皆様、こんにちは。Dr.Tei Kenです。
日に日に寒さが厳しくなってきましたね。北海道では雪の便りが届き始めました。越冬に備えたエゾシカは脂がのっていて、シカ肉が最も美味しい時期になります。弊社で冬場にロクキョウを製造していると、製造過程で大量の脂が出てくる光景をよく目にします。今回は鹿の脂についてお話します。
シカ肉は脂が少なく低カロリーでヘルシーですが、シカ肉の中でも、あばらは脂が多い部位になります。あばらを煮込み、火を止めてしばらく置いておくと、油分が徐々に固まって白くなります。鹿の脂は飽和脂肪酸が多くて融点が高く、酸化しにくい性質があります。このため室温程度になると、ラードのような脂が白く固まった状態が見られます。脂が多いシカ肉を調理するときは、適度に脂を落とした方が美味しいです。グリルで焼き、焼肉のたれをつけて食べると絶品です。
鹿の脂は、薬学書の本草綱目(ほんぞうこうもく)に「鹿脂」として収載されています。鹿脂は、中国において昔から民間治療薬として使われていました。切り傷ややけどに塗って早く治るように手当をしたり、かかとのひび割れなど皮膚を保護する目的で鹿脂を使用していました。日本でも狩人の間では知られていて、同じように使われていたようです。
現代では皮膚を保護して再生を促す効能を活かして、鹿脂を配合した化粧品に応用されています。鹿脂はパルミチン酸やステアリン酸といった飽和脂肪酸を多く含んでおり、肌を保湿して、肌をキレイに保つ効果があります。なお、鹿脂は馬油等の他の動物と比べると、においが少なくてベタつきにくく、肌になじんで肌本来の潤いを取り戻す効果があります。海外ではハンドクリームなどが販売されています。また、鹿脂をシャンプーやコンディショナーに配合することで、髪のダメージを補修し、髪をしっとりさせる効果が期待できます。髪を乾かす前のヘアオイルとしても、鹿脂を髪に薄くなじませると、ツヤが出てなめらかになります。
動物由来の脂は敬遠されがちですが、有益な効能も多く、多分野で活用できる可能性を持っています。弊社としても、鹿脂の有効活用をできるよう努めていきたいです。
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