京の御所・紫宸殿を再現した御殿飾りの雛人形
時代の一部で反映した失われし幻の雛飾り
雛人形と言えば、定番の平飾りに段飾り、立ち雛やケース飾りなど。 今日では様々な定番のラインナップが確立されていますが、時代をさかのぼると今ではなくなってしまったスタイルの雛人形が数多く存在します。 そのなかでも明治・大正時代に流行っていた、幻のお飾り御殿飾りを紹介します。
七段飾りの上を行く、超豪華な御殿飾り
今でいうドールハウス??
御殿飾りは、京の御所・紫宸殿(ししんでん)を模した「御殿」を飾り、そのなかに天皇皇后を模した内裏雛のお人形を入れるというスタイル。 今でいうドールハウスですね。 たくさんの人形や道具を飾るために段飾りが流行した関東に対し、京都の御所での生活を華やかに細かくに再現した関西版の雛人形が「御殿飾り」だったのです。
御殿づくりの歴史
- ◯江戸時代後期〜
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御殿飾りがはじまったのは、江戸時代後期。 豪華な御殿に対して、その中に入っているお内裏さまとお雛様は、安価でちいさな一文雛でした。
- ◯明治時代〜
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豪華なものから簡素なものまで、さまざまな様式が誕生。 御殿のつくりもさまざまで、屋根も檜皮葺き(ひわだふき)、板葺きなど、細部まで本物そっくりのものがつくられていました。 官女や五人囃子などは、今の段飾りのものより比較的動きがあり、いきいきとした姿で表現されていました。
- ◯大正〜昭和初期
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屋根は、簡素で軽い板葺きが流行。 御殿は、明治時代のものより収納を考えられたものが多くなって来ました。 パーツをコンパクトに収納できるものや、折り畳めるものまでが誕生し、人口が集中した住宅地で歓迎されました。 御殿作りは量産されるようになり、だんだん普及されていきましたが、戦争色が強まるにつれて、物資不足からひな飾りが序々に姿を消していくようになります。
- ◯昭和中期
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戦後の物資不足や混乱により、一時は姿を消してしまった御殿づくり。 街が復興をとげてくると、少しずつきらびやかな御殿づくりが復活しはじめます。 金具で華やかに装飾された御殿には、戦争で疲れ切った庶民の豊かさへの憧れが込められているようです。
御殿飾りが衰退していったワケ
明治・大正までは、京阪神で一般的だった御殿づくり。 昭和30年代後半、ぱったりと姿を消してしまいます。 なぜ廃れていったのかというと…… それは、複雑で、組み立てにくいつくりだったということと、収納が不便だったということ、さまざまな理由があげられますが、一番はその時代背景。高度成長経済により、デパートなども出現し、販売物が画一化されるようになってしまったのが大きな要因だと言えます。
地方色を失い、昭和40年ごろになると、関東で流行っていた段飾りが全国展開するようになりました。 こうして、今ではほとんど見る機会がなくなった御殿飾りですが、大切に保管している家庭や地域もあります。 博物館などに一挙に集め展示会を開催することもありますので、機会があれば今の雛人形と比べてみるのもおもしろいかもしれません。
ひな人形の豆知識!
3月3日 桃の節句にお飾りする雛人形。 ひな人形の由来から飾り方や片付け方まで、ひな人形に関する疑問や豆知識をぷりふあ人形がご紹介します!
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