皆様、こんにちは。Dr.Tei Kenです。
前号では、免疫力を高める鹿血の研究を紹介しました。今号も免疫力に関するお話です。
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化しています。日本だけでなく韓国や台湾でも、感染源が不明の感染者が増え始めています。事態の収束を願っていますが、もしも、数千人以上の感染者が出た場合、感染症病床が1800床しかない日本は、中国のように医療資源が不足し、自宅隔離して自力で乗り越える局面を迎えてしまうかもしれません。
専門家が提唱している対策は、感染を予防する行動と自身の免疫力を高めることです。中国の症例では、感染後、無症状もしくは軽い症状が1週間続いてから回復するか、重症化するかの2パターンが主です。その明暗を分けたのが、免疫力です。免疫力が低下すると、感染症にかかりやすくなったり、ガンなどの病気を発症するリスクが増えたり、新陳代謝が低下して美容面にも悪影響が現れることがあります。
免疫は、大きく「自然免疫」と「獲得免疫」の二つに分けられます。体内に侵入してきた病原体に、最初に反応するのが自然免疫です。マクロファージ、樹状細胞、好中球などの白血球は細菌やウイルスを認識して攻撃、排除し、最前線で私たちの体を守ります。そして自然免疫の攻撃を逃れた病原体に対応するのが、獲得免疫です。T細胞やB細胞がその主役です。これらは病原体を認識し、その種類を特定して抗体を産生することで免疫力を発揮します。
長春中医薬大学の研究者が、論文※で鹿皮膠（ろひきょう）が自然免疫に有効であることを発表しています。前号で紹介した研究論文では、鹿血が獲得免疫に有効であることが明らかになっています。よって、鹿皮膠などの鹿由来の生薬は、私たちの免疫力を高め、新型コロナウイルス、花粉症などに罹りにくい体づくりをサポートします。
健康でなければ元も子もありません。手洗い、うがい、バランスの良い食事、十分な休息を心がけて、免疫力を高めていきましょう。
※Chinese Journal of Gerontology, 2010，30（1）：67-68.
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