知られざる作曲家の新譜
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〈musica viva #47〉
リザ・リム
縫い合わされた世界
メアリー/トラウマの超越
コンパス [ニコラ・アルトシュテット 他、エドワード・ガードナー、フランク・オルー、クリストフ・ポッペン、バイエルン放送交響楽団]発売日:2025年08月22日
CD価格:2,325円(税込)
リザ・リムは、1966年にオーストラリアのパースに生まれた作曲家、教育者、音楽学者。彼女の音楽は、協調性と異文化への関心を大きな特徴とし、近年の作品では、美、怒りや騒音、環境問題、そして女性の精神的伝統の探求が重要なテーマとなっています。世界各地のオーケストラや音楽団体から委嘱を受けており、その作品は国際的な権威ある音楽祭でたびたび演奏されています。2024年には、OPUS KLASSIKより「年間最優秀作曲家」に選出されました。現在はシドニー音楽院にて、作曲およびオーストラリア音楽の教授を務めています。 また、オーストラリア研究会議の桂冠フェローシップの一環として、2025年からは音楽を通じて気候変動や社会的課題の探求を促進するプログラムを主導。オーストラリア音楽界における委嘱活動、演奏機会、次世代のリーダーシップ育成に大きな影響を与えています。
収録作曲家:
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ワインガルトナー(1863-1942):
交響曲全集
交響詩全集
ヴァイオリン協奏曲他 [マルコ・レトーニャ、バーゼル交響楽団、アラン・フランシス、南西ドイツ放送カイザースラウテルン管弦楽団]発売日:2025年07月25日
CD 8枚組価格:11,700円(税込、送料無料)
往年の名指揮者フェリックス・ワインガルトナーは、フランツ・リストに師事した作曲家でもあり、7曲の交響曲や管弦楽曲、いくつかのオペラや室内楽作品を残しています。彼の作品は師であったライネッケや、指揮者として度々取り上げたブラームスの影響を強く受けており、当時としては比較的明快な和声と堅固な構成を特徴としています。cpoレーベルからは、スロヴェニア出身でオトマール・スイトナーに師事した指揮者マルコ・レトーニャとバーゼル交響楽団による交響曲全集および管弦楽作品集がリリースされており、2014年には7枚のアルバムを収めた全集ボックスが発売されました。 今回のBOXセットでは、これらにワインガルトナーが1934年にシューベルトの未完のホ長調交響曲を補筆・完成させた作品と自作のヴァイオリン協奏曲をアラン・フランシスの指揮で収録した1枚(999424)を追加したもの。シューベルトへの深い愛情と作曲家としての力量が反映されたこの完成版は、ワインガルトナーの音楽世界を探求するうえで重要な位置を占めるものです。 ※2014年発売の7枚組はSACDハイブリッド・ディスクでしたが、今回は通常CDでのリリースとなります。
収録作曲家:
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タイケ(1864-1922):
〈行進曲集 第2集〉
ツェッペリン伯爵行進曲
ハンザ行進曲/ポツダム万歳他 [アレクサンドル・ハンソン、王立スウェーデン海軍バンド]TEIKE, C.: Marches, Vol. 2 (Royal Swedish Navy Band, Alexander Hanson)
発売日:2025年07月11日
NMLアルバム番号:8.574318
CD価格:1,900円(税込)
《旧友》が有名なタイケの行進曲を系統的に録音するシリーズ第2集です。 軍楽隊に所属しながら作曲を志したタイケの行進曲には、軍楽の宿命として当時の政治体制や軍隊を讃え、士気を高めるべく書かれたものが多くあり、それらの中には後の政治状況の変化によって翻弄されたものもあります。このアルバムでは純粋に作品の音楽的価値に焦点を当て、見過ごされがちだった作品群の真価を問いかけます。
収録作曲家:
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ローリゼン(1943-):
永遠の光
ルネスタッド(1986-):
アース・シンフォニー [バイエルン放送合唱団、ミュンヘン放送管弦楽団、ジョーゼフ・R・オレフィロヴィッチ]発売日:2025年07月04日
CD価格:2,325円(税込)
アメリカの作曲家モートン・ローリゼンとジェイク・ルネスタッドによる、精神的な啓示や自然へのまなざしを音楽で描いた作品を収録しています。 ローリゼンは合唱作品で国際的な評価を得ており、この「Lux Aeterna 永遠の光」は母の死に直面する中で「光」の象徴に慰めを見出した心情が反映されています。ルネスタッドは自然への深い共感を創作の源としており、この「アース・シンフォニー」では、「母なる大地」の視点から人類の歴史を見つめ、その進化と繁栄が破壊と嘆きをもたらした後、再生へと向かう5つの楽章で構成されたメッセージ性の強い作品です。 ジョーゼフ・R・オレフィロヴィッチは声楽を含む大規模な作品の活気に満ちた演奏で人気があり、 ウィーン・フォルクスオーパーでの指揮経験も豊富。ミュンヘン放送管弦楽団では、ミュージカル《シンデレラ》のヨーロッパ初演や楽団創立70周年記念の特別公演を指揮。いずれも好評を博しています。
収録作曲家:
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天の父の声が
ウィリアム・マンディ教会音楽集 [ロバート・クィニー、オックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団]MUNDY, W.: Vox Patris caelestis (Oxford New College Choir, Quinney)
発売日:2025年06月06日
NMLアルバム番号:CKD775
CD価格:2,775円(税込)
英国教会音楽の変転期を見届けた大家W.マンディの多面性に迫る16世紀中盤、英国の教会音楽の歌唱がラテン語から英語になってゆく時代に活躍した大家ウィリアム・マンディの作品集。1543年までにロンドン・ウェストミンスター・アビーの首席聖歌隊員となっていたマンディは、英国がラテン語礼拝一色だった頃から作曲を始め、青年期にロンドンで実践経験を重ねたのち、終生の職場となる王室聖歌隊に加わります。その間エドワード7世の英語礼拝導入期(1549ー53)、メアリー1世のローマ・カトリック回帰によるラテン語礼拝復活期(1553ー58)を経て、最終的に英語礼拝がエリザベス1世の治世で定着するまで、彼は状況に応じ英語・ラテン語どちらの祈祷文にも曲をつけました。 本盤ではオルガニスト・合唱指揮者として幅広く活躍するロバート・クィニーが、2014年以来音楽監督を務める少年&成年ア・カペラの名門オックスフォード・ニュー・カレッジ合唱団と共に、ラテン語作品を中心に7作を厳選。佳品「目覚めていても、眠っていても」での堅固な一体感、簡素な2声から堂々6声まで展開する演奏時間20分超の大作「天の父の声が」での多様な声楽表現、フェアファックスやタヴァナーら先行世代を思わせる最初期作「キリエ」での単旋律聖歌と多声の交錯など、各作品の魅力をよく引き出した充実解釈でマンディの多面性をじっくり味わわせてくれます。
収録作曲家:
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ホイスゴー(1954-):
〈小管弦楽のための作品集〉
エッセイズ
展覧会の絵
日没をあなたに [フレデリーケ・カンプマン、ロベール・フサール、アテラス・シンフォニエッタ 他]HØJSGAARD, E.: Please Accept a Sunset / Essays (Kampmann, Athelas Sinfonietta Copenhagen, Houssart, Danish Chamber Players, Thorel)
発売日:2025年05月30日
NMLアルバム番号:8.224764
CD価格:2,475円(税込)
オーフス生まれの作曲家エーリク・ホイスゴー。デンマーク王立音楽アカデミーで聴音(Aural Training)科の教授を務め、多くの学生を指導してきました。アルバン・ベルクにも例えられる彼の作風は詩的でメランコリックであり、1980年代に広まった「ニュー・シンプリシティ(新しい単純性)」の要素も備えた聴きやすいものです。 このアルバムには、ヴェネツィアの幻想的な空気を描いた「エッセイズ」、L. A. リングの絵画からインスパイアされた「展覧会の絵」、そしてさまざまな文学の断片が歌詞の中で交錯する「日没をあなたに」が収録されています。
収録作曲家:
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ステーン=アナセン(1976-):
チェンバード・ミュージック [宗像 礼、オスロ・シンフォニエッタ]STEEN-ANDERSEN, S.: Chambered Music (Oslo Sinfonietta, Rei Munakata)
発売日:2025年05月30日
NMLアルバム番号:8.224769
CD価格:2,475円(税込)
シモン・ステーン=アナセンは音程や和声といった従来の音楽的要素を排除し、似たものの無い非調性的な音楽を目指す作曲家。このアルバム「Chambered Music 閉じ込められた音楽」には、彼の初期作品が収録されており、斬新で没入感のある音楽体験が味わえます。 宗像礼(むなかたれい)は、横浜生まれの指揮者・作曲家。2012年のダルムシュタット夏季現代音楽講習会で自作が大ブレイク、以降、現代音楽を専門に国際的に活躍しています。2003年よりストックホルムを拠点とする現代音楽アンサンブル「キュリアス・チェンバー・プレイヤーズ(Curious Chamber Players)」の芸術監督および首席指揮者を務めるとともに、アテラス・シンフォニエッタやオスロ・シンフォニエッタなど北欧を中心とした多数の現代音楽アンサンブルとも共演、新たなレパートリーの開拓に取り組んでいます。
収録作曲家:
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デイヴィッド・シフ(1945-):
プリフォンテーン
アンドレア・ラインケマイヤー(1976-):
ウォーター・シングス・ファイア [フランチェスコ・レッチェ=チョン、ユージーン交響楽団]SCHIFF, D.: Prefontaine / REINKEMEYER, A.: Water Sings Fire (Eugene Symphony, Lecce-Chong)
発売日:2025年05月23日
NMLアルバム番号:DE3609
CD価格:2,775円(税込)
2022年オレゴン州ユージーンで開催された世界陸上競技選手権大会に先立ち、ユージーン交響楽団が地元の伝説的ランナー、スティーヴ・プリフォンテーン(1951-1975)に捧げる作品として、やはりオレゴン州出身のデイヴィッド・シフに委嘱した「プリフォンテーン」を収録したアルバム。プリフォンテーンの「自分のベストを尽くさないことは、才能を犠牲にすることだ」という言葉からインスピレーションを受けた全3楽章35分ほどの作品で、サクソフォンを含む3管編成の大規模な管弦楽を用いて、彼が駆け抜けた24年の短い生涯を描きつつその功績を讃えています。 カップリングのアンドレア・ラインケマイヤーによる「ウォーター・シングス・ファイア」は、リー・バルドゥーゴの短編小説『When Water Sang Fire』からインスピレーションを得ており、野心と裏切りが地味な人魚ウラを荒れ狂う海の魔女(アースラ)へと変身させるという寓話が描かれています。いずれも調性感の強い親しみやすい作品です。
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マッケイ(1899-1970):
〈弦楽四重奏曲集〉
弦楽四重奏曲 第1番-第4番 [フォルモサ四重奏団]MCKAY, G.F.: String Quartets Nos. 1-4 (Formosa Quartet)
発売日:2025年05月23日
NMLアルバム番号:ORC100381
CD価格:2,175円(税込)
ジョージ・フレデリック・マッケイは1899年、ワシントン州の開拓者家庭に生まれ、創設されたばかりのイーストマン音楽学校でクリスティアン・シンディングとセリム・パルムグレンに師事、初の作曲学位を取得しています。ガーシュウィン、コープランド、バルトーク、ストコフスキーら多くの音楽家と交流し、彼の作品は国内の主要オーケストラで演奏されました。またワシントン大学では作曲科(Composition Department)を設立し、40年以上にわたり教授を務め後進を育てています。 このアルバムには、彼が「他のどの形式よりも好んだ」という弦楽四重奏曲を収録。30代に書かれた第1番と第2番、円熟期の1950年に書かれた「時の流れ」をテーマにした第3番、同じく1950年、長く温めてきた素材をわずか4日で作品に仕上げたという第4番を聴くことができます。どれもロマン主義とネイティヴ・アメリカン音楽の影響が融合した聴きやすい音楽です。 演奏は現代音楽を積極的に紹介するフォルモサ四重奏団。
収録作曲家:
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トラエッタ(1727-1779):
オラトリオ「ソロモン王」 [ズザンネ・イェロスメ、エレオノーラ・ベロッチ 他、クリストフ・ルセ、テレジア、ノヴァ・カント]TRAETTA, T.: Rex Salomone [Oratorio] (Jerosme, Bellocci, Munger, NovoCanto Vocal Ensemble, Theresia Orchestra, Rousset)
発売日:2025年05月16日
NMLアルバム番号:555654-2
CD 2枚組価格:4,800円(税込、送料無料)
1727年イタリア南東部の町ビトントに生まれたトンマーゾ・トラエッタは、ナポリでニコラ・ポルポラらに師事し、オペラ作曲家として名を成した後に、パルマ宮廷の楽長となっています。当地では、ラモーらフランスの作曲家たちの音楽悲劇(トラジェディ・リリク)の様式を取り入れ、大成功を収めました。この成功により、ロシアのエカテリーナ二世から招かれて、宮廷楽長として厚遇を受け、オペラ・セリアや宗教音楽を数多く作曲。しかし、ロシアで体調を崩し、その後、ロンドンを経てイタリアに戻り、ヴェネツィアで没しています。 オラトリオ「ソロモン王」は旧約聖書の『列王記』第1章をベースに、ソロモン王とモーゼの十戒の石板が収められた「契約の箱」を題材とした作品で、1766年にヴェネツィアのデレリッティ慈善院(通称:オスペダレット)の合唱指揮者に就任したトラエッタにとって、当地でのデビュー作となったものでした。ソロモン王の他、シバの女王、アビアタル、司祭ツァドク、アモン人のアドンといった登場人物は、オスペダレットの優れた女性歌手のために、すべて女声の音域で書かれています。このオラトリオは大成功を収め、初演以降何度も上演されたことが記録に残っています。1776年の上演に当たっては音楽と台本に変更が加えられましたが、この演奏はこの時の版を基にしています。壮麗さと優美さを兼ね備えたアリアが各場面に1曲ずつ各役柄に与えられ、特に主役であるソロモンのアリアには力が入っており、作品の聴きどころとなっています。少ないながらも効果的に加えられる合唱(女声三部)も注目点でしょう。 この録音は、2023年のインスブルック古楽音楽祭においてクリストフ・ルセの指揮で行われた公演を収録したもの。サリエーリやグルックといったバロック以降の18世紀の作曲家たちの貴重な劇作品を演奏・録音してきたルセの卓越した指揮の下、古楽作品やバロック・オペラを得意とする若手実力派女性歌手たちが素晴らしい歌唱を披露しています。 テレジアは「女帝」マリア・テレジアの名を冠して2012年に結成されたピリオド楽器オーケストラで、世界約40か国から集められた若手奏者から成り、古典派時代の作品を主要レパートリーとしています。現在では、ヨーロッパ全域に活動の幅を広げ、CPOレーベルから、気鋭の指揮者たちと18世紀の貴重な作品の録音をリリースしています。 ジャケット絵画:ジャンバティスタ・ティエポロ派「ソロモン王の前のシバの女王」(1760年)
収録作曲家:
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発売日:2025年05月16日
CD国内盤価格:3,300円(税込、送料無料)
ダマーズ演奏の第一人者・山田磨依、
待望の新作は世界初「エチュード全集」フルートやハープなどの室内楽作品で人気の高いフランスの作曲家ジャン=ミシェル・ダマーズ(1928-2013年)はピアノの名手でもあり、演奏会向けから教育用まで全30曲のエチュードを遺しています。世界初となる全曲録音に、前作『ダマーズ:ピアノ作品集』で高い評価を得た山田磨依が挑みました。《8つのエチュード》は「リストの再来」と呼ばれた大ピアニスト、ジョルジュ・シフラを念頭に書いたと作曲家自身が語った難曲。 「エチュード」の副題を持つ《自転車》はダマーズらしからぬドライヴ感あふれる珍品で、ダマーズ・ファンも度肝を抜かれること請け合いです。 ダマーズの全ピアノ曲演奏をライフワークとする山田磨依。2023年リリースのセカンドアルバム『ダマーズ:ピアノ作品集』はレコード芸術の特選盤に選ばれ、月刊ショパン、朝日新聞(for your Collectionで推薦盤)、東京新聞・中日新聞、週刊東洋経済でも取り上げられました。収録作曲家:
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フィリップ・シャルヴェンカ(1847-1917)
クサヴァー・シャルヴェンカ(1850-1924):
ヴァイオリンとピアノのための作品集 [キム・ヨラ、マッテオ・ウェーバー]SCHARWENKA, X. / SCHARWENKA, P.: Violin Sonatas (Yoerae Kim, M. Weber)
発売日:2025年05月02日
NMLアルバム番号:C3012
CD価格:1,800円(税込)
フィリップとクサヴァー・シャルヴェンカの兄弟は、プロイセンのサムテル(現在のポーランド、シャモトゥイ)で生まれ、ベルリンで本格的な音楽教育を受けました。兄のフィリップは作曲を中心に学んで音楽理論の教師となり、弟のクサヴァーはピアニストとして成功します。クサヴァーは1860年代にいくつかの室内楽作品を作曲しましたが、1870年代にコンサートピアニストとしての活動に専念するため作曲から離れ、その後ベルリンやニューヨークで主に教育者として活躍しました。 フィリップはピアノ曲や室内楽の作曲に重点を置き、ここに収録された「組曲ト短調」や、技巧的で独創的な構成が特徴の「ヴァイオリン・ソナタ第2番 ホ短調」など、数々の作品を生み出しました。このアルバムでは、キム・ヨラとマッテオ・ウェーバーが兄弟の音楽の特徴を鮮やかに描き出しています。 キム・ヨラは韓国出身のヴァイオリニスト。フランツ・リスト音楽アカデミーやマンハイム音楽大学で学び、バイエルン放送交響楽団の第1ヴァイオリン奏者やカッセル州立劇場のコンサートマスターを務めました。室内楽でも活躍し、複数のコンクールで受賞を果たし、2021年より、ラインラント=プファルツ州立フィルの第2コンサートマスターを務めています。 マッテオ・ウェーバーは2002年にドイツで生まれたピアニスト。11歳からピアノを学び、13歳でバッハ・コンクールに優勝しました。その後、パリ国際音楽祭やセザール・フランク国際コンクールなどで受賞を重ね、2019年にカールスルーエ音楽大学に進学。著名なピアニストのマスタークラスを受講し、奨学金を受けながら研鑽を積んでいます。
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スメラ(1950-2000):
交響曲 第1番・第6番 [オラリー・エルツ(指揮)、エストニア国立交響楽団]SUMERA, L.: Symphonies Nos. 1 and 6 (Estonian National Symphony, Elts)
発売日:2025年05月02日
NMLアルバム番号:ODE1449-2
CD価格:2,475円(税込)
Ondineレーベルが20世紀後半のエストニアを代表するレポ・スメラの交響曲全集を開始。
エストニア国立交響楽団の演奏、指揮は同響音楽監督でスメラと同郷タリン生まれのオラリー・エルツ!ソ連時代のエストニアに生まれたスメラは同国の音楽界に多大な影響を与えたヴェリヨ・トルミスやヘイノ・エッレルに学び、後にはモスクワ音楽院でも学びました。無調音楽に傾倒し、コンピュータ・ミュージックを導入したかと思えば、わかりやすく感情に伝えかける映画音楽でも手腕を発揮し、38歳の年からはエストニア文化省の大臣も務め、50歳の若さで亡くなりました。1981年から2000年にかけて書かれた6曲の交響曲は、多くの顔を持つ作曲家スメラの中でもシリアスな面を代表する作品群とされています。 エルツの全集第1作は、最初と最後の作品のカップリング。どちらも2楽章構成で、すべての楽章が弱音で消えてゆくように終わります。第1番の第1楽章はアルヴォ・ペルトのティンティナブリ様式を思わせる鐘の音を模した壮大かつ厳粛なサウンドと、同じくペルトに通じる静謐で瞑想的な音楽がコントラストを成しています。第2楽章は吹き渡る風を思わせるオーケストラのサウンドが弱音で延々と続いたのち、突如としてショスタコーヴィチを思わせる行進曲風の音楽や戦争の描写のような場面が割り込み、再び風と静寂の世界に戻ってゆく音楽。同じモチーフを繰り返しつつ巧みに楽器を変えてゆくことで独特の効果を挙げています。第6番の第1楽章も静謐な音楽と大音響とのコントラストが強烈ですが、大音量部分のサウンドはより破壊的となり、その強烈な対比はカンチェリのオーケストラ作品を思わせます。第2楽章は悲痛な雰囲気を湛えた謎めいた音楽。 スメラの交響曲全集はパーヴォ・ヤルヴィがBISに録音していましたが、第1番から第5番はマルメ交響楽団(第6番のみエストニア国立交響楽団)だったので、当全集が完成の暁には、エストニアのオケと指揮者による初の全集となる見込みです。収録作曲家:
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ル・ボー(1850-1927):
室内楽曲と歌曲集 [ル・ボー・アンサンブル]LE BEAU, L.A.: Chamber Music and Songs (Le Beau Ensemble)
発売日:2025年04月18日
NMLアルバム番号:OC1732
CD価格:2,475円(税込)
19世紀に活躍し「ドイツ初の傑出した女性作曲家」と評されたルイーゼ・アドルファ・ル・ボー。幼少期から音楽教育を受け、クララ・シューマンにピアノを学び、ヘルマン・レヴィやハンス・フォン・ビューローの推薦を得て、ミュンヘンのヨーゼフ・ガブリエル・ラインベルガーに作曲を師事しました。彼が彼女を生徒として受け入れたのはヴァイオリン・ソナタ Op.1を聴いた後で、その音楽を「男性的で、女性が作ったとは思えない」と驚愕したと言われています。その後、交響曲、ピアノ曲、室内楽など多岐にわたる作品を書き上げ、中でも声楽曲はその多くが生前に出版されましたが、1902年に作曲した唯一のオペラ《Der verzauberte Kalif 魔法にかけられたカリフ》がカールスルーエ歌劇場のプログラムから外されたことを契機に、女性作曲家への偏見を告発するため1910年に『女性作曲家の回想録』を出版しました。この書は、同時代の音楽界についての貴重な記録でもあります。 このアルバムには彼女の歌曲とピアノ四重奏曲を収録。Op. 4の歌曲は1865年に作曲され、1877年に出版されました。ドイツ・ロマン主義の詩人のテキストを用いた若々しさ溢れる作品です。Op. 11の「5つの歌」は1876年の作品で、特に「Kornblumen und Haidekraut」では、詩の語りと音楽の表現が見事に融合しており、ラインベルガーもこの作品を称賛しています。ここではヘンリク・アヤックスが編曲したピアノ四重奏伴奏版で聴くことができます。 (曲目・内容欄に続く)
収録作曲家:
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LEAPS & BOUNDS
ランス・ヒュームの音楽 [ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団、Wildcat 9 サクソフォン・オーケストラ 他]HULME, L.: Leaps and Bounds / Appalachian Advent / Siren's Song (Boysen, Bieler, Covach, Wildcat 9 Saxophone Orchestra, Brno Philharmonic, Toms)
発売日:2025年04月11日
NMLアルバム番号:MEX77212
CD 2枚組価格:3,225円(税込、送料無料)
ランス・ヒュームは、作曲家・指揮者として世界的に活躍、多彩なスタイルによる彼の作品はアメリカ、ヨーロッパ、アジア、南米で演奏され高く評価されるとともに、アレンジャー、教育者としても活躍しています。このアルバムは、ヒュームの作品を包括的に紹介することで、彼の独創的な作曲技法、多文化的視点を浮き彫りにします。 アルバムにはホメロスの『オデュッセイア』に基づく交響的三部作「「Sirens’ Song」やサクソフォンアンサンブルのための「Wildcat」、ロック風フルートと尺八の響きの融合を表現した「JethroZen」をはじめ、民俗音楽の要素を採り入れた曲、数学的な構造を音楽に応用した曲、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの聖歌と電子音響を融合させた「Setting the Diamond」など多彩なアプローチによる作品が収録されています。
収録作曲家: