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文・著作権 鈴木勝好(洋傘タイムズ)

Y O U G A S A * T I M E S * O N L I N E
◆◆◆パラソル&アンブレラ◆◆◆
名称とその類縁語




前回は、日本語での傘の呼称(こうもり傘)について触れたので、今回は英語の名称
について少しばかり整理してみたい。
 日本語では「傘」を大別して、用途上からは「雨傘」と「日傘」に、形態上から
「長傘」と「折りたたみ傘」に分けられる。

 これを英語に当てはめると、雨傘=アンブレラ(Umbrella)、日傘=パラソル
(Parasol)そして、長傘=ステッキ・アンブレラ(Stick Umbrella)、折りたたみ傘
=ホー
ルディング・アンブレラ(Follding Umbrella)またはコラプシブル・アンブレラ
(Collapsible Umbrella)となる。



[T] アンブラとパラ

 アンブレラの英単語を構成する前の部分[umbra]を英和辞書でみると、「影
(shadow)シャドウ、陰(shade)シェード」と出ている。shadeは(光線がさえぎら
れて生じ
る漠然とした)陰、薄暗がり。また、(直射日光からさえぎられた)日陰、という意
味内容。shadowは(輪郭のはっきりした)物陰、影とあり、更に保護(protection
プロテクション)、陰(shelter シ
ェルター)の意味を含むと出ている。
 アンブレラがラテン語のumbrna(影)に由来し、古代のギリシャやローマで日除け
(パラソル)として用いられたとする説の道筋が今に続いているといえる。なお、
shel
terには、避難所、掩護物といった意味のほか、「雨宿りの場所と」という解意もみ
られる。

 パラソルの[para]は、強い衝激などを柔らげたり、防護物などの意味を含む連結形
で、急激な落下(shute シュート)を防ぐ用具だからパラシュート(parachute)、直
射
日光から防護するかパラソルという訳である。



[U]パラソルの類語

 パラソルは上述のように、太陽の光を防ぐためのものであり、日本語的には「日除
け」が本意である。英語でも、パラソルよりはSunshade(直訳で太陽の陰)がよく用い
られ、単にshadeやshadowが日除け(パラソル)の意味で使われることもあったよう
だ。
 英和辞書で[sunshade サンシェード]の語訳をみると、@(婦人用)日傘、パラソ
ル。A(窓などの)日よけ。B(婦人帽の)ひさし、広ぶち帽子。Cサングラス・・
・
・・などの解意が出ている。

 日除けと類縁関係にある単語としては、次のようなものがある。
 Baldachin (バールダキン)またはBaldaquin・・・・・天蓋(てんがい)〔=
canopy キャノピイ〕(祭壇上部に石などで建造したもの。または4本の棒に支えら
れた絹などで、高僧の頭上に奉持される。)
 Canopy(キャノピイ)・・・・・@(王座・寝台・戸口などの上に取り付けてあ
る、または貴人の歩くときに頭上にかざす)天蓋。
                A(屋根のように上から)おおうもの、空。
                B(車・自動車の)ほろ。
                C〈建築〉天蓋式の張り出し。
Awning(アーニング)・・・・・ @(窓、ポーチなどの外に張り出した)日よけ、
雨おおい。
                A(甲板上の)天幕。
Tilt(ティルト)・・・・・・・(馬車、舟、屋台などの)日よけ、ほろ。)




[V]アンブレラの類語

 手許にある英和辞書は〔umbrella〕の語訳として、@雨傘、A(クラゲの)かさ。
B保護物、援護物。
などを挙げている。解のB保護物、援護物、は前出protection、そしてshelterと共
通している。
 また、雨傘(こうもり傘)を意味する単語では、Brollyというのがある。この語解
は@(英俗)こうもりがさ(umbrella)A(軍俗)パラシュート。
そして、〔umbrellaの縮訳形〕と出ている。
 更に、Gamp(ガンプ)も雨傘の意で使われるようだが、これは、大きくて、不恰好
にふくれた巻き方をした「こうもり傘」を指すようだ。
 なお、一般的に「ギンガム」といえば、格子柄や縞模様の平織り木綿布地のことだ
が、イギリスでは、(綿生地張りの)「こうもり傘」の意味でも使われている。
 ギンガム地を最初に傘に張ったのは、19世紀の初め(1810年代)、イギリスの傘
メーカーであるオーウェン・オーウェンズ&サン社であったとされる。このギンガム
張りの傘が人気を得て流行するところとなり、やがて「ギンガム」が傘の一般的名称
として通用するまでになったといわれる。
 この時期に前後して、鋼鉄製の傘骨も開発されているが、依然として鯨骨が主要な
部分をしめていたようだ。










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