皆様、こんにちは。Dr.Tei Kenです。
漢方では、春は体が省エネモードから活動的になる季節です。
このため、体が空回りしやすくなり不調になりがちです。
また、暴飲暴食や体の冷やし過ぎなど、冬の不摂生が春の不調のモトになります。今回は春におススメの漢方薬をご紹介します。
『黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう)』は、のぼせ気味でイライラして眠れない症状に処方される漢方薬です。
漢方の古典医学書「傷寒論」に収載されている伝統的な処方です。
春は、気や血の流れをコントロールする“肝”の働きが活発になります。
肝の気は異常になると上昇する性質があり、のぼり過ぎることによってイライラしたり、のぼせやすくなったり、頭痛やめまいなどの上半身のトラブルが起こります。
この状態は頭から湯気が出ているようなものなので、うまくクールダウンさせることが不調を正す鍵となります。
『黄連阿膠湯』には、黄連・オウゴン・芍薬(しゃくやく)・阿膠(あきょう)といった生薬と、漢方薬にはめずらしい卵黄が配合されています。
黄連、オウゴンはカッカしている状態を冷ます働きをします。
芍薬や阿膠は血を補い、体を潤してクールダウンさせます。
卵黄は、体を滋養させて、潤し、体の熱をとります。
これら5つの成分が共に働いて、体内の熱を調整し、イライラやのぼせ、不眠や焦燥感といったココロの不安を抑えます。
春に起こりやすい不調を回避してくれる優れた漢方薬なのです。
春の不調だけでなく、皮膚の疾患にも『黄連阿膠湯』が活用されています。
かゆみがありカサカサした湿疹は、血が不足して潤い不足の状態です。
血を補い乾燥を潤し、肌をなめらかにする働きに阿膠は優れており、その他の成分が相互に働き、症状を改善していきます。
気候を始め、環境の変化が大きいと、知らず知らずのうちに不調を抱えがちになります。
時には漢方の知恵を参考にしつつ、心身のバランスをとっていきましょう。
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