皆様、こんにちは。Dr.Tei Kenです。
春先になると、ついイライラしたり、目が充血したりといったことはありませんか。中医学ではこのような状態を体の中に「火」がこもっていると考え、「上火(シャンフオ)」と表現します。中華圏では誰でも知っている中医学の概念で、日常的に「上火」にならないよう中華圏の人々は皆、意識してケアをしています。
元々、「火」は上に昇る性質があるので、首よりも上の顔や頭部に症状が発生しやすくなります。特に春先は、冬眠から目覚めるように「肝」の働きが活発になるため、「肝火」(肝の火)が発生しやすくなります。肝火になると、目の充血や乾燥、頭に血が上って、イライラしたり、のぼせやすくなったりします。
上火の主な原因は、体の健康を左右する陰陽(おんみょう)のバランスが崩れていることにあります。火を鎮めるには「水(=陰)」がポイントになってきます。 ただ水分をとればいいということではなく、体内を潤すことが大切になってきます。
すでに「上火」の症状がある場合は、まず「火」を取り除くことが大切です。苦味のある食材は、熱を冷まし炎症おさえる力、すなわち火を消す力を持っています。春であれば菊の花、ふきのとう、タラの芽がおすすめです。ちなみに夏にニガウリを食べるのは、夏に発生しやすい「心火」(心の火)を取り除く効果があり、理にかなった先人の知恵なのです。
「上火」にならないようにするには養生が重要です。取り入れてほしいのが、滋陰作用に優れているアキョウです。アキョウは体の内外を潤す働きがあるため、火を抑えることができます。また、アキョウは肝の機能を高めて整えるので、肝火を抑えるのに効果を発揮します。
ただ、体内にある火はすべて悪いものではなく、良い火もあります。火は体を温める性質があり、少なすぎると冷え性になってしまいます。生命活動の上で大切なエネルギーにもなるので、常に陰陽のバランスをとることができればベストです。そうすれば「上火」も起きにくくなり、心身健やかな日々を送れるようになることでしょう。
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