フックス(ヨハン・ヨーゼフ) Fux, Johann Joseph
生没年 | 1660-1741 | 国 | オーストリア |
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辞書順 | 「フ」 | NML作曲家番号 | 18289 |
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フックス(1660-1741):
歌劇《アリアンナの冠》全曲 [アルフレード・ベルナルディーニ、アルノルト・シェーンベルク合唱団、ゼフィーロ・バロック・オーケストラ、モニカ・ピッチニーニ、カルロッタ・コロンボ、マリアンネ・ベアーテ・キーラント ほか]FUX, J.J.: Corona d'Arianna (La) [Opera] (Piccinini, Colombo, Kielland, Zefiro Baroque Orchestra, Bernardini)
発売日:2023年09月22日 NMLアルバム番号:A548
CD価格:2,475円(税込)
ウィーン音楽史上の大御所フックス、最晩期の至芸を充実演奏陣で!ウィーン古典派の三大作曲家が対位法を学んだ理論書『パルナスス山への階梯』の著者で、三代にわたる神聖ローマ皇帝に楽長として仕えた大作曲家フックス。その晩年の知られざる傑作音楽劇が、欧州古楽シーン最前線をゆく演奏陣によって全曲録音されました。 バッハやヘンデルより四半世紀早く、A.スカルラッティやパーセルなどと同じ頃に生まれたフックスは1690~1710年代が活動全盛期でしたが、1723年プラハでの主君の戴冠式を祝う《権勢と貞節》を書きながら脚を悪くして随行できず半ば引退状態に。その中で1726年の皇妃誕生日を祝うべく書かれた《アリアンナの冠》は、数々の木管・金管と打楽器が加わる充実編成の楽団と合唱を従え、5人のソリストが旋律美豊かな歌を交わしてゆく一種のセレナータ。多声処理のたくみさや種々の楽器を活かして効果的な書法を繰り出す引き出しの多さはさすが巨匠の至芸というほかなく、ヴィヴァルディやヘンデルら当時の現役世代にも比肩しうる緩急自在の音楽内容は、フックスが理論好みの書斎派などではなく常に最前線の現役気質を失わなかったことを強く印象づけてくれます。 物語は怪物ミノタウロスを退治した英雄テーセウスがナクソス島に置き去りにしたアリアンナ(アリアドネ)を酒神バッコ(バッコス)が慰め、傍らで王子ペレオと海の精テーティが結ばれるというもの(北半球の星座「かんむり座」はこの作品の表題に示された冠に由来)。 キーラントやピッチニーニらシーン最前線の名歌手たち、頼もしくも切れ味抜群なゼフィーロの古楽器演奏に加え、アーノンクールとの共演歴でも名高いシェーンベルク合唱団の参加も頼もしいところ。充実した作品解説(英・独・伊語)と併せ、ウィーン音楽史を再訪したくなる刺激豊かな新録音と言ってよいでしょう。
収録作曲家:
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ビーバー(1644-1704):
トランペットと弦楽のためのバレットとソナタ集
フックス(1660-1741):
器楽のための協奏曲/パルティータ [クレメンチッチ・コンソート/レネー・クレメンチッチ(指揮)]発売日:2022年05月27日
CD 2枚組価格:2,475円(税込)
レネー・クレメンチッチ(ルネ・クレマンシック)率いるクレメンチッチ(クレマンシック)・コンソートによる2004年録音の名盤2枚をセットにした再発盤。どちらもクレメンチッチ独自の研究成果が盛り込まれており、とりわけフックスは、その作品研究が彼のライフワークでもあることから、ほとんど出版されていなかった器楽作品を演奏したことで高く評価されています。 クレメンチッチ・コンソートはバロック・ヴァイオリニスト、ヒロ・クロサキがコンサートマスターを務める古楽アンサンブル。録音時、すでに10年以上もこのアンサンブルで演奏していた彼は単なる技巧の披露にとどまらない、作品に深く切り込んだ見事な解釈を聞かせます。 またビーバーで素晴らしいバロック・トランペットを聴かせるのは、ジャズ・トランペット奏者でもあるヘルベルト・ヴァルザー。即興的要素も加えながら難しい楽器をやすやすと吹きこなしています。
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フックス(1660-1741):
歌劇《月桂樹に姿を変えたダフネ》 [アルフレード・ベルナルディーニ指揮ゼフィーロ・バロック・オーケストラ]FUX, J.J.: Dafne in Lauro [Opera] (Vendittelli, Piccinini, Pé, Tedla, Contaldo, Zefiro, Bernardini)
発売日:2021年07月16日 NMLアルバム番号:A488
CD 2枚組価格:3,975円(税込、送料無料)
歿後280年。大家フックスの知られざる技量をゼフィーロの妙演で堪能!イタリアの大作曲家アレッサンドロ・スカルラッティと同じ頃に生まれヴィヴァルディと同じ年に亡くなった、ウィーンの巨匠J.J.フックス。17世紀末、いまだイタリア人優遇の機運が根強かったハプスブルク皇室で、ドイツ人ながら別格の厚遇を受け最高楽長の座に君臨できたのは、宮廷人たちを誰よりも魅了できる音楽を提供できるセンスがずばぬけていたからだった……と強く再認識させてくれる録音です。 ハイドンやモーツァルトらも学んだ対位法理論の名著『パルナスス山への階段』の著者として言及されることも多いフックスですが、この《月桂樹に姿を変えたダフネ》はいわばヴィヴァルディの華麗とヘンデル的雄弁に加え、バッハにも通じる精緻まで兼ね備えた充実度! 太陽神アポロの求愛をかわし、女神ディアナの掟通りに貞節を守るため月桂樹に姿を変えた水の精をめぐる伝説を、フックスはメロディアスな歌と巧みな多声書法とを的確に使いスリリングな音物語に綴ってゆきます。 ラファエル・ペやモニカ・ピッチニーニら人気歌手を揃えたソリスト勢もさることながら、器楽パートの豪華さを見れば充実の演奏に仕上がっているのも納得。管楽器勢はグラッツィ兄弟のオーボエとファゴットにマルチェッロ・ガッティのトラヴェルソ、クラリネットの前身楽器でいち早くウィーン宮廷に取り入れられていたシャリュモーにロレンツォ・コッポラ……とゼフィーロならではの豪華さ。さらにヴィオラ・ダ・ガンバには今や大御所の風格も帯びつつあるドゥフトシュミットまでゲストで加わり、多彩な通奏低音楽器の扱いをはじめ随所での入念な解釈と奏者の妙技が生きるエキサイティングな音作りです。
収録作曲家:
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フックス(1660-1741):
室内楽作品全集 [グラーツ・ノイエ・ホーフカペレ/フロイホーファー/ヘル]FUX, J.J.: Concectus Musico-instrumentalis (Neue Hofkapelle Graz, Froihofer, Hell)
発売日:2016年08月26日 NMLアルバム番号:777980-2
CD 2枚組価格:4,400円(税込、送料無料)
「皇帝のレクイエム」で人気を誇るバロック時代のオーストリアの作曲家、フックス(1660-1741)の代表作「Concentus musico -instrumentalis‐ 楽器のための音楽集」は、彼の最初の大きな仕事として知られています。1701年に作曲された当時、レオポルド1世の宮廷音楽家に任命されていたフックスですが、これまでこの地位は殆どイタリア人音楽家によって占められていましたから、フックスがいかに高く信頼されていたかがわかります。 この作品集、実は9冊の分冊からなり、ヴィオラパートの一部が紛失しているため指揮者ルシア・フロイホーファーはこの演奏のために譜面を再構築しています。イタリアとフランスのスタイルが混合された作品集は当時のスタイルを忠実に反映しており、リュリやコレッリの様式を受け継いだ極めて活気ある音楽で構成されています。
収録作曲家:
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メディテーション
チェンバロによる瞑想 [アンドレアス・シュタイアー]Harpsichord Recital: Staier, Andreas - BACH, J.S. / COUPERIN, L. / FISCHER, J.C.F. / FROBERGER, J.J. / FUX, J.J. / STAIER, A. (Méditation)
発売日:2024年02月09日 NMLアルバム番号:ALPHA1012
CD価格:2,775円(税込)
現代に息づくバロック的瞑想。
自作含む名匠シュタイアーの精緻な音楽世界ルネサンスから19世紀に至る鍵盤音楽の素顔を、作品が書かれた時代の楽器と奏法によって弾き、深く追求してきたドイツの名匠アンドレアス・シュタイアー。今回ALPHAから初のソロ・アルバムでは、ドイツ語圏とフランスの17世紀鍵盤音楽を中心とした選曲に、その理念を受け継いだバッハと自作曲(!)を加え、「瞑想」と題した精妙なプログラムを組み上げました。 シュタイアーによれば、ここに収められた楽曲の多くには定旋律(ここでは13世紀にさかのぼる聖歌「パンジェ・リングァ」)と特定の音型を音高を変えつつ繰り返すゼクエンツの2つの技法が用いられており、彼の作品もこの技法に沿っているとのこと。アンクランゲ(こだま、余韻などの意味がある)と題された自作曲は、作曲家ブリス・ポゼとの対話から着想を得てスケッチしたものを、コロナ禍で演奏会が激減したのを機に完成させた作品で、全6曲から成り、演奏時間は30分を越える大作。2024年秋には日本でも披露する予定です。 アルバムを通して聴くと、圧巻というほかないシュタイアーの自然なタッチが紡ぎ出す解釈の味わいと相俟って、収録曲相互の連関性と作曲技法の伝統が静かに浮き上がります。 シュタイアーは今後もALPHAより数枚のアルバム・リリースを予定しています。 -
『SAPPERLOT(おお神よ)!』
1700年頃製のクラヴィコードで聴く
昔日のオーストリア鍵盤楽曲 [アレクサンダー・ゲルゲリフィ]発売日:2022年12月16日
CD価格:2,475円(税込)
300年以上前の響きから立ちのぼる歴史の息吹!
これがモーツァルトに至る道大バッハやその息子たちが愛奏していたことで知られるクラヴィコードは、小型で卓上に置け持ち運びもしやすい古くからある鍵盤楽器。小片で弦を突き上げて音を出す構造のため、打鍵した瞬間やその後鍵盤を押さえている指の力しだいで音にニュアンスがつけられ、表情豊かな演奏ができるかわり奏者自身のごく周辺にしか音が届かず、プロ音楽家が大人数相手に演奏することが増えた19世紀以降に音楽史の表舞台から姿を消しました。しかしオルガニストの練習用などプライベート空間でこれを愛奏した音楽家は欧州各地に多く、モーツァルトも旅先で鍵盤練習ができる旅行用の楽器を持っていたことが知られています。 その伝統を踏まえ、1700年前後から残るオーストリアでは現存最古のオリジナル楽器を用い、バロック以前の音楽から多くを学んだ18世紀の音楽家たちの個人的な演奏空間の響きに迫ったのがこのアルバム。楽器は全て製作者の地元周辺で切り出された木材で出来ており、共鳴弦型で同時に鳴らせない音が生じるため奏者も工夫が必要ですが、リンツ生まれの若き名手アレクサンダー・ゲルゲリフィは巧みにニュアンス豊かな演奏で、300年以上前から残る楽器の素材感豊かな味わいを引き出してゆきます。 楽器そのものの微音を間近で克明に捉えたエンジニアリングで、モーツァルトも学んだバロックの巨匠フックスやムッファトの多声書法から、ドイツ語圏南部のロココ期ならではの典雅な鍵盤曲まで、多様な音楽様式を通じての音による歴史旅行をお楽しみ下さい。 -
王侯のレクイエム[5枚組 BOX]
~15-19世紀、為政者たちを見送った知られざる傑作の数々~ [様々なアーティスト]発売日:2021年10月22日
CD 5枚組価格:4,425円(税込、送料無料)
名品が一堂に!
欧州史に輝く名家の死者たちを見送った知られざる傑作群がAlphaのBOXで創設以来つねに歴史に埋もれた傑作の復権に大きく寄与してきた実績のあるAlphaレーベルならではの「レクイエムBOX」が登場。死者を見送るミサのための音楽=レクイエムやそれに類する葬送音楽には、有名曲に限らず驚くべき傑作がなぜか多く、隠れた名品に出会える可能性が高いのですが、今回のBOXにはその最高の実例ともいうべき秘曲が凝縮されています。 オケゲムやジョスカンが活躍した15世紀末の逸材フェヴァンによるフランス王家に捧げられたア・カペラ多声楽曲に始まり、前古典派世代の最重要人物の一人ヨンメッリのあまりに美しいレクイエム、革命の犠牲となった王と王妃をナポレオン戦争後に追悼すべく用意された三つの大作、リュリ前夜のフランス音楽史の間隙を埋める秘作にパーセルの重要曲、そして密かにファンが多いフックスの「皇帝レクイエム」。 ケルビーニのハ短調レクイエム(ニケならではの名演!)が辛うじて競合盤多数というくらいで、どれをとっても知名度は決して高くない曲にもかかわらず、初回リリース時に圧倒的な注目をリスナーや批評家勢から集めた音源ばかりが厳選されています。有名作が不在であるだけに聴覚体験の満足度の高さは嬉しい驚きとなるでしょう。 この10年内に出た録音が大半で、日本でも好評を博したヨンメッリ盤のような近作まで収録されている点もポイント。AlphaのほかZig-Zag Territoires、Ricercar、Arcanaの音源も含まれ、ニケや故マルゴワールなどの敏腕指揮者たちから、ル・ポエム・アルモニークやドゥース・メモワールなど最前線団体の活躍にまで触れられる充実度満点のBOXです。 -
ビーバー(1644-1704):
レクイエム
~17世紀ドイツ語圏の教会音楽 [ヴォクス・ルミニス、フライブルク・バロックコンソート、リオネル・ムニエ]発売日:2021年02月26日
CD国内仕様 日本語解説・歌詞訳付き価格:2,970円(税込)
ビーバーの傑作を中心に、厳選された編成で甦る17世紀の生々しい息吹きすでにRicercarやALPHAで多くの名盤をリリース、世界的に絶賛されているヴォクス・ルミニス。彼らが、ヨーロッパ随一の古楽拠点であるドイツのフライブルクに集う精鋭器楽奏者たちとともに制作したこのアルバムは、最も得意とする17世紀ドイツ語圏の音楽! 以前より、シュッツ『音楽による葬送』やフックスのレクィエムをはじめ、死者に捧げられる礼拝音楽の録音で高評価を得てきたグループですが、今回はこれまでとりあげてこなかった、ザルツブルクの巨匠ビーバーの傑作がプログラムの中心を占めています。 器楽陣営にはヴェロニカ・スクプリクやペトラ・ミュレヤンス、ヒレ・パールにリー・サンタナ、あるいはサックバット(トロンボーン)のシメン・ファン・メヘレン……と、世界の古楽シーンをまたにかけ活躍する実力派が、極小編成に集まっているのがポイント。声楽パートも少人数でメンバーの個性が際立って聴こえ、古楽器の美しい音色とともに各作品の音運びを生々しく捉えてゆく妙演となっており、17世紀ならではの音楽世界が鮮明に浮かび上がる感触がたまりません。 ハンブルクのベルンハルトに始まりウィーンの巨匠フックスで締めくくられる、ドイツ語圏の北と南のつながりを概観する選曲も絶妙。ALPHAレーベルならではの筋の通った古楽アルバムです。
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R.シュトラウスとウィーンのトランペット
~ ウィーンにまつわる作品の
トランペットとピアノのための編曲集 [ジョナサン・フリーマン=アットウッド(トランペット)、チャン・ウォン(ピアノ)]発売日:2020年02月14日
CD価格:2,475円(税込)
英国王立音楽院学長が贈るトランペットとピアノのためのニューレパートリー、ウィーン編ヴァイオリンのレイチェル・ポッジャーなどを手掛けた名音楽プロデューサーであり、2008年から英国王立音楽院の学長も務めるトランペット奏者フリーマン=アットウッドによる、トランペットとピアノのためのレパートリー集。これまで仮面劇(ルネサンスからバロックまで作品集)、バッハ、フォーレ、ロマン派などのテーマでリリースされてきましたが、今回はウィーンにまつわる作品集となっています。 中でも、リヒャルト・シュトラウスのヴァイオリン・ソナタを元に新たに創造された「ソナタ」に注目。彼がトランペット・ソナタを残していたらこうなっただろうという、たいへん聴き応えのある作品に仕上がっています。