2012年7月
26 件 / 26件中
-
ベートーヴェン(1770-1827):
交響曲 第5番&第7番 [ダラス響/ズヴェーデン]BEETHOVEN, L. van: Symphonies Nos. 5 and 7 (Dallas Symphony, van Zweden)
■交響曲/管弦楽曲
発売日:2012年07月25日 NMLアルバム番号:DSOLIVE001
CD価格:1,824円(税込)
史上最年少でコンセルトへボウ管のコンサートマスターを務めたヤープ・ファン・ズヴェーデンですが、90年代からは指揮者へと転向、着々とキャリアを積み重ねてきました。2008年に、先代アンドルー・リットンの後任としてダラス交響楽団の音楽監督に就任が決まりましたが、これはその直前、2007年11月の「ベートーヴェン祭」での記録です。5番も7番も、最近の潮流通り、比較的軽やかに始まりますが、小気味よいテンポと、入念に解釈の施された細部の処理が興味深く、すぐに引き込まれてしまうこと間違いなし。どちらの曲も終楽章での盛り上がりがすごく、この指揮者の昔のハーグのベートーヴェン(1770-1827)に比べても、著しく深化していることがわかるでしょう。これは素晴らしいの一言です。
収録作曲家:
-
チャイコフスキー(1840-1893):
交響曲 第5番
イタリア奇想曲 [ダラス響/ズヴェーデン]TCHAIKOVSKY, P.I.: Symphony No. 5 / Capriccio Italien (Dallas Symphony, van Zweden)
■交響曲/管弦楽曲
発売日:2012年07月25日 NMLアルバム番号:DSOLIVE002
CD価格:1,824円(税込)
このチャイコフスキー(1840-1893)は、ズヴェーデンがダラス交響楽団の音楽監督に就任して初のシーズンにライブ収録された演奏です。重心が低めの響きと、精緻なニュアンス、そして最終楽章のエキサイティングなエンディングに至るまでの緩やかなテンション上昇など全てが考え抜かれた交響曲第5番はこの曲を数多く聴いてきた熟練の耳をも唸らせる迫真の出来栄えです。イタリア奇想曲の祝祭的な雰囲気もgood。暖かさと鋭さを兼ね備えた美しすぎるチャイコフスキーです。
収録作曲家:
-
チャイコフスキー(1840-1893):
交響曲 第4番
組曲 第4番 「モーツァルティアーナ」 [ダラス響/ズヴェーデン]TCHAIKOVSKY, P.I.: Symphony No. 4 / Suite No. 4, "Mozartiana" (Dallas Symphony, van Zweden)
■交響曲/管弦楽曲
発売日:2012年07月25日 NMLアルバム番号:DSOLIVE003
CD価格:1,824円(税込)
チャイコフスキー(1840-1893)の対照的な2つの作品を収録した興味深い1枚。作曲家自身が「強い標題性を持っている」と述べたという第4交響曲は、暗く重い第1楽章、夢心地の第2楽章、暴力的とも言える第3楽章を経て、終楽章で厳しい運命との戦いに勝利する様を描いているものです。もう一つの作品「組曲第4番」はモーツァルトの作品に触発されたもので、シンプルな原曲がチャイコフスキーらしい華麗なオーケストレーションで歌われるところが人気の秘密です。とりわけ第3曲「祈り」は、あの「アヴェ・ヴェルム・コルプス(リストがピアノ用に編曲したもの)」が原曲。ひたすら美しさに浸れることでしょう。ズヴェーデン率いるダラス交響楽団は、交響曲においては衝撃的で重厚な響き、そして組曲では繊細な響きを紡ぎ出すことに成功しています。
収録作曲家:
-
スタッキー(1949-):
1964年8月4日 [マハジャン/イェプソン/ライドアウト/ギルフリー/ダラス交響合唱団/交響楽団/ズヴェーデン]STUCKY, S.: August 4, 1964 (Mahajan, Jepson, Rideout, Gilfry, Dallas Symphony Chorus and Orchestra, van Zweden)
■声楽曲
発売日:2012年07月25日 NMLアルバム番号:DSOLIVE004
CD価格:1,824円(税込)
この「世俗オラトリオ1964年8月4日」は、アメリカの第37代副大統領および第36代大統領であった、リンドン・ベインズ・ジョンソン(1908-1973)の生誕100年を称えるためにスタッキー(1949-)が作曲、2008年9月18日に初演された作品です。とは言え、内容は重く、決してジョンソン大統領の働きを賛美したものではないことは確かです。 1960年頃に激化したと言われるベトナム戦争ですが、ケネディ大統領から政権を引き継いだジョンソン大統領は、1964年8月4日の北ベトナム海軍の魚雷艇誤爆事件(トンキン湾事件)を口実に、翌8月5日から大規模な軍事行動を行うこととなります。この作品は、その8月4日のジョンソン大統領とマクナマラ長官の行動に、同日、公民権運動の労働者の3人の遺体がミシシッピ州で発見された事件も絡め、ホワイトハウスの電話テープ、殺害された労働者の母親からの手紙、ジョンソン大統領のスピーチなどが巧妙に織り込まれた、緊迫感あふれる音楽を描き出しています。
収録作曲家:
-
ワインベルク(1919-1996):
ピアノ作品全集 第2集 [ブリュースター・フランツェッティ]WEINBERG, M.: Piano Works (Complete), Vol. 2 (Brewster Franzetti)
■器楽曲(ピアノ)
発売日:2012年07月25日 NMLアルバム番号:GP607
CD価格:1,710円(税込)
ポーランドで生まれ、ロシアで活躍した作曲家ワインベルク(1919-1996)のピアノ作品集第2集です。ここでは1950年から1955年までの作品を収録しています。10の小品からなる「パルディータ」の簡潔な書法の中に込められた歌心(とりわけ第7曲のアリアは息を飲むほどの美しさ)。そしてやはり抒情的な表情を持つ「ソナチネ」、作曲当時、民謡に魅せられていたワインベルクの心意気を表現したかのように親しみ易い曲想の「ソナタ」。この3つの作品に漂う独特の作風に触れてみると、彼がどれほどまでに独自の作風を模索していたかがわかるのではないでしょうか?
収録作曲家:
-
ラフ(1822-1882):
ピアノ作品集 第2集 [チャ・グエン]RAFF, J.: Piano Works, Vol. 2 (Tra Nguyen)
■器楽曲(ピアノ)
発売日:2012年07月25日 NMLアルバム番号:GP612
CD価格:1,710円(税込)
知られざるスイスの作曲家ヨーゼフ・ラフ(1822-1882)。最近彼の作品への注目度が高まっていますが、このシリーズもその一連の流れに大きく寄与するものとなるでしょう。この第2集に収録されているのは、1871年前後の作品で、彼のキャリアの頂点に位置する充実の音に満ちています。リストよりもシューマン的な味わいを持つ「幻想的ソナタ」、微妙なゆらぎ感のある主題を、とことんまでに変容させた「変奏曲」、詩的で抒情的な煌めきが美しい「4つの小品」と、ラフの音楽の持つ深い味わいを感じることができるはず。
収録作曲家:
-
J.B.クラーマー(1771-1858):
ピアノのための練習曲 第1集&第2集
ブゾーニ(1866-1924):
クラーマーによる8つの練習曲 [デリャヴァン/ルイージ/ストゥアーニ]CRAMER, J.B.: Studio per il pianoforte / BUSONI, F.: 8 Etudes after Cramer (Deljavan, G. Luisi, Stuani)
■器楽曲(ピアノ)
発売日:2012年07月25日 NMLアルバム番号:GP613-14
2CD価格:2,438円(税込)
ピアノを学んでいる人は、大半の人が「クラーマー=ビューロー」という作曲家が書いたと思っている(に違いない)60の練習曲。実はヨハン・バプティスト・クラーマー(1771-1858)が作曲した第5巻からなる84曲の練習曲をハンス・フォン・ビューロー(リストの娘コジマの元夫)が、改訂したものであり、日本でもおなじみの練習曲として定着したものなのです。ここでは、本来の姿である84の練習曲を全てお聴きいただけます。この練習曲はベートーヴェンの甥カールが練習用として用いたほか、クララ・シューマンもピアノを学ぶ際、父から与えられたことで知られています。 また他の後世の作曲家に与えた影響も大きく、ここに収録されたブゾーニ(1866-1924)の作品は、自らが作曲した「10の練習帳」の中に含まれているもので、クラーマーの曲を元にしながらも、もっと難しくなっています。演奏する楽しみと聴く楽しみをお届けいたします。
-
グレート・ヴァイオリニスト・シリーズ
ヤッシャ・ハイフェッツ
アンコール集 第1集 [ハイフェッツ 他 - 録音:1946年-1956年]Heifetz, Jascha: Encores, Vol. 1 (1946-1956)
■器楽曲(ヴァイオリン)
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.112072
CD価格:1,900円(税込)
ハイフェッツと言えば、あの端正かつ情熱的なチャイコフスキーやブラームスの協奏曲を思い出す人も多いかもしれませんが、彼の神髄を知るには、ぜひともこれらの小品集を押さえていただきたいものです。彼自身の編曲も含むこれらのコンサート・ピースは、極めて上品であり、かつ彼の妙技をたっぷりと味わわせてくれる逸品であり、コンサートを締めくくるための素晴らしいデザートとしての役割も担っていたのでしょう。“ヴァイオリンの神”ここに降臨です。
-
J.シュトラウス1世(1804-1849):
作品集 第22集 [スロヴァキア・シンフォニエッタ/ポラック]STRAUSS I, J.: Edition - Vol. 22
■交響曲/管弦楽曲
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.225342
CD価格:1,815円(税込)
1847年、43歳のヨハン・シュトラウス1世(1804-1849)は、相変わらず精力的に創作活動に勤しんでいました。彼は1827年に自らの楽団を率い、何度かオーストリアのための“分列行進”を行っていましたが、このOp.209の作品は1847年の8月のパレードで演奏されたもので、熱烈な拍手で迎えられたと記録に残っています。Op.211のカドリーユは、当時大変流行していたオベールのオペラから題材を得たものであり、同じ素材を用いてJ.シュトラウス2世もカドリーユを作曲しています。また「カティンカ」とは、当時ボヘミアの女性を総称した呼び名です。他にもステキなワルツとカドリーユが盛りだくさんです(ちなみにカドリーユとは、4組の男女のカップルが四角い形を作って踊る舞曲です)。
収録作曲家:
-
ヘイルストーク(1941-):
交響曲 第1番他 [ヴァージニア響/ファレッタ]HAILSTORK, A.: American Port of Call (An) / Symphony No. 1 / 3 Spirituals (Virginia Symphony, Falletta)
■交響曲/管弦楽曲
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.559722
CD-R価格:1,900円(税込)
ニューヨーク生まれの作曲家、大学教授ヘイルストーク(1941-)の作品集です。今回は彼の3曲ある交響曲から第1番(既発売、第2&3番…8.559295)と、その他の特色ある作品を収録することで、彼の描き出す色彩感豊かで郷愁誘う世界を味わっていただけます。交響曲第1番は1987年にニュージャージー州の夏の音楽祭から委嘱されたもので、20分程度のコンパクトで古典的な趣きを持っています。雄大な第1楽章を経て、第2楽章のアダージョはまるでドヴォルザークの作品のような懐かしさに溢れています。騒がしいスケルツォ、全てを総括する終楽章と、聴きやすさも満点です。「3つのスピリチュアルズ」はオルガンのために書かれた作品の管弦楽編曲でありアメリカ民謡が至るところに使われています。 ちなみに弟2曲の「クン・バ・ヤ」とは1930年代から変わらず愛されている黒人霊歌で「Come By Here」を省略した言葉とも言われています。高らかに奏される「アメイジング・グレイスによるファンファーレ」も心が高揚します。NAXOSイチオシの女性指揮者ファレッタのしなやかな指揮でお楽しみください。
収録作曲家:
-
ヴァイグル(1881-1949):
死の島
6つの幻想曲/絵画とお話
夜の幻想曲集/復讐の女神の踊り [バノウェツ]WEIGL, K.: Isle of the Dead / Fantasies / Pictures and Tales / Night Fantasies (Banowetz)
■器楽曲(ピアノ)
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.572423
CD価格:1,900円(税込)
カール・ヴァイグル(1881-1949)はウィーンの後期ロマン派の作曲家です。彼は上流階級出身の両親の元で、幼い頃から音楽に親しみ、一時期はツェムリンスキーから作曲の手ほどきも受けていました。ウィーン大学に進み、音楽学を学びながら、ウェーベルンやシェーンベルクとも交友関係を結びます。1903年には「創造的音楽家協会」を設立し、その会員として、当時の最先端の音楽の初演に携わります。 この頃に書かれた「死の島」は、あの有名なベックリンの絵に触発されたもので、同じ絵を題材としたラフマニノフやレーガーの曲とは、また違った雰囲気を有しています。マーラーの第7交響曲を彷彿させる「夜の幻想曲集」も秀逸。しかし、ナチスの台頭とともにアメリカに亡命し、故国への思いが募るとともに、その作品も懐古的となり、最晩年に書かれた「6つの幻想曲」には良き時代へのオマージュとも思える郷愁が漂っています。
収録作曲家:
-
リスト(1811-1886):
〈ピアノ作品全集 第35集〉
ロシアの作曲家によるトランスクリプション集 [ドッシン]LISZT, F.: Russian Transcriptions (Liszt Complete Piano Music, Vol. 35)
■器楽曲(ピアノ)
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.572432
CD価格:1,900円(税込)
ハンガリー生まれの作曲家&ピアニスト、リスト(1811-1886)については、もう今更語ることもなさそうですが、この曲集に含まれている作品などを聴いてみると、まだまだ知られざる面が多いのではないか・・・と思ってしまいます。 ヨーロッパ中をその華麗なる技巧で熱狂の渦に巻き込んだリストは、1843年から1847年にかけて、何度かロシアも訪れています。その際、出会った作曲家や、インスピレーションを受けた音楽をいくつか編曲し、自らのレパートリーに加えたのです。その中にはグリンカやキュイ、ボロディンといった知名度の高い人の作品もあれば、「アマチュア作曲家」によるマズルカも含まれていました。1847年、彼が最後にロシアを訪れた時に出会ったカロリーネ侯爵夫人は、その後の彼の生涯に大きな影響を与えたことはご存知の通りです。
収録作曲家:
-
カベソン(1510-1566):
ティエントとバリエーション全集 [ウィルソン]CABEZON, A. de: Tientos and Variations (Complete) (Wilson)
■器楽曲
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.572475-76
2CD価格:2,900円(税込)
アントニオ・デ・カベソン(1510-1566)はスペインのルネサンス時代の作曲家、オルガニストです。彼は幼児期に失明したものの、素晴らしい音楽的才能を発揮し、オルガンと鍵盤楽器のための作品を数多く残しました。当時はジョスカン・デ・プレの音楽が流行していて、カベソンも彼の声楽曲を鍵盤楽器用に編曲したものもありますが、一方、当時としては先鋭的な技法を用い、後のバロック音楽を先取りするかのような作品も数多くあります。 彼の代表作であるティエントとは、イベリア半島に発生したポリフォニー様式の器楽作品の様式で、スペイン語の「触れる」という意味のtentarが語源と言われていて、その起源はフォリア(狂乱を表す舞曲)や、民謡にさかのぼることができます。形式は変化に富んでいますが、カベソンの曲は即興的な前奏とリチェルカーレを元にした、比較的厳格なもので、オルガン音楽の発達にも多大なる貢献をしています。
-
ペンデレツキ(1933-2020):
フォノグラミ/ホルン協奏曲/パルティータ他 [ワルシャワ・フィル・ヴィト]PENDERECKI, K.: Fonogrammi / Horn Concerto / Partita / The Awakening of Jacob / Anaklasis / De natura sonoris No. 1 (Warsaw Philharmonic, Wit)
■協奏曲
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.572482
CD価格:1,900円(税込)
2008年にペンデレツキ(1933-)自身の指揮によって日本初演が行われたホルン協奏曲(独奏は名手ヴラトコヴィチ)は、その幾分懐古的な音使いと、ホルンの超絶技巧が相俟って、すぐさま人気作品となり、瞬く間にCDリリースも行われ、多くの人たちが「現代におけるペンデレツキの存在価値」について思いを馳せるきっかけとなりました。このホルン協奏曲は、初演時から幾分の改編を経て、2010年に録音されたもの。当時の熱狂ぶりから一歩離れた冷静な聴き方ができるのではないでしょうか? 他の5つの作品は、60年代の“尖ったペンデレツキ”を中心に選曲。ヴィトによる安定感のある演奏は、ペンデレツキ・サウンドの変遷をじっくり味わわせてくれること間違いありません。こてこてのゲンダイオンガクからジャズの影響、インプロヴィゼーション、そしてネオ・ロマンティシズム。ペンデレツキの語法は、まるで流れる水のような柔軟さを持っています。
収録作曲家:
-
マルティヌー(1890-1959):
バレエ音楽「調理場のレヴュー」他 [ヒル/ホルスト・シンフォニエッタ/サイモン]MARTINU, B.: Revue de cuisine (La) / Harpsichord Concerto / Musique de chambre No. 1 / Les rondes (Hill, Holst Sinfonietta, Simon)
■バレエ・ダンス音楽
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.572485
CD価格:1,900円(税込)
マルティヌー(1890-1959)がイマイチ知名度を上げられないのは、もしかしたらあまりにも作品数が多すぎて、聴くべき曲がわからないからなのかも知れません。そんな時は、やっぱり楽しい曲から攻めてみませんか? この「調理場のレヴュー」などは入門曲としてうってつけ。結婚を控えたポットと蓋ですが、泡だて器が横やりを入れ、そこに布巾が介入、ほうきも交えてのケンカが始まります。最終的には仲直りをするという物語ですが、なんといっても音楽が楽しいこと! タンゴ、チャールストンなど当時流行の音楽が至るところに使われています。組曲版としての上演機会は稀にありますが、残念ながら、バレエとしては、初演以降忘れられてしまっていたもので、今回、ホグウッドによる綿密な校訂のもと、この全曲盤が蘇ったのです。 ハープシコード協奏曲は、マルセル・ド・ラクール(パリ国立高等音楽院にチェンバロ科を設立した人物)に献呈され、初演もラクールが行いました。プーランクの「田園のコンセール」にもひけを取らないほどの、ネオクラシカル調の精彩に満ちた名作です。
収録作曲家:
-
メシアン(1908-1992):
われら死者のたち復活を待ち望む他 [フランス国立リヨン管/メルクル]MESSIAEN, O.: Et exspecto resurrectionem mortuorum / Le tombeau resplendissant / Hymne (Lyon National Orchestra, Markl)
■宗教曲
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.572714
CD価格:1,900円(税込)
メシアン(1908-1992)の作品の中でも、とりわけ規模が大きく、また「いかにもメシアンらしい」この音楽。本来は第二次世界大戦の犠牲者を追悼するために、当時のフランスの文化相から委嘱されたのですが、この頃、宗教的な題材をとことん追求していたメシアンは、曲中に戦闘の恐怖などを盛り込むことはせず、もっと全人類的で普遍的な「救済、復活」の音楽を描き出しました。編成は木管楽器と金管楽器、そして打楽器と言う変則的なもので、5つにわかれた部分は、全て聖書からの引用によるタイトルが付けられています。もちろんお約束の鳥の声も聞こえてきます。他には、若い頃に書かれた2つの作品も収録。準・メルクルは今回も冴えた棒捌きを見せてくれます。
収録作曲家:
-
ヘンデル(1685-1759):
エイシスとガラテア HMV49 全曲 [コトスキ/ゴードン/シーベルト/オパラッハ/シアトル交響合唱団&交響楽団/シュワルツ]HANDEL, G.F.: Acis and Galatea (Kotoski, Gordon, Siebert, Opalach, Seattle Symphony Chorale and Orchestra, Schwarz)
■オペラ
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.572745-46
2CD
通常価格:2,900円→ 特価!:790円(税込)1712年にイギリスに渡ったヘンデル(1685-1759)は、最初はイタリア風のオペラを上演し人気を保っていたものの、次第に情勢が変わり、仕事にも事欠くようになってしまいました。そんなヘンデルを救ったのが、当時カナーボンの伯爵(のちにシャンドス侯爵となる)であったブリッジズで、彼は自らの財力を誇るために広大な邸宅を建築し、美術品や音楽家を集めていて、ヘンデルもその恩恵に預かったというわけです。 この「エイシスとガラテア」はその邸宅で演奏されたもので、その時の楽長は「乞食オペラ」で知られるペープシュでした。内容は、ニンフのガラテアと羊飼いのエイシスの物語。美しいガラテアに片思いする一つ目の巨人ポリフェルマスによって、エイシスは石で打ち殺されてしまうのですが、ガラテアは自らの力をもって、エイシスを永遠に流れる清らかな泉に変えるというものです。仮面劇と言っても、技巧的なアリアや迫力ある合唱が存分に楽しめる素晴らしい作品です。
収録作曲家:
-
オネゲル(1892-1955):
交響曲 第2番
ラザロフ(1932-):
イカロス [シアトル響/シュワルツ]HONEGGER, A.: Symphony No. 2 / LAZAROF, H.: Concerto for Orchestra No. 2, "Icarus" / Poema (Seattle Symphony, Schwarz)
■交響曲/管弦楽曲
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.572748
CD価格:1,900円(税込)
第二次世界大戦の最中、オネゲルが書き上げた交響曲第2番。これは1936年にバーゼル室内管弦楽団の創立10周年記念のためにパウル・ザッハーが委嘱したものでした。しかし曲の完成が遅れ、その間に刻々と世相は混乱を極めていきます。作品の持つ暗い陰鬱な雰囲気は、確かにそんな当時の空気を反映したものですが、終楽章に現れるトランペットで奏される壮麗なコラールは、そんな重苦しさを一瞬にはねのける輝かしさを有しています(トランペットの使用は任意ですが・・・)。 ラザロフの2つの作品は、シアトル交響楽団の性能を存分に発揮させるために書かれた作品で、とりわけ「ポエマ」は指揮者シュワルツの結婚祝いでもあり、華麗さとロマンティックな雰囲気が見事に融合した美しい曲です。
-
ディーリアス(1862-1934):
人生のミサ
前奏曲と牧歌 [ワトソン/ウィン=ロジャース/ケネディ/オピー/バッハ合唱団/ボーンマス響/ヒル]DELIUS, F.: Mass of Life (A) / Prelude and Idyll (J. Watson, Wyn-Rogers, A. Kennedy, Opie, Bach Choir, Bournemouth Symphony, D. Hill)
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.572861-62
2CD価格:2,900円(税込)
ニーチェの「ツァラトゥストラ」からインスパイアされた音楽と言えば、R.シュトラウスやマーラーを思い出しますが、このディーリアス(1862-1934)の「人生のミサ」も同じテキストを用いて、全く違ったテイストの音楽を書き上げました。ディーリアスと言えば、イギリスを代表する作曲家と思われていますが、彼の両親は実はドイツ人であり、彼自身もドイツ語を操り、ドイツ文学をこよなく愛していたのです。このタイトルにある「人生」とは超人ツァラトゥストラの辿った人生の遍歴であり、ディーリアスは、そこに普遍性を見出していたようです。この作品、当初はウォレスによる英訳歌詞で歌われることが多かったのですが、最近は原語歌唱によるものが増え、この録音もドイツ語で歌われています。
収録作曲家:
-
ホルスト(1874-1934):
コッツウォルド交響曲
ウォルト・ホイットマン序曲
交響詩「インドラ」/日本組曲/冬の牧歌 [アルスター管/ファレッタ]HOLST, G.: Symphony, "The Cotswolds" / Walt Whitman, Overture / Indra / Japanese Suite / A Winter Idyll (Ulster Orchestra, Falletta)
■交響曲/管弦楽曲
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.572914
CD価格:1,900円(税込)
ホルスト(1874-1934)といえば、「イギリス音楽の代表格」の作曲家ですが、実は様々な国の文化の影響を受けている人でもありました。Op.7の序曲は1899年、彼が王立音楽大学を卒業した頃に作曲されたもので、当時の作曲仲間に刺激を受けながらも、まだ自らの独自性を開発しきれていなかったホルストらしく、思い切りワーグナーの影響が見受けられる明るく朗らかな作品となっています。また、当時傾倒していた社会主義を唱えたウィリアム・モリスに触発されて作曲したのが「コッツウォルド交響曲」であり、こちらはイギリス民謡も多様されています。それ以前の「冬の牧歌」(1897)は学生時代の習作です。 アルバム中、最も注目されるのは、日本の振付師、伊藤道郎から委嘱を受けた「日本組曲」で、こちらは全編を通じて日本民謡が使われているというもの。日本人ならたまらない音楽であることは間違いありません。交響詩インドラはインド哲学からインスパイア作品。彼の父の2度目の妻が神学者であり、その影響も多分にあることでしょう。
収録作曲家:
-
期待の新進演奏家シリーズ
ウラディーミル・ゴルバッチ
ギター・リサイタル [ゴルバッハ]Guitar Recital: Gorbach, Vladimir - PIAZZOLLA, A. / SCARLATTI, D. / GIULIANI, M. / ASENCIO, V.
■器楽曲(ギター)
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.573023
CD価格:1,900円(税込)
2011年、GFA(GuitarFoundationofAmerica)国際ギターコンクールで第1位を獲得した、ロシア生まれの若いギタリスト、ウラディーミル・ゴルバッチのリサイタルCDです。彼はノロシビルスク音楽学校、グリンカ音楽院を経て、ケルン音楽アカデミーでギターを学びました。メニューイン財団の主宰する音楽会に出演したことで、一躍有名になり、その後は各国で開催されたギター・コンクールで賞を獲得しながら、50回を超す演奏会もこなし、着々と腕を磨いています。 ここで聴けるのは、スカルラッティからピアソラまでと多種多彩。ピアソラでの力強さもさることながら、スカルラッティで聴かせる独創性と器用さは、特筆ものです。アセンシオの「内なる思い」も名演であり、この若者の揺るぎない感性には驚かされるばかりです。
-
プロコフィエフ(1891-1953):
交響曲 第5番
交響組曲「1941年」 [サン・パウロ響/オールソップ]PROKOFIEV, S.: Year 1941 (The) / Symphony No. 5 (Sao Paulo Symphony, Alsop)
■交響曲/管弦楽曲
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:8.573029
CD価格:1,900円(税込)
1944年に作曲された「交響曲第5番」は、プロコフィエフ(1891-1953)の最大傑作の一つとされています。これは、当時、ヒトラー率いるドイツ第三帝国が、一方的にソ連に攻め入ることで祖国愛に目覚めたというプロコフィエフが、自ら持てる音楽の力で、祖国に貢献すべく作曲した作品であり、構想からわずか1か月でピアノ・スコアが完成、そこから1か月でオーケストラのスコアが完成したというのですから、その創作意欲には並々ならぬものがあったのは間違いありません。ピアノやハープ、充実した打楽器群を含む3管編成のオーケストラで奏されるこの作品、最初は静かに始まりますが、曲が進むにつれ、少しずつ盛り上がり、暴力的なスケルツォを経て、第3楽章の葬送行進曲風の音楽へと進み、最終楽章で音楽は最高潮に達します。いささか唐突に終わるのは、人類に対して何かを問いかけているのかもしれません。 交響組曲「1941年」は、その先駆けとなった独ソ戦争勃発を契機として書かれた作品。オールソップの冷徹な指揮が曲全体を引き締めています。
収録作曲家:
-
シューベルト(1797-1828):
ヴァイオリンとフォルテピアノのための作品集 第1集 [ロス/コール]SCHUBERT, F.: Violin and Fortepiano Works (Complete), Vol. 1 (Ross, Cole)
■器楽曲(ピアノ)
発売日:2012年07月18日 NMLアルバム番号:9.70164
CD
通常価格:1,900円→ 特価!:390円(税込)シューベルト(1797-1828)の作品の中でも、あまり演奏の機会が多くないヴァイオリンのためのソナタ(ソナチネ)。Op.137の3曲は、彼がまだ20歳になる前に書かれるも、忘れられたままになり、死後の1836年にようやく実兄フェルディナントの手で出版された作品です。簡素な中に、いかにもシューベルトらしい伸びやかで美しい旋律が聞こえてくるというもので、モーツァルトやベートーヴェンの影響も多分に感じられる、若さ故の情熱が潜んでいます。 本来ならば「配信のみ」で企画された音源なのですが、この曲をバロック・ヴァイオリンとフォルテピアノで演奏したものは極めて珍しく、その上、あまりにも素晴しい演奏であるため、急遽アルバム化したという逸品です。精妙な響きと軽やかな音は、聴き手を200年前の世界へといざないます。
収録作曲家:
-
アレンスキー(1861-1906):
2台ピアノのための5つの組曲 [ジェノヴァ&ディミトロフ・ピアノ・デュオ]ARENSKY, A.S.: Suites Nos. 1-5 (Genova and Dimitrov Piano Duo)
発売日:2012年07月11日 NMLアルバム番号:777651-2
CD価格:1,710円(税込)
名指揮者クラウディオ・アバドも大絶賛したドイツの若きピアノ・デュオによるアレンスキー(1861-1902)です。1971年生まれのアグリカ・ジェノワと1969年生まれのリューベン・ディミトロフの2人によって1995年に結成されたこのピアノ・デュオは1996年ミュンヘンで開催されたARDコンクールを皮切りに、1997年マイアミ開催のムライ・ドラノフ・ピアノ・デュオ・コンクールの他、1995年の東京ピアノ・デュオ・コンクール、同年のベルリン音楽コンクールなどで賞を獲得、同時にヨーロッパからアジア、アフリカ、アメリカで幅広く演奏活動を行っています。 彼らが演奏するのはアレンスキーの「5つの組曲」で、45歳の若さで亡くなった彼の作曲技法が濃縮されている、密度の濃い作品です。2人のピアノは、大胆な妙技で、この曲の持つ魅惑的で活発な面に光をあて、アレンスキーが決してチャイコフスキーやリムスキー=コルサコフのエピゴーネンではなかったことを証明しています。
収録作曲家:
-
エネスク(1881-1955):
交響曲 第2番
12の楽器のための室内交響曲 [タンペレ・フィル/リントゥ]ENESCU, G.: Symphony No. 2 / Chamber Symphony in E major, Op. 33 (Lintu)
■交響曲/管弦楽曲 ■室内楽
発売日:2012年07月11日 NMLアルバム番号:ODE1196-2
CD価格:2,475円(税込)
タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団と、芸術監督ハンヌ・リントゥによる、ルーマニアの大作曲家エネスクのシリーズが始動します。20世紀最大の作曲家でありながらも、その業績はほとんど知られることのないジョルジュ・エネスク(エネスコ)。彼は偉大なるヴァイオリニストでもあり、またルーマニアの民族音楽の研究家としても素晴しい足跡を残しています。 彼の作品は概ね、民族色の濃いものであり、調性感を超越した心の根源に迫る音楽が多いのですが、このアルバムに収録された「交響曲第2番」は、(初演時こそ「前衛的過ぎる」と非難を受けたものの)実際に聴いてみると、まるでドイツの後期ロマン派の音であり、まだまだ発展途上にあった若き作曲家の息吹きを感じさせるものです。かたや1954年に作曲された「室内交響曲」は、ピアノを含む12の楽器が深淵なハーモニーを奏でるという、思いの他美しい曲。晩年のエネスクの心情が伝わってくるかのようです。
収録作曲家:
-
ベルリオーズ(1803-1869):
抒情的情景「エルミニー」/歌曲集「夏の夜」
ラヴェル(1875-1937):
歌曲集「シェエラザード」 [ジャンス/フランス国立ロワール管/アクセルロッド]BERLIOZ, H.: Herminie / Les nuits d'ete / RAVEL, M.: Sheherazade (Gens, Orchestre National des Pays de la Loire, Axelrod)
■声楽曲
発売日:2012年07月11日 NMLアルバム番号:ODE1200-2
CD価格:2,475円(税込)
1980年代の終わりから、優れたバロック・ソプラノとして独特の存在感を見せていたヴェロニク・ジャンス。バロック・オペラや声楽曲の録音にもしばしばフィーチャーされ、澄み切った歌声を聞かせていました。しかし、2000年頃になって立て続けにフランス歌曲、とりわけベルリオーズの歌曲を積極的に録音し、清冽かつドラマティックな側面を見せてくれたことは、今でも鮮烈な記憶として脳裏へと焼き付けている人も多いのではないでしょうか? さて、そんな彼女はこの度ONDINEと正式契約を結び、最初にリリースするのが、ベルリオーズ(1830-1869)とラヴェル(1875-1937)の歌曲集。とりわけ「夏の夜」については、およそ12年ぶりの再録音となり、その表現の深まりについても興味深いところです。当時、あれほど熱望して手に入れた愛妻ハリエットとの間に亀裂が生じ、心が揺れ動いていたベルリオーズの、ちょっぴり悩ましい心情を、テオフィル・ゴーティエの詩を借りて歌い上げたもので、ここでのジャンスは美しく流麗なフランス語、そしてまるで呼吸するかのような自然な歌い口で表現します。優しさと情熱を併せ持つ6曲の歌曲は、まさに珠玉の美しさを備えています。 抒情的情景「エルミニー」は、ベルリオーズが1828年(ハリエットに一目ぼれした年)に書かれた作品で、すでに幻想交響曲の「イデー-フィクス(固定楽想)」が随所に表れています。彼はこの曲でローマ賞に挑戦、惜しくも2票差で1位を逃してしまいますが、彼は大いなる自信を得て、そのまま「幻想交響曲」の作曲にいそしむのです。 ラヴェルの「シェエラザード」はトリスタン・クリングゾールの詩につけられた3つの歌曲。色彩豊かな管弦楽法はいかにもラヴェルであり、ほのかなオリエンタリズムも感じられます。類い稀なるカリスマ性を発揮する指揮者ジョン・アクセルロッドによるフランス国立ペイ・ドゥ・ラ・ロワール管弦楽団の絶妙な伴奏も、この零れ落ちそうな歌唱に彩りを添えています。