●怖い地震も天気予報に効
怖いもの(こと)の代表として、昔は「地震、雷、火事、おやじ」などと言われて
いた。おやじは、直接的には親父だが、近所の頑固親爺なんて者もいて、むしろ
親父より怖いほどであった。親父も何時の頃からか権威?が失墜してしまい、近頃
は誰も怖いなんて感情を抱かなくなっているようである。
これに対して前の三つは、今でも怖いものの御三家的な地位を保っている。その
筆頭にある地震は、「いつかは必ず起こる」潜在的恐怖として大いに不安感を駆り
立てている。
地震の予知が可能なのか否かは知らないことだが、仮に可能だとしても却って
不安が募ったり、周章狼狽(しゅうしょうろうばい)に追い込まれるような気もする。
地震の予知はともかくとして、地震の起きた時刻から、その後の天気を予報する
俚諺(ことわざ)は昔から各地に伝えられている。
■地震から雨を予知する俚諺
・朝の地震は雨
・朝夕に地震あれば雨
・地震あれば3日のうちに必ず雨
・地震多きは雨の兆し
・地震の多い年は雨も多い
■地震から風雨を予知する俚諺
・朝の地震は雨または風
・朝の地震は風、昼の地震は雨
■地震から晴天(日照り)を予知する俚諺
・雨中の地震は多く晴天となる。
・朝8時頃の地震は日照りの兆し
・夕方の地震は晴れ
■地震から風を予知する俚諺
・地震があれば多くの場合風が吹く
・早朝の地震は風
地域差などもあって、俚諺相互には矛盾もあり論理的な一貫性には乏しい面もある
が、ある種の経験則から生まれた内容と受け取るべきであろうか。
以上を集大成した形の成句として『五七は雨に四ッ日照り、六ッツ八ッツに九の病』
または『九は病、五七の雨に四ッ日照り、六ッツ八ッツならば風と知るべし』がある。
昔の時刻で四ッは現在の10時とその前後2時間(昼夜とも・以下同じで)、五ッは8時、
六ッは6時、七ッは4時、九ッは12時に相当する。『九は病』は、天気と関係がなく、
九を苦に掛けた語呂合わせといえよう。
さて予知の当たる確率であるが、元東北大学教授中村左衛門太郎博士の調べた
ところによると、地震後24〜48時間(1〜2日)以内の雨・風が通常より多く見られ
る傾向が認められ、更に発生時刻による2日間内での適中率は次のようになるそう
である。
・五七の雨…………………67%
・六ッツ八ッツの風………71%
・四ッ日照り(晴)…………23%
雨、風とも約7割の確率というのは、予知としてはかなりの精度になると思われる。
気象庁の天気予報とも合わせて、正否の精度を調べてみるのも無駄ではないかも知れ
ない。
なお、地震発生は、気圧の極大時から極小時に向かう時刻、また低気圧の中心が
500KM位に近づいた時に起こり易いとのこと。併せて生活の知恵として活用できれば
良いのだが・・・
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