第116回
生薬としての鹿の活用

皆様、こんにちは。Dr.Tei Kenです。

高級生薬・鹿茸(ろくじょう)は、補精強壮薬として知られています。鹿茸は、二ホンジカやアカシカのまだ骨質化していない幼角のこと。薬用人参と共に漢方高貴薬の双璧として貴ばれ、中国本土や香港の漢方薬局の看板に「参茸」の2字を掲げてその標識とされるほどです。鹿茸は『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』から歴代の本草書に収載され続け、悠久の歴史がある生薬と考えられています。

エゾシカ
香港参茸街

薬用の歴史を紐解く

中国だけではなく日本でも鹿の薬用の歴史は古く、平安時代には既に貴重品として珍重され、『日本書紀』には「推古天皇十九年(611年)5月5日、菟田野(うたの)で薬狩りを行った」との記載があります。「薬狩り」とは、鹿茸を取るための鹿狩りを指し、推古天皇の時代に19年、20年、22年の夏5月5日に3回挙行された記述があり、鹿茸を採取する日も「薬日」として日本書紀に記されています。

平安時代の法令集『延喜式』の37巻には、日本各地から朝廷に納められた『諸國進年料雜藥』に鹿産品リストがあり、重要な交易品であったことがわかります。日本最初の薬物書『薬経太素』(799年)も、「(鹿茸)温味甘鹹。上の毛を焼きて、薄切て吉、酒に二夜付て焙用、腎無力と腰の痛、膝無力に吉」と記され、日本産ニホンジカは古くから薬効があるものとして認識されていることは明らかです。

鹿は漢方薬の宝庫

日本薬局方に収載されていない生薬の規格を決める「日本薬局方外生薬規格2018」の規定では、「本品はCervus nippon Temminck,Cervus elaphus Linne,Cervus canadensis Erxleben 又はその他同属動物(Cervidae)の雄鹿の角化していない幼角である」とありますが、現在日本産ニホンジカの鹿茸は医薬品として流通されていません。我が国に輸入される鹿茸は、原材料が中国およびシベリア産のシカに限られ、中国産二ホンジカが主ですが、実は北海道に生息しているエゾシカと同じ遺伝子を持つとの論文が発表されています。鹿に由来する生薬は鹿茸のみでなく、鹿膠(ろくきょう)、白膠(鹿角膠)、鹿角霜、鹿角、鹿胎、鹿腎、鹿筋、鹿骨、鹿尾、鹿血など、十数種あります。鹿は捨てる部位が無いほど全身が宝です。漢方薬の宝庫といっても過言ではないエゾシカ、当店は生薬や健康食品として活用を進めていきます。

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