ストロッツィ(バルバラ) Strozzi, Barbara
生没年 | 1619-1677 | 国 | イタリア |
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辞書順 | 「ス」 | NML作曲家番号 | 20177 |
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歌の世紀
ヴェネツィアにおけるバロック歌劇の開花 [パオロ・ザンズ、レ・スタジョーニ、エマミュエル・ド・ネグリ、ブランディーヌ・スタスキエヴィチ、ポール=アントワーヌ・べノス=ジャン ほか]発売日:2023年11月24日
CD価格:2,475円(税込)
現代の歌劇場文化の始まりを彩った活気を、充実した古楽器演奏で当時のままに1600年前後のイタリアで、閉ざされた特権階級向けの知的な催事劇として始まった新しい舞台芸術、オペラ。その閉鎖空間の芸術が広く公衆に開かれた興業となったのはその少し後、1630年代に水の都ヴェネツィアで相次いでオープンした歌劇場を通じてのことでした。 このアルバムはそうした近代型オペラの原型ともいうべきものが育まれた17世紀前半のヴェネツィアの歌劇界に光を当て、同時期に出版された声楽曲集・器楽曲集からの抜粋を交え、バロック初期の「歌いながら語る」歌唱様式がどのように発展し、人々の心を掴んだかを概観できる選曲になっています。 この時期のヴェネツィア歌劇界の立役者たるカヴァッリの作品を冒頭と末尾に配し、その師匠でもあったモンテヴェルディ晩期の傑作群、大衆に開かれた最初の歌劇場で作品を発表した作曲家の一人ベネデット・フェラーリの声楽作品、彼らの声楽作法を横目に独自の器楽スタイルを追求したウッチェリーニのソナタなど、バラエティ豊かな選曲から「水の都」の活況を浮かび上がらせるのは、21世紀のヨーロッパでさまざまなアンサンブルの一員として頭角を現してきた俊才古楽歌手5人と、幅広い世代の俊才が集うレ・スタジオーニ。撥弦のシモーネ・ヴァッレロトンダやガンバのイザベル・サン=ティヴ、全体の指揮をとる鍵盤のパオロ・ザンズら経験豊かな才人が加わり、豪華な通奏低音勢と各パート一人ずつの弦楽が織りなす古楽器サウンドが、歌手たちの迫真の歌唱の味わいを幾倍にも引き立ててやみません。 歴史的背景を踏まえたザンズ自身の解説(伊、英、仏語)も充実した内容になっています。
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『幸せな恋などない』
イタリア17世紀の器楽曲と声楽曲 [ラ・パラティーネ、マリー・テオレル、ローラン・ソーロン]発売日:2022年11月11日
CD価格:2,475円(税込)
「言葉を音にする」というバロックの本質に、器楽・声楽両面から迫るル・ポエム・アルモニーク、アンサンブル・エリマ、レザール・フロリサンなどフランス最前線のアンサンブルで活躍する新世代の古楽プレイヤーたちが集まって2019年に誕生した若きアンサンブル、ラ・パラティーネ。 打楽器奏者ローラン・ソーロンの協力を得て、エッジの聴いたバロックギターのかき鳴らしや緩急自在のヴィオラ・ダ・ガンバ、躍動感と歌心に満ちたチェンバロや静謐なオルガンの響きとともに、人間の生々しい心情描写に迫った17世紀イタリアの声楽曲の機微を鮮やかに伝えるのは、高音域までみずみずしい美質に貫かれたマリー・テオレルの歌声。器楽トラックでは各楽器の味わいが活かされたナンバーが続き、イタリア貴族たちが愉しんだ宮廷舞踏や楽器演奏のひとときを彷彿とさせます。 全編を通じて寛いだ佇まいの音作りが心地良く、詩へのリスペクトが高く一体感に貫かれた演奏に仕上がっており、最後の(そしてアルバムの表題にもなっている)20世紀シャンソンの大家ブラッサンスの名曲へと自然に繋がる流れは実に魅力的。テオルボ、チェンバロ、ガンバの音色が20世紀の歌と難なく共存し、詩の朗読や演説と切っても切り離せなかったバロック音楽の本質に気づかせてくれます。 フランスの古楽シーンの成熟を改めて印象づけてくれる最前線からのアルバムの登場です。
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バロック・アラベスク
Baroque Arabesque [フィオーリ・ムジカーリ・オーストリア/オルワ・サレハ(ウード)]Chamber Music (17th-18th Centuries) - CACCINI, G. / COUPERIN, F. / HANDEL, G.F. (Baroque Arabesque) (Fiori Musicali Austria)
発売日:2022年10月28日 NMLアルバム番号:Gramola99279
CD価格:2,550円(税込)
“アラベスク”とはイスラム美術発祥の幾何学模様で、その多くは絡み合う植物の蔦や茎を図案化したものです。 このアルバムでは西洋のバロック音楽、特に中南部ヨーロッパの音楽と、中東の音楽、イベリア半島のセファルディ伝承の音楽を組み合わせ、その地域間の民族移動などの関係性を探っていきます。例えばヘンデルがイギリスではなくスペインに移住していたとすれば・・・そんな観点から編曲が施された歌劇《アルチーナ》のアリアなどは聴き手の想像力に強く働きかけることでしょう。 他にもチェンバロ奏者のマリンカ・ブレシェリが趣味のよいアレンジを施した哀愁漂うセファルディ伝承曲やギリシャの伝承曲など多彩な音楽が並べられています。 演奏するフィオーリ・ムジカーリ・オーストリアは古楽器とさまざまなパーカッション、歌によるアンサンブル。今作ではワールド・ミュージックの分野でも名高いウードの名手、アルワ・サレハも演奏に参加、更なる彩りを加えています。
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TANTALO
言葉と音楽の融合により生まれた
16~17世紀フィレンツェの作品集 [アリシア・アモ(ソプラノ)/カルロス・メナ(カウンターテナー)/ラルモニア・デッリ・アフェッティ(古楽器使用)/アレッサンドロ・ウルバーノ(指揮)]Vocal and Chamber Music (Baroque) - CACCINI, G. / CASTALDI, B. / FERRARI, B. / KAPSBERGER, G.G. (Tantalo) (Amo, Mena, L'Armonia Degli Affetti, Urbano)
発売日:2021年12月24日 NMLアルバム番号:IBS-132021
CD価格:2,250円(税込)
アルバム・タイトルの「TANTALO」とはギリシア神話に登場する王の名前。神の怒りを買い奈落の底に落とされたタンタロスは、目の前に水や食物があっても決して口にすることができず、永遠の飢えと渇きに苛まれ続けていることから「欲しいものがあっても手が届かないじれったさ」の慣用句として用いられることがしばしばあります。 このアルバムには16世紀後半のフィレンツェで、人文主義者や音楽家、詩人、知識人たちがジョヴァンニ・デ・バルディ伯爵を中心に結成した音楽サークル『カメラータ・デ・バルディ』が追求した「古代ギリシャ音楽」の復興とオペラの創出の試みによって生まれた音楽が収録されています。 当時流行していた複雑なポリフォニーでは、使われたテキストが聞き取りにくいことがしばしば。メンバーたちは古い記録を辿り、言葉と音楽の共生を目指したことで、単純な器楽伴奏と単旋律の歌が生まれ、「モノディ」と呼ばれるこの形式は後に「オペラ」へと発展していきました。 ラルモニア・デッリ・アフェッティは2012年に結成された古楽器使用のアンサンブル。カウンターテナーのカルロス・メナとコラボレーションを行い、17世紀と18世紀のバロック作品を中心に演奏しています。
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ET MANCHI PIETÀ - 喪失の嘆き
アルテミジア・ジェンティレスキと彼女の同世代の音楽
[シルヴィア・フリガート/アレッサンドラ・ロッシ・リューリヒ//アカデミア・ダルカディア]Vocal and Chamber Music (Italian Baroque) - ROSSI, L. / MONTEVERDI, C. / STROZZI, B. (Et manchi pietà) (Frigato, Accademia d'Arcadia, Lürig)
発売日:2018年12月21日 NMLアルバム番号:CDS7829
CD価格:2,325円(税込)
17世紀、カラヴァッジオ派に属した女性画家ジェンティレスキ。工房を営む父から絵画を学び、幼少時から優れた才能を開花させました。しかし18歳の時に、父が彼女のための教師として雇った画家アゴスティーノ・タッシから性暴力を受けたことで生活が一変。タッシは有罪判決を受けたものの、裁判の流れでジェンティレスキは心に深い傷を負い、その心理は代表作「ホロフェルネスの首を斬るユーディット」として描き出されたことでも知られています。その後はフィレンツェ芸術院で初の女性会員として受け入れられ、多くの芸術家と親交を結び数多くの作品を残しましたが、彼女の成功の根源には若い頃の苦しい経験があったことは想像に難くありません。 このアルバムには彼女の13枚の絵画を掲載、その絵にふさわしい作品をアカデミア・ダルカディアが演奏しています。愛、涙、戦い・・・これらのタイトルが彼女の生涯を端的に表現しているかのようです。
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Il Pianto della Madonna - 聖母マリアの嘆き [マリ・ド・ヴィユトレイ /ロナン・ハリル/アンサンブル・デマレ]
Vocal and Chamber Music - ORTIZ, D. / STROZZI, B. / ROSSI, L. / MONTEVERDI, C. (Il Pianto della Madonna) (Villoutreys, Ensemble Desmarest, R. Khalil)
発売日:2018年10月31日 NMLアルバム番号:LBM005
CD価格:2,475円(税込)
バロック時代に「聖母マリア」について書かれた様々な作品を集めた演奏会のライヴ。ソプラノのヴィユトレイは9歳でブルターニュのマスター・クラスに参加しその歌声を認められたという神童。その後は順調に年齢を重ね、現在では様々なバロック・アンサンブル(アマリリス、ピグマリオン、リチェルカール・コンソートなど)と共演、またバロック以外の分野でも活躍しています。 作曲家アンリ・デマレの名を冠したアンサンブル「アンサンブル・デマレ」はパリのシンガー・ポリニャック財団のレジデント・アーティストを務める注目の団体です。メンバーにはヴィオラ・ダ・ガンバのロビン・パロとロナルド・マーティン・アロンソ、アーチリュートのマルク・ウォルフ、オルガンを演奏しているのは話題のジャン・ロンドーなど錚々たる顔ぶれが揃っています。