クッサー(ヨハン・ジギスムント) Kusser, Johann Sigismund
生没年 | 1660-1727 | 国 | |
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辞書順 | 「ク」 | NML作曲家番号 | 29932 |
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『アイルランドのミューズ』
パーセルとクッサー、バロック期アイルランドの2巨匠 [ピーター・ウィラン、ピーター・フィッツジェラルド、マリア・ケオハネ、アンソニー・グリゴリー、セスティーナ、アイリッシュ・バロック・オーケストラ ほか]Vocal Music (Irish) - PURCELL, H. / KUSSER, J.S. / TRADITIONAL (The Hibernian Muse) (Sestina, Irish Baroque Orchestra, Whelan)
発売日:2022年06月24日
NMLアルバム番号:CKD685
CD価格:2,475円(税込)
アイルランドに縁深い音楽史上の名匠2人、ダブリンを湧かせた至芸に光を当てる原題にあるHibernianとはラテン語で「アイルランドの」の意。バロック音楽史上はヘンデルの『メサイア』初演の地がダブリンであることが有名ですが、当時アイルランドは名誉革命期のウィリアマイト戦争を経て統治体制が大きく変わり、1690年代以降イングランドとの結びつきを深めゆく最中でした。 1694年1月にダブリンのクライストチャーチで演奏されたイングランド王室の作曲家パーセルのオード「偉大な創立者を讃えよ」は、アイルランドにおけるイングランド王室の統治の正当性を過去に遡って称揚する内容。台本は名高いイングランド桂冠詩人ネイハム・テイトが手がけています。 その少し前にパーセルが作曲し今なおジャンルを越えてミュージシャン達に愛されている「リリバレロ」のリュート編曲を経て、アルバム後半にはドイツ語圏に管弦楽によるフランス風組曲を流行させた立役者の一人クッサーの知られざるセレナータを収録。ハンガリーのポショニ(現スロヴァキア領ブラティスラヴァ)生まれのクッサーはドイツ語圏各地で活躍したのちダブリンに渡り、この地で英国王室向けの音楽も作曲しました。本盤のセレナータはパルナスス山に暮らすミューズたちが芸術の守護神アポロと登場、イングランドのアン女王を讃える内容で、クッサーはイタリア風のレチタティーヴォとアリアの交代を中心にしながら自在な作風で音楽を仕上げており、起伏に富んだ音作りが聴き手を飽きさせません。 クッサーが筆写したことで知られるラストのアイルランド民謡も含め、躍進めざましいアイリッシュ・バロック・オーケストラがよく練られた解釈でじっくり作品の魅力を引き出してゆきます。