2014年9月
39 件 / 39件中
-
ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス
コヴェント・ガーデン王立歌劇場ライヴ
1955~1997ROYAL OPERA (The): Great Performances (Recorded Live 1955-1997)
■オペラ
発売日:2014年09月30日
28枚組価格:13,800円(税込、送料無料)
-
アッテルベリ(1887-1974)
ラングストレム(1884-1947):
弦楽四重奏曲集 [ステンハンマル四重奏団]ATTERBERG, K.: String Quartets, Opp. 11 and 39 / RANGSTRÖM, T.: String Quartet (Stenhammar Quartet)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:777270-2
CD価格:1,710円(税込)
スウェーデンを代表する近代作曲家、アッテルベリ(1887-1974)とラングストレム(1884-1947)の弦楽四重奏曲集です。2人とも同じ世代に属しますが、その活動は全く違う様相を呈しています。 アッテルベリは最初チェロを学ぶも、大学は王立工科大学に入学、電気技術者としての研鑽を積みながら、オーケストラに入団しチェロを弾いていました。決して音楽を職業にしていたわけではなく、本職はストックホルムの特許局の職員でしたが、それでも9曲の交響曲、5曲のオペラをはじめとした膨大な作品を書き上げたことで知られています。 かたやラングストレムはストックホルムに生まれ、音楽を学ぶためにドイツに留学し、ハンス・プフィッツナーに師事しています。1922年から1935年まではエーテボリ交響楽団の首席指揮者も務めています。その後はスウェーデン作曲家協会を設立し、王立歌劇場の広報も努めていました。 そんな2人の弦楽四重奏曲ですが、アッテルベリの2番は忙しないモティーフで始まり、夢幻的な第2楽章へと続きます。第3楽章は重々しいワルツです。第3番はニ長調という調性のせいか清々しさを感じさせます。終楽章はタランテラのような揺れるリズムが印象的。ラングストレムの曲は更にモダンです。
-
レズニチェク(1860-1945):
交響曲 第3番&第4番 [ロベルト・シューマン・フィル/ベールマン]REZNICEK, E.N. von: Symphonies Nos. 3 and 4 (Robert Schumann Philharmonie, Beermann)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:777637-2
CD価格:2,608円(税込)
cpoレーベルの隠れた人気シリーズ、レズニチェク(1860-1945)の交響曲全集もこれで完結となります。レズニチェクはもともとチェコの貴族の血を引く良家の出身で、法学と音楽を学び、指揮者として活動し、1886年から1894年まではプラハの楽長も務めたほどの才人です。第三帝国の時代には高い名声を得て、またヒトラーからも擁護され、その作品は数多くの楽団、指揮者によって演奏されました。個人的にはリヒャルト・シュトラウスとも友人関係を築いていましたが、作品的にはシュトラウスを超えることはなかったようで、新古典派、ロマン派、表現主義など、その時代のあらゆる流派を取り入れ、なおかつそこに皮肉っぽさを加えた彼の作品は、結局のところほとんどが忘れ去られて現在に至っています。 第3番の交響曲は、その前の第2番の完成から14年を経て作曲されましたが、第3番の表題に見られるように、若干時代を遡った感もあり、却って魅力的な音楽となっているところが面白いものです。
収録作曲家:
-
ミレッカー(1842-1899):
喜歌劇「ガスパローネ」 [ポルトマン/ジステラー/マルティン/エルンスト/フランツ・レハール管/ブルケルト]MILLÖCKER, K.: Gasparone [Operetta] (Portmann, Zisterer, Martin, Ernst, Franz Lehár Orchestra, Burkert)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:777815-2
CD価格:5,216円(税込、送料無料)
1920年代のシチリアのパレルモで繰り広げられる物語。お金持ちの未亡人カルロッタに目をつけたナゾーニ市長、自らの息子を彼女に紹介します。もちろんカルロッタには財産目当てであることなどお見通し。そこに現れた一人の異邦人。彼は「私は大盗賊ガスパローネ」として追われていると告白します。そこでカルロッタの財産は、そのガスパローネが盗んだことにしてしまおうと計画。一文無しになってしまった(ことになった)カルロッタ。当然ナゾーニ市長は結婚を取りやめますが、実はその異邦人は身分の高い伯爵であり「ガスパローネ」などという盗賊は存在しませんでした。カルロッタと伯爵は見事にゴールインするというお話です。 よくある「未亡人の財産を狙う吝嗇家」ですが、よくこなれた上に、魅惑的なメロディが頻出する楽しく美しい作品です。姿すらみたことのない盗賊を巡って、人々の思いが交錯し、結局悪巧みが明るみに出るというこのストーリーには当時の聴衆も興奮したことでしょう。この演奏には軽妙さと楽しさに溢れたいかにもウィーン風の雰囲気が備わっています。
収録作曲家:
-
ポッパー(1843-1913):
チェロ協奏曲集
第1番-第3番 [ヤン・ウェンシン/ケルン西ドイツ放送管/ヴィレーン]POPPER, D.: Cello Concertos No. 1-3 (Wen-Sinn Yang, Cologne West German Radio Orchestra, Willén)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:777821-2
CD価格:2,445円(税込)
プラハで生まれたユダヤ系の作曲家ダーヴィト・ポッパー(1843-1913)は、現在いくつかのチェロの曲を作った人として知られています。最も有名なのは「ハンガリー狂詩曲」でしょうか? ハンガリーの民謡を取り入れた感動的な作品は、チェロの超絶技巧を楽しむとともに、いかにも「ハンガリー」らしい哀愁と情熱に満ち溢れたショーピースとして広く愛好されています。 しかし、彼の本領とも言えるチェロ協奏曲は、第2番が比較的有名であるほかは、ほとんど耳にする機会がないものです。縦横無尽に技巧を凝らし、ユダヤ民謡に由来する親しみやすいメロディがたっぷりのこれらの作品は、チェロ好きならずとも一度は聴く価値のあるものです。ハンス・フォン・ビューローの時代、ウィーン宮廷歌劇場管弦楽団の首席チェロ奏者を務めていたポッパーの協奏曲を、名手ウェン=シン・ヤンの演奏でお楽しみください。
収録作曲家:
-
テレマン(1681-1767):
様々な楽器のための大協奏曲集 第1集 [ラ・スタジオーネ・フランクフルト/シュナイダー]TELEMANN, G.P.: Grand Concertos for Mixed Instruments (The), Vol. 1 (La Stagione Frankfurt, M. Schneider)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:777859-2
CD価格:2,608円(税込)
既に定評のある、ラ・スタジオーネ・フランクフルトとミヒャエル・シュナイダーのテレマン(1681-1767)、8CDからなる「管楽のための協奏曲」に続き今作から新しいシリーズが始まります。4枚で完結予定の合奏協奏曲で、ドイツの堅固な形式に明るいイタリアの音色と、フランス風のエレガントさを加えた当時の流行の最先端を行くこれらの協奏曲は、後にバッハが「ブランデンブルク協奏曲」で描いた世界の前段階におけるものとして、当時広く愛されていたのです。さざめく18世紀の雰囲気を見事に描き出した渾身の名演です。
収録作曲家:
-
ゲッツ(1840-1876):
ピアノ作品全集 [ケイマー]GOETZ, H.: Piano Music (Complete) (Keymer)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:777879-2
2CD価格:3,648円(税込、送料無料)
ドイツに生まれ、ベルリンに学び、後にスイスに移り音楽評論、指揮者、ピアニスト、作曲家として活躍したヘルマン・ゲッツ(1840-1876)、彼がピアノを本格的に学び始めたのは17歳になってからでしたが、師事したハンス・フォン・ビューローの指導が良かったのか、ベルリンのシュテルン音楽院を無事卒業することができたとされています。彼は36歳という若さでこの世を去ってしまいましたが、交響曲、ヴァイオリン協奏曲、2つのピアノ協奏曲をはじめ、このアルバムで聴くことのできるピアノ曲、そして室内楽曲も残しています。 マーラーが彼の作品を愛奏していたことでも知られ、更なるこの作曲家の再評価も待たれるところです。彼のピアノ曲のほとんどは作品番号を持たず、最近印刷されるまでは、その存在もあまり知られていませでんした。しかしピアニスト、ケイマーはゲッツの作品を丹念に調査し、作品によっては編集も行い、今回のリリースを完了させたのです。ブラームスを思わせる渋い作品も含まれるこの曲集を聴きながら、彼がもっと長生きしたらどんな曲を書いたのかを想像するのも良いものです。
-
発売日:2014年09月24日
SACD-Hybrid 7枚組価格:8,558円(税込、送料無料)
戦前を代表する名指揮者ヴァインガルトナー(1863-1942)は、フランツ・リストに弟子入りしたほどの大作曲家でもありました。作曲家として彼の功績は、いくつかのベートーヴェンの作品の改訂でも知られていますが、実は交響曲からオペラまで多方面に渡るオリジナル作品も多数残されています。cpoレーベルは彼の作品を積極的に録音してきており、交響曲と管弦楽作品は、バーゼル交響楽団とマルコ・レトーニャの卓越した演奏で全集完成をなりました。 全てがSACDハイブリッド盤という高音質も魅力的なこの全集、演奏の面でも価格の面でも、これはとにかくお手元に置いていただきたい偉業と言えるでしょう。
収録作曲家:
-
シュポーア(1784-1859):
弦楽四重奏曲集 第17集
弦楽四重奏曲 第10番・第18番/変奏曲 [モスクワ・フィルハーモニー・コンチェルティーノ弦楽四重奏団]SPOHR, L.: String Quartets (Complete), Vol. 17 - Nos. 10 and 18 (Moscow Philharmonic Concertino String Quartet)
■室内楽
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.225352
CD価格:1,815円(税込)
作曲家ルイ・シュポア(1784-1859)はその生涯のほとんどの時期に渡って弦楽四重奏曲を書き続けました。最初の作品は20歳の時のOp.4で、最後の作品はそのおよそ50年後に完成された第36番のOp.157。これらの作品は多彩な様式を持ち、19世紀前半の弦楽四重奏の発展にも大きく寄与しています。この第17集は、演奏団体を変えながら24年間に渡って続いたプロジェクトの完結編であり、この全集は古典派の弦楽四重奏作品の愛好家たちにとっても素晴らしい贈り物となることは間違いありません。 1814年に作曲された第10番の四重奏曲は彼がウィーンのサロンで頻繁に演奏しながら、自らの実力を誇示するために書かれた作品です。第1ヴァイオリンにはかなり技術的に困難な部分が見られるも、目一杯華やかな効果がもたらされています。シュポアのキャリアの初期に書かれた「変奏曲」は若々しいインスピレーションが溢れています。第18番は1819年の作品で、彼がフランクフルトの歌劇場からロンドンへ活動の拠点を移すことを考慮したいた時期に書かれたもの。入念な主題の処理と情熱的な雰囲気は、これらが類い稀なる名作であることを存分に示しています。
収録作曲家:
-
パン(1972-):
ピアノの12のサイド
ビルズ/チーズおろし器/ユア・タッチ [ヘイスティング]PANN, C.: Piano's 12 Sides (The) / The Bills / The Cheese Grater (Hastings)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.559751
CD-R価格:1,900円(税込)
1972年生まれの若き作曲家、ピアニスト、カーター・パン(1972-)は既に数々の作品で国際的に高い評価を受けています。このピアノ曲集「12のサイド」は、彼の友人であるカナダのピアニスト、ジョエル・ヘイスティングとのコラボレーションから生まれた作品で、おのおのの曲にはタイトルと、彼に影響を与えた名ピアニストの名前が記されているという興味深いものです。全ての曲は違った表情を持ち、ある曲は沈静し、ある曲はまるで埃のように、空気中を音符が漂います。ジャズ風な曲や大胆不敵な妙技の炸裂、そして不気味さ。捉えどころのない不思議な音楽ですが、妙に耳に残る強い存在感も有しています。 遊び心たっぷりの「ビルズ」、チーズおろし器でうっかり指を切ってしまったというアクシデントから生まれた作品、そしてピアノ協奏曲(8.559043)へのカデンツァとして書かれた「ユア・タッチ」は、アンニュイなジャズ。うーん、なかなか面白い作曲家なのです。
収録作曲家:
-
フックス(1956-):
落ち行く男
ムーヴィー・ハウス
無垢と経験の歌 [R. ウィリアムズ/ロンドン響/ファレッタ]FUCHS, K.: Falling Man / Movie House / Songs of Innocence and Experience (R. Williams, London Symphony, Falletta)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.559753
CD-R価格:1,900円(税込)
ここに収録された「落ち行く男」は、フックス(1956-)における重要なテーマであり、以前リリースしたピアノ曲「落ち行くカノン」や「落ち行く三重奏曲」(8.559733に収録)と密接な関連があります。これらのテーマ、もともとは2007年に発表されたドン・デリーロの小説「Falling Man」であり、9/11の事件の際、破壊されたワールド・トレード・センターの瓦礫に躓き、恐怖と混沌の感情に襲われた男を描いたものですが、この作品に強い感銘を受けたフックスが、この物語からこの歌を創り上げ、それを様々な作品に転用。そのどれもが衝撃的な風景を思い思いに映し出すのです。この悲しみは永遠に消えることはないでしょう。 「ムーヴィー・ハウス」はジョン・アップダイクの小説「金持ちになったウサギ」に触発された作品で、アメリカ人の完成と欲求を象徴的に描いたものです。「無垢と経験の歌」はボルコムの作品と同じく、ウィリアム・ブレイクの詩に基づいたもの。人間の存在の厳しさと牧歌的な無邪気さを併せ持つこの詩は、多くの芸術家に刺激を与えましたが、このフックス作品は独特の視点でこの詩を自らのものにしています。
収録作曲家:
-
ジェフスキ(1938-):
4つの小品
ハード・カッツ/主婦の嘆き [ファン・ラート/ルナパルク/マリニッセン]RZEWSKI, F.: 4 Piano Pieces / Hard Cuts / The Housewife's Lament (van Raat, Lunapark, Marinissen)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.559759
CD価格:1,900円(税込)
最近、人気急上昇中の「不屈の民」変奏曲で知られる作曲家フレデリック・ジェフスキ(1938-)のまたもや刺激的なピアノ曲集の登場です。 「4つの小品」も、第1曲目では、難解で不気味なトレモロ音形の中に、時折親しみ易い「不屈の民」のテーマのようなメロディが埋め込まれています。もちろん気をつけていないとすぐにどこかに紛れてしまうほどの儚いものですが。第2曲目は両手のユニゾンで始まるリズム重視の曲。彼の友人であったスティーヴ・レイシー(セロニアス・モンクの弟子であった人)の影響を受けているといます。第3曲目はゆったりとしたアンデスの舞曲に由来するというメロディは、どことなくショスタコーヴィチの作品を想起させます。曲の終わり、破壊的な和音連打による盛り上がりの後には完全な沈黙が訪れます。第4曲目も不可解な曲で、幾つもの層となった音が平和な耳を襲ってきます。匿名の女性作曲家の日記から題材を得たという「主婦の嘆き」はベートーヴェンの強い影響があるというものです。この曲も最初のわかり易すぎるメロディにだまされてはいけません。 そしてアンサンブルをともなう「ハード・カッツ」は抽象的な音の化合物。巧妙に仕組まれた音の乱舞が楽しくも狂おしい作品です。第3曲「Like bees」などは、寝ている時に耳元で鳴らされたら気が変になるかも。
収録作曲家:
-
クック(1906-2005):
弦楽のためのソナタ集 [スタンツェライト/ゴフ/ウォルフィッシュ/テッローニ]COOKE, A.: Violin Sonata No. 2 / Viola Sonata / Cello Sonata No. 2 (Stanzeleit, Goff, Wallfisch, Terroni)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.571362
CD価格:1,900円(税込)
2005年に98歳でその生涯を閉じた作曲家、アーノルド・クック(1906-2005)。彼はイギリスのゴマーサルに生まれ、ケンブリッジ大学で歴史を学ぶも、音楽の道を志し、1929年からベルリン音楽アカデミーでヒンデミットに師事、ピアノと作曲を学んだという人です。1930年代には、その作品が高く評価され、数多くの演奏会が催され、いくつかの賞も獲得しましたが、それらは主に管弦楽作品の評価であって、ここで聞けるような室内楽作品はあまり重要視されることはなく、ほとんど忘れられてしまったのでした。 この3つのソナタもそのような作品群で、1940年に出版された「ヴィオラ・ソナタ」の初々しい機動力と、その40年後の作品である「チェロ・ソナタ」の憂愁に溢れた渋さの違いを楽しむだけでも、このアルバムを聴く価値があると言えるでしょう。現代作品とは言え、聴いていてふっと安心できる音楽に満たされているところが素晴らしいの一言です。
収録作曲家:
-
ボーエン(1884-1961):
弦楽四重奏曲 第2番&第3番
幻想的五重奏曲 [ラインズ/アルカェウス弦楽四重奏団]BOWEN, Y.: String Quartets Nos. 2 and 3 / Phantasy-Quintet (Lines, Archaeus String Quartet)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.571366
CD価格:1,900円(税込)
ヨーク・ボーエン(ボウエン 1884-1961)はロンドン生まれの作曲家。若い頃はサン=サーンスに「イギリスの若き作曲家の中で最も注目すべき存在」と絶賛され、第1次世界大戦の前までは、ピアニスト、作曲家として素晴らしい活躍をしました。しかし、大戦後は彼のような「後期ロマン派」風の音楽を書く人は排除されてしまい、結局は忘れられてしまったのです。最近になって再評価が進み、とりわけ「24の前奏曲」などのピアノ曲や、ヴィオラ・ソナタ(8.572580)などは、その独特の香り高い雰囲気が静かに愛されています。 このアルバムに収録された2つの弦楽四重奏曲は、どちらも比較的初期の作品で(第1番の四重奏は恐らく破棄されてしまったようです)古典的な形式に則って書かれています。第2番は「カーネギー・トラスト賞」を受賞した作品で、あのユージン・グーセンスに献呈されています。第3番も作曲時期はそれほど変わらないのですが、更に深化した表情を聴くことができます。幻想的五重奏曲は、更に味わいのある音楽であり、バス・クラリネットを用いた点でも珍しく、輝かしいイギリス音楽の系譜に付け加えられるべき名曲と言えそうです。
収録作曲家:
-
エル=コーリー(1957-):
ヴァイオリン協奏曲 第1番
ホルン協奏曲「暗い山」
クラリネット協奏曲「秋の絵」 [ネムタヌ/ゲリエ/メッシーナ]EL-KHOURY, B.: Violin Concerto No. 1 / Horn Concerto / Clarinet Concerto (Nemtanu, Guerrier, Messina, Masur, J.-C. Casadesus, Elts)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.572773
CD価格:1,900円(税込)
レバノンの作曲家、ビシャーラ・エル=コーリー(1957-)。このアルバムはNAXOSにおける第5作目の作品集です。彼は多くの場合、自然からインスピレーションを受け、その音楽の中には瞑想、回想、そして夢が含まれています。タイトルを持つ作品が多いのですが、これは特定の何かを暗示するのではなく、どちらかというと雰囲気重視であり、この3つの協奏曲もレバノンの自然風景などを想起させるものです。 とは言え、ヴァイオリン協奏曲は2002年にレバノンで開催された「フランコフォニー国際機関」サミットからの委嘱作で、メシアンが提唱した「移調の限られた旋法」に基づくモティーフが使われ、神秘的な雰囲気を醸し出しています。第2楽章はそのままカデンツァで、ソリストには超絶技巧が要求されます。 ホルン協奏曲は、彼が子供時代に経験した山の中の風景の思い出が織り込まれています。山の陰鬱さと雄大さは、人間の脆弱さをも描き出します。「秋の絵」も彼の記憶の中にある風景描写で、高い空の雲や東の空の色などが反映されているといいます。
収録作曲家:
-
イギリス歌曲シリーズ 第23集
ダブ(1959-):
歌曲集「今宵眠る全ての人へ」他 [ブース/バードン/スペンス/マシュー=オーウェン]DOVE, J.: Song Cycles - All You Who Sleep Tonight / Out of Winter / Ariel (English Song, Vol. 23) (Booth, Bardon, Spence, Matthews-Owen)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.573080
CD価格:1,900円(税込)
NAXOSの好評シリーズ、イギリスの歌曲集第23集は、ジョナサン・ダヴ(1959-)の歌曲です。彼は現代の英国において、最も機知に富む多彩な音楽を創り出す作曲家の一人として評価されており、中でも歌曲、合唱曲については最高の賛辞が贈られています。 このアルバムには4つの歌曲集が収録されていて、最初の「冬から」はロバート・ティアの詩によるもので、曲の雰囲気はどこかブリテンの一連の歌曲を思わせる、繊細な静けさを湛えています。「わが影を棄てて」はガルシア・ロルカの英語訳のテキストが用いられており、乾いたリアリズムが横溢する音楽です。「アリエル」はすばらしく神秘的な歌曲で、伴奏なしのソプラノのみで歌われます。歌手は黄砂を運ぶ風の音までをも歌わなくてはなりません。エキゾチックなヴォカリーズである第3曲目は、この世のものとは思えないほどの不思議な印象を残すでしょう。 5つのセクションからなる「今宵眠る全ての人へ」はロマンティックな感情と、宗教性、心、場所、四行詩がモティーフ。歌曲はプーランクを思わせる聖と俗が入り混じった物語が描かれ、聴き疲れた人は深い眠りに誘われるのです。
収録作曲家:
-
ヒンデミット(1895-1963):
オルガン・ソナタ 第1番-第3番
11のインターリュード
オルガンのための2つの小品 [シュトゥルム]HINDEMITH, P.: Organ Sonatas Nos. 1-3 / Ludus tonalis: 11 Interludes / 2 Stücke für Orgel (Sturm)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.573194
CD価格:1,900円(税込)
ヒンデミット(1895-1963)は優れたヴィオラ奏者でもあり、またほとんどの楽器を演奏したという才人でしたが、オルガン音楽については専門家ではありませんでした。しかしこの3つのソナタは、オルガニストたちのレパートリーとして現在でも大切にされています。バロック以前の時代から、オルガンという楽器は「神の声」を現すものとして、神聖化される傾向にありましたが、ヒンデミットはそんな楽器の側面に配慮することはなく、他の楽器のように、極めて実用的に鳴らすことを考えます。 彼のオルガン・ソナタには馴染みのあるコラールのメロディはどこにも使われていません。そのためバッハやレーガーの作品は純粋な教会音楽として堪能できますが、ヒンデミットの作品はあくまでもコンサート用であり、楽器の響きや性能をそのまま楽しみたい現代の人にはぴったりなのです。「11のインターリュード」は彼がピアノのために書いた小品集。彼の理論をそのまま音にしたような多彩な表現力を必要とするもので、これをオルガンで演奏するというのは、色々な意味で面白いものです。
収録作曲家:
-
クレメンティ(1752-1832):
ピアノ協奏曲
2つの交響曲集他 [カニーノ/ローマ響/ラ・ヴェッキア]CLEMENTI, M.: Piano Concerto in C Major (1796) / Symphonies, Op. 18 (Canino, Rome Symphony Orchestra, La Vecchia)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.573273
CD価格:1,900円(税込)
交響曲第1番&第2番(8.573071)、交響曲第3番&第4番(8.573112)に続く、クレメンティ(1752-1832)の初期管弦楽作品のシリーズです。1780年代にいくつかの交響曲を作曲したクレメンティですが、いざ出版しようとした頃にハイドン登場。音楽界の人気を全て持って行ってしまったため、その他の作曲家たちは自作を出版することが難しくなってしまったのでした。 1796年に作曲されたピアノ協奏曲は、通常ソナタとして弾かれるOp.33-3の「原型」とされています。自筆譜はなく、1796年にヨハン・シェンクが書き写した譜面が残されていますが、本当のところ、ソナタが先で協奏曲が後なのかはわかっていません。クレメンティの伝記作家プランティンガは、オケ・パートはシェンクによるもので、クレメンティの手によるものではないとも主張しています。Op.18の2つの交響曲は極めて古典的な様式を持つ整った美しさに満ちた作品です。変ロ長調の第1番は若干控えめですが、ニ長調の第2番は野心的な和声を持つ快活な音楽。ハイドンへの対抗意識もあったでしょうが、これはこれで素晴らしい作品になっています。
収録作曲家:
-
ブロッホ(1880-1959):
イスラエル交響曲
ヴィオラと管弦楽のための組曲 [ガンデルスマン/アトラス・カメラータ管/スロヴァキア放送管/アトラス]BLOCH, E.: Israel / Suite for Viola and Orchestra (Gandelsman, Atlas Camerata Orchestra, Slovak Radio Symphony, Atlas)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.573283
CD価格:1,900円(税込)
スイス出身のユダヤ人作曲家エルネスト・ブロッホ。彼の円熟期の中でもとりわけ重要な意味を持つのが、この「イスラエル交響曲」を始めとしたユダヤの民俗音楽、典礼音楽を元にした一連の作品です。他にはチェロと管弦楽のための「シェロモ」や、ヴァイオリン曲「バール・シェム」、声楽のための「聖なる典礼」など多数の作品がユダヤの精神に由来してますが、この「イスラエル交響曲」はとりわけ編成も大きく、壮大な形式を持っています。雄大な導入部を含む3楽章形式で書かれ、本来は「ユダヤの祝宴」というタイトルが付けられていましたが、ロマン・ロランの助言により現在のタイトルに改名されました。また当初はもっと巨大な形を想定したいたのですが、完成時には整理されすっきりしたものとなっています。 「組曲」はユダヤではなく、エキゾチックに憧れた彼の思いが結集した作品で、こちらも色彩豊かな管弦楽をバックにヴィオラが悠然と歌うという名作です。
収録作曲家:
-
アルベニス(1860-1909):
ピアノ作品集 第5集 [ムダーラ・ガミス]ALBÉNIZ, I.: Piano Music, Vol. 5 (Mudarra Gámiz) - 7 Studies in the Natural Major Keys / Les saisons / Rapsodia Cubana
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.573293
CD価格:1,900円(税込)
スペインの大作曲家、アルベニス(1860-1909)。彼の生涯はどうも謎が多く「数多くの冒険譚」などのエピソードはどうも存在しなかった模様で、最近新しい研究による伝記が出版されたとか…なかなか人騒がせな人物であったようです。しかし、驚くべき神童であったことは間違いなく、4歳で最初のコンサートを行い、9歳で作品を発表するなど熟練と経験を幅広く積んでいたのです。彼はスペインの民俗音楽を好んではいましたが、若干「時代遅れ」と感じていたようで、1889年にはロンドンに移住し、4年間生活することでこの地の文化を吸収しました。その後はフランスに移住。ここでもダンディやドビュッシーをはじめとした幅広い交友関係を築くことで、また新たな経験を積むことになります。 このアルバムには、そんな若い時代のアルベニスの作品を聞くことができます。この頃の彼の作品の多くは、サロン風であり、印象派への憧れを含んだものであり、民俗音楽との融合はまだあまり感じさせないものばかりです。まずは「キューバ風狂詩曲」あたりから聴いてみてください。とても活発で、気軽な音楽が、この時代のアルベニスを彷彿させます。
収録作曲家:
-
セプトゥーラ
〈金管七重奏のための音楽集 第1集〉
メンデルスゾーン/シューマン [セプトゥーラ]Brass Chamber Music, Vol. 1 - MENDELSSOHN, Felix / SCHUMANN, R. / BRAHMS, J. / BRUCKNER, A. (Septura)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.573314
CD価格:1,900円(税込)
バロック、もしくはそれ以前の時代には金管のためのアンサンブルは数多く存在していました。ガブリエリやモンテヴェルディ、バッハやヘンデル。彼らは神の声を楽器へと移し替える際に輝かしい金管楽器の音色を好んで用いたのです。しかし、ロマン派時代の作曲家たちは金管七重奏のための曲を書くことはほとんどありませんでした。 そこでアンサンブル「セプトゥーラ」はブラームス、ブルックナー、メンデルスゾーン、シューマンの合唱曲とオルガン作品を金管アンサンブル用に編曲。あたかもオリジナル作品であるかのように、自然で素晴らしい作品へ造り替えているのです。「セプトゥーラ」のメンバーは、ロンドン交響楽団、フィルハーモニア、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、BBC交響楽団、バーミンガム市交響楽団、スコットランド歌劇場、オーロラ・オーケストラで活躍する若手金管奏者たちによって構成されています。この見事なアンサンブルには感嘆するほかありません。
-
スコリク(1938-):
カルパティア協奏曲
二連祭壇画
ヴァイオリン協奏曲 第7番/チェロ協奏曲他 [ピラトゥク/カザコフ/オデッサ・フィル/アール]SKORYK, M.: Carpathian Concerto / Diptych / Violin Concerto No. 7 / Cello Concerto (Pilatyuk, Kazakov, Odessa Philharmonic, Earle)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.573333
CD価格:1,900円(税込)
ウクライナの作曲家ミロスラフ・スコリク(1938-)は、リヴィウに生まれるも、第二次世界大戦後に家族がシベリアに追放され、1955年まで帰国を許されなかったためその地で多感な少年時代を送ります。この地で多くの「政治犯」とされる人から音楽を学び、教師として教えるまでになりますが、ウクライナに戻ってからは、モスクワ音楽院でカバレフスキーに学ぶなどその才能を順当に伸ばし、偉大な作曲家として現在もウクライナで生活しています。彼の音楽には聖書や哲学の精神、古典と前衛、民俗音楽とジャズのリズムなどが含まれていて、それはあまりにも多彩であるためジャンルを特定することは出来ません。 このアルバムに収録された音楽も多種多様な味わいを持つものばかりで、良く知られる「グツールの三連祭壇画」での悲しげな表情と、それに続く「二連祭壇画」のパワフルでエネルギッシュな音楽は、彼の特性を端的に表すものと言えるでしょう。また、管弦楽のための「カルパティア協奏曲」はとても魅力的な作品で、多種多様な楽器が存分に活躍する興味深いもの。まずはここから聴いてみてはいかがでしょうか?
-
期待の新進演奏家シリーズ
エマヌエレ・ブオーノ
2013年 ミケーレ・ピッタールガ・
ギターコンクール優勝記念 [ブオーノ]Guitar Recital: Buono, Emanuele - MILANO, F. da / AGUADO, D. / RODRIGO, J. / CASTELNUOVO-TEDESCO, M. / JOSÉ, A.
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:8.573362
CD価格:1,900円(税込)
1987年トリノ生まれの若手ギタリスト、エマヌエレ・ブオーノのリサイタル・アルバムです。幼い頃からギターを学び、18歳の時にはジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で優秀賞を獲得しています。ミラノ音楽院に進学し、2008年のアレッサンドリア国際ギターコンクールではヤングアーティスト賞(翌年、あのパク・キュヒも同賞を受賞)に輝き、その後も数多くのコンクールで優勝していますが、やはりこのミケーレ・ピッタールガ・ギターコンクールでの優勝は、彼のキャリアに大きな転機を齎すことは間違いありません。 この受賞記念のアルバムは、彼の得意なレパートリーがふんだんに用意されていて、イタリア・ルネサンスの典雅な作品から20世紀のモダンな作品まで、その多彩な表現をたっぷり味わうことができるもの。ジャケ写の落ち着いた雰囲気そのままの「大人の演奏」をする逸材です。
-
ハイドン(1732-1809):
オラトリオ「天地創造」 [ティリング/パドモア/ミュラー=ブラッハマン/バイエルン放送合唱団&交響楽団/ハイティンク]HAYDN, J.: Schöpfung (Die) (Tilling, Padmore, Müller-Brachmann, Bavarian Radio Chorus and Symphony, Haitink)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:900125
2CD価格:2,985円(税込)
1796年から1798年にかけて作曲されたこのオラトリオ「天地創造」。あの興行主ザロモンの依頼によって書かれた作品で、旧約聖書の「創世記」第1章とミルトンの「失楽園」を元にした台本にハイドンが魅力ある音楽をつけています。第1部は天地創造の第1日から第4日までが描かれ、混沌としたものの中から光が生まれ、天使たちが舞い、神の栄光が歌われます。第2部では第5日目と、第6日目。まず生き物たちが地と空を覆い、その後ようやく人間が造られます。そして第3部ではその造られた人間「アダムとエヴァ」が物語の主役となります。 この演奏はハイティンクにとっては第3回目の録音となります。近作は、これまでの音楽的成果と経験を全て注ぎ込んだかのような熱演であり、この雄大な音楽つくりは、まさに「神の視点」というほかありません。84歳という年齢を感じさせないエネルギッシュな演奏となっていることにも注目です。3人のソリストも万全であり、最近注目のソプラノ、ティリングの涼やかで落ち着きのあるガブリエル、やわらかくふっくらとしたパドモアのウリエル、こちらも注目の若手バスバリトン、ミュラー=ブラッハマンの年齢を越えた深い声の響きなど聴くべきところの多いものです。エキサイティングな100分。天地が誕生する様子をぜひお楽しみください。
収録作曲家:
-
R.シュトラウス(1864-1949):
時というのは不思議なもの
アネッテ・アンガーによる
「音で聴くリヒャルト・シュトラウスの伝記」STRAUSS, R.: Zeit, die ist ein sonderbar' Ding (Die) (Welser-Möst)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:900905
3CD価格:2,224円(税込)
大好評、音と朗読による大作曲家シリーズ、近作は2014年に生誕150年を迎えたリヒャルト・シュトラウスの物語。ドイツ語の朗読とは言え、まだまだ真の姿が知られているとは言いがたい「この偉大なる俗物」作曲家の姿をとことん捉えた興味深い伝記です。 毎回のお楽しみとなっている全曲収録は、なんと発売間もない、ヴェルザー=メストによる「アルプス交響曲」というのですから、こちらも太っ腹。美しいドイツ語の響きを聞くだけでもうれしい3枚組です。
収録作曲家:
-
ダッラピッコラ(1904-1975):
作品集 - モダン・タイムズ [ラインランド=プファルツ州立フィル/シュテフェンス]DALLAPICCOLA, L.: Orchestral Music (Rheinland-Pfalz State Philharmonic, Steffens)
■交響曲/管弦楽曲 ■声楽曲
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:C5214
CD価格:2,438円(税込)
レスピーギ、ピツェッツィ、カセッラ、マリピエロをイタリア・モダニズムの第一世代の作曲家とすれば、1904年に生まれたゲディーニ、ペトラッシそして、このダッラピッコラ(1904-1975)は第二世代に属する作曲家とみなすことができるでしょう。ただし彼は生を受けた場所が純粋なイタリアではなく、現在のクロアチア・パジン(当時はオーストリア帝国の一部であった)で、ファシスト政権下の第1次世界大戦中はオーストリアのグラーツに抑留されてしまい、彼はピアノに触れる機会もなかったといいます。しかし音楽への希望は止むことなく、フィレンツェの音楽学校でピアノを学び、音楽家として成功しました。 幼少期の経験から政治に高い関心を持ち、作品にもそれは強烈に反映されています。1930年周辺に書かれたパルティータは、彼の代表作であり、自身の作風を確立した作品としても重要なものです。
収録作曲家:
-
R.シュトラウス(1864-1949):
歌劇「ナクソス島のアリアドネ」 [ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団/ユロフスキ指揮]STRAUSS, R.: Ariadne auf Naxos (Glyndebourne, 2013) (NTSC)
■オペラ
発売日:2014年09月24日
DVD日本語字幕なし価格:3,750円(税込、送料無料)
ホフマンスタールとリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)の共同作品の中でも傑作であるこの「ナクソス島のアリアドネ」は、もともとモリエールの“町人貴族”の劇中劇として書かれた軽い物語でした。しかし紆余曲折を経て、プロローグが書き足され、いくつかの改定を加えた上で、現在の形として親しまれています。ギリシャ神話を題材とするオペラを上演するまでの、歌手や作曲家、芸人たちの水面下の駆け引きと、彼らの交渉決裂の果てに、悲劇と喜劇をまぜこぜで上演するというドタバタな物語。 風刺と皮肉が効いたこのシュトラウスのオペラは、これまでも様々な演出で人々を楽しませてきています。しかし、今回演出を担当したカタリーナ・トーマは、この作品の舞台を第二次世界大戦中に設定し、この「ちょっとした物語」に深い意味を与えるという試みをしたのです。プロローグの終わり近く、作曲家が自身の理念を具現化する際の逡巡する場面ですら、トーマは激しい爆撃と迫りくる戦闘機の映像と音で、彼に深い思索の時を与えることをしません。そして全ての登場人物は痛みを抱え、妄想と反省の念に駆られます。このオペラに哀愁を感じさせるというのは、全く素晴らしい発案であることは間違いありません。
収録作曲家:
-
ローラン・プティ
ノートルダム・ド・パリ [ミラノ・スカラ座管弦楽団/ポール・コネリー指揮]JARRE, M.: Notre-Dame de Paris (Ballet) (La Scala, 2013) (NTSC)
■バレエ・ダンス音楽
発売日:2014年09月24日
DVD字幕なし価格:3,750円(税込、送料無料)
ローラン・プティのクールで、良き時代のキャバレー・シーンを思わせる振付と、豪華でシックなサン=ローランの衣装が印象的なこの名作バレエは、1965年に初演されて以来、多大なる人気を誇っています。文豪ヴィクトル・ユーゴー原作の壮大な物語から、美女エスメラルダと醜い男カジモドの恋物語を中心にすくい上げ、軽薄な男フェビュスと助祭長フロロの思惑を絡め、スリリングに展開して行くというもので、醜い男カジモドを演ずるダンサーには、並外れた表現力が求められます。プティ自身がこの役を得意としていただけあって、この役に挑む誰もが新しい「カジモド像」を構築するために様々なアイデアを加えているのです。 もちろんこのロベルト・ボッレの踊りは各方面から大絶賛されました。斬新なカメラワークにも注目。普段は舞台を俯瞰する視線で捉えていますが、時に舞台を上から見下ろすというのは、やはり鐘衝き台を意識しているのでしょう。オリエンタルで神秘的な音楽も聴き所。素晴らしい映像美をご堪能ください。
収録作曲家:
-
ワーグナー(1813-1883):
歌劇「さまよえるオランダ人」 [バイロイト祝祭合唱団/バイロイト祝祭管弦楽団/ティーレマン指揮]WAGNER, R.: Fliegende Holländer (Der) (Bayreuth Festival, 2013) (NTSC)
発売日:2014年09月24日
DVD日本語字幕なし価格:3,750円(税込、送料無料)
21世紀の《オランダ人》は随分近代的な世界へと来てしまったようです。彼は完全にビジネスとデジタルに取り囲まれています。オランダ人はビジネスマンなのでしょう。ブリーフケースの中には札束がぎっしり。しかし、対するダーラントは会社の社長(扇風機製造会社?)であり、船員たちはその社員です。マリーはやり手の工場長で、ゼンタを含む女工たちを管理しています。デジタルとアナログが恋に落ち、生まれてきたのは、たくさんの怪しげな工作物。そして最終的に2人は死を選ぶものの、その事象すら、「単なる売り物」として大量生産されていく… 2012年にこの演出でのプレミエの際は、少々ブーイングが起きたようですが、さすがに2年目になると観衆からも、温かく(?)迎え入れられたというこの《オランダ人》。音だけで聴く分には、ティーレマンの重厚な音作り(特に低音部には気合が入っている)と、畳み掛けるかのようなテンポで、極上の時間を過ごせると評判になっているものです。 主演のオランダ人とダーラントは前年の2人が歌っていますが、エリックは、中堅テノール、ムーチェクが担当、ゼンタは最近リヒャルト・シュトラウス、マーラー、ワーグナー歌手として頭角を現しているリカルダ・メルベートが歌い、また新たな物語を創り上げています。
収録作曲家:
-
R.シュトラウス(1864-1949):
歌劇「ナクソス島のアリアドネ」 [ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団/ユロフスキ指揮]STRAUSS, R.: Ariadne auf Naxos (Glyndebourne, 2013) (Blu-ray, HD)
■オペラ
発売日:2014年09月24日
Blu-ray日本語字幕なし価格:4,650円(税込、送料無料)
ホフマンスタールとリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)の共同作品の中でも傑作であるこの「ナクソス島のアリアドネ」は、もともとモリエールの“町人貴族”の劇中劇として書かれた軽い物語でした。しかし紆余曲折を経て、プロローグが書き足され、いくつかの改定を加えた上で、現在の形として親しまれています。ギリシャ神話を題材とするオペラを上演するまでの、歌手や作曲家、芸人たちの水面下の駆け引きと、彼らの交渉決裂の果てに、悲劇と喜劇をまぜこぜで上演するというドタバタな物語。 風刺と皮肉が効いたこのシュトラウスのオペラは、これまでも様々な演出で人々を楽しませてきています。しかし、今回演出を担当したカタリーナ・トーマは、この作品の舞台を第二次世界大戦中に設定し、この「ちょっとした物語」に深い意味を与えるという試みをしたのです。プロローグの終わり近く、作曲家が自身の理念を具現化する際の逡巡する場面ですら、トーマは激しい爆撃と迫りくる戦闘機の映像と音で、彼に深い思索の時を与えることをしません。そして全ての登場人物は痛みを抱え、妄想と反省の念に駆られます。このオペラに哀愁を感じさせるというのは、全く素晴らしい発案であることは間違いありません。
収録作曲家:
-
ワーグナー(1813-1883):
歌劇「さまよえるオランダ人」 [バイロイト祝祭合唱団/バイロイト祝祭管弦楽団/ティーレマン指揮]WAGNER, R.: Fliegende Holländer (Der) (Bayreuth Festival, 2013) (Blu-ray, HD)
■オペラ
発売日:2014年09月24日
Blu-ray日本語字幕なし価格:4,650円(税込、送料無料)
21世紀の《オランダ人》は随分近代的な世界へと来てしまったようです。彼は完全にビジネスとデジタルに取り囲まれています。オランダ人はビジネスマンなのでしょう。ブリーフケースの中には札束がぎっしり。しかし、対するダーラントは会社の社長(扇風機製造会社?)であり、船員たちはその社員です。マリーはやり手の工場長で、ゼンタを含む女工たちを管理しています。デジタルとアナログが恋に落ち、生まれてきたのは、たくさんの怪しげな工作物。そして最終的に2人は死を選ぶものの、その事象すら、「単なる売り物」として大量生産されていく… 2012年にこの演出でのプレミエの際は、少々ブーイングが起きたようですが、さすがに2年目になると観衆からも、温かく(?)迎え入れられたというこの《オランダ人》。音だけで聴く分には、ティーレマンの重厚な音作り(特に低音部には気合が入っている)と、畳み掛けるかのようなテンポで、極上の時間を過ごせると評判になっているものです。 主演のオランダ人とダーラントは前年の2人が歌っていますが、エリックは、中堅テノール、ムーチェクが担当、ゼンタは最近リヒャルト・シュトラウス、マーラー、ワーグナー歌手として頭角を現しているリカルダ・メルベートが歌い、また新たな物語を創り上げています。
収録作曲家:
-
Heimkehr - 帰郷 [トレーケル/ポール]
STRAUSS, R. / WAGNER, R.: Lieder (Heimkehr)(Trekel, Pohl)
■声楽曲
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:OC1811
CD価格:2,475円(税込)
OEHMSレーベルにおける名バリトン、ローマン・トレーケルの6枚目のアルバムは、リヒャルト・シュトラウスとワーグナーの歌曲集。とはいっても、その半分を占めるのは、基本的に「女声用」とされる「4つの最後の歌」と「ヴェーゼンドンク歌曲集」という幾分挑戦的なアルバムです。もちろんこれまでにも何人もの男性歌手がこの“花園”を探索し、薫り高い花束を創り上げてきましたが、今回のトレーケルは、クールな響きの中に暖かみのある表現を込めて、またとない美しい歌唱でこれらの歌を歌い上げています。 シュトラウスの12の歌は、彼の愛唱曲であり、良く知られる「献呈」や「明日の朝」をはじめ、アルバムタイトルでもある「帰郷」などを真っ直ぐに、そして優しくデリケートに歌っています。
-
ブルックナー(1824-1896):
交響曲 第1番 ハ短調 WAB101(リンツ版 1865/66) [ザルツブルク・モーツァルテウム管/ボルトン]BRUCKNER, A.: Symphony No. 1 (Salzburg Mozarteum Orchestra, Bolton)
■交響曲/管弦楽曲
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:OC436
CD価格:2,025円(税込)
清潔な響きと堅実な解釈で定評のあるボルトン&ザルツブルク・モーツァルテウム管とのブルックナー(1824-1896)。今回は第1番の“リンツ稿”をお届けします。若きブルックナーによる意欲満々のこの交響曲、ボルトンはいつものように決して重苦しい響きを要求することなく、清々しく、丁寧に仕上げています。第2楽章の中間部の決め細やかな動きや、第3楽章のスケルツォの特徴的な音形の造形など、まるでモーツァルトの音楽のような品の良い美しさを保っています。
収録作曲家:
-
シュポア(1784-1859):
オラトリオ「最後の審判」 [マシューズ/ゲルトナー/オヴェンデン/フォスター=ウィリアムズ/ザルツブルク・バッハ合唱団/ザルツブルク・モーツァルテウム管/ボルトン]SPOHR, L.: Letzten Dinge (Die) [Oratorio] (S. Matthews, Goeldner, Ovenden, Foster-Williams, Salzburg Bach Choir, Salzburg Mozarteum Orchestra, Bolton)
■宗教曲
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:OC438
CD価格:2,025円(税込)
2014年に生誕260年を迎えた作曲家ルイ・シュポア(1784-1859)のオラトリオ「最後の審判」は、彼の活動の絶頂期である1825年から26年に書かれました。彼はヴァイオリニストとして高名でしたが、指揮者としても有能で1805年から12年まではゴータの宮廷楽長を務めた後、アン・デア・ウィーン劇場、フランクフルト歌劇場の指揮者、監督を務め、1822年から亡くなるまではカッセルの宮廷楽長を務めるほど、歌劇などにも精通していたのです。 この作品はカッセル時代に書かれたもので、当時の「貧困層の利益のために」と催された、ルター派マルタン教会の聖金曜日のミサで初演されたものです。200人以上の演奏家と2000人以上の聴衆がこの記念碑的な演奏会を経験したといわれています。テキストはタイトルの通り、ヨハネの黙示録の“最後の審判”を元にしており、正義、責任と償還など人間の根本的な問題を扱っています。初演時の興奮が2013年に再度降臨した奇跡的な名演です。
収録作曲家:
-
テレマン(1681-1767):
ソナタ・トリオ・協奏曲集 [ラッカデミア・ジョコーサ]TELEMANN, G.P.: Sonatas and Concertos (L'Accademia Giocosa)
■協奏曲
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:OC897
CD価格:2,475円(税込)
テレマン(1681-1767)の作品は非常に広範囲に渡っていて、当時存在したほとんどのジャンルをカバーしていたといっても過言ではないほどです。彼はその作品中、様々な楽器を縦横無尽に用いていますが、その音楽の本質はカンタービレにあり、どの楽器もその特色を存分に披露しながら高らかにメロディを歌い上げています。 当時流行の兆しを見せていたフランス風の形式も取り入れながら、ある時はポーランドの民俗的なものの影響も感じさせるこれらの豊かな音楽を、バイエルン放送響の首席オーボエ奏者シュテファン・シッリを中心としたアンサンブル、ル・アカデミア・ジョコーサが壮麗に、賑やかに演奏しています。現在、古楽奏法の最先端を行くオランダの奏者たちと2人の日本人演奏家も、アンサンブルに高く貢献しています。
収録作曲家:
-
ワーグナー(1813-1883):
歌劇「ローエングリン」 [フランクフルト歌劇場管弦楽団&合唱団/ド・ビリー指揮]WAGNER, R.: Lohengrin [Opera] (Struckmann, König, Nylund, Frankfurt Opera Chorus, Frankfurt Opera and Museum Orchestra, de Billy)
■オペラ
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:OC946
3CD価格:5,925円(税込、送料無料)
2010年までウィーン放送交響楽団の音楽監督を務め(後任はコーネリアス・マイスター)、この楽団の士気を飛躍的に高め、かつ意欲的な演奏を数多く聴かせた指揮者ベルトラン・ド・ビリー。現在は世界中のコンサートホールと歌劇場で優れた演奏を披露しています。そんな彼の最新作はフランクフルト歌劇場とのワーグナー「ローエングリン」です。 ワーグナー(1813-1883)の初期から中期における作品で、10世紀前半のアントウェルペンを舞台に英雄的なテノール“ローエングリン”と、純真なソプラノ“エルザ”、そして老獪なメゾ・ソプラノ“オルトルート”を中心に陰謀と愛が蠢くストーリー、いつの時代も聴く人の胸を打つものです。歌手たちの力量はもちろんのこと、オーケストラにも高い技術と表現力を要求するこの歌劇、ド・ビリーは透明感溢れる色彩で、見事にワーグナーが望んだであろう響きを表出しています。エルザ役のニュルンドやハインリヒ王役のシュトルックマンの安定した歌唱はもちろんのこと、タイトル役のケーニヒ(風貌は若干こわもて)の堂々たる歌唱にも注目です。
収録作曲家:
-
ベルリオーズ=リスト:
イタリアのハロルド [スタム/プリジェン]LISZT, F.: Berlioz - Harold en Italie (Stumm, Pridgen)
■声楽曲
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:ORC100044
CD価格:1,710円(税込)
プリムローズ国際コンクール、ジュネーブ国際コンクールなど3つの国際コンクールで入賞し、現在最も才能ある若手ヴィオラ奏者として注目されているジェニファー・スタム。彼女はフィラデルフィアのカーティス音楽院で学び、ジュリアード音楽院の学位も取得、今井信子とスティーブン・イッサーリスに師事した才能ある人です。ジュネーブ国際コンクール入賞記念アルバムはNAXOSからリリースされていて、こちらも高く評価されています。そんな彼女の今回のアルバムは、ベルリオーズの「イタリアのハロルド」のリスト編曲によるピアノ伴奏版というもの。しかし、ただ演奏するだけでなく、ここにリストの晩年の無調に近い作品を挟みこむことで、独自のストーリーを加味したのです。深く沈みこむようなヴィオラの落ち着いた音色は、聴き手に心地よい謎掛けをしてくるかのようです。
収録作曲家:
-
キンセラ(1932-):
交響曲 第5番&第10番 [アイルランド国立響/アイルランド室内管/ピアース/タカーチ=ナジ]KINSELLA, J.: Symphonies Nos. 5 and 10 (Ireland RTÉ National Symphony Orchestra, Irish Chamber Orchestra, Pearce, Takács-Nagy)
■交響曲/管弦楽曲
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:TOCC0242
CD価格:2,438円(税込)
アイルランド、ダブリンで生まれた作曲家キンセラ(1932-)は、ダブリン大学でヴィオラと和声、対位法を学ぶも、作曲は基本的に独学で身に着けました。最初はシンプルな作品を書いていたものの、少しずつその技法が進化し、1968年、彼はアイルランド放送協会の音楽部門のシニア・アシスタントになり、楽曲管理をしていたため、当時のヨーロッパの現代音楽の流行に精通しており、それも踏まえた素晴らしい作品を数多く作り、現在では「アイルランド最高の交響曲作曲家」として讃えられています。交響曲第5番は、1916年に殺害された3人のアイルランドの詩人の詩を用いた作品。交響曲第10番は彼の最新の作品でモーツァルト・マニアのために書かれた古典的な装いを持っています。2作品の対比をお楽しみください。
収録作曲家:
-
オブライエン(1882-1968):
ピアノ作品全集 第1集 [メイリー=スミス]O'BRIEN, C.: Piano Music (Complete), Vol. 1 (Mailley-Smith)
■器楽曲(ピアノ)
発売日:2014年09月24日 NMLアルバム番号:TOCC0256
CD価格:2,438円(税込)
スコットランドの作曲家、チャールズ・オブライエン(1882-1968)の魅力的な旋律は、彼が住んでいたエディンバラの風景が反映されています。トロンボーン奏者だった父を始め、彼の家系には音楽家が多く、彼も自然に音楽を愛するようになりました。数多くの作品を残しましたが、現在ではそのほとんどが忘れ去られてしまっています。しかし最近、復興の兆しが見えており、このアルバムの他にも、管弦楽作品の録音が進行しているなど、この静かで美しい作品に注目する人が増えています。ピアニスト、メイリー=スミスは2011年にロイヤル・フィルハーモニーと「皇帝」を演奏してデビューした新進気鋭の若手。すでに何枚かのCDをリリースしていて、どれもが絶賛されています。ここでも共感溢れる瑞々しい音楽を聴く事ができます。
収録作曲家: