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復刻・永久保存版


傘を語らせたら右にでるものなし。 貴重な業界紙「洋がさタイムズ」を1959年創刊、以来2002年勇退まで主幹として40年以上の永きに渡り日本の傘を 伝えつづけた『傘の語り部』鈴木勝好(すずきかつよし)。これは、鈴木氏の豊富なライブラリーの中から、 特別寄稿をお願いした洋がさタイムズの復刻版。傘好きの方は、ごゆるりと鈴木氏の薀蓄をご満喫いただきたい。

※すべての著作権は鈴木勝好氏が有します。 掲載文一切の無断掲載・転載・盗用を禁じます。発覚の場合は直ちに法的処置を行うとともに違反者名を実名で公表します
記事内容転載ご希望の新聞社・雑誌社の方々へ
■まず心斎橋みや竹kasaya.comにご連絡をください⇒ ■鈴木氏のコンタクト先をご案内します⇒ ■内容を協議のうえ、鈴木氏の了承がえられたら、以下のキャプションをお入れいただくことを条件に転載を許可させていただきます。
●鈴木勝好著『オンライン洋傘タイムズ』からの転載
http://www.kasaya.com/times/
C O N T E N T S
■男の日傘 復活の兆し
■傘の先駆者 ジョナス・ハンウェイと傘
■雨粒のおはなし
■「かさの文字」について
■傘の耐用年数
■皇室と洋傘の関係事始め
■傘とビニール袋
■降水確率について
■今日ひらく傘ことば
■世帯あたりの傘所有数
■都市・年代別需要
■36年前に遡る洋傘事情
■傘の渡来
■「発明の日」のおはなし
■考察〜傘の歴史
■撥水について
■撥水と防水
■雨への豊かなイメージ
■傘の雑学
■文明開化と傘
■夏の雨
■冬の雨
■明治時代の心意気
■昭和35年 洋傘ショー
■業界初のファッションライター
■パラソル断章(其の一)
■パラソル断章(其のニ)
■秋の気象寸見
■傘と扇は兄弟の間柄?
■パラソル&アンブレラ
名称とその類縁語

■申(さる)年を回顧すると・・・・・
■雪のあれこれ
■日本の傘(其の一)
和傘〜その文化の一端を顧みる

■日本の傘 (其のニ)
上流階級から庶民層へ普及

■日本の傘 (其の三)
日本(紙)の日傘

■江戸時代の「かさ」に関する話
■「まえだれかづき」ってナニ?
■古代ギリシャとパラソル
■身分(階級)による傘の色分け
■馬に乗って傘をさす
■柄は「中棒」それとも「手元」?
■ 遊女が用いた傘 (その1)
■ 遊女が用いた傘 (その2)
■記憶に残る”傘”のこと
■中棒(シャフト)の略歴
■『相合傘』と『貸し傘』
■傘は文明の利器
■盗られる傘には「価値」がある?
■干支(戌歳いぬどし)で辿る
洋傘の歩み(その1)

■干支(戌歳いぬどし)で辿る
洋傘の歩み(その2)

■傘(洋傘・和傘)の物品税と公定価格(その1)
■傘(洋傘・和傘)の物品税と公定価格(その2)
■戦争 あるいは 兵士と傘(その1)
■戦争 あるいは 兵士と傘(その2)
■ペチコートが産んだ楕円形傘
■再考「こうもり傘」について
■「傘のデモ行進」三題
■青山・麻布は和傘の産地だった
■洋傘の供給量変遷
■かつて「三冠王」、いま「二冠王」
■干支(亥年)で辿る洋傘の歩み(上)
■干支(亥年)で辿る洋傘の歩み(下)
■植木等さんと洋傘のCM
■明治初〜中期の洋傘事情寸見
■地震と雨
■傘と自転車
■傘は、傘なれども
■和傘が元気だったころ
■傘にもいろいろありまして
*核の傘*貸し出し傘*いなせな傘*銀の傘*


人の心とは傘のようなものだ
開いたときにもっとも機能する(スティーブンソン)


◆ 人に貸すとも傘は日向に乾かすな
人に傘を貸すとこわれたり、返してもらえなかったりする恐れもあるが、日向にほて
痛める損害に比べればまだ軽い。傘を日向に干すのを戒める教え。洋傘も日蔭干しが
肝要

◆ 巳の時に晴るる雨に傘離すな
午前10時頃に降り止んだ雨は、再び降り出すことが多いから雨具の用意を忘れるな。
「四つ晴に傘放すな」も同じ。これと対に「四つ晴日和なし」とも

◆ 八つ晴れには傘放せ
午後2時頃にあがる雨は、再び降り出す心配はない。「八つ晴れには傘放せ、四つ晴
には傘放さず」


◆ 唐傘天狗風
突風(つむじ風)で傘が舞い上がることから、いい気になっている。増長していると
いうしゃれ言葉。「傘屋の天狗風で舞い上がる」ともいう。

◆ 傘に乗る
人のさしている傘に入る。調子にのる。(岡山、山口地方の方言から)

◆ 姉は菅笠、妹は日傘
姉妹でも嫁ぎ先によって身分、境遇が違ったものになる


◆ 傘屋の小僧
「骨折ってしかられる」と続く。せっかく一生懸命やったのに誉められず、叱られる
ばかりというしゃれ地口

◆ 傘屋傘骨かぶる
「紺屋の白袴」と同じ。人のためばかりに忙しくて自分のことに手が回らない。

◆ 家の内で傘をさせばネズミが荒れる(俗信)
西欧でも家の内で傘を開くことを忌む迷信がある

◆ 猫に唐傘
猫の前で傘を急に開いてびっくりさせること。驚くこと、嫌がることのたとえ。

◆ 天狗に唐傘取られたよう
天狗風(突風)に遇ったように防ぎようがなく、どうしようもないたとえ

◆ 後生と雨具はてんで持ち
人の傘の下に割り込んでは雨風をしのげないように、他人の積んだ徳行では極楽往生
はできないこと。他人をあてにしてはいけないというたとえ。

◆ 扇は要(かなめ)、傘はろくろ
要点が大切であることのたとえ

◆ 差せ干せ唐傘
傘を使ったら日に干せという語呂合わせの教え。「させほせ唐傘、壁に立てな唐傘、
人に貸すな唐傘」とも続ける


◆ 夕虹立てば鎌倉へ傘持つな
夕虹が立つと晴天が続くという俗信

近年めったに見かけない(?)のが相合傘の風景
江戸川柳には

◆ 男と女半分ずつ濡れてゆき
◆ 相傘に握りこぶしが二つ出来
◆ 相傘の片手を涎らす水溜り
◆ 濡れた方から横にさす傘

  などロマンティックな情景が詠まれている


現代川柳では
◆ 傘一つたたんで話近づける(圭林)
◆ 一方をつぼめ相合傘の恋(如仙)



◆ 濡れぬ先の杖(降らぬ先の杖)
転ばぬ先の杖と同義。傘は雨が降り出す前に用意しておいてこそ価値がある?

◆ 傘と提灯は戻らぬつもりで貸せ
必要な時は大変役立つが、不必要なときはとかく忘れがちである。ずばり「人に貸す
な唐傘」とも

→後生はてんで励み


【 江戸川柳から 】


前述の諺「人に貸すな唐傘」「傘と提灯は戻らぬつもりで貸せ」に関連するものでは
・・・・・

◆ 人柄に傘一本貸しなくし
この人なら大丈夫だろうと思って傘を貸したが、返してもらえない。


(だから貸す方も戻らないことを計算して)、
◆ ひろげるとひっくり返る傘を貸し
◆ さし様の指南し借す破れ傘
返らなくても困らないような破れ傘を貸すと????


そんなこんなで
◆ 破れ傘五六本あるずるい内
破れ傘とはいえ、これではあまりにも不義理というもの


しかし、そんな人ばかりではなく
◆ 夕立のあした鰹と傘をさげ
お礼代わりに鰹を手土産に傘を返しにくる人もいる。こんな人にはぜひにも貸したく
なろうというもの



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