第123回
東洋医学からみた新型コロナウイルス後遺症

皆様、こんにちは。Dr.Tei Kenです。

昨年10月、WHOが疲労、せき、息切れ、肺や心臓を含む主要臓器の炎症や損傷の他、心理的な影響など、年齢や性別を問わず各国での新型コロナウイルスの後遺症について公表しました。国内では国立国際医療研究センターの調査において、後遺症とみられる症状が、発症60日後10〜20%、120日後も2〜11%にみられると報告されています。主な症状として、疲労(だるさ)、せき、息切れ、歩行困難、抜け毛、嗅覚・味覚異常が列挙されます。咳や息切れは理解できますが、疲労、歩行困難、嗅覚・味覚異常はなぜでしょうか。特に抜け毛は、医師でも説明が難しいようです。しかし、東洋医学の理論では、これらの症状を説明できます。

肺はただの呼吸器官ではない

新型コロナウイルスは、肺にダメージを与えます。志村けんさんは極度の倦怠感があり、人が上に乗ったような重さがあると報道されました。これは典型的な「肺気虚」の症状です。東洋医学において「肺」はただの呼吸器官ではなく、重要な役割は「気」を全身に送ること。「心(しん)」から送られた「血」に、食物が胃と脾に運化されてできた栄養物質を乗せ、全身に送ります。「肺」がコロナウイルスにやられ、ポンプ機能が落ちると全身へ栄養が渡らず、様々な症状が発生します。だるさは「脾」、歩けないほどの無力感は「腎」へのダメージが原因です。

肺の全身への影響

嗅覚・味覚・抜け毛などへの影響

嗅覚異常は、「肺は鼻を主(つかさど)る。…竅(あな)(五官と五臓と連絡する所)に在りては鼻となる」(「黄帝内経(こうていだいけい)」)より、肺と鼻が繋がっていることに起因します。一方、味覚異常は、「心が舌を主り、…その竅は舌と為す」(同上)より、肺と密接に働く「心」の働きが落ち、関連の臓腑に影響が出るためです。後遺症で最も不思議に思われる抜け毛に関しては、「髪は血余」のため、「肺」からの気と血が不足し、抜け毛が発生します。「肺」と「大腸」は裏表の関係で、下痢の症状が出るのも不思議ではありません。西洋医学は症状を重視しますが、東洋医学は症状からの臓器の病変を診るので、早期発見、早期治療ができて予後も比較的良いです。東洋医学は先人の知恵で実践の科学、十分に未病管理・健康寿命に役立ち、自分のためにもなりますので日常生活に取り入れてほしいです。

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