時代のドレスデン宮廷楽団でコンサートマスターを長年務めたピゼンデルの手によると目されているソナタからの楽章などを収録しています。 アルメニア系フランス人の血を引くシラノシアンと、アルゼンチン出身のアラルコン、ハンガリー出身のマーテーという血筋もあってか、息の合った3人がどの作品でもたいへん熱い演奏を聴かせてくれるのが嬉しいところ。 大家ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァーの息子A.A.シュメルツァーがビーバーの作品を書き換えた「キリスト教徒の勝利」では、一部でチェロの弦に紙を挟んで演奏し、17世紀の戦場を思わせる効果音を加えて驚かせています。
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『Æther エーテル』 [サラ・アリスティドゥ(ソプラノ)]
Vocal Recital (Soprano): Aristidou, Sarah - ADÈS, T. / DELIBES, L. / POULENC, F. / VARÈSE, E. / WIDMANN, J. (Æther)
発売日:2021年11月12日
NMLアルバム番号:ALPHA781
CD価格:2,475円(税込)
今ヨーロッパを沸かせる驚異のソプラノ、
サラ・アリスティドゥ待望のデビュー・アルバム!キプロス島に生まれ、現在はフランスを中心に活躍するサラ・アリスティドゥ。持ち前の驚異的なテクニックで様々な現代作品を全身で表現するほか、バロックからロマン派までの作品を豊かな表現で歌い上げる柔軟性を併せ持つ彼女は、同時代のアーティストたちから既に多くの信頼を得ており、今やヨーロッパ中のホールや歌劇場から声が掛かる存在です。 2019年にはヴィトマンの「迷宮IV」をバレンボイム指揮ブーレーズ・アンサンブルと共に初演。ヴィトマンは続けて「迷宮V」を彼女のために作曲し、これはこのアルバムでお披露目となっています。これまでラトルやロトといった指揮者たちとも共演、2020年には、このアルバムにもゲスト参加しているバレンボイムやパユらと共に、アテネ生まれの作曲家イリニ・アマルギアナキの《エウメニデス》をピエール・ブーレーズ・ザールにて上演、大きな評判となりました。 初めてのアルバムとなる今回は、バロックから最新作までの幅広い作品で彼女の実力を堪能できるもので、一見統一感のない選曲は、彼女が最も好きな国と語るアイスランドへの強い思いを軸としたイメージで繋がれています。 共演の「オルケスター・デス・ヴァンデルス(変革のオーケストラの意)」はドイツ各地から集まったアーティストで構成されており、高い演奏技術を誇るほか、環境問題への発言も行うオーケストラ。このアルバムも製作段階での二酸化炭素排出量をコントロールしており、パッケージはプラスチック素材を用いておらず、インクはオーガニックなものを使用、オーケストラが取り組むマダガスカルの森林再生事業にALPHAレーベルも協力しています。 -
-★『レコード芸術』特選盤(2022年2月号)★-
ブラームス(1833-1897):
ピアノ・ソナタ 第3番
ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ [ジョナタン・フルネル]BRAHMS, J.: Piano Sonata No. 3 / Handel Variations (Fournel)
発売日:2021年11月05日
NMLアルバム番号:ALPHA851
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
2021年エリザベート王妃コンクールの覇者、
ジョナタン・フルネルによるブラームス務川慧悟と阪田知樹の入賞で、日本でも大きく沸いた2021年エリザベート王妃国際音楽コンクール・ピアノ部門。ここで優勝したのみならず、マチルド王妃賞、聴衆賞も受賞したジョナタン・フルネルによるブラームスがALPHAから登場です。 1993年にフランスのサールブールに生まれた彼ですが、ブラームスへの憧れはこの数年どんどん大きくなってきており、特にこの2曲が持つピアノの音色の奥深さと壮大さを顕わにする驚くべき手法への愛着は大きく、デビュー・アルバムの演目とすることは自然の成り行きだったとのこと。それは彼のダイナミックな演奏ぶりともたいへんマッチしており、国民性や時代性を超えた現代の若い世代ならではの、グローバルで幅広い表現を聴かせてくれます。 エリザベート・コンクール最終ラウンドで第1位を勝ち取ったのもブラームスのピアノ協奏曲第2番。ヘンデル変奏曲もこのコンクールでも披露しており、そのライヴも発売されております(QEC2021)が、ここに収録されているのはコンクール前に行われたセッション録音です。収録作曲家:
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モーツァルト(1756-1791):
《フィガロの結婚》序曲
ヴァイオリン協奏曲 第3番
交響曲 第41番 「ジュピター」 [ジュリアン・ショーヴァン、ル・コンセール・ド・ラ・ロージュ]MOZART, W.A.: Violin Concerto No. 3 / Symphony No. 41, "Jupiter" / Le nozze di Figaro: Overture (Simply Mozart) (Chauvin, Le Concert de la Loge)
発売日:2021年10月22日
NMLアルバム番号:ALPHA776
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:2,970円(税込)
今フランスで最も注目すべき古楽器合奏団、満を持してのモーツァルトは傑作3作!Apartéレーベルでの数々の名盤、特に一連のハイドン『パリ交響曲』の録音では、同時代の知られざる名作を次々と併せて紹介し、注目を浴びた古楽器合奏団コンセール・ド・ラ・ロージュ。古典派解釈の確かさは、それらのアルバムにフランスの批評メディアが続々絶賛を寄せてきたことからもわかります。シュシャーヌ・シラノシアン、ジュスタン・テイラー、タミ・クラウスといった新世代の古楽器奏者たちとの連携もさることながら、創設者・指揮者のジュリアン・ショーヴァンがピリオド奏法のヴァイオリン奏者としてもずば抜けた技量を誇っている点は見逃せません。 サンドリーヌ・ピオーによるフランス19世紀オペラ・アリア集『恋の相手は...』(ALPHA445/NYCX-10063)でALPHAからもリリース実績のある彼らが、同レーベルでモーツァルトの重要作品を定期的に発表してゆくことになり、その記念すべき第一弾がこの申し分ない選曲の一枚となります。 モーツァルトの全管弦楽曲中最も注目度の高い作品の一つ「ジュピター」をはじめ、隅々まで考え抜かれた解釈により各作品が驚くほどみずみずしく蘇る古楽器演奏で、細やかな音楽言語への徹底した読み込みがいたるところで効果を発揮。それでいて冒頭に掲げられた《フィガロの結婚》序曲の沸々と盛り上がる勢いといい、ヴァイオリン協奏曲におけるショーヴァンの濃密かつ圧倒的な「格」といい、一糸乱れぬ統率力と各奏者の自発性の絶妙なバランスといい、それらがまさに新時代の画期的名演と呼びうる強い存在感をこのアルバムに与えています。 作曲家自身の手紙からの引用を多数盛り込んだ解説も興味深く、生の18世紀の音像に迫ろうという強い気概が演奏の上質さにみごと結実した、頼もしい新シリーズの始まりと言えるでしょう。
収録作曲家:
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『バッハを聴く悦び』 [様々なアーティスト]
BACH, J.S.: Extase Musicale (L') (Cocset, Foccroulle, Herreweghe, Hurel, Café Zimmermann, Pilsan)
発売日:2021年10月22日
NMLアルバム番号:ALPHA775
CD 3枚組価格:2,850円(税込)
決定的名演から最新録音まで!
先鋭的古楽演奏で楽しむバッハの名曲ALPHA、ARCANA、PHIなどのレーベルに残された音源から、バッハの名曲を集めたCD3枚にもわたるベスト・アルバムが登場。フィリップ・ヘレヴェッヘ、エンリコ・ガッティといった巨匠から、カフェ・ツィマーマン、ジュリエット・ユレル、フランソワ・ラザレヴィチ、ブリュノ・コクセ、そしてパトリツィア・コパチンスカヤといった、新録音のたびに大きな話題を提供する名手たちの素晴らしい演奏を楽しむことが出来ます。 不等分律を用いた美しい響きで世界中を驚かせたアーロン・ピルザンの「平均律」など、最新録音が惜しげもなく投入されているのも嬉しいところ。 20世紀末から現在まで、世界を沸かし続ける魅力的なバッハ演奏を俯瞰できる、魅力的な企画です。 -
永遠のクリスマス [ソフィ・ジャナン、フランス放送聖歌隊、パリ・ノートルダム大聖堂聖歌隊、フランソワ・ラザレヴィチ、レ・ミュジシャン・ド・サン・ジュリアン ほか]
NOËL ÉTERNEL - GRUBER, F.X. / POULENC, F. / WADE, J.F. (Maîtrise de Radio France, Maîtrise Notre-Dame de Paris, Castagnet, Jeannin, Chalet)
発売日:2021年10月22日
NMLアルバム番号:ALPHA422
CD 2枚組価格:2,475円(税込)
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ブリュネットをご所望なら…
~フランス18世紀の流行歌の世界~ [レ・カプスベルガールズ]VOUS AVEZ DIT BRUNETTES? (Les Kapsber'girls)
発売日:2021年10月22日
NMLアルバム番号:ALPHA761
CD価格:2,475円(税込)
ロルフ・リスレヴァンド プロデュース、
フランス発・新感覚の18世紀歌唱!Alphaレーベル創設当初の名盤群を思わせる、フランス古楽シーンならではの洒脱さと発見の喜びが詰まった好企画。18世紀初頭、クープランやラモーが活躍した時代のフランス人たちが大いに好んだ流行歌に光を当て、当時のスタイルをふまえた演奏再現に徹しているのですが、その音作りがきわめて新鮮で香気にあふれており、古楽ファンはもちろん、フランス近代音楽のリスナーにも強く訴えうる魅力が詰まっています。 たわいない羊飼いの男女の恋を歌ったブリュネットと呼ばれる俗謡、あるいは「まじめな歌・酒の歌」と総称されるタイプの軽い歌に器楽を交えつつ、2015年結成のフランス新世代といえるレ・カプスベルガールズがいかに秀逸なプレイヤーの集まりであるか、トラックごと実感せずにおれません。巨匠サヴァールの傍らでソロや歌唱伴奏、通奏低音など多面的に活躍してきた撥弦楽器の俊才ロルフ・リスレヴァンドがプロデュースを手掛けている点も、同団体の卓越した技量と、欧州古楽シーンが寄せている期待値をよく表しているのではないでしょうか。 長大なバロック・オペラを聴く上でも、こうした18世紀のフランスの聴き手たちが日頃なじんでいた音楽を知り、当時の感覚に近づいてみることには大きな意義がある……と聴くほどに感じられるアルバムです。 -
『ネメトン』
マティアス・ピンチャー(1971-):
作品集 [アンサンブル・アンテルコンタンポラン]PINTSCHER, M.: Nemeton / Beyond (a system of passing) / Lieder und Schneebilder / Mar'eh (Ensemble InterContemporain)
発売日:2021年10月22日
NMLアルバム番号:ALPHA769
CD 2枚組価格:2,850円(税込)
注目度急速上昇中のマティアス・ピンチャー、アンサンブル・アンテルコンタンポランによる作品集日本の音楽ファンを大いに沸かせた、2021年8月のアンサンブル・アンテルコンタンポラン来日公演。特にその音楽監督マティアス・ピンチャーがテーマ作曲家に選ばれた「サントリーホール サマーフェスティバル 2021」は注目され、これまでのテーマ作曲家がそうであったように、彼の日本での認知度を格段に引き上げるものとなりました。 そこで初演された『音蝕』を含む、Alphaレーベルからの作品集第2弾が登場です。「ネメトン」とは、ケルト文化圏で聖なる場所を意味する言葉。この冒頭のパーカッション作品から、前衛的でありながらも、緻密に計算された音の一つ一つや多彩な音色が、聴く者の感性を直接刺激するような彼の作品の特性が強く出ています。 管弦楽の響きを出発点として、ドイツ、フランス、アメリカといった音楽環境を消化して進化し続ける、ピンチャーの様々な作風を楽しむことのできるアルバムです。
収録作曲家:
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王侯のレクイエム[5枚組 BOX]
~15-19世紀、為政者たちを見送った知られざる傑作の数々~ [様々なアーティスト]発売日:2021年10月22日
CD 5枚組価格:4,425円(税込、送料無料)
名品が一堂に!
欧州史に輝く名家の死者たちを見送った知られざる傑作群がAlphaのBOXで創設以来つねに歴史に埋もれた傑作の復権に大きく寄与してきた実績のあるAlphaレーベルならではの「レクイエムBOX」が登場。死者を見送るミサのための音楽=レクイエムやそれに類する葬送音楽には、有名曲に限らず驚くべき傑作がなぜか多く、隠れた名品に出会える可能性が高いのですが、今回のBOXにはその最高の実例ともいうべき秘曲が凝縮されています。 オケゲムやジョスカンが活躍した15世紀末の逸材フェヴァンによるフランス王家に捧げられたア・カペラ多声楽曲に始まり、前古典派世代の最重要人物の一人ヨンメッリのあまりに美しいレクイエム、革命の犠牲となった王と王妃をナポレオン戦争後に追悼すべく用意された三つの大作、リュリ前夜のフランス音楽史の間隙を埋める秘作にパーセルの重要曲、そして密かにファンが多いフックスの「皇帝レクイエム」。 ケルビーニのハ短調レクイエム(ニケならではの名演!)が辛うじて競合盤多数というくらいで、どれをとっても知名度は決して高くない曲にもかかわらず、初回リリース時に圧倒的な注目をリスナーや批評家勢から集めた音源ばかりが厳選されています。有名作が不在であるだけに聴覚体験の満足度の高さは嬉しい驚きとなるでしょう。 この10年内に出た録音が大半で、日本でも好評を博したヨンメッリ盤のような近作まで収録されている点もポイント。AlphaのほかZig-Zag Territoires、Ricercar、Arcanaの音源も含まれ、ニケや故マルゴワールなどの敏腕指揮者たちから、ル・ポエム・アルモニークやドゥース・メモワールなど最前線団体の活躍にまで触れられる充実度満点のBOXです。 -
SOL & PAT - ソル&パット
ヴァイオリンとチェロの二重奏による作品集 [ソル・ガベッタ、パトリツィア・コパチンスカヤ]Violin and Cello Recital: Kopatchinskaja, Patricia / Gabetta, Sol - BACH, C.P.E. / COLL, F. / LECLAIR, J.-M. / RAVEL, M. / WIDMANN, J. (Sol and Pat)
発売日:2021年10月15日
NMLアルバム番号:ALPHA757
CD国内仕様 解説日本語訳付き価格:2,970円(税込)
ガベッタとコパチンスカヤの白熱デュオ・アルバム!アルバムをリリースする度にただならぬ企画で世界中の音楽ファンを驚かせ、今最も目の離せないモルドヴァ出身の鬼才ヴァイオリニスト、パトリツィア・コパチンスカヤ。協奏曲やソロ、様々な企画盤など多くのアルバムをリリースしてきたアルゼンチン出身の人気チェリスト、ソル・ガベッタ。一見大きく違う個性を持つ二人は、2002年の出会い以来の親友であり、実演での共演も多く、コパチンスカヤのアルバム『照らし出された快楽』(ALPHA580/NYCX-10180)ではフランシスコ・コーイの二重協奏曲で共演していましたが、今回満を持してデュオ・アルバムが届けられました。 ラヴェルとコダーイの作品を軸に、クセナキスやリゲティ、ヴィトマン、マルコヴィチに至る作曲家たちによるデュオ作品、鍵盤作品の右手と左手をデュオに振り分けたC.P.E.バッハやJ.S.バッハなど、多彩な作品を収録。期待にそぐわぬはじけた演奏で、冒頭のルクレールから原曲を大きくデフォルメした表現で楽しませてくれます。 タイトルのSOLもPATも彼女たちの名前からとられていますが、SOLはガベッタの母国語(スペイン語)で「太陽」、PATはコパチンスカヤの母国語(ルーマニア語)で「ベッド」あるいは「ザック(袋)」という意味もあります。
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『コン・ブリオ』
ヴィトマン(1973-):「コン・ブリオ」
R.シュトラウス(1864-1949):二重小協奏曲
ベートーヴェン(1770-1827):交響曲 第7番 [イェルク・ヴィトマン、アイルランド室内管弦楽団]WIDMANN, J.: Con brio / STRAUSS, R.: Duett-Concertino / BEETHOVEN, L. van: Symphony No. 7 (Irish Chamber Orchestra, J. Widmann)
発売日:2021年10月08日
NMLアルバム番号:ALPHA767
CD国内仕様 日本語解説付価格:2,970円(税込)
ヴィトマン、自作とベートーヴェン、そしてリヒャルト・シュトラウスを振る、吹く!現代を代表する作曲家であり、クラリネット奏者そして指揮者であるヴィトマンと、彼の手兵アイルランド室内管弦楽団(ICO)によるアルバム。 冒頭に収録された「コン・ブリオ」は、マリス・ヤンソンスとバイエルン放送交響楽団によるベートーヴェン・チクルスの際、交響曲第7番と第8番とに組み合わせる新作を依頼されたヴィトマンが、第7番の主題を元に自由に展開して書き上げた作品(ヤンソンスとBR響によるサントリーホール・ライヴがBR-KLASSIKより発売済み 900137)。今回が作曲者自身による待望の初録音となります。 晩年のリヒャルト・シュトラウスによる二重小協奏曲は、バロックの合奏協奏曲を連想させる古典的な構成の中に劇的要素を盛り込んだ小さいながらも聴き応えのある作品で、ヴィトマンのクラリネットに加え、ハインツ・ホリガーとの来日公演などで日本でもファンの多いファゴット奏者、ディエゴ・ケンナの妙技が聴けるのも嬉しいところです。 メイン演目のベートーヴェンでは、舞踏の聖化と評されたそのリズムが躍動的であるだけでなく、実に瑞々しく響くたいへん魅力的な演奏に仕上がっています。
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サン=サーンス(1835-1921):
チェロ協奏曲 第1番
交響曲 第1番
歌劇《サムソンとデリラ》より「バッカナール」 [アストリグ・シラノシアン、ナビル・シェハタ、南ヴェストファーレン・フィルハーモニー管弦楽団]SAINT-SAËNS, C.: Cello Concerto No. 1 / Bacchanale / Symphony No. 1 (Siranossian, South Westphalia Philharmonic, Shehata)
発売日:2021年10月08日
NMLアルバム番号:ALPHA764
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
熱演! アストリグ・シラノシアン、ナビル・シェハタによるサン=サーンスベルリン・フィルの首席を務めたコントラバス奏者でもあるナビル・シェハタによるタクトと、彼が2006年から首席指揮者を務める南ヴェストファーレン・フィルハーモニー管弦楽団によるサン=サーンス。 チェロ協奏曲でソロをとるのはラ・フォル・ジュルネでの来日で日本でも人気のチェリスト、アストリグ・シラノシアンで、その艶やかな音色と隅々にまで行きわたる豊かな歌心で、壮年期のサン=サーンスらしい東洋趣味も感じさせるこの作品の魅力を最大限引き出しています。 続く交響曲第1番は作曲者18歳の作品で、早熟を感じさせる巧みなオーケストレーションと若さ漲る爽快な曲想が特徴ですが、シェハタはこれを瑞々しく、また力強く歌い上げました。 最後を飾る「バッカナール」の熱いクライマックスも実に見事。聴き応えたっぷりのアルバムです。
収録作曲家:
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チャイコフスキー(1840-1893):
交響曲 第6番 「悲愴」
幻想序曲「ロミオとジュリエット」 [パーヴォ・ヤルヴィ、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団]TCHAIKOVSKY, P.I.: Symphony No. 6, "Pathétique" / Romeo and Juliet Fantasy Overture (Zürich Tonhalle Orchestra, P. Järvi)
発売日:2021年10月08日
NMLアルバム番号:ALPHA782
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
室内楽的アンサンブルから雄大なフォルテまで、パーヴォ渾身の「悲愴」2019/20のシーズンに予定されていた、トーンハレ管弦楽団と新音楽監督パーヴォ・ヤルヴィによるチャイコフスキー・チクルス。新型コロナ・ウイルスの世界的パンデミックの影響で予定変更を余儀なくされていましたが、アーティストと関係者たちの熱意により、2021年1月に無観客ライヴにて約1年遅れで完結し、併せて行われた録音が交響曲全集として発売されることとなりました。 先に発売されていた第5番、第4番(と第2番)に続き、後期3大交響曲の完結として第6番「悲愴」の分売も決定。パーヴォ・ヤルヴィにとって2007年のシンシナティ響との盤(Telarc)以来の再録音となる「悲愴」ですが、実は第4番と並んでチクルス最初期に演奏・録音されていたもの。しかしながら、新たにタッグを組んだ彼らの相性の良さを示す、各奏者の自発的な表現とアンサンブルの緊密さの同居、全体がうねるような濃密さを既に聴くことが出来ます。 木管楽器同士のやり取りが室内楽的な印象を与えながら、オーケストラが高みに導かれるフォルテもまた雄大で、映像に例えれば高解像度かつ被写界深度の深い演奏といえ、比較的速めのテンポ設定の中でも、作品の魅力を十二分に引き立てています。 「ロミオとジュリエット」はチクルス終盤に収録されたもの。こちらも美しく力強い演奏です。
収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2022年1月号)★-
空想のバッハ音楽帳
カンタータを中心とした作品を室内楽編成で [カフェ・ツィマーマン]Chamber Music (17th-18th Centuries) - BACH, J.S. / BACH, C.P.E. / MOZART, W.A. (The Imaginary Music Book of J.S. Bach) (Café Zimmermann)
発売日:2021年10月08日
NMLアルバム番号:ALPHA766
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
Alphaのバッハといえばカフェ・ツィマーマン
作曲家の素顔に迫る個性的選曲の小品集!21世紀のクラシック・レコード界を古楽の領域から活性化させ「小資本レーベルの革命」と謳われたAlphaレーベル。その発足当初から看板アンサンブルの一つとして注目を集めてきたカフェ・ツィマーマンは、独特の香気と熱気をまとったバッハ解釈で世界を瞠目させてきました。 全6タイトルからなる『さまざまな楽器による協奏曲』シリーズの完成から10年、新たなバッハ演奏として彼らが提案するのは「プライベートな音楽帳」。楽譜出版業が活性化しはじめた18世紀も手書きで楽譜を写す習慣は健在で、私的な仲間同士で音楽を楽しむ場では、自分たちに演奏可能な編成への編曲も兼ねて楽譜を記したと考えられますが、今回のプログラムはまさにそうした時代の習慣にあわせた選曲。教会カンタータの器楽合奏曲やアリアを室内楽向けに直した興味深いトラックの数々に加え、フリードリヒ大王の宮廷で活躍するようになった頃に次男が書いた曲、大王のために書かれた『音楽の捧げもの』など、晩年のバッハをとりまく世界に響いた18世紀的日常を追体験できる1枚になっています。 モーツァルトがバッハ作品を編曲した『前奏曲とフーガ』の再編曲もスリリングな演奏。21世紀ならではの進化型古楽器アルバム、彼らの協奏曲録音との比較も面白そうです。 -
チャイコフスキー(1840-1893):
交響曲全集/管弦楽作品集 [パーヴォ・ヤルヴィ、チューリヒ・トーンハレ管弦楽団]発売日:2021年10月08日
CD 5枚組価格:4,500円(税込、送料無料)
困難を乗り越え完結!
パーヴォ&トーンハレ管のチャイコフスキー新音楽監督パーヴォ・ヤルヴィ就任の記念として、2019/20のシーズンに肝いりで計画されたトーンハレ管弦楽団によるチャイコフスキー・チクルス。新型コロナ・ウイルスの世界的パンデミックの影響で予定変更を余儀なくされていましたが、アーティストと関係者たちの熱意により約1年遅れで完結し、併せて行われた録音が、スイスのオーケストラ初のチャイコフスキー交響曲全集として発売されることとなりました。リリース済みの第5番、第2番と第4番、全集と同時発売の第6番に加え、2021年1月に無観客ライヴが行われた第1番と第3番を収録し、さらに厳選された管弦楽作品も収められる嬉しい内容です。 初登場の第1番でのロシア民謡的なフレーズの躍動感も素晴らしいもの。緊密なアンサンブル、各奏者の生き生きとした表現、濃密なオーケストラのうねりが作品のロマン性を引き立て、それでいて気品も感じさせるという、パーヴォ・ヤルヴィならではチャイコフスキー像が刻まれています。 -
-★『レコード芸術』特選盤(2021年12月号)★-
C.P.E.バッハ(1714-1788):作品集
アダージョ
3つの四重奏曲
アンダンテ・コン・テネレッツァ [ネヴァーマインド(ジャン・ロンドー、アンナ・ベッソン、ロバン・ファロ、ルイ・クレアック)]BACH, C.P.E.: Chamber Music (Nevermind)
発売日:2021年09月24日
NMLアルバム番号:ALPHA759
CD国内仕様 日本語解説付価格:2,970円(税込)
ジャン・ロンドーら4人の気鋭が新鮮なセンスで問う、
C.P.E.バッハ最晩年の謎多き傑作古楽の通念に縛られず、しかし筋の通った理念から決して離れない、みずみずしい演奏解釈で知られる新世代のチェンバロ奏者ジャン・ロンドー。この異才に負けず劣らぬ強い個性を全員が持ちながら、それに溺れることのない稀有なアンサンブルを織り上げてゆく、新感覚の古楽器四重奏団ネヴァーマインドの快進撃は目を見張るばかり。 今回の録音は生前から同時代人とは一線を画した作風で知られ国際的名声を博した「大バッハの次男」C.P.E.バッハ。それも残された作品でも特に個性的な最晩年の謎めいた「四重奏曲」を中心に、充実した編曲楽章2曲が添えられた好選曲です。 鍵盤パートは作曲者が楽器の指定をしていないためチェンバロでもフォルテピアノでも弾けてしまい、「四重奏曲」と言っても鍵盤の左手と右手それぞれに1パートずつが充てられているため3人で演奏することが可能でもあり、解釈が演奏者の裁量で大きく変わってくる構成。ヴァイオリン抜きでヴィオラに大きな活躍の場が与えられている点もユニークです。これら3曲はモーツァルトがピアノ協奏曲の大半を作曲し終えた古典派時代の只中、C.P.E.バッハの最晩年に作曲されていながら当人の初期・中期にむしろ近い作風で、ロンドーはあえてチェンバロを選び、他の3人の自由闊達な音作りと絶妙のやりとりを繰り広げてゆきます。 編曲作品2曲は鍵盤独奏曲が原曲ながら、さながら最初から最晩年のこの作品と同じ編成で書かれていたかのような自然さ。アンサンブルのメンバーによる解説も充実しており、古楽シーンの最前線ならではのエキサイティングな音楽体験を満喫できる1枚に仕上がっています。収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2021年12月号)★-
モンテヴェルディ(1813-1901):
歌劇《オルフェオ》 [ヴァレリオ・コンタルド、マリアナ・フローレス、レオナルド・ガルシア・アラルコン、ナミュール室内合唱団、カペラ・メディテラネア]MONTEVERDI, C.: Orfeo (L') [Opera] (Contaldo, M. Flores, Bridelli, Quintans, Meerapfel, Namur Chamber Choir, Cappella Mediterranea, García Alarcón)
発売日:2021年09月24日
NMLアルバム番号:ALPHA720
CD 2枚組国内仕様 日本語解説/歌詞日本語訳付き価格:4,950円(税込、送料無料)
ラテンの情熱たぎる、アラルコンの《オルフェオ》!音楽と劇との組み合わせは古くからありますが、現在の歌劇の形に最も近いものという観点から「史上初めての大掛かりな歌劇」と呼ばれることもあるモンテヴェルディの《オルフェオ》。名盤ひしめくこの作品に、注目すべき新たな録音が登場しました。 アルゼンチン出身で1997年からヨーロッパで活動し、近年躍進目覚ましいレオナルド・ガルシア・アラルコンと、彼の率いるカペラ・メディテラネアらによるこのアルバムは、確固とした研究成果に根差しながらも、彼らの持ち味であるラテン的な音楽性を存分に発揮させた素晴らしい演奏に仕上がっています。 バロック・オペラの録音や公演で現在引っ張りだこのテノール、ヴァレリオ・コンタルドによるオルフェオ、オペラからバロック歌曲までを表情豊かに歌い上げることで定評のあるマリアナ・フローレスによるエウリディーチェ、ポルポラとヘンデルのアリアを集めたアルバム(ARCANA A461/NYCX-10055)で驚異的な表現力を見せつけたジュゼッピーナ・ブリデッリによる女の使者など、万全の布陣による歌手陣の切々とした歌唱も聴きどころ。通奏低音だけでも名手キート・ガートをはじめとした10名もの奏者を揃えており、冒頭のトッカータから既に凄まじい気合を感じさせます。
収録作曲家:
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「ジェリオット」
ラモーを虜にしたオートコントル歌手
~18世紀フランス歌劇名場面集~ [レイナウト・ファン・メヘレン、ア・ノクテ・テンポリス]Opera Arias (Tenor): Mechelen, Reinoud van - COLLIN DE BLAMONT, F. / LECLAIR, J.-M. / RAMEAU, J. (Jéliote, haute-contre de Rameau)
発売日:2021年09月24日
NMLアルバム番号:ALPHA753
CD価格:2,475円(税込)
ラモーお気に入りの名歌手の偉業を探る好企画!
リュリ編に続く「オートコントル」第2弾17世紀から18世紀にかけてのフランスで、合唱の中音域を受け持つとともに幾多の名歌手がソリストとして活躍した、独特の男声高音部オートコントル。裏声を使わない高音域のテノールで、歌いこなすのが難しい声部ではありますが、近年は古楽復興の流れを受けて俊才が続々登場しています。 ベルギーの名歌手で広く国際的に活躍をみせるレイナウト・ファン・メヘレンもその一人。すでにAlphaやRicercarなどで数多くの録音に参加している彼ですが、2019年にリュリお気に入りの名歌手デュメニに光を当てたアルバム(Alpha554)でフランス・バロックへの適性を改めて印象づけました。 その続編ともいうべき今回は、日本でも上演機会が増えてきたラモーの傑作《プラテー》のタイトルロールを始め、性格的な登場人物を歌いこなして18世紀中盤のフランスで絶大な人気を誇った名歌手ピエール・ド・ジェリオットに光を当てています。ラモーの重要作品で数多くの名場面を彩った人物で、本盤ではそのラモーを中心に、17世紀生まれのルクレールからジェリオットの同時代人で世紀末まで生きたドーヴェルニュに至るさまざまな作曲家の作品から曲が選ばれています。 平素は室内楽編成で活躍するア・ノクテ・テンポリスも今回はやや拡大した編成で、数多く含まれている器楽トラックも含め、豪奢な響きで緩急メリハリのついた音楽展開を聴かせてくれます。 -
ブクステフーデ(1637-1707):
トリオ・ソナタ集 Op.2 [アルカンジェロ]BUXTEHUDE, D.: Sonatas, Op. 2 (Arcangelo)
発売日:2021年09月24日
NMLアルバム番号:ALPHA738
CD価格:2,475円(税込)
北ドイツ・オルガン楽派の巨匠が残した意欲的室内楽作品を、英国の精鋭たちによる秀演で!青年時代の大バッハが、ドイツ中部のアルンシュタットからバルト海沿岸のリューベックまで徒歩で演奏を聴きに行ったことでも知られる、北ドイツ・オルガン楽派の巨匠ディートリヒ・ブクステフーデ。バッハにも多大な影響を与えたオルガン音楽が特に有名ですが、その一方で彼はドイツ北方におけるイタリア音楽模倣の重要な担い手の一人として、声楽曲や室内楽曲の発展にも大きく貢献していました。 なかでも、イタリアでコレッリが2挺のヴァイオリンと通奏低音のための曲種としてトリオ・ソナタの形式を整えつつあった17世紀末、ブクステフーデが相次いで刊行した二つのソナタ集は、主役格の楽器としてヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバが対等な活躍をみせる異色作。同種の編成の音楽はドイツ語圏で数多く刊行されていましたが、ブクステフーデの2集はその充実度と多彩さで群を抜いています。 英国を拠点に世界的活躍をみせる俊才集団アルカンジェロは、Alphaレーベルで2017年に録音した「作品1」(Alpha367)の経験を経て、ブクステフーデの作風のさらなる充実を示す作品2を全曲録音。 若き名手トーマス・ダンフォードのリュート、オペラ指揮にも秀でたジョナサン・コーエンのチェンバロからなる通奏低音は、弓奏楽器がないことで主役格の2者をことのほか引き立てる効果も抜群! ガンバとヴァイオリンの音色の違いとその味わいも、Alphaならではの自然派録音で際立ち、整然さと躍動感の間で揺れる不思議な作風の面白さをよく引き出しています。
収録作曲家:
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『Hâl~ラヴ・バラード』
イラン、インド、そしてアイルランドの音楽が交わるところ [マリアム・シェミラニ、シルヴァン・バルー、ビヤン・シェミラニ、ケイヴァン・シェミラニ、ソクラティス・シノプロス]発売日:2021年09月24日
CD価格:2,475円(税込)
イラン音楽の名家とアイリッシュ・フルートの名手との共演による、音楽の交差点テヘランに生まれイラン音楽の大家としてHarmonia Mundiレーベルへの録音などで名高いジャムシド・シェミラニを父に持ち、親子でのトリオ活動でも有名なケイヴァンとビジャン、そして看護師としての顔も持つ歌手のマリアムというシェミラニ兄弟に、アイリッシュ・フルートの名手として日本にもファンの多いシルヴァン・バルーを加えた、現在フランスで活躍する4人によるイラン、インド、アイルランド音楽の要素をミックスしたクロスオーバー・アルバム。 曲の多くはケイヴァンが中心となって制作・編曲されており、使用する楽器はイランの太鼓ザルブとアイリッシュ・フルートを中心に、アジアのフルートや2枚リードの木管楽器、アイルランドとイランのバグパイプなど様々。さらに、ギリシャのリラ(小型の擦弦楽器)の名手として名高く、FUGA LIBERAからもアルバム(FUG753)をリリースするソクラティス・シノプロスも参加という豪華な布陣です。 様々な楽器が織りなすエスニックで色彩豊かな音色といい、民族音楽とポップスの間を行くようなメロディと曲作りといい、様々な要素と楽器がフランスの地で出会い、豊かな融合をみせた、たいへん心地よい音楽です。
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NO TIME FOR CHAMBER MUSIC
弦楽九重奏で聴くマーラー [コレクティフ9]Chamber Music (Contemporary) - BERTIN-MAGHIT, T. / HERSANT, P. / MAHLER, G. (No Time for Chamber Music) (Collectif9)
発売日:2021年09月24日
NMLアルバム番号:ALPHA770
CD価格:2,475円(税込)
痛快! 室内楽編成によるマーラーマーラーの交響曲と歌曲を弦楽九重奏への自由なアレンジで収録したアルバム。演奏は、革新的なプログラム構成と個性的な編曲でクラシック作品の数々を聴かせるモントリオールの弦楽アンサンブル、コレクティフ9。 今回の編曲は、コントラバスを担当するベルタン=マギによるものです。基本的には各曲の要素を印象的にまとめ上げて伝える原曲に沿った編曲ですが、突然クレズマー風にデフォルメされたりして驚かされるところも。「僕の胸の中には燃える剣が」など、詩の内容を鮮烈に伝えるアレンジと演奏も見事です。 「カロ風の幻想曲」は、フランスの人気作曲家フィリップ・エルサンが、マーラーの交響曲第1番のフレーズを自由にコラージュした小品ですが、原曲のように大きく盛り上がることはなく、消え入るように終わります。 その雰囲気を受けた「ドン・ファンの幻想」で遠く彼方に過ぎ去っていくようにアルバム全体が閉じられる、美しい作りとなっています。
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-★2021年度 第59回レコード・アカデミー賞受賞(オペラ部門)★- -★『レコード芸術』特選盤(2021年12月号)★-
ドビュッシー(1862-1918):
《ペレアスとメリザンド》 5幕の抒情劇 [スタニスラス・ド・バルベラク、キアラ・スケラート、アレキサンドル・デュアメル、ジェローム・ヴァルニエ、ピエール・デュムソー]DEBUSSY, C.: Pelléas et Mélisande [Opera] (Barbeyrac, Skerath, Duhamel, Varnier, Baechle, Bordeaux Aquitaine National Orchestra, Dumoussaud)
発売日:2021年09月17日
NMLアルバム番号:ALPHA752
CD 2枚組国内仕様 歌詞日本語訳/日本語解説付価格:4,950円(税込、送料無料)
コロナ禍が生んだ注目盤、
日本公演とほぼ同キャストによる《ペレアスとメリザンド》新型コロナ・ウイルスによるパンデミックが世界を覆う中、ボルドー国立歌劇場で再演が予定されていた《ペレアスとメリザンド》も公演中止となってしまいましたが、劇場はALPHAレーベルと組み、この作品の録音へと取り組むことになりました。2018年にプレミアを迎えたこのプロダクションは、同年ミンコフスキ指揮オーケストラ・アンサンブル金沢の演奏で金沢と東京でも披露され、大きな成功を収めたものです。 ソリストもジュヌヴィエーヴ役以外は日本公演と同一というのが嬉しいところ。ペレアス役のバルベラク、メリザンドを演じるスケラートの安定した歌唱力から生まれる強い意志と繊細さの両立が聴きどころで、ゴロー役のデュアメルはじめ脇を固めるメンバーも素晴らしい出来栄えです。ボーイ・ソプラノの起用もあるイニョルドを演じるケレはまだ十代のソプラノで、微妙な役どころをうまく演じています。 デュムソーの操る音楽も、大きな起伏を描きながら全体の流れを上手くコントロールしており、申し分ありません。収録作曲家:
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アニマ・エテルナ・ブリュッヘBOX
~国民楽派からガーシュウィンまで~ [ジョス・ファン・インマゼール、アニマ・エテルナ・ブリュッヘ]発売日:2021年09月17日
CD 7枚組価格:4,425円(税込、送料無料)
パイオニアとしての圧倒的な偉業。19〜20世紀管弦楽の真相に迫った名盤群現代のピアノではなく、19世紀以前の作曲家たちが知っていた当時のモデルの歴史的ピアノを早くから弾きこなし、バロックやモーツァルトからドビュッシー、ラフマニノフに至る広範な演目で「作曲当時の姿」を解き明かしてきた古楽大国ベルギーの才人ジョス・ファン・インマゼール。信頼できる古楽器奏者たちを集めてのアニマ・エテルナ(現在の呼称は拠点都市の名を冠しての「アニマ・エテルナ・ブリュッヘ」)では、モーツァルトのピアノ協奏曲に始まりベートーヴェン作品での画期的録音で注目を集めましたが、その後Zig-Zag Territoiresではヨハン・シュトラウス、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、さらにオルフやガーシュウィン……と、オーケストラ演奏の王道演目にどんどん切り込み、その発表当初の響きを探り続け世界を驚かせました。 同レーベルの音源を受け継いだAlphaからは、ベートーヴェンの交響曲全集やフランス音楽BOXに続いて今回、ロマン派以降の作曲家たちのBOXが登場。2018年にAlphaから発表されたガーシュウィン古楽器演奏アルバム(!)まで含め、客観性を重視しながらパッションに溢れた妥協のない解釈の数々を、改めて味わい尽くす好企画となっています。 なおDISC7は86分を超える収録時間のため、一部のプレイヤーでは正常に再生できない場合があります。商品の仕様となりますので、ご了承ください。 またブックレットに一部誤記がございますが、そのままでのご提供となります。
収録作曲家:
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シューベルト(1797-1828):
『レルシュタープとハイネの詩による13の歌曲』D.957(『白鳥の歌』より)
弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956 [ユリアン・プレガルディエン、マルティン・ヘルムヒェン、クリスティアン・テツラフ、ターニャ・テツラフ、フローリアン・ドンダラー、レイチェル・ロバーツ、マリー=エリザベート・ヘッカー]SCHUBERT, F.: Schwanengesang / String Quintet / MENDELSSOHN, Felix: Lieder ohne Worte, Op. 30, No. 7 (Prégardien, Helmchen, C. Tetzlaff)
発売日:2021年09月10日
NMLアルバム番号:ALPHA748
CD 2枚組価格:3,975円(税込、送料無料)
シューベルト晩年の傑作群と関連作品を組み合わせた好企画ユリアン・プレガルディエンとマルティン・ヘルムヒェンによる『白鳥の歌』を中心としたDISC1、クリスティアンとターニャのテツラフ兄妹を中心としたメンバーによる弦楽五重奏曲を収めたDISC2という、シューベルト最晩年の2曲をカップリングした興味深い企画盤。 シューベルトの死後、遺稿からまとめて出版されたのが『白鳥の歌』ですが、この中から唯一ヨハン・ガブリエル・ザイドルの詩にもとづき、作品整理番号も単独で別途D.965aを振られている「鳩の使い」を省いた、レルシュタープとハイネによる13曲がここには収められています。 さらにメンデルスゾーンの『無言歌集』第2集から第1曲と、ヨハン・ゼンの詩にシューベルトが曲をつけた「白鳥の歌」をタイトルに持つ歌曲を間に挟み、ラストにはファニー・メンデルスゾーンがハイネの「白鳥の歌」に作曲した歌曲を収録という凝ったプログラム。プレガルディエンの滑らかな歌声にヘルムヒェンの端正なピアノが絡み、シューベルトならではの詩情の世界を、淡々とした表情の中にも奥深く表出しています。 シューベルトが唯一残した弦楽五重奏曲であるD.956は、死のわずか2カ月ほど前に完成されたもの。体調不良が続いた晩年とはいえ彼の創意は衰えず、作品も常に発展し続けました。この作品も、弦楽五重奏というとヴィオラを2本というのが通例だった当時に、ボッケリーニと同じくチェロを2本という編成で低音域の充実を図った意欲的なもの。結果、安定した響きの上でシューベルトならではの歌謡性が引き立っています。 テツラフ兄妹に指揮者としても活躍するドンダラーなどを加えたメンバーによるこの演奏は、作品の情感を実にバランスよく表現しており、人気の高い第2楽章でも動的な熱量が程よく、どこか彼岸を感じさせる美しさも一層際立っています。
収録作曲家:
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J.S.バッハ(1685-1750):
無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ
全6曲 BWV 1001-1006 [テディ・パパヴラミ]BACH, J.S.: Sonatas and Partitas for Solo Violin, BWV 1001-1006 (Papavrami)
発売日:2021年09月10日
NMLアルバム番号:ALPHA756
CD 2枚組価格:2,850円(税込)
古楽器演奏の理念を咀嚼して辿り着いた境地、パパヴラミ2度目の『無伴奏』バルカン半島のアルバニアからフランスへ若くして拠点を移し、パガニーニ『カプリース』の全曲ライヴ録音を無修正でリリース(AECD0985)するほどの圧倒的な技術を持ちながら、硬派なキャリア形成を続けてきた俊才テディ・パパヴラミ。同じアルバニア出身の世界的作家イスマイル・カダレの専属翻訳家も務めるほど文才も高く、多岐にわたる視野をそなえた新時代の名手で、2016年には自伝の邦訳も出版されました(『ひとりヴァイオリンをめぐるフーガ』山内由紀子訳、藤原書店)。 バッハ『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』はaeonレーベルで2004年に制作された旧録音(AECD0535)もありますが、今回の新録音では徹底的にヴィブラートを抑え、音の造形を改めて考え抜いたピリオド・アプローチ寄りの解釈。しかも理念的な堅苦しさに傾くことがまったくない、驚くほど丹精で自然な演奏は何度も聴き深めたくなる充実度です。 文芸批評や音楽評論でも活躍するジャーナリストのジャック・ドリヨンが解説を寄せている点も、文人音楽家の録音らしい一面といえるかもしれません。Alphaレーベルならではの筋の通ったバッハ盤がまた一つ増えました。
収録作曲家:
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PASSION
リュリと17世紀フランスの抒情悲劇 [ヴェロニク・ジャンス、ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブラ、アンサンブル・レ・シュルプリーズ]発売日:2021年08月27日
CD国内仕様 日本語解説、歌詞訳付き価格:3,300円(税込、送料無料)
リュリ芸術の魅力を1枚に凝縮!
17世紀フランスで活躍した他の天才たちの作品も交えた絶好企画フランス語によるオペラの最も古典的な形式である抒情悲劇(トラジェディ・リリーク)の確立者であり、序曲や舞曲の形式でドイツ語圏の音楽にも大きな影響を与えたジャン=バティスト・リュリ。その音楽史上の重要度は認識されていながらも、本領ともいえる劇音楽分野での偉業を実感できる機会は日本で多いとは言えません。 そんな中、ヴェルサイユ・バロック音楽センターの頼もしい協力のもと、同国の古楽シーンを支えてきたAlphaレーベルから、それらをCD1枚で堪能するのに絶好の企画盤が登場します。今ではロマン派や近現代の作品でも大きな評価を得ているヴェロニク・ジャンスを中心に、フランス古楽界の精鋭が集いお届けするのは、さまざまなリュリ作品からの抜粋に彼の後継者・好敵手たちの傑作を交え、全5幕の抒情悲劇仕立てで「逞しくも恋に翻弄される女」を描きあげたプログラム(ブックレット解説は知られざるフランス語劇音楽に豊かな知見を誇る研究者ブノワ・ドラトヴィツキ)。恋の悲しみや絶望、復讐に燃える怒りや喜びの恍惚など、リュリの巧みな音使いあればこその変幻自在な作品をみごと一貫性ある物語として歌い上げます。 躍進めざましいフランスの指揮者ベスティオン・ド・カンブラのもと、フランス古楽特有の音の機微を巧みに捉えた解釈を聴かせる器楽陣も、ジャンスの圧倒的な存在感に負けることなく、互いに引き立て合い鮮やかな音楽を聴かせます。合唱指揮は大ヴェテランのシュネーベリ。 -
MOZART y MAMBO
モーツァルトとマンボ
ライヴ・イン・ハバナ(ドキュメンタリー付き) [サラ・ウィリス(ホルン)、ホルヘ・アラゴン、ユニエト・ロンビーダ・プリエト、ハロルド・マドリガル・フリアス、ホセ・アントニオ・メンデス・パドロン ほか]Horn Recital: Willis, Sarah - MOZART, W.A. / CARRILLO, I. / OLIVERO, E.P. / PRADO, D. / SIMONS, M. (Mozart y Mambo)
発売日:2021年08月27日
NMLアルバム番号:ALPHA578
DVD+Blu-ray価格:3,225円(税込、送料無料)
世界的大ヒット・アルバムのライヴ映像が登場!マンボに魅せられキューバを訪れたベルリン・フィルの人気ホルン奏者サラ・ウィリスが、地元のミュージシャンと録音して2020年7月に発売、世界的な大ヒットを記録したアルバム『モーツァルトとマンボ』。このアルバム録音時にハバナで行ったライヴの映像が登場します。 ベルリン・フィルでは下吹きを担当するウィリスが、人前で初めてと言いながら見事な演奏を聴かせるモーツァルトはもちろん、キューバのミュージシャンたちと共に陽気なグルーヴで繰り広げるマンボが大きな見どころ。世界が新型コロナウイルスによるパンデミックに見舞われる直前、今思えば奇跡のような素晴らしいコンサートが記録されています。 全ての映像監督とドキュメンタリーの構成を担当するのは、『ベートーヴェンと生きる』(サイモン・ラトルとベルリン・フィル)、『ヴィオラは私の声』(タベア・ツィンマーマン)などのドキュメンタリー映像で大きな評価を得ているマグダレーナ・ジェンバ=シュヴィント。NHK-BSでの放送でも話題になりました。 同内容のDVDとBlu-rayがセットとなっています。
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『謎めいた幸運の神』[4枚組]
ザカラ・ダ・テラモ作品全集 [ミケーレ・パゾッティ、ラ・フォンテ・ムジカ]ZACARA DA TERAMO, A.: Works (Complete) (Enigma Fortuna) (La Fonte Musica, Pasotti)
発売日:2021年08月27日
NMLアルバム番号:ALPHA640
CD 4枚組価格:4,425円(税込、送料無料)
中世とルネサンスをつなぐ驚くべき才能!
最前線の中世音楽奏者らが聖俗両面を解き明かす初期ルネサンスのデュファイやバンショワらブルゴーニュ楽派よりもさらに早く、マショーやランディーニら中世末期の多声音楽作曲家たちより少し後の世代に属するザカラ・ダ・テラモ。近年ようやく研究が進んだことで、14世紀末から15世紀にかけての多声音楽の過渡期に活躍したこの才人が、その多彩な表現で時代をいかに賑わせていたかが明らかになってきました。 14世紀アルス・ノーヴァの複雑な多声技法にも、15世紀以降のルネサンス・ポリフォニーにも通じる多面的な魅力を、中世楽器を使いこなす名手たちが多数集うイタリア随一の声楽&古楽器アンサンブルが徹底解剖。よく考え抜かれた楽器構成もさることながら、伸縮自在のダイナミックな演奏は教会音楽でも俗世向けの音楽でも、これらがルネサンス多声芸術の萌芽を解き明かすのではないかという好奇心を強く掻き立てずにおきません。 ミケーレ・パゾッティは14世紀イタリア音楽を集めたアルバムですでに注目を集めている新世代の俊才。ハープのマルグレート・ケルのような大御所古楽器奏者のゲスト参加も頼もしいところ。 充実したブックレットとあわせ、古楽ファンの関心を存分に満たしてくれるALPHAレーベルならではの4枚組です。 -
サン=サーンス(1835-1921):
動物の謝肉祭/死の舞踏
プーランク(1899-1963):
2台のピアノのための協奏曲 [デュオ・ヤテコック、リュシー・ルゲ、アレックス・ヴィゾレク、リール国立管弦楽団]SAINT-SAËNS, C.: Carnival of the Animals / POULENC, F.: Concerto for 2 Pianos (Vizorek, Duo Jatekok, Orchestre National de Lille, Leguay)
発売日:2021年08月27日
NMLアルバム番号:ALPHA749
CD価格:2,475円(税込)
フランスで人気のピアノ・デュオとナレーターによる
アット・ホームな『動物の謝肉祭』と、鋭い切れ味のプーランク現代音楽を中心としたパフォーマンスが人気を呼び、フランスで大いに受けているデュオ・ヤテコック。名前の由来はハンガリー語で「遊び」を意味し、クルターグが同名のピアノ曲を書いています。 彼女たちと、ラジオ・フランスで人気のパーソナリティー、アレックス・ヴィゾレクが手を組んだ『動物の謝肉祭』が登場。ヴィゾレク自身が新たに書いたテキストを用いており、演奏との親密さがたいへん好感の持てる出来栄えです。「ピアニスト」で聴かせるデュオ・ヤテコックの“外しぶり”もさすが。 そして同時収録されたプーランクの協奏曲では、彼女たちの本領発揮ともいえる鋭い演奏と、抒情性とクールさのバランスが絶妙な緩徐楽章も楽しむことが出来ます。「死の舞踏」の前には、ヴィゾレクの朗読によって作品の元になったアンリ・カザリスの詩も収録。 サン=サーンス歿後100年記念リリースです。ブックレットはフランス語のみ。 -
J.S.バッハ(1685-1750):
フーガの技法 BWV 1080 [フィリッポ・ゴリーニ]BACH, J.S.: Kunst der Fuge (Die) (The Art of Fugue), BWV 1080 (Gorini)
発売日:2021年08月27日
NMLアルバム番号:ALPHA755
CD 2枚組価格:2,850円(税込)
若き才人ゴリーニの本領発揮!
待望のバッハはなんと『フーガの技法』1995年イタリアに生まれ、アルフレート・ブレンデルに師事し、2015年ボン・ベートーヴェン国際コンクールで第1位と聴衆賞を獲得したフィリッポ・ゴリーニ。ALPHAレーベルから『ディアベリ変奏曲』(ALPHA296)で大胆なCDデビューを飾り、続く『ハンマークラヴィーア』(ALPHA591)と共に、ディアパソン誌、BBC、ル・モンドなどで高い評価を得ました。 そして2020年のボルレッティ=ブイトーニ財団アワードを受賞したことにより、その援助のもとバッハの『フーガの技法』を様々な分野から多角的に探究するプロジェクトを始動。その一環として、この難曲が3枚目のアルバムとして選曲されました。大バッハが自身の作曲技法の粋を集めた一連の作品に師ブレンデル譲りの端正なピアニズムで向き合い、じっくりと、時に程よい躍動感も加えて声部の綾を紡いでいます。 最後の3声のフーガは未完のままでの収録ですが、その完結までに思いを馳せるための長い無音を付すという演出。そしてブックレットには、T.S.エリオットの『4つの四重奏』にインスパイアされたという、14のコントラプンクトゥスに呼応した自作詩、さらにカノンに対応していると思われる自作の4つの英語俳句も掲載しているという多才ぶりで、自ら主宰するプロジェクトの大きな一歩を踏み出しています。収録作曲家:
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サン=サーンス(1835-1921):
動物の謝肉祭 R.125
死の舞踏 Op.40 [デュオ・ヤテコック、リュシー・ルゲ、アレックス・ヴィゾレク、リール国立管弦楽団]発売日:2021年08月27日
LP価格:2,850円(税込)
フランスで人気のピアノ・デュオとナレーターによる、
アット・ホームな『動物の謝肉祭』現代音楽を中心としたパフォーマンスが人気を呼び、フランスで大いに受けているデュオ・ヤテコック。名前の由来はハンガリー語で「遊び」を意味し、クルターグが同名のピアノ曲を書いています。 彼女たちと、ラジオ・フランスで人気のパーソナリティー、アレックス・ヴィゾレクが手を組んだ『動物の謝肉祭』が登場。ヴィゾレク自身が新たに書いたテキストを用いており、演奏との親密さがたいへん好感の持てる出来栄えです。 「ピアニスト」で聴かせるデュオ・ヤテコックの“外しぶり”もさすが。「死の舞踏」の前には、ヴィゾレクの朗読によって作品の元になったアンリ・カザリスの詩が収録されています。 サン=サーンス歿後100年記念リリース。ブックレットはフランス語のみ。 ※CD版に収録されている「プーランク:2台ピアノのための協奏曲」は、収録されておりません。収録作曲家:
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ヘンデル(1685-1759):
オルガン協奏曲集 Op.4 & Op.7
オルガン協奏曲「カッコウとナイチンゲール」 [マルティン・ハーゼルベック、ジェレミー・ジョゼフ、ウィーン・アカデミー管弦楽団]HANDEL, G.F.: Organ Concertos, Opp. 4 and 7 (Haselböck, J. Joseph, Vienna Academy Orchestra)
発売日:2021年07月16日
NMLアルバム番号:ALPHA742
2CD 2枚組価格:2,850円(税込)
ニューイヤー・コンサートが行われる黄金のホール、
そのオルガンでヘンデルの真髄をベートーヴェンの九つの交響曲と管弦楽作品を、当時の楽器と奏法はもちろん、初演場所に可能な限り近い環境の歴史的建造物で録音して好評を博した古楽器オーケストラ、ウィーン・アカデミー管弦楽団。今回、ハイドンやモーツァルトをはじめ古典派以降のウィーン音楽に少なからぬ影響を与えた作曲家ヘンデルのオルガン協奏曲を録音するにあたって、彼らが選んだ会場と楽器はウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートでもおなじみの楽友協会大ホールと、そのオルガン。 1872年フリードリヒ・ラーデガストにより建造された初代のオルガンでは、同年12月にこれらのオルガン協奏曲も演奏されたそうです。4代目となる現在の楽器は2011年に設置されたリーガー社製で、ロマン派向けのシンフォニックな響きだけでなく、ヘンデルが想定した劇場用小型オルガンのような音も再現可能。ハーゼルベックらはチェンバロの通奏低音も交えながら、この楽器の魅力を最大限に引き出しています。 オルガンとチェンバロはハーゼルベック自身のほか、南アフリカ出身でドイツ語圏を中心に注目を集めている俊才ジェレミー・ジョゼフが担当し、ソロと通奏低音をCDごとに彈き分け、ソロをとった曲の解説執筆もそれぞれが受け持つというアルバム作り。古楽器奏者たちから高く評価されてきた敏腕技師ニコラ・バルトロメーのもと、勇壮さと細やかさを兼ね備えたメリハリのある演奏が、由緒あるホールの響きとともに克明に録音されています。 ウィーン音楽史・古楽復興史・ヘンデル自身の音楽作り、さまざまな角度から「本物」を味わえる、頼もしい新たな録音の登場です。収録作曲家:
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ニーノ・ロータ(1911-1979):
室内楽作品集 [樫本大進、エマニュエル・パユ、ポール・メイエ、フランソワ・メイエ、ジルベール・オダン、エリック・ル・サージュ ほか]発売日:2021年07月09日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
スーパー・スターの共演が成せる、ニーノ・ロータの魅力全開の作品集樫本大進とエリック・ル・サージュを中心に、エマニュエル・パユ、ポール・メイエ、フランソワ・メイエ、ジルベール・オダンといったベルリン・フィルやレヴァン・フランセなどで活躍するの名手たちに加え、注目の若手チェリスト、オーレリアン・パスカルといった話題のアーティストたちを惜しげもなく揃え、イタリアの巨匠ニーノ・ロータの室内楽作品とピアノ作品を収録したアルバム。『ゴッドファーザー』に代表される映画音楽が世界中の人の心を掴んだロータですが、本人はあくまでもクラシックの作曲家という立場にこだわっていたと伝わります。 それらは近年注目されてきているとはいえ、その映画音楽ほど高い人気にはなっていないのが実情。ところがこのアルバムで聴くことの出来る音楽の生き生きとして魅力的なこと。『道』や『ロミオとジュリエット』を思わせる切ないメロディ、ユーモアとアイロニー、心躍る躍動感。その面白さ、美しさは、これまであまり日が当たらなかったことが全く信じられないほど。 最高の表現者たちを得て若々しい生命を吹き込まれた、本人が望んだであろうニーノ・ロータ像を聴くことの出来る素晴らしいアルバムです。
収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2021年10月号)★-
〈HAYDN 2032 第10集〉
『一日の時の移ろい』
ハイドン(1732-1809):
交響曲「朝」「昼」「晩」
モーツァルト(1756-1791):
「セレナータ・ノットゥルナ」 [ジョヴァンニ・アントニーニ、イル・ジャルディーノ・アルモニコ]発売日:2021年07月09日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
交響曲全曲録音シリーズ、初期の重要連作へ!
しかも併録曲はモーツァルトハイドン生誕300周年となる2032年までに、その100曲を越える交響曲を全て実演・録音してリリースするプロジェクトHAYDN 2032も10作目に突入。毎回テーマ性ある選曲が興味深く、そこに他の作曲家の作品などが適宜盛り込まれるのも面白いところですが、今回は作曲当初から連作として構想されていたことが明らかな初期の3曲「朝」「昼」「晩」が待望の登場! ハイドンがエステルハージ侯爵家に副楽長として雇われて間もなくの1761年に発表されたと考えられるこれらの作品は、宮廷楽団の名手たちの技量と新任副楽長の才覚を存分に印象づけるべく、多様な作曲様式が盛り込まれた傑作。弦楽器で奏でられるレチタティーヴォ、フルートからコントラバスまで様々な楽器が随所で繰り広げるソロなど聴きどころ満載で、現代の演奏団体にとっても腕が試される連作ですが、イル・ジャルディーノ・アルモニコは流石の腕利き揃いで、隅々まで才気あふれる演奏を味わえます。 選び抜かれた古楽器の素材感に満ちたサウンドもさることながら、アンサンブル全体が一つの生き物のような一体感で伸縮自在のダイナミズムを堪能でき、ハイドンならではの曲作りの面白さが存分に伝わる痛快さ。各交響曲が朝から晩(夕)まで、一日の三つの時間をそれぞれ表現しているハイドン作品の続編として、モーツァルトがザルツブルクの音楽夜会のために書いた「セレナータ・ノットゥルナ」を”夜”にあたる曲として併録。こちらも首席ヴァイオリンのバルネスキによる当意即妙な即興パッセージが心地良く、全編を通じて生気に満ちた音作りがたまりません。 当シリーズの常通り、音楽学者モーリッツ・バウアーによる最新研究をふまえた作品解説も添えられています。 -
モーツァルト(1756-1791):
ピアノ協奏曲 第9番 「ジュノム」/第17番 [オルガ・パシチェンコ、イル・ガルデリーノ]発売日:2021年06月25日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
ピアニズムと歴史検証の重なるところ。パシチェンコ、満を持してのモーツァルト協奏曲録音モーツァルトが知っていた当時のピアノ(フォルテピアノ)を、当時流儀の古楽器を使ったオーケストラと弾いてこそ、彼が企図したとおりの作品像に近づける……そうした考え方のもとで録音される機会も少なくないモーツァルトのピアノ協奏曲の数々。今や単に「古楽器で弾いた」というだけでは注目されにくいとすれば、オルガ・パシチェンコとイル・ガルデリーノの演奏は、その解釈の確かさと卓越した演奏クオリティ、どちらにおいても出色の仕上がりとなっており、古楽に実績ありのAlphaレーベルが、この競合盤多き演目であえて今、新たな録音を世に問うたのも頷ける内容です。 古楽活況の地オランダやベルギーを活動拠点にしているロシア出身の才人パシチェンコの師は、ゲンリヒ・ネイガウスの系譜を汲むロシア・ピアニズムを出発点に、現代音楽から古楽まで幅広いフィールドで活躍してきた名匠アレクセイ・リュビモフ。パシチェンコがその指導のもと培った、歴史的検証と音楽性のどちらでも強い探究心を発揮してきた成果が、満を持してこの録音に結実しています。 細部に至るまでタッチの妙が際立つ緩徐楽章、スリリングな推進力と確たる音楽展開が同居するアレグロ……AccentやPassacailleに名盤の多いイル・ガルデリーノは、ヘレヴェッヘやミンコフスキ、ピエルロら古楽器演奏の立役者たちの楽団で実績を積んできたバロック・オーボエの名手マルセル・ポンセールが、多忙なトラヴェルソ奏者兼プロデューサーのヤン・デ・ヴィンネと共同主宰する俊才集団(ヴァイオリンに中丸まどか、近藤倫代らが参加)。管楽器の痛快な活躍といい、弦楽器の巧みなチームワークといい、まさに絶好調と言えるでしょう。 欧州古楽シーンの最前線から届いたAlphaならではのモーツァルト録音、見逃せません!
収録作曲家:
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J.S.バッハ(1685-1750):
トリオ・ソナタ(全6曲)BWV 525-530 [バンジャマン・アラール]発売日:2021年06月25日
CD価格:1,425円(税込)
新時代の俊才の出世作的アルバム、堂々たる風格で響く正統派のバッハ1985年フランス生まれの古楽鍵盤奏者バンジャマン・アラールが、ブリュッヘ(ブルージュ)古楽コンクール優勝を経て、活躍の場を大きく広げようとしていた時期の録音。 このトリオ・ソナタ集は、バッハが長男ヴィルヘルム・フリーデマンのオルガン演奏技法を伸ばす最終課題として与えたと言われ、両手それぞれを別のパートに見立て足鍵盤を低音伴奏とし、1人で3人分の演奏を披露するポリフォニーの傑作です。 アラールはどっしり落ち着いたテンポでこれを演奏。パリの只中セーヌ川の中洲にあるドイツの歴史的オルガン構造を踏まえた新作楽器を使用し、足鍵盤のじんわりとした響きも穏やかな風格を醸し出します。 『レコード芸術』特選を始め日本を含む世界各地で絶賛された名盤。
収録作曲家:
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発売日:2021年06月25日
CD 2枚組価格:1,425円(税込)
圧倒的な自然さと巧まざる風格。バロックの名手ベイエの転機を飾った名盤名手キアラ・バンキーニの重要な門弟の一人アマンディーヌ・ベイエ。バンキーニのアンサンブル415での活躍のほか、カフェ・ツィマーマンがAlphaに残したバッハ協奏曲録音でも存在感をあらわし、21世紀初頭からは自身が主宰するリ・インコーニティでも名演を連発しました。 このバッハ録音は、彼女がバーゼルでの教授職に就任した年に発表されるや世界中で話題となり、日本でも『レコード芸術』特選ほか、バッハ研究家礒山雅氏もイザベル・ファウスト盤と甲乙つけがたい最高峰に挙げています。自然な佇まいに息づく深い作品理解と惚れ惚れするような音色の美しさが圧倒的な魅力。 バッハに大きな影響を与えたドレスデンの名手ピゼンデルの無伴奏作品も収録。
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ボノンチーニ(1670-1747):
3声のセレナータ『恋の敵』 [アドリアーナ・フェルナンデス、マルティン・オロ、フリオ・ザナシ、キアラ・バンキーニ、アンサンブル415]発売日:2021年06月25日
CD価格:1,425円(税込)
バンキーニの隠れた名盤!
A.スカルラッティのライヴァルが残した傑作キアラ・バンキーニ率いる伝説的古楽合奏団アンサンブル415によるボノンチーニ作品。ダヴィド・プランティエ、ガエターノ・ナジッロ、エヴァンジェリーナ・マスカルディと今からすれば豪華な器楽勢をバックに、90年代以来のバロック音楽シーンを支えてきたザナシやオロら名歌手たちが伸びやかな歌唱を聴かせる隠れた名盤。 ボノンチーニは後年ヘンデルの好敵手として知られることになる存在ですが、すでに20代の頃からイタリア半島を魅了した天才作曲家でもあり、10歳年上のA.スカルラッティと人気を競ったほどでした。そんな若き日のボノンチーニが、羊飼いの男女やニンフたちが恋に悩む牧歌的世界を描いた半オペラ的作品(セレナータ)を絶妙解釈で楽しめます。収録作曲家:
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『天のしるし』
エルレバッハ(1657-1714):
教訓的アリアと合奏曲 [ビクトル・トレス、ダヴィド・プランティエ、ソフィー・ワティヨン、ブライアン・フランクリン、スティルス・ファンタスティクス]ERLEBACH, P.H.: Vocal Music / Trio Sonatas Nos. 2-4 (Zeichen im Himmel) (Torres, Stylus Phantasticus)
発売日:2021年06月25日
NMLアルバム番号:ALPHA612
CD価格:1,425円(税込)
バッハを準備した世代の隠れた重要人物、その存在感を強くアピールした名手揃いの1枚フィリップ・ハインリヒ・エルレバッハは17世紀半ば、マラン・マレやコレッリらと同世代のドイツ中部の作曲家。テューリンゲン地方ルドルシュタットの宮廷に仕え、1714年に亡くなるまで膨大な作品を残しながら、その大半は焼失の憂き目に遭ってしまいました。 しかし残された作品はどれも輝かしい魅力を放っており、とくにシュッツとバッハの間をゆくような教訓的アリアの数々は、複数のヴィオラ・ダ・ガンバを伴奏に使ったドイツ17世紀型のアンサンブルを従えながら、独唱が伸びやかな旋律美でドイツ語詩句を歌い上げてゆく逸品揃い。ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバが対等に立ち回るトリオ・ソナタの数々も独特の魅力に満ちています。 このアルバムは、カフェ・ツィマーマンとしても録音多き名手たちをはじめ、撥弦奏者にアルゼンチン出身のエドゥアルド・エグエスも加わった俊英揃いの布陣だからこその息を呑む名演になっており、エルレバッハという作曲家の存在感に注目が集まるきっかけにもなりました。 お求めやすくなった今、改めて聴き込みたい名盤です。
収録作曲家:
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フェヴァン(1470頃-1512):
レクイエム
〜ブルターニュ公女の追悼ミサ〜 [ドゥニ・レザン・ダドル、ドゥース・メモワール]発売日:2021年06月25日
CD価格:1,425円(税込)
知られざる16世紀フランス音楽。ブルターニュ最後の公女の死をめぐる傑作選ドゥニ・レザン・ダドルが中心となって、中世末期からルネサンスにかけての様々な音楽を徹底した研究と絶妙な演奏で披露しているドゥース・メモワール。レオナルド・ダ・ヴィンチにまつわる音楽を徹底解剖したALPHAレーベルでの名録音(ALPHA456/日本語解説付き NYCX-10061)でもその技量は改めて印象づけられましたが、テーマ性のあるプログラムを数百年の時を超えて、21世紀の「いま」にみずみずしく蘇らせる技量は本盤でも圧倒的。 フランス15世紀末、ルイ12世の宮廷に仕えたアントワーヌ・ド・フェヴァンが残した美しいレクイエムを中心に、1514年に世継ぎなく世を去ったブルターニュ最後の公女アンヌ(ルイ12世の妃)の追悼ミサを再現するプログラムで、500年前の世界へと私たちをいざないます。 Zig-Zag Territoiresレーベル初出時すぐに入手難となっていた名録音。2019年に亡くなったブルターニュの民俗歌手ヤン=ファンシュ・ケメネールが、独特な味わいをたたえた歌唱を折々に聴かせ、フランス領となった後にも独自のケルト文化を脈々と培ってきたブルターニュという土地の歴史と気配を感じられる1枚となっています。
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フレスコバルディ(1583-1643):
器楽のためのカンツォーネ集 [ブリュノ・コクセ、レ・バッス・レユニ]発売日:2021年06月25日
CD価格:1,425円(税込)
ガンバだけではない、チェロ出現以前の17世紀イタリア低音弦楽器の世界を妥協なく追求多声音楽優勢のルネサンスから、独唱中心のバロックへと、イタリア音楽に新たな息吹がもたらされつつあった17世紀初頭に、ローマ教皇庁のオルガン奏者として活躍し、時代のはざまをゆく鍵盤作品の傑作を連発したフレスコバルディ。彼が器楽合奏のために残したカンツォーネ集は、門弟グラッシがまとめた版とヴェネツィアで刊行された別版とが知られており、ヴィオラ・ダ・ガンバ優位の時代を経てヴァイオリン属が独自の音楽語法を見出し始めた当時の、ルネサンスの蓄積の上に花開きつつあったバロック語法が聴かれる注目の内容になっています。低音2部や低音独奏などユニークな編成の曲も多く、さながら同時代に発表されたモンテヴェルディの後期マドリガーレに通じる世界を器楽で表現しているような面白さ。 レ・バッス・レユニは録音企画ごとに新たな研究のもと再現製作された楽器を使うグループで、ここでもチェロより小ぶりのテナー・ヴァイオリン、チェロよりやや大きなバス・ヴァイオリンなど、17世紀のユニークな低音弦楽器のオーガニックな響きが聴き手を魅了します。 鬼才技師ユーグ・デショーによる自然派エンジニアリングがとらえた「場」の空気感に魅了される1枚です。
収録作曲家:
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『La Bella Noeva - すてきな知らせ』
アッコルドーネによるイタリア・バロック名品集 [マルコ・ビズリー、グイード・モリーニ、アッコルドーネ]Vocal Music (17th Century) - BEASLEY, M. / CACCINI, G. / GRANDI, A. / MARINI, B. / MONTEVERDI, C. /MORINI, G. / STEFAI, G. (Accordone)
発売日:2021年06月25日
NMLアルバム番号:ALPHA615
CD価格:1,425円(税込)
「ラ・タランテッラ」と並ぶビズリーの名盤!
ナポリ民俗歌唱が古楽と交わるところAlphaレーベル初期の白ジャケット・シリーズでも特にヒットを記録した「ラ・ベッラ・ネーヴァ(すてきな知らせ)」。キャシー・バーベリアンに師事したのち、故郷ナポリの民俗歌唱と古楽歌唱の粋を取り入れ独特なスタイルを確立した「声の魔術師」マルコ・ビズリーと、通奏低音技法での作曲も自らこなす鍵盤奏者グイード・モリーニによる個性派古楽ユニット「アッコルドーネ」が、それまでの「録音はしない、ライヴのみ」という姿勢から一転、Alphaから初めてリリースしたアルバムでもあります。 モンテヴェルディとカッチーニを中心とした、1600年前後のイタリア・バロック最初期の独唱系レパートリーから名品を厳選、オスティナート・バスに乗せて荒唐無稽な「ひとりオペラ」のごとき変幻自在の歌唱を聴かせるナポリ伝統歌「グヮラチーノ(小魚)の戯れ歌」までも古楽器で演奏しながら、イタリア南部の「生のまま」のバロック世界が鮮やかに蘇る圧巻のアルバムに仕上がっています。 撥弦楽器にもフランコ・パヴァンやステファノ・ロッコら実力派が名を連ね、2001年に録音されたラルペッジャータとの共演盤「ラ・タランテッラ」同様、ビズリーの歌の存在感際立つ仕上がりでファンの記憶に刻まれている屈指の必聴盤です。 -
ルジュヌ(1530頃-1600):
カトリックのためのモテと、
プロテスタントのための詩篇曲 [クレール・ルフィリアトル、ダミアン・ギヨン、ブリュノ・ル・ルヴルール、ジャン=フランソワ・ロンバール、ベルナール・アリエタ、オリヴィエ・シュネーベリ ほか]LE JEUNE, C.: Motets pour le culte catholique et psaumes protestantes (Les Chantres, Les Pages, Les Symphonistes, Schneebeli)
発売日:2021年06月25日
NMLアルバム番号:ALPHA616
CD価格:1,425円(税込)
フランス・ルネサンスの教会音楽を、器楽つき大規模編成で!ルネサンスのフランス音楽というと、ジャヌカンやセルミジ、コストレといった作曲家たちが残した多声シャンソンが特に有名ですが、教会音楽にも名品は少なくありません。とくにカルヴァン派プロテスタント教会音楽は、すでに数多くの古楽アンサンブルによってその魅力が解き明かされてきました。 かたや王室はカトリックの信徒が多かった時代。時に血なまぐさい殺戮事件にも発展した宗教戦争の時代を生き、カトリックの礼拝にもプロテスタントの祈りにも音楽を提供できたクロード・ルジュヌは、16世紀に着実に変容をみせていったルネサンス多声音楽の豊穣さをフランスにおいて代表する重要人物と言えます。 彼の作品もまたア・カペラでは多く録音されていますが、2002年に制作されたこのアルバムでは、ヴェルサイユ・バロック音楽センターの声楽部門で活躍する名匠シュネーべリのもと、ル・ポエム・アルモニークやラ・フェニーチェといった古楽界最前線グループの中核メンバーが多く参入し、児童合唱18名と成人歌手18名に充実した古楽器合奏団が加わる「器楽付き」での演奏になっており、絶美の世界が繰り広げられています。 天才技師ユーグ・デショーがパリの病院の礼拝堂で収録したサウンドもこのうえなく生々しく豊かで、聴き深めるほどに味わいの増す名盤。改めて光が当たって欲しい貴重な1枚です。
収録作曲家:
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モーツァルト(1756-1791):
コンチェルトーネ K.190
セレナータ・ノットゥルナ K.239
カッサシオン K.63 [キアラ・バンキーニ、ダヴィド・プランティエ、アマンディーヌ・ベイエ、ガエターノ・ナジッロ、パトリシア・ガニョン、アンサンブル415 ほか]MOZART, W.A.: Concertone, K. 190 / Serenade No. 6, "Serenata notturna" / Cassation, K. 63 (Ensemble 415, Banchini)
発売日:2021年06月25日
NMLアルバム番号:ALPHA618
CD価格:1,425円(税込)
名手続々! アンサンブル415活動後期の隠れ名盤は古楽器ならではの魅力満載選曲の面白さもさることながら、ソリスト陣にその後ソロで注目されるようになった名手が多く揃っており、聴きどころに満ちた充実の演奏内容になっている名盤。モーツァルトがまだザルツブルクにいた頃、音楽好きの大司教のために作曲した大掛かりな合奏音楽を集めたプログラムで、中でも10代の作であるカッサシオンは録音が少ない作品。 コントラバスの独奏もありティンパニが独特な活躍をみせるセレナータ・ノットゥルナでの大きな抑揚感のある演奏もさることながら、長大な展開をまったく飽きさせずに聴かせてしまうコンチェルトーネの充実度も圧巻です。 リ・インコーニティのベイエ(ALPHA610)、レ・プレジール・デュ・パルナスのプランティエ(ALPHA621)ら今回のAlpha Collectionシリーズで後年の活躍が見られる俊才たちもソロ参加。プレス切れが長く続いていただけに待望の新装再リリースと言えるでしょう。
収録作曲家:
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D.スカルラッティ(1685-1757):
ソナタ集 [オリヴィエ・カヴェー]発売日:2021年06月25日
CD価格:1,425円(税込)
これぞ、古楽器世代の現代ピアノ!
チッコリーニとティーポの系譜をひくナポリ派の名演一見オーソドックスな選曲をこのうえなく面白く聴かせてくれるアルバム。オリヴィエ・カヴェーはスイス生まれながらナポリ系イタリア人の家系で、同じナポリ系の巨匠アルド・チッコリーニとマリア・ティーポの教えを受けながら、18世紀作品の紹介に熱心だったこの二人と同様に古典派以前のレパートリーで絶妙な演奏を聴かせています。 フォルテピアノやチェンバロなどの演奏にも親しみ、現代ピアノの演奏にその「粋」を反映させることのできる才覚は、リナルド・アレッサンドリーニが絶大な信頼を寄せているところからも裏付けられるところ。スタッカートの踏み込み加減も考えつくされた、チェンバロを彷彿させながらも現代ピアノならではの味わいを湛えた独特な演奏、ぜひ体感下さい。収録作曲家:
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ヴィヴァルディ(1678-1741):
グローリア/マニフィカト
われ喜びに満てり
エルサレムよ、主を讃めたたえよ [エルヴェ・ニケ、ル・コンセール・スピリチュエル]発売日:2021年06月25日
CD価格:1,425円(税込)
ニケのAlphaデビュー盤!
女声合唱と弦楽による人間味と推進力に満ちたヴィヴァルディフランス・バロックの声楽曲をダイナミックに面白く聴かせるエルヴェ・ニケですが、実はイタリア音楽も抜群の感性で聴かせます。 限られた音域の中で多声の展開が続くバロックの女声合唱に魅了されてきたという彼が、Alphaレーベルで最初に選んだプログラムがこのヴィヴァルディ教会音楽集。有名なグローリアは管楽器を使わない版を選び、だからこそ際立つ劇的起伏の面白さをじっくり味あわせてくれます。 他の作品でも勢いを演出しやすい「ヴィヴァルディらしさ」に甘んじることなく、歌詞の細やかさをすくい取った入念な解釈ながら少しも小難しくせず、ドラマティックな展開に昇華してみせているところはさすが。隠れた名曲マニフィカトでの堂に入った音作りにも魅了されます。収録作曲家:
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ヴェストホフ(1656-1705):
ヴァイオリンと通奏低音のための6つのソナタ [ダヴィド・プランティエ、レ・プレジール・デュ・パルナス]発売日:2021年06月25日
CD価格:1,425円(税込)
バッハのヴァイオリン音楽にも大きな影響を与えたドイツの巨匠の重要曲集、決定盤!ヴェストホフはマラン・マレと同じ年に生まれたドイツの音楽家。ヴァイオリン演奏の腕前は当時のドイツ語圏でも指折りで、ビーバーやシュメルツァー、ヴァルターらと並ぶ名声を誇りました。シュッツ亡き後17世紀末のドレスデン宮廷で活躍したのちヴァイマールに移った彼には、当地で宮廷楽員として働いていた10代のバッハも強い影響を受けたようです。 特に無伴奏ヴァイオリンのために重音を多用したパルティータ集を残しており、これがバッハにも大きな影響を与え録音も少なくないのですが、本盤はそれより2年早く出版された通奏低音つきソナタ集の全曲録音。アンサンブル415やカフェ・ツィマーマンなどで経験を積んだ名手プランティエが、自身の主宰するアンサンブルと刻んだ17世紀ドイツ・ヴァイオリン音楽の集大成ともいうべき作品の決定盤で、いまだ競合が現れない貴重な録音が待望の復活です。 通奏低音陣にもアンサンブル415の俊才が集い、巧みなサポートで「伴奏」以上の活躍を聴かせて飽きさせません。
収録作曲家:
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ゼレンカ(1679-1745):
オラトリオ『贖い主の墓前の悔悛者たち』ZWV63 [マリアナ・レヴェルスキ、エーリック・シュトックロッサ、トビアス・ベルント、ヴァーツラフ・ルクス、コレギウム1704、コレギウム・ヴォカーレ1704]ZELENKA, J.D.: Penitenti al sepolcro del Redentore (I) [Oratorio] (Rewerski, Stoklossa, Berndt, Collegium Vocale 1704, Collegium 1704, Luks)
発売日:2021年06月25日
NMLアルバム番号:ALPHA622
CD価格:1,425円(税込)
ゼレンカ後年の声楽作法と劇的音楽感覚が映える重要作ドレスデン宮廷にコントラバス奏者として、また作曲家として仕えたチェコ出身のゼレンカの音楽は、とくに教会音楽の分野で近隣のバッハにも比しうる、あるいは「それ以上」とさえ絶賛されるほどで、どの録音も聴き逃せません。 こちらは、ポーランド王位を継承するためカトリックに改宗したドレスデン宮廷にあっても、故郷オーストリアでの宗派の礼拝習慣に従っていたザクセン選帝侯妃マリア・ヨゼファのためのセレナータ風の受難週音楽。同じ宮廷にいたハッセが使いこなしたイタリア・オペラの語法ともやや異なる、ゼレンカならではの迫真の表現力に満ちた音使いが聴かれ、作曲家後年の充実した作風をじっくり味わうことができます。 チェコSupraphonレーベルでも録音をリリースしてきたヴァーツラフ・ルクス率いるコレギウム1704は、フランスやベルギーなどの古楽先進国でも高い評価を博してきた俊英集団。1730年代の後期バロックの充実を、古楽復興の進んだヨーロッパならではの「発見の面白さ」とともに感じられる1枚です。
収録作曲家:
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ブルッフ(1838-1920):
弦楽五重奏曲 変ホ長調&イ短調
弦楽八重奏曲 変ロ長調 [ケルンWDR交響楽団チェンバー・プレイヤーズ]BRUCH, M.: String Quintets / String Octet (West German Radio Symphony Orchestra Cologne Chamber Players)
発売日:2021年06月25日
NMLアルバム番号:ALPHA743
CD価格:2,475円(税込)
ブルッフ最晩年の傑作を、生地の名手たちが好演!「ヴァイオリン協奏曲第1番」「スコットランド幻想曲」「コル・ニドライ」などの名曲を残し、2020年には歿後100年を迎えたブルッフが、最晩年に書いた室内楽作品を集めたアルバム。ヴィオラを2本用いる弦楽五重奏曲と、亡くなる年に書かれた弦楽八重奏曲(ヴァイオリン4、ヴィオラ2、チェロ、コントラバス)を収録。 いずれの作品も、作曲当時の他の作品に比すると古典的な構成でありながらも自由な発想が生きており、さらに随所に親しみやすい旋律がちりばめられるという、ブルッフが持つ作風が生涯ゆるぎないものであったことを明らかにしています。 ベートーヴェン(ALPHA585)に続く、ケルンWDR交響楽団員のアンサンブルによるALPHAレーベルからのリリース第2弾で、彼らが活動するケルン出身の大作曲家の作品に共感を持って歌い上げています。また各メンバーの高い技術力と切れ味鋭い表現が、作品が待つ深い味わいに程よい締まりも与えています。
収録作曲家:
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コダーイ(1882-1967):
ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 Op.7
ドヴォルザーク(1841-1904):
ピアノ三重奏曲 第4番 Op.90 「ドゥムキー」 [バルナバーシュ・ケレメン、ニコラ・アルトシュテット、アレクサンダー・ロンクヴィヒ]発売日:2021年06月11日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
激しい躍動と高い緊張、そして歌謡性で聴かせるロッケンハウスのコダーイとドヴォルザークドイツ・フランス系チェリストのニコラ・アルトシュテットはピリオド楽器とモダン楽器いずれも弾きこなす才人。ジョヴァンニ・アントニーニ指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコやグスタボ・ドゥダメル指揮ウィーン・フィルと共演し、サロネンの新作チェロ協奏曲初演では作曲者からソリストに招かれるなど現役作曲家の信頼も篤く、更にウィーンのハイドン・フィルの音楽監督兼指揮者としてピリオド・スタイルを取り入れた鮮やかな演奏を聴かせ...と今最もボーダーレスな活躍を見せています。 その彼が2012年から音楽監督を務めるロッケンハウス音楽祭とALPHAとのプロジェクト、2020年のグラモフォン・アウォード室内楽部門を受賞したバルトークとヴェレシュの作品集に次ぐアルバムが登場。音楽祭常連のバルナバーシュ・ケレメンとのデュオによるコダーイは、楽器がゴリっと鳴るような激しさの冒頭から耳を奪われますが、全編に漲る緊張感と、特にケレメンが故国の大作曲家に寄せた共感が心地よい、聴き応えのある出来栄えです。 やはり音楽祭でお馴染みのアレクサンダー・ロンクヴィヒが加わったドヴォルザークは、スラヴ色の強いメロディの歌謡性やリズムの躍動感が素晴らしい演奏。この「ドゥムキー」には、最後に第3楽章の初稿(未完)という興味深いおまけも収録されています。
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-★『レコード芸術』特選盤(2021年8月号)★-
ウェーバー(1786-1826):
作品集
序曲 「精霊の支配者」 ニ短調 Op.27
ピアノと管弦楽のための小協奏曲 ヘ短調 Op.79
歌劇《魔弾の射手》Op.77 より
歌劇《オベロン》 序曲 [マルティン・ヘルムヒェン、アンナ・プロハスカ、クリストフ・エッシェンバッハ、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団]発売日:2021年05月28日
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
ベルリン・コンツェルトハウス200周年記念!
ゆかりの演目による豪華演奏陣の快演1821年5月26日、躍進めざましいプロイセン王国の首都ベルリンに新しい王立劇場がオープンしました。直後の6月18日にはウェーバーの歌劇《魔弾の射手》の初演が大成功を収めてドイツ・ロマン派音楽に決定的一歩をもたらし、翌週には同じ作曲家の「ピアノと管弦楽のための小協奏曲」も同劇場で初演されました。 後にケルン大聖堂を完成に導くことになる大建築家シンケルが設計したこの劇場は、第二次大戦での損壊を経ながら1984年10月に「シャウシュピールハウス」と名を変えて復活。東ドイツ時代にはクルト・ザンデルリング率いるベルリン交響楽団(現ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団)の拠点となったほか、「ベルリンの壁」開放直後の1989年12月にはバーンスタイン指揮の下に第二次大戦での対戦国の音楽家が集まり記念コンサートが開催されるなど、ベルリンの音楽史において独自の伝統を誇っています。 2021年は劇場落成200周年を記念すべく、来日機会も多いベルリン生まれの俊才ヘルムヒェン、ベルリンを拠点に際立った個性を発揮してきたプロハスカをゲストに迎え、2019年にコンツェルトハウス管音楽監督となったクリストフ・エッシェンバッハの指揮のもと、《魔弾の射手》の重要ナンバーを軸としたウェーバー・アルバムを録音! やはり同劇場ゆかりの小協奏曲、作曲家最後の傑作《オベロン》の序曲、演奏会用に転用された《リューベツァール》序曲と、ウェーバーの天才を多角的に味わえる選曲も嬉しいところです。 2008年からコンサートマスターを務める日下紗矢子も参加。名技師シュテファン・レーの適切なエンジニアリングによって劇場空間の音響が鮮やかに収められ、抑揚鮮やかな名演の魅力がきわだつ記念盤となりました。収録作曲家:
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〈HAYDN 2032 第8集〉
「ラ・ロクソラーナ」 ~ ハイドンと東方
ハイドン(1732-1809):
交響曲 第28番・第43番・第63番
バルトーク(1881-1945):
ルーマニア民族舞曲
作者不詳:ジュクンダのソナタ [アントニーニ&イル・ジャルディーノ・アルモニコ]発売日:2021年05月28日
LP 2枚組価格:4,500円(税込、送料無料)
ハイドン交響曲全曲録音第8弾、バルトークのカップリングも話題となったアルバムがアナログ化!今回は作曲者不詳の17世紀作品に加え、20世紀のバルトーク作品がカップリングされるという、初めて18世紀の枠から飛び出たゲスト作曲家選択がなされています。18世紀の楽器で奏でられるバルトークの鮮烈さはさすがアントニーニで、民俗音楽にも通じるテイストがさらに浮き彫りになりました。 というのも、今回のテーマは「東」。オーストリアの東部、ハンガリーとの国境地帯に所領をもっていたハイドンの雇用主エステルハージ侯爵のもと、現地で聴かれたスロヴァキア人たちの伝統音楽やロマ、トルコ文化などへのハイドンの関心が浮き彫りになる選曲。初期と中期の傑作群3作のなか、異国情緒をほんのり漂わせた艶やかな緩徐楽章が美しい交響曲第63番「ラ・ロクソラーナ」を最新の古楽器演奏で聴けるのは実に貴重と言えるでしょう。
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R.シュトラウス(1864-1949):
ブルレスケ ニ短調
管楽器のためのセレナード 変ホ長調
交響詩「死と変容」 [ネルソン・ゲルナー、ミッコ・フランク、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団]STRAUSS, R.: Burleske / Serenade, Op. 7 / Tod und Verklärung (N. Goerner, Radio France Philharmonic, M. Franck)
発売日:2021年05月28日
NMLアルバム番号:ALPHA733
CD価格:2,475円(税込)
色彩豊か! ミッコ・フランクによるリヒャルト・シュトラウスミッコ・フランクと、彼が2015年から音楽監督を務めるフランス放送フィルハーモニー管弦楽団とのリヒャルト・シュトラウス。冒頭を飾る「ブルレスケ」にはアルゼンチン出身のピアニスト、ネルソン・ゲルナーが参加していることにも注目です。 古典派からショパン、現代までの幅広いレパートリーを持ち、どの作品でもピアノをとにかく美しく響かせることに定評のあるゲルナーと、高い機能性を誇るオーケストラからフランクの棒が引き出す硬軟メリハリの利いたサウンドが、時に激しいくぶつかり合い、時に親密に調和しながら曲の魅力を引き立てる「ブルレスケ」。コントラファゴットとコントラバスを重ねた14人編成で、若きシュトラウスの音楽性を瑞々しく歌い上げる「セレナード」。そして「死と変容」は、作品が持つ振幅の激しい場面展開をめくるめく色彩感と大きな高揚で見事に描き、救済の高みへと導く終盤も至福の美しさです。 性格の異なる3曲を上質の演奏で聴くことにより、シュトラウスの幅広い作風を堪能出来る一枚。ALPHAレーベルとラジオ・フランスの共同企画第2弾。
収録作曲家:
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『TIRANNO ティランノ』
~暴君ネロにまつわる作品集~ [ケイト・リンジー、ジョナサン・コーエン、アルカンジェロ、ナーダス・ウィリアムズ、アンドルー・ステイプルズ]Vocal Recital (Mezzo-Soprano): Lindsey, Kate - HANDEL, G.F. / MONARI, B. / MONTEVERDI, C. / SCARLATTI, A. (Tiranno)
発売日:2021年05月28日
NMLアルバム番号:ALPHA736
CD価格:2,475円(税込)
異才リンジーが歌い上げる、ないがしろにされ苦しむ女たちの物語クルト・ヴァイルやフェイルーズなど20世紀のナンバーで味わい深い歌唱を聴かせる一方、ショーソンやラヴェルなどフランス近代作品にも秀で、さらに近年はバロック・オペラ界の名手たちとも素晴らしい演奏を披露する、まさに21世紀型といえる才人歌手ケイト・リンジー。躍進めざましい英国の古楽器アンサンブル、アルカンジェロとの2枚目となるこのアルバムは、暴君として歴史に記憶され、数々の文学・演劇・音楽作品に登場している古代ローマの皇帝ネロをテーマに、裏切られ翻弄されてきた女性たちにまつわるイタリア・バロックの作品を厳選したプログラムです。 これが世界初録音となるアレッサンドロ・スカルラッティの室内カンタータ「ネローネの死」をハイライトに、モンテヴェルディや(こちらも初録音となる)モナーリといった17世紀前半・後半の作品を交え、ヘンデルが青年期にイタリアで書いたカンタータ(息子への愛と復讐に燃えるネロの母アグリッピーナの物語)までの広範な選曲。 アルカンジェロは少人数のトリオ・ソナタ編成ながら通奏低音にはテオルボとハープも加わり、その多彩なサウンドはリンジー特有の耳に残る歌声とこの上ないコラボレーションを聴かせます。 一貫して上質なバロック世界に引き合わせてくれる、ALPHAならではの充実盤です。
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エルレバッハ(1657-1714):
『調和の喜び、音楽の友』 より [ダミアン・ギヨン、ラ・バンケ・セレスト]ERLEBACH, P.H.: Lieder (Guillon, Le Banquet Céleste)
発売日:2021年05月14日
NMLアルバム番号:ALPHA725
CD価格:2,475円(税込)
イタリアとフランスの様式をドイツ流儀に昇華させた17世紀の巨匠バッハ・コレギウム・ジャパンへの客演などで日本では知られるフランス随一のカウンターテナー歌手ダミアン・ギヨン。彼が主宰する古楽アンサンブル、ラ・バンケ・セレストは、さまざまなアルバムでその名を見かける経験豊かな古楽器奏者が集い、その結束の強さ、演奏水準の高さで定評があります。 今回取り上げるエルレバッハはバッハ前夜のドイツ中部で活躍した作曲家で、その世界がどれほど魅力的であったか、彼らならではの細やかな解釈で様々な角度から伝えています。 フランスのマラン・マレやイタリアのコレッリ、英国のパーセルなどと同世代のエルレバッハは、イタリア様式に影響を受けながら、フランスの新しい音楽潮流をいちはやくソナタに取り入れたドイツの作曲家の一人。バッハ一族の活躍地からそう遠くないルドルシュタットという地の宮廷に仕え、ガンバとヴァイオリンをたくみに用いた作品を数多く残しました。 声楽作品では、ルター派の教訓的示唆をたっぷり詰め込んでいながら決して説教がましくなく、それでいて説得力あふれる独唱歌が魅力。その再評価の機運の静かな高まりが明確に形をとったアルバムと言ってよいでしょう。
収録作曲家:
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-★『レコード芸術』特選盤(2021年8月号)★-
ファン・エイク(1590頃-1657):
『笛の楽園』 [フランソワ・ラザレヴィチ]EYCK, J. van: Fluyten Lust-hof (Der), Books 1 and 2 (selections) (Lazarevitch)
発売日:2021年04月23日
NMLアルバム番号:ALPHA558
CD国内仕様 日本語解説付き価格:2,970円(税込)
無伴奏リコーダーの“聖典”たる17世紀の傑作の真相に、あらゆる「当時の笛」で迫る曇りない目で「作曲当時の作品の姿」を見据える研究的姿勢と、圧倒的な演奏能力とを兼ね備えた「古楽の笛」の達人フランソワ・ラザレヴィチ。ALPHAレーベルではフランス中南部の伝統音楽を集めたバグパイプ・アルバムでデビューしたという異色プレイヤーでもありますが、バッハやテレマンなどのフルート作品の本質に生々しく迫ったトラヴェルソ演奏を聴かせる一方、古楽器でアイルランド音楽と向き合うなど、アルバムごとに目が離せない存在です。 そのラザレヴィチが、リコーダー史上の聖典ともいうべき17世紀オランダの曲集『笛の楽園』と正面から対峙。ユトレヒトの教会から町の人に素晴らしい演奏を聴かせたという盲目のカリヨン奏者が綴った、あらゆる笛で演奏しうるというこの曲集の世界を、自身の主たる楽器である横笛はもちろん、ソプラノからバスまで大小さまざまなリコーダー、さらにはバロック-ロココ期に使われたミュゼット(ふいご式バグパイプ)まで駆使して解き明かします。 徹底しているのは、異色ともいえるその楽器選択を忘れさせる卓越した演奏クオリティ! 17世紀の名旋律をたくみに変奏してゆくファン・エイクの機微をとらえた味わい深い演奏は、古楽の枠内に留めておけない圧倒的な存在感です。 解説に寄せられた本人のインタビューも興味深い内容。ALPHAならではの特徴的なアルバムがまたひとつ世に生み出されました。
収録作曲家: