Twitterでバズった元店長元店長【ハリー中野】の宝石ブログ
看板娘 パパラチヤサファイア お披露目
ウチの近所のスーパーにはスーパーの売り場とは別に、独立店舗の鰻屋がございまして、これが結構な人気店なのでございます。
手前どもの様な貧乏所帯なんかですと、鰻などホント一年のうち土用の丑の日一日しか食べられない大胡馳走。普段どうしても鰻が食べたくなったら、食パンに鰻のタレを塗ってトーストし、焼き上がったらその上に鰹節をかけ、さらにまたその上にタレをかけ、山椒の粉を振りかけて食べるとこれがなんと、かば焼きそっくりさん。んなわきゃないんですが。
さて、この鰻屋の繁盛の秘密はもちろんそこのかば焼きや白焼きの味の良さにあるのでございますが、ただしそればかりではない、さらなる秘密があるのでございます。
それがなんとこの店の看板娘の存在。まあ、娘と言うと正確さを欠きますので、看板婦人とでも申しましょうか。
このご婦人、歳の頃は四十がらみの脂ののったイイ女。さすが鰻屋だけのことはある。
お顔がなんと歌手の坂本冬美さんにそっくりの、なかなかの美貌の持ち主。もうウチ等の近所じゃ「鰻屋の冬美」といえば知らぬ者はおらぬくらい。
この冬美さん、スリムなボディーを制服のポロシャツとタイトなジーンズにくるみ、立ち居振る舞いもてきぱきと、見ていても実に小気味良い。もちろん接客態度もいかにも鰻屋らしく威勢のいい、しかもちゃんと笑顔も忘れず、顧客の心を先々読んで機転が利く。業種は違えど同じ接客業の私の目からしても百点満点の接客術。
そういう接客の冴えと美貌に引き寄せられるお得意さんも数多くいるようで、けっこうお客さんのほうから話しかけることも多いよう。いつも店頭にお客の絶える事がございません。
以前も恰幅の良い老紳士が店先を通りすぎると、すかさず冬美、「社長さーん!」と良くとおる声で呼びかけ、世間話のすえ、結局鰻白焼き二尾お買い上げの首尾。
「いいなー!俺もああいう風に店の前を通りかかったら気さくに冬美にしゃべりかけてもらいたいもんやなー」
「そりゃアカン!無理いうもんやで兄ちゃん。年に一回の土用の日だけの客じゃ」
「あかんかー、ほんならこないしょ、今度からスーパー行くたんびにトーストに塗る鰻のタレ買うわ。ほんならオレも馴染み客や、気楽に声かけてくれはるんちゃうん?」
「アホか?気持ち悪がられるだけやでタレだけ買う客なんて、やめときやめとき」
という自問自答のすえ、冬美への道は儚く閉ざされたわけなのでございます。
それならばという事で、次のターゲットは漬物屋の藤あや子、ってそんなにぞろぞろ看板娘がいてる訳はないのでございます、残念ながら。
さて、お店の看板とも言える魅力ある女性スタッフが看板娘なら、お店を代表する商品は看板商品。
飲食店なんかですと看板メニューというんですかね、その品を食べにはるばる遠方よりお客さんが評判を聞いて訪ねて来るというぐらい美味しい食べ物がそれ。
そういう評判の美味しいメニューがあれば、お店もそれを目当てに来るお客がドーンと増えて商売繁盛笹もって来―い!てなわけなのですが、宝石屋の場合はその辺のところの事情がちょっと異なるのでございます。
宝石屋の場合はこの看板商品はおいそれとは売れない、見場のある高額商品となることが多いのでございます。
例えば、わたくしが過去在籍してました大阪は老舗宝石店のホームぺージでも、こんなん誰がすんのん?みたいな豪華ダイアモンドネックレスの写真を筆頭に掲げて、どんなもんじゃいとそっくり返っている風なのですが、まあ宝石屋なんてのは、その店の店格を表す、所謂ハッタリをかます商品を少なくとも大体二三は用意しているもの。
という事で今回は当店の新たな看板娘、当店の顔となるべき優れモノが入荷いたしましたので、謹んでご紹介いたしたい、かように思う次第でございます。
さてこちら、言わずと知れたパパラチアサファイアでございます。この様なブログをもの好きにもお読みいただいているようなお方は、当然パパラチアサファイアの名前も先刻ご承知の事かと存じます。
アレキサンドライト、パライバトルマリンと肩を並べる世界三大希少石と呼ばれ、その名前は仏陀にもかかわりの深い蓮の花に由来しており、その名を欺かぬピンクとオレンジの入り混じったお色は、インド洋に沈む夕日の色に例えられる。聞いただけでも石好き好事家の食指を刺激せずにはおれないフレーズではございませんか。
ただし、この宝石過去に不祥事に巻き込まれ一時期大変評判を落とした事があるのでございます。
あれは今から大体二十年ほども前になりましょうか、2000年の初頭にマダガスカル産のパパラチアサファイアが大量に出回り、パパラチアサファイアの価格が大幅に下落した事がございました。
それらのサファイアには、当時、我が国においての色石鑑別の権威ある機関とされていた全国宝石学協会が鑑別のお墨付きを堂々と発行していたのですが、これらマダガスカル産パパラチアサファイアの多くが後にベリリュウム拡散処理という人工的着色によるものであるとGIAによって看破されたのでございます。
さあ、それからが大変、小売店にはパパラチアサファイア製品の返品が数多く押し寄せるは、全国宝石学協会の信頼は地に落ち、後に倒産に追い込まれる切っ掛けにもなるわ。実際、この事件以降一時期めっきり市場からはパパラチアサファイアの姿がかき消され、まったく名前の通り、幻の希少石となってしまったのでございます。
さて、現在では宝石鑑別の精度も当時と比べると格段に向上し、そのような処理石を間違って天然と鑑別結果を出すことはございません。しかしコランダム宝石サファイア全般に行われております加熱処理は、天然石鑑別の許容範囲であり、この希少と言われているパパラチアサファイアとて、その市場に出回っているものの大半が加熱処理を施したもの。
しかるにこちらのお石は全く生まれたまま、手つかずの非加熱、スリランカ産の逸品なのでございます!
どうですこの爽やかな、微かにオレンジ色を帯びたピンク。ビールなどの宣伝文句、「雑味の無い」という表現がまさにピッタリのこの抜ける様なインド洋の夕暮れの空の色。加熱処理やベリリュウム拡散じゃこうはいきません。
しかもこちら、中古質流れのユーズドじゃない正真正銘の新品なのでございます。
当店が信頼を寄せる手作りジュエリーの匠に中石、脇石、プラチナ材一式を預けて一から入念に拵えて頂きました渾身の作。
中石のパパラチアサファイアがなんと5.194キャラット。脇石が0.4キャラット台のバケットダイアを二枚、0.2キャラット台のラージメレダイアを八個、都合2.48キャラットのダイアモンドで豪華に取り巻きましたこちらのリング。今季初お目見え、当店新規看板女優でございますが、いつでもお宅の家宝としてお買い上げ頂いて結構でございますので、何卒ご遠慮無きよう!
深山幽谷の深緑ツァボライト
“ポリティカルコレクトネスとは、社会の特定のグループのメンバーに不快感や不利益を与えないように意図された政策または対策などを表す言葉の総称であり、人種、信条、性別などの違いによる偏見や差別を含まない中立的な表現や用語を用いることを指す。政治的妥当性とも言われる。”
と、ウィキペディアにあります。
看護婦が看護師。保母が保育士。スチュアーデスはCA(キャビンアテンダント)、客室乗務員。黒人はアフリカ系~人。インディアンがネイティブアメリカンなどと呼ばれるようになったのがその表れ。
さらにこれがより細かくなって、ご主人、旦那さん、奥さんなど性別による役割の決めつけすら良くないそうでございます。
また、そうした性別の狭間で揺れ動く人たち、かつてはオカマなどと蔑称で呼ばれた人たちも、こういった呼び名は明らかな差別用語とされ、今では性同一性障害、トランスジェンダーなどと呼ばれるようになりましたね。
また身体の一部が機能不全に陥った人を呼ぶにも昔はそれぞれの障害に個別の呼称があったのが、今ではその不自由な器官の後に、~の不自由な人などと呼ばねばならぬようになっております。ですからブスなどと言うのはもってのほか、顔の造作の不自由な人と言わねばなりません。
ただしそういった元の障害を表す言葉から派生して、別の意味として使われる言葉も一緒くたに禁止してはたして良いものかというのが、言葉狩りという論点でよく議論に上るところでございます。
たとえば、めくらめっぽう、つんぼ桟敷、いざり寄る、かたちんば。あるいは何かにとりつかれたように熱中する様を~キチガイと言ったり、我が子を贔屓目に扱う事を親ばかと呼ぶというのもはたして駄目なのでしょうか。
ただし、自動車事故において後続車が前方不注意などで前の車に後ろから追突することを、オカマを掘るなどと言いますが、これなどはもうポリティカルコレクトネス以前の品性の問題。
昔、まだ歳若い女の子が「うちの兄ちゃん近所の交差点で信号待ちしとったらなー、後ろから来た軽トラにオカマ掘られてムチ打ちなってもてん」なんて何の恥じらいもなく言うのを聞いて、我が耳を疑ったことがございます。きっとこの少女はそのオカマを掘るという元の意味を知らずに言葉を発したのでしょうが、いや無知ほど恥ずかしいことはないものよなーと、自分の無知を棚に上げてひと嘆きしたものでございます。
そしてその時ふと思ったのが、後部からの追突をオカマを掘ると言うのであれば、正面衝突はなんと呼べばいいのかと思い悩み、根がスケベなわたくし、数々の破廉恥な言葉を頭の中で巡らせては独り薄ら笑いを浮かべたりしたものでございます。
あるいはまた、ルッキズムという言葉もございます。これは外見至上主義と訳されているようで、外見によって人物を評価するという事で、これによる差別や偏見という事もその意味合いに含まれるそうでございます。たとえば美人とか美女なんて言葉もこれに引っかかるそう。これが駄目ならもっと下品な言葉で言い換えるしかないと言葉狩りに抗議して断筆宣言までされた筒井康隆先生は皮肉を込めて嘆いておられます。
さて、そこでハゲという言葉がこのルッキズムあるいはまた、ポリティカルコレクトネスに引っかかるかどうかという議論を、最近読んだ昔出版された本、つまり古本で買った「ショージ君の養生訓」のなかでその本の作者東海林さだおさんとゲスト清水ちなみさんの対談「禿頭をとくと考える」の中で語られております。
日本においては禿頭、つまり禿げ頭の人に面と向かってハゲと言えばこれはれっきとした悪口。アホ、バカに準ずる罵詈雑言の一つなわけですが、外国ではこれが悪口とはならないらしいのです。ブロンド、ブルーネット、赤毛などと並びハゲは純然たる頭部の特徴のひとつであり、顔面とのバランスにもよりますが、これがカッコいいチャームポイントとなる場合すらあるのは、過去のハゲの有名映画俳優、ユル・ブリンナー、テリー・サバラス、 ショーン・コネリーが証明しております。
されば、なぜ日本の場合のみ悪口になるかと言えば、日本の場合ハゲ=スケベという常識が定着しているからという仮説を東海林先生は力説されております。
確かにハゲは男性型脱毛などと呼ばれ、医学的には男性ホルモンの分泌が多いほどに頭髪は抜け、性欲は増進されるとか。
まあわたくしの周りを見回しても、確かに禿げた人の方があちらの方もお強いようで、わたくしの先輩にあたる禿頭の方々も、未だマカや亜鉛やマムシにスッポンなどのサプリメントを摂取し、健康維持の大義名分のもと、秘かに精力維持、性力増強に励み、いざ鎌倉てな時の為に南蛮渡来の秘薬を常にこっそりカバンの奥に忍ばせているなんて猛者が数人いるから驚きです。
あれ?ポリティカルコレクトネスから大幅に話題が横道に逸れちゃいましたが、実は宝石にもこのポリティカルコレクトネスの問題があるのでございます。
宝石を貴石、半貴石と分類する見方がございます。貴石というのは古くから四大宝石あるいは五大宝石などと呼ばれる、古来より世界中で珍重されてきた人気の宝石、すなわちダイアモンド、エメラルド、ルビー、サファイアで、これにアレキサンドライトかヒスイを加えて五大という場合もございます。英語ではプレシャスストーンなどと呼ばれいかにも宝石の特権階級のような扱いですが、それ以外の宝石はなんと呼ばれるかというと、セミプレシャスストーン、半貴石などと呼ばれるわけであります。
おうおうおう!そりゃあんまりじゃねーか、そんな不平等、お天道様は見逃してもこの遠山桜が見逃すわけにゃーいかねーのさ、と金さんが紋々見せびらかせながらお出ましになるまでもなく、天下のGIAが業界に先駆けこういった呼び名は止めましょうと、その教育プログラムで以前から訴えております。特に宝石を販売する方たちはこんな差別を宝石の分類に持ち込むことは、自らの首を絞める愚行も同然。宝石はどれもが素敵なプレシャスストーンなのでございますよ。
さて、そのセミプレシャスストーンという不名誉な名前で長らく呼ばれていた代表的な宝石の一つにガーネットがございます。ガーネットと一言に申しましても、この宝石、親せき縁者が多数ございまして、30種類以上もある異なる色目をもつと言われるガーネットグループを構成しております。中でも皆様お馴染みなのが赤や紫系統のアルマンダイトガーネットやロードライトガーネットなのですが、こちらにご覧いただいている緑の宝石も何とガーネットなのでございます。
こちらはその色目から、一般的にグリーンガーネットと呼ばれている宝石なのですが、正式にはグリーングロッシュラーライトガーネットと呼ばれる宝石。その産地にちなんでツァボライトなどと呼ばれることもございます。こちらのガーネット、アルマンダイトやロードライトと異なり産出量の少ない希少な石なのでございます。
如何でございましょう、この貫禄、この存在感。グリーンの宝石と言えばエメラルドでございますが、インクルージョンで濁った三流どころのエメラルドよりはるかに美しいではございませんか?同じく貴重なグリーンのガーネットとして有名なデマントイドガーネットと比べますと、デマントイドが黄緑のライトな感じなのに対し、こちらはご覧の通りの深緑。重厚な趣
日本画壇の巨匠、東山魁夷画伯が唐招提寺の依頼を受け、およそ制作に十年の歳月を費やし完成させた、鑑真和上にささげた六十枚を超える襖絵。その中の「山雲」と題された日本の深山幽谷を描いた襖絵。幾重にも木々が重なり鬱蒼と茂る、まさに神が宿るような森林の実に深い緑。そんな神々しくも神秘的な緑がこの石にも宿っているのでございます。
都会の喧騒の中にあっても、この宝石をお供となされば、ふとそこに視線を落とす度に、幽玄の森にいざなわれたように、ひと時の癒しがあなた様にもたらされるのでございます。
ピンクゴールドに映えるレール留め
皆様、チャネリングというのをご存知でしょうか?代表的な例といたしましては、青森県の下北半島にある恐山のイタコと呼ばれる巫女が行う「口寄せ」と呼ばれる秘儀。
「口寄せ」とは、死者の霊をその巫女の生身に憑依させ、その死者と関係の深い肉親などとのコンタクトを、その巫女が仲介役として取り行うという、一種あの世との交信サービスなのです。
わたくしがまだ子供のころは、テレビの特番なんかでもよく取り上げられ、その何やら恐ろし気なサマを恐々視聴した記憶がございます。
ところが、カルト教団、オウム真理教が引き起こした一連のテロ事件からこちら、そういったオカルティズムや霊的な事を扱う事がどうやら放送の世界ではタブーとなったのか、まったくそういったおどろおどろしい心霊や超常現象を扱う番組が姿を消してしまったのは残念なことでございます。
さて、このチャネリング、なにもイタコだけの専売特許というわけではございません。有名なところでは、幸福の科学という新興宗教の大川隆法総裁が過去の聖人、戦国武将、政治家、その他もろもろの著名人の霊をその身に降臨させ、有り難い「霊言」を下されるとのこと。
普通こういったことを耳にしますと、どうせ金集め目的のインチキに違いないと常識人は鼻でせせら笑うのが一般的な反応かと思うのでございますが、実はわたくしには一概にそうとは思えないのでございます。なぜなれば、かく申すわたくし自身がそのチャネリングを実践している、総裁同様の神に選ばれしチャネラーに他ならないからでございます。
ガーン!!
お疑いの方は、過去の小生のブログに一通り目を通して頂ければ一目瞭然。過去すべてのブログのどれもがどれも、語り口に統一性がないこと甚だしいと、疑念の目を持って読み進まれるのではないでしょうか。
例えばこのブログのひとつ前のサンゴ指輪のブログなんかですと、どうもまるで上方古典落語かと疑うばかりの古臭い大阪弁で書かれてある。いくら私が年寄と言えども普段そんな喋り方は致しません。きっと執筆中に米朝師匠か松鶴師匠が乗り移ったに違いない。
また、その前のやつなんか、のっけから料理のお兄さんが飛び出てきた。これなんか明らかに生霊の祟り、げに恐ろしやリュウジの御霊。またさらに過去にさかのぼり、目立ったところですと、「私をクラブにつれてって」と題してギメルのブローチを解説しようとしたところ、のっけから江戸落語の名人古今亭志ん朝師匠らしき人物に乗っ取られ、ブログがすっかり意図せずして江戸落語になってしまいました。
あるいはまた、「不気味なくらい美しいギメルの指輪」と題した、ギメルのスピネルの指輪の解説を始めようとすると、突然関西MC界の重鎮、石はヤシロの生ける永代供養、浜村淳先生が割り込んできて、「さて皆さん・・」と始めよる。さらに遡れば、「グリマ甘―いジュエリー」と題したブログではなんとあのマツコDXが憑依したらしく、あろうことかジュエリーをスイーツに例えて語りだす。
もうこの体質、自分自身ですら手に負えんので、最早なすがままに身を任せているのですが、不思議とそういった、何者かに憑依されたときに限り、ブログを書く筆が順調快調に進むというか、キーボード入力がキーボードにまるで指が吸い寄せられるかのようにスムーズに進むのでございます。
逆に誰も降りてこない時、実際その方が今のところ圧倒的に多いのですが、そんな時はもう艱難辛苦。元来文章など書く習慣など全くなかった身、もがきにもがき、苦しみ呻吟の末、文章を捻り出しているような始末。いっそのこと、そう言ったチャネリング体質が一層進歩発展して、大川総裁のように過去の偉人、賢人、聖者が下りて来るようにならんかなー、と強く思うのでございます。
そうすれば、こんなことしてられへん、わたくしもひとかどの教祖様となり、過去の天才、賢者、あるいは神そのものを憑依させ、有り難い教えシモジモの者にたれ、迷える子羊を救う救世主となり、ユーチューバーとなり、政党を創設し、日本全土の征服、否、世界制覇も夢ではないのである!ワハハハハハ!ガッハハハハハハハハ!ウワッハハハハハハハハハハ!イーッヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ・・・・・
という事で、本日はチャネリングならぬチャネルリング、正式にはチャネルセッティングの指輪のご紹介。
さてこちらの指輪、チャネルセッティングと申しましたが、一般的にはレール留めなどと呼ばれ石留の仕方。ご覧いただいている指輪のように一般的にはダイア製品によく使われる石留方法で、その見た目の形状から一文字リングなどと呼ばれることもございます。
通常、こういった小粒のメレダイアモンドなどの石留は、小さい爪を立て、それらに一個づつ石を留めていくのが一般的なのですが、こちらの留め方はご覧いただけますよう、二本の平行に走るレールの間に複数の同じサイズの石を挟んでいっぺんに留めていくという方法。この留め方の利点は爪留めのように引っかかりが無いというところ。よく指輪のその小さい爪がニットのお洋服やストッキングに引っかかったり致しますが、その心配が要らない。
またその延長線上にもなりますが、石を落とす、あるいは飛ばす危険性が大幅に低減いたします。爪が引っかかれば、当然爪の方も伸びたり曲がったりしますから、石が落ちるのも当然の事。従いましてこういったデザインのリングはお仕事などのお供としての普段付けにも非常に適しているのでございます。
さて、ご覧のリングでございますが、こちらは基本レール留めのデザインながら、非常に凝った造りとなっております。こちら約0.15キャラットのメレダイアが五つ並んだレール留めなのですが、実はそのダイアとダイアの間に二個づつさらに細かいメレダイアがセットされているという細かい細工。
さらにこのレールの外側、ちょうどレールの側面に当たる部分の両サイドにも、細かいメレダイアが綺麗に彫留めされて豪華さを演出しております。
さらにこちら、現在ローズゴールドなどと呼ばれ、とても人気のあるピンクゴールドのリング枠になっております。そのためサイズの変更は、地金自体の組成構造が不安定な為、一応不可とさせていただいておりますが、当社が擁する凄腕職人の神技によって可能な場合もございますので、大幅なサイズ直しでない場合、サイズ直し可能な場合もございますので、先ずはご遠慮なくお問い合わせのほどよろしくお願いいたします。
ジプシー奏でる鬼平の指輪
歳いて老いぼれて参りましたよって、観るテレビも年寄らしもん観ないかん言う事で、最近は休みの日などよくBSなんかで放送されている時代劇の再放送をのんびりと発泡酒片手に観やしてもろてまんのでございます。
特段、時代劇専門チャンネルなんぞを契約する贅沢してるわけやおまへんで、その時々やってるのを適当に観てるだけ。それでも結構な種類の時代劇をこれまで鑑賞することができました。
「水戸黄門」「必殺仕事人」「座頭市」「江戸を斬る」「遠山の金さん」「銭形平次」「暴れん坊将軍」「剣客商売」などなど。その中でもわたくし一番のお気に入りは「鬼平犯科帳」。
この「鬼平犯科帳」、原作が時代小説の巨匠、池波正太郎先生という事もあってか、なかなか並みの時代劇のような、勧善懲悪一辺倒の単純なストーリーやなく、登場人物の人情の機微が細こうに描かれてある。盗人にも三分の理という、人間の弱さの部分にもスポットライトが当てられてたりして、なかなか見ごたえのある人間ドラマという内容になっておりまんねん。
ほんでまた何よりも、このドラマの主人公、鬼平こと、江戸市中火付盗賊改方の長である長谷川平蔵を演じている中村吉右衛門さん。これがまた良ろしいんでございます。
わたしら生来、裏長屋住まいの貧乏人でっさかい、歌舞伎みたいな高尚なもんにはとんとご縁がなく、恥ずかしながら生まれてこの方、歌舞伎の生の舞台なんぞいっぺんたりとも見た事あれしまへんし、わざわざテレビ中継を観るなんてまめなこともしやしまへん。
そんなんですよって、人間国宝、中村吉右衛門丈の歌舞伎のお芝居がどんなに凄いかなんぞさっぱり知れしまへんのでっけど、逆にテレビドラマの中での、そのなんともいえぬ所作や目配せによって、何やら歌舞伎の演技の機微に触れる様な気分にさせてくれはるお芝居。なんちゅうたらよろしいんやろん、そう気品がある。それですわ。そりゃ芝居のお上手な役者さんは仰山いてはりますが、この気品いうもんを持ってる方は、あまりそう居てはらへんの違いますやろか。
実はその謎が、このブログを書くにあたってご本人の事を色々インターネットで調べたところ、なんとのう分かったような気ぃになりました。
歌舞伎の世界は梨園なんてことを言いますが、こうした有名な役者の看板を継ぐのは基本世襲制。ひとつの家系が代々その芝居の大名跡を受け継いでいくというわけですな。もちろん吉右衛門さんもそういったお家に生まれはったわけで、実のお兄さんは松たか子さんのお父さん、松本白鴎丈とこれまた大名跡の後継者なのは皆様ご存知のところ。せやけど兄弟やからいうて同じ名前を二人分けて継ぐわけにもいかんと、お母さんの実家、これも歌舞伎の名門、初代中村吉右衛門、つまりお爺さんの養子となりはったんですな。
さて、少年時代の吉右衛門丈、学校の方は暁星高等学校から早稲田の仏文に進みはります。このいかにも東京のエエシの子ぉらしい経歴からして、勉強の方もよう出来はったんやろね。なにせ大学入学当初は歌舞伎役者やのうて、フランス文学の学者を志してはったらしいんですわ。そしてまた絵の方も幼少のころから大層達者で、後年画集を出したり、個展を開いたりとプロはだし。ほんまにご本人自体が文人というかインテリいうんか、そんな点がさっき申しました、演技の気品、品格に現れてんのとちがいますやろか。
さて、皆さんもご承知の通り、中村吉右衛門丈は昨年十一月に七十七歳という、今どきですとまだ若いといわれるようなお歳で、残念ながらご逝去されました。素人目に観ても、歌舞伎界にとっては計り知れない大きな損失やったに相違ございますまい、役者としてだけやなくて、その人物としても。
さあ、その鬼平犯科帳のわたくしにとっての最大の魅力は、実はこんなん言うたらあの世の吉右衛門さんに叱られるやわかりまへんが、実はドラマが終わった後のエンドロール。
ジプシーキングスのインスピレーションという曲をバックに日本の四季折々の江戸情緒を伴った景色が映像として流れまんねけど、これが実に良え!いやホンマ。
ドラマは犯科帳というくらいやさかい、殺人、放火、強盗、裏切り、恨みつらみのどろどろした人間模様が展開されて結末を迎えるわけなのですが、その後味の悪さをあたかも浄化してくれるような、カタルシスの効果がこのエンドロールにはあるんと違いますやろか。
フランスのグループ、ジプシーキングスはテレビコマーシャルでもお馴染みの「ボラーレ」など力強い男性ヴォーカルで日本にも数多くのファンがおられるのですが、この鬼平犯科帳のエンドロールで使われている曲は、歌のないギター演奏のみで構成されたインストロメンタルの楽曲。このフラメンコギターによる哀愁溢れる曲調が驚くほどに、この鬼平犯科帳、日本の時代劇の終焉に見事マッチして良え仕事をしてまんねん。この外国の曲を時代劇のエンドロールに選択した人のセンスたるや、もう神がかってるとしか言いようがないくらい素晴らしおます。まさか吉右衛門丈自身の選曲やないやろね?
さて、この日本情緒とフラメンコギターが醸し出す、えも言えん和洋の融合と見事合致するような佇まいを見せるのが、こちら赤珊瑚の指輪ですんや。
どないです、このまったりした珊瑚の赤。西洋の赤とはまた一味違う、ちょっと陰影を帯びた言いまんのかなー、日本人の詫び寂びの心を反映したような渋い赤。
こんなん指にさしてもろて歌舞伎見物にでもお出ましいただきましたら、またそのお芝居も一層良えもんに映るちゅうもんでございます。芝居がはねたのち劇場表に出たら思わぬ通り雨。雨にけむる都会の夕景色を見るともなく眺めていると、どこからとものう哀愁のフラメンコギターが聴こえてくるかもしれまへんよ。
ハリーのバズレシピ
ハーイ!料理のお兄さんリュウジでーす!
じゃなくて、ハーイ!宝石のお爺さんんハリーでーす!
今日は皆様お待ちかね、至高シリーズという事で僕自身もやはり至高の宝石を紹介していくからには至高になってかなくちゃいけないという事で、ハイボールで自らを至高へと高めていきまーす、出でよ!アル中マシーン3号―!
とリュウジ君よろしくパソコンの画面相手に乾杯と行きたいところですが、なにぶん会社の事務所ではそうもいかず、つか、ハイボールなんか飲んだ日にゃ至高になるどころか、老人のアタシなんかもう脳みそ虚無状態になりますからブログどころの騒ぎじゃなくなります。
という事でとりあえずは、残念ながら素面ですすめていきたいと思いまーす。
さ、それじゃーね材料紹介から行きたいと思いまーす。まずはね玉ねぎ。ちょうど新玉の季節でね、じゃねーや。玉ねぎじゃなくて、真珠。
真珠っていってもね、ただの真珠じゃないの今回の真珠は。
ただの真珠じゃないって、じゃあどんな真珠かっつーとね、これがなんと花珠真珠なんすよね。すごいしょ?ご覧いただいてますピアスはその花珠のペアで作った当店オリジナルの一押しおすすめ品なんでございます!
皆さん知ってます、花珠って?まあこんなブログすき好んで読んでくれてる宝石好きの皆様方だから、大方の人は知ってると思うんですけどね、知らない人のためにちゃんと説明しますねー。
まあ、簡単に言いますと花珠は良いパールつーことなんすけどね、要はね。
じゃ何が良いかっつーとね。真珠を評価する重要なポイントをみんなクリアしてるってとこ。
人間でもあるでしょ、三高って?女性が結婚相手に求める条件ってやつ。高学歴、高収入、高身長ってやつ。僕なんか一個も引っかからないんで、やけ起こしてヤクザ渡世の道に入ったんですけどね、ってウソですけどね。
さて、真珠にもこういった良い真珠を満たす三要素ってのがあるわけね。これがマキ、テリ、キズケっていう三点なの。
まずマキってのは、マキさんの紹介でアナタの隣に座ったの、ていう人の名前じゃなくって、これまた古臭いボケで、年寄りきゃわかんねーヤツね。
マキってのは真珠を取り巻いている真珠層の厚みの事ですね。これが薄いと割れたりヒビがいったりしやすく、逆に厚いと光沢に深みが出るって事。もちろん厚いに越したことはないわけ。で、どれだけ厚けりゃいいかっつーと、花珠の定義は0.4ミリ以上と定められてんのね。
で、お次はテリ。テリー伊藤じゃなくて単なる照り、いちいちつまんないこと言うなって、クセなもんで勘弁してね、老いの繰り言ってヤツですけん。
で、どんなテリが良いって言うと、定義では超テリ!輝きはもちろんの事、鮮やかな干渉色が認められなければなりません。ピカピカの光沢にプラスして真珠独特のオーバートーンの色の重なりが認められなきゃいけないつーこと。
そしてキズケ。傷っていっても擦り傷、切り傷みたいな後からついた傷じゃなくて、真珠独特のエクボっていって、貝に砂とかの遺物が侵入して、真珠を作るときにそれの痕跡が真珠の表面にできちゃう、そういうのが少ないか多いかっていう基準で、これが極小っていうから極めて少ないっていう範囲。
あと鑑定で見るのは、ナリに色という項目があるんだけど、ナリはちゃんと丸いかっつーことで、色はどんな色かってことなんだけど、色に関しちゃどんな色でないといけないって厳密な決まりはないの。だから重要なのはやはりテリ、マキ、キズケの三高なわけね。
じゃ、いったいそれを誰が決めるかってことですけど、お店屋さんが勝手に、ハーイうちの真珠はみんな花珠でーす、なんて勝手に言っちゃダメなんです。
この花珠なる定義そのものを確立したってーのが小松博先生という、元々あの天下のミキモトで養殖真珠の開発研究に没頭していた真珠博士。水道橋博士じゃありませんからね。もういいって?
この先生がミキモトを退職したのち立ち上げたのが、真珠科学研究所っていう真珠専門の鑑定機関なわけ。何せ世界で初めて真珠養殖に成功したミキモトの研究者が立ち上げた真珠の専門鑑定機関なわけですから、もう世界の最先端なわけね。その先生のお墨付きってことは、もう世界基準の高品質真珠として堂々と自慢できるわけなんですよー!
だけどなんでそんなのがオマエんとこみたいな場末の質屋に、しかも大量にあんだよ、おかしいじゃねーか?って。じゃあ種明かししますね。
これはね真珠の本場伊勢志摩のハマと呼ばれる養殖業者さんから直接仕入れた珠なんです。なんでそんなところと繋がりがあんだよ、ってことですけど、これがねタマタマそこの社長さんが僕の宝石屋さん時代の一年先輩だったよしみ。そういったご縁がないと養殖場から小売屋が直接仕入れるってことは不可能なわけなんですね。もちろんその分、中間マージンってのがかかってない分、新品にもかかわらずお安くご提供できるってわけ。
ただし、ここで一つお断り。
普通こういった花珠の商品にはそれを証明する鑑定書が付いているのが普通。でもこのピアスには鑑定書の前の検査済みを証明するソーティングペーパーっていう紙切れ一枚しかお付けできないんです。この紙と商品を一緒に真珠科学研究所に送りゃ、ちゃんとした花珠の鑑定書を作ってもらえるのですが、鑑定書作成料が五千円くらい係るわけで、その分お値段が高くなる。別にピアス着ける度に鑑定書首からぶら下げて歩くわけでもないからそんなの要らないでしょ、その分安い方が良いに決まってますもんね。
ま、どうしても恭しい鑑定書の欲しい方はお買いいただいた後で、ご面倒ですが商品とソーティングペーパーを真珠科学研究所の方にお送りいただき、ご実費にてお作り頂くことも可能ですから、叶姉妹。また最後に下らん事言っちゃった。
コレクターにはギメル!
「無能の人」という日本映画がございます。これは個性派俳優としておなじみの竹中直人氏が1991年に自らメガホンを取り初監督に挑戦し、自身も主演として挑んだ当時の話題作なのですが、元々の原作は芸術漫画の金字塔とも呼ばれる「ねじ式」を描いたつげ義春氏の漫画。
漫画家、つげ義春氏を知ったのは、わたくしに小説の世界の扉を開いてくれた、敬愛する作家の筒井康隆先生が、何かの雑文の中でその漫画を高く評価されているのを読んだのが切っ掛け。
まず最初に読んだのが、先にあげました「ねじ式」。いやー、もうそのシュールというのか奇天烈というのか、まるで悪夢のような、筋があって無きかのような漫画。それもそのはず、漫画の筋が浮かんでこずにヤケクソで書いたとのご本人の弁があるほど。実際この先生の他の作品はこの様なアヴァンギャルドな作風とは大きく異なり、どちらかというと自らの生活に題材をとった私小説風な作品が多いのでございます。
この「無能の人」も自らをモデルにしたであろうとみられる、売れない漫画家を主人公にした、貧乏にあえぐ一家の悲喜劇を描いたもの。
芸術漫画などと祭り上げられたが故、なにか変な気負いが生まれ、編集者からの注文にも気安く応じられなくなり、それゆえに雑誌からの注文も途絶えて久しい主人公の漫画家、助川。
それならいっそ商売替えをしようと色々試みますが、何をやってもことごとく上手く行きません。そこで最後にたどり着いたのが、元手要らずという事で、玉川の河原で拾った石を玉川の河川敷に掘っ立て小屋を建て、そこで売るという商売。
まあどう考えてもモノになりそうな事業ではございませんが、実はこういった河原に転がっているような石にすら好事家というのか、マニアというのがいるらしいのでございます。
専門的には「水石(スイセキ)」と呼ぶらしいのですが、元々古くは中国より伝わった愛石趣味だそうで、形の良い趣のある石を室内で台座の上などに恭しく飾り、鑑賞するといった、まあ何とも渋い趣味があったもので、ちゃんと日本水石協会なる同好の士が集う団体すらあるらしいのでございます。
さてそれを知った主人公の助川、芸術漫画家としての自らの審美眼を信じ、河原でこれぞと思う石を拾ってきては店頭で適当な名を石につけて並べるのですが、もちろんそんなものを敢て買おうなんてモノ好きな人は滅多におりません。日がな一日毎日ヒマな店で店番をしていてもしょうがないと、石仲間から教えてもらった、良い石が採れるといわれる郊外まで家族を伴い、レクリエーションを兼ねて出かけます。そこで採取した石を愛石趣味同好の士が集まるオークションで売って一攫千金を目論むのですが、もちろんこれも失敗。オークションの参加費だけが無駄に消え、とうとう妻子からも見放されるといったさんざんな結末で物語は終わります。
さて世間では、こんな河原に転がってるような石ころに始まり、様々なモノの収集が趣味として成立致しておりますようで、テレビの人気長寿番組「開運!なんでも鑑定団」でもいろんなものが収集家のコレクションとして鑑定に出品されております。
この番組を見るにつけ、世の中にはまあ何とも数多くの収集癖を持っている人がいるもんだなーと感心いたします。
世に広く知られているところでは、切手収集。古銭収集。フィギア収集。むかしのエボナイトやビニールでできたレコード盤の収集。初版本の収集。昔の玩具、メンコやベーゴマの収集。オイルライターの収集。腕時計の収集。もう数え上げたらきりがないくらい皆さん物を集め貯め込むのがお好き。わたくしなどのようにそういった収集癖が全くない者からみればまことに不思議。
さて、このコラムでいの一番に取り上げなくてはいけないのは何をおいても宝石の収集、コレクション。
夜更けにこっそりベッドサイドのドロワーから宝石箱を取り出し、買い集めた宝石たちを眺める事は、そういった方々にとりましてはまさに至福のひと時。ひとつづつ取り出しては指にはめてみたり、首にぶら下げてみたり、ためつすがめつ眺めて飽きることを知りません。
いや、まことに精神衛生上にもよろしげな、結構なご趣味でございます。
ただし、こういったモノの収集癖の裏にはテレビの鑑定団のテーマでもあります、投機的な側面が必ずついて回ります。たとえば絵画や美術品、書画骨董なんかはもう鑑定団のお得意分野。イチ、ジュウ、ヒャク、セン、マン・・・・・・とお金の位がカウントされる度に出品者の一喜一憂するさまの必死な様子。値打ちのある品だと自信満々で持ってきた先祖伝来の壺なんかが二束三文の値を付けられたときの出品者の落胆のサマが、意地の悪い視聴者にはたまらなく面白いのであります。
さて、実は一般の方の中には、宝飾品、宝石貴金属の類もこういった書画骨董と同様長らく持っていれば値打ちが上がる、あるいは一定の資産価値を持っている、なんて言う風に思っておられる方が少なからずおられます。これは宝石屋が販売する時に「お値打ち品」とか「値打ちがある」などといった、さもその品物自体にすごい金銭的価値があるといった、紛らわしい売り方をする点に原因があると考えられます。
もちろん、こうしたジュエリーと言ったものは大体が18金やプラチナをその土台として制作されているので、最低その地金のスクラップ価格の値段にはなるのですが、その価格たるや購入価格の1/5以下というものがほとんど。
なぜならばこういったジュエリーの類の原価率というものは贅沢品、奢侈品という事もあって、他の一般の耐久消費財に比べると驚くほど低く、せいぜいが20%前後ではないでしょうか。そしてその原価に占める貴金属の割合を考えると自ずとこの目減りの仕組みはご理解いただけるでしょう。
ですから、手前ども貴金属高価買取りで定評がございます質屋マルヨにいたしましても、宝石貴金属の買取に関しましては、地金だけではなく、中石、脇石もしっかり査定いたし値を踏んだ結果ですら、購入価格の1/3までいかないものがほとんど。暴利をむさぼるあくどい商法に引っかかり、高い値段で売りつけられたものなんかですと、最早1/10以下。まことに残念ながら文字通り二束三文の値打ちという事になります、
しかし皆さま、ここに朗報、福音があるのでございます。そういった処分するときはスクラップ価格にしかならない大半のジュエリーの中におきまして、中古になってもなお付加価値を維持し、しっかりした買取金額が期待できる逸品があるのでございます。
そう、それこそが未来のアンティークと海外オークションハウスをうならせた、日本が世界に誇るギメルの製品。
もちろん現在はまだアンティークにはなっておりませぬ故、中古として処分する場合は新品価格からの目減りは免れません。ただし最早、質屋買取屋等が出品する古物市場のオークション価格ですら、ギメルというだけで高値が付くといった現状。ですから新品で買ったギメルの商品でも、良心的な質屋、買取屋に持ち込めばスクラップ価格ではなく、ちゃんとしたギメルとしての中古相場価格に準じた価格で買い取りが成立するという事。つまりはエルメスやロレックスの品物と同じく、品物の値打ちとして査定してもらえるのでございます。ですから、それをハナから中古で上手に入手しておけば、万一の処分の場合でもその目減りの額はさらに減るわけなのであります。お判りいただけますでしょうか。
そしてさらには将来のアンティークというだけあって、その将来が到来したときには一体いくらの値打ちになっているか楽しみではございませんか?お孫さんがそれを携え、「開運!お宝鑑定団」に出るその日までは、もちろん最高のジュエリーとしてお楽しみいただけるわけですから、これはお値打ちでございますよー!
色褪せないサザンの魅力
先日近所のブックオフに行きますと、わたくしの好きなナンシー関さんの文庫本が五、六冊まとまって、しかも一冊が110円の超特価で出ていたのでとりあえず一冊購入して帰りました。
次の休みも又ブックオフに立ち寄ると、なんと残り二冊になっていたので慌てて購入。やはり未だわたくしの様なファンの方が多くいらっしゃるんだと、ちょっとびっくり。
というのも、ナンシーさん三十九歳とお若くして亡くなってから早二十年の歳月が経つのです。
普通、しかつめらしい文学などというものをお書きになる文士先生なんかですと、亡くなって二十年経とうが百年経とうがその文学的価値、評価は変わらない方が多いのですが、何せこの方コラムニスト。しかも移り変わりの激しい芸能を専門に、そのターゲットにした人物の似顔絵を消しゴム版画なる特殊な技法にて表現し、コラムと一緒に雑誌やなんかに掲載するという手法。
芸能なんてものは人気商売水商売というだけあって、移り変わりが驚くほどに早い。然らば二十年前の芸能コラムなど最早なんの値打ちも無きがごときもの。実際書いてある内容を読んでみても当時を知るわたくしとて、あー、そういえばそんな奴がいてたなー、とかそんなことあったなーてな感じ。ですから当然当時の芸能界を知らぬ今の若者にはちんぷんかんぷんのはず。
ただ、そういった時間的制約を受けつつも、未だ古本になっても売れ続けるのは偏に著者ナンシーさんの類まれなる才能のお陰。もう少し長く生きておられたらと改めてその才能の惜しまれるところでございます。
さて、そういった物事の賞味期限という意味では、新聞などというものなんかはもっと極端。値打ちのあるのは発行当日のみ。翌日にはもうなんの値打ちもないゴミとなってお払い箱。
昔はそれでもこの古新聞紙で弁当を包んだり、濡らして破いて箒で掃けばチリが良くとれるなんて言う使い道があったのですが(えらい年寄やなー!)、今じゃもうすっかり無用の長物。溜まってくると嵩張るし、いちいちゴミ出しするのが面倒だということで、インターネットの普及も手伝って定期購入を断る家庭も多いとか。
あるいは、娘十八番茶も出花などという言葉が表すように、人間にも賞味期限があるようで、昔は女性も二十五歳を超えたら行き遅れ、売れ残りなどと酷い陰口をたたかれ、オールドミスなどという有り難くないレッテルを貼られたりしたものです。実際私が付き合ってた当時の彼女も、二十五歳を目前にして私に結婚するだけの甲斐性がないと見限ると、さっさと私のもとから去り、違う男と賞味期限ぎりぎりで結婚したんだとさ、めでたしめでたし。
今の世の中は、コスメ、美容その他もろもろのアンチエイジングの技術の進歩のお陰でしょうか、老化のスピードの大幅な鈍化も手伝って、そういった古い因習にとらわれた変な賞味期限もほとんど消滅したといっても過言ではございません。実際、わたくしが新入社員だったころ、30オーバーの所謂オールドミスなんぞと呼ばれている先輩女子社員の見かけは明らかにオバちゃん、なるほど賞味期限切れ。しかし今はどうでしょう。三十四十なんてまだまだ充分お姉ちゃんの範囲じゃないですか?こちらが耄碌した事を差し引いても。
さて、賞味期限と言えばなんと言ってもファッションの移り変わりが世のご婦人の一番の気がかりとなるところ。昔からスカートの丈が伸びたり縮んだり。肩幅が広がったり狭まったり。流行に乗り遅れる事ほど恐ろしいことはないというくらいに女性に取ってのファッション、流行の移り変わりは一大事。
実際一流ブランドのお洋服なんかはもう春夏あるいは秋冬の半期ごとで打ち切り。去年これようけ売れたさかい、もう一遍同じのん売ってこましたろかい、なんてはしたないマネは致しません。どんどん新機軸を打ち出していかないことには、生き馬の目を抜くといわれるほどに厳しい競争のファッション業界では生き残れません。
さてその点、同じ女性が身に着けるものであるにもかかわらず、ジュエリーなんてものの流行の寿命はデザインにもよりますが、全般的に随分と息が長うございます。
例えば当店一押しのティファニーバイザヤードペンダントなんて一体どれほど以前から同じデザインで押し通していることやら。最早永遠の定番と言って過言ではないくらい。
さてご覧いただいておりますのは、サザンクロスという国内のジュエリーブランドのピンクサファイアのリングでございます。
このサザンクロスというジュエリーブランドですが、実はわたくしがまだ宝石屋に勤務いたしております頃と申しますから、今からざっと三十年も昔にもなりますが、日本発の高級ジュエリーブランドという触れ込みで、有名百貨店や一流宝石店の展示会や外商持ち回り販売なんかで、結構売り上げを伸ばしていた会社なのでございます。かく申すわたくしも、当時サザンクロスのやり手女性ジュエリーコーディネイターと一緒に得意先同行販売を敢行。あえなく討ち死にした苦い記憶がございます。さてその頃からこちらのブランド、ご覧いただいておりますような色石の逸品を得意として、目の玉の飛び出る様な価格を付けて販売しておりました。
ご覧いただいておりますピンクサファイアの指輪でございますが、これなんかもその当時の持ち回り外商パックに入っていたとしても全くおかしくない、鮮やかなピンクが眩しい逸品、一級品の風情ながら、現代におきましても十分に通じる半永久的なデザイン。考えたらそうですよね、こんな指輪何百万も出して購入して、シーズンが変わったらハイ時代遅れでOUTですなんてなったら困りますよね。という事でジュエリーの寿命は我が読売巨人軍同様、永久に不滅です!
古着なんてのはいくらブランドでも古くなれば時代遅れ、鮮度が落ちますが、その点宝石は鶴は千年亀は万年に匹敵するくらいの長寿でございますゆえ、これを中古で上手く買わない手はございません。是非ふるってのご購入の程お待ちしております。
夏の時を止めるバイザヤードペンダント
今や日本のロッケンロールミュージックを代表するアーティストにして大御所。内田裕也氏亡き後、名実ともにロック界のビッグボスに成り上がった、ご存知エイチャンこと永六輔、とボケといてからの矢沢永吉。
実はわたくし、彼がまだかの伝説のグループキャロルのメンバーのころ、その生のステージを観た事があるのでございます。
あれはわたくしがまだ学生の頃。大阪は天王寺動物園横にあった天王寺野外音楽堂という野外ステージで、なんというタイトルか忘れましたが、いろんなミュージシャンが順々に出演するといった一種ロックフェスみたいなコンサートに、わざわざチケットを購入して行ったのか、あるいは誰かに券をもらったのか、はたまた歩いていたらダフ屋に余ったチケットを格安で押し付けられたか、どういう理由で行ったかはもう記憶のかなたで定かでございませんが、友人の辻村君と行ったのは間違いございません。いや、山野君やったっけ?
さて出演アーティストは全部で5、6組だったでしょうか。これが今から考えれば信じられないような豪華メンバーだったのです。なにせそのコンサートのトップバッターがユーミンこと松任谷由実、になる前の荒井由実。さらにはまだ鈴木康博とドュオを組み、オフコースとして活動していた小田和正。そして先ほど申しました矢沢永吉率いるキャロル。どうです凄いメンツでござんしょ?
今このメンバーを一緒の舞台に上げるなんてことになったら、いったいどれだけのギャラが発生するやわかりません。まあその前にいろんな大人の事情が立ちはだかり、実現など到底不可能でしょうが。
このコンサートの印象として今も記憶に残っているのは、まだ二十代前半だったユーミンのホットパンツからにょっきり出た綺麗なおみ足と、キャロルファンのガラの悪さ。もうキャロルが出る前のアーティストなんか大変。「引っ込め―!」「早よ止めー!」の罵声の嵐。小田君もさぞややりにくかったやろねー。
実はこのキャロルですが、活動期間はほんの二年程度。あっという間に解散してしまったのですが、他のメンバーを尻目にエイチャンだけはその後も快進撃を続け、一人ビッグになったのはご承知の通り。
さてビッグなエイチャン、ヒットナンバー数あれど、なんと言っても最大のヒット曲はミリオンセラーを記録した「時間よ止まれ」。
この曲は当初、資生堂のテレビ等で流れるキャンペーンソングとして、山川啓介という人が詞を書き、これに矢沢氏が曲を付け歌唱するという、本来のエイチャンの曲作りからはやや逸脱する形でプロジェクトが進行したらしいのでございますが、これが怪我の功名、功を奏したのでございましょう。
さすが餅は餅屋。プロの作詞家ならではの情緒あふれる言葉の連なりが、矢沢氏にしては珍しいメローな曲調にマッチし、日本ロック史上に燦然と輝く名曲となったわけでございます。
その歌詞の内容はというと、最初からいきなり「罪なやつさ嗚呼パシフィック碧く燃える海」と何やら難解な文句で始まります。パシフィックって何なん?海言うてはるからパシフィックオーシャン、つまり太平洋の事?と、その後に「夏の日の恋なんて幻と笑いながらこのヒトに賭ける」と続く。なるほど、夏の海辺の恋の歌やね、とやっと謎が解けてコーラス一番終了。
さあ、コーラスニ番で作詞の山川先生ギアをグッと上げてきよる。
「汗をかいたグラスの冷えたジンより光る肌の香りが俺を酔わせる」
これどうよ!なかなか素人には捻り出せん名文よ!汗をかいたグラス、すなわち水滴をまとったキンキンに冷えたグラスの感じが視覚として伝わりますねー。キリっと冷えたジンや!ジントニックかジンリッキかギムレットかなんや知らんけど、切ったライムが添えられて美味いやつやん。缶ビールやのうて、こんなんを海辺で飲んどるコイツはなかなかの洒落者、伊達男。
せやけどや、この男には最早このジンの味を楽しむ心の余裕なんぞあらへん。なんでか?それよか光る肌の香りが俺を酔わせると白状しとる。光る肌というからには水着姿の女性を想像させといて、その水着からこぼれる、小麦色の日に焼けた肌から立ち上るコパトーンなんぞの香りに悩殺されとるわけやねコイツは。それが証拠のダメ押しが次に来る。
「まぼろしでかまわない、時間よ止まれ、命のめまいのなかで」
どう?幻でかまわないって、もう耳なし芳一の心境やね。目眩までしてくらくらしとる。大阪弁でいうところのイカレコレ言うやっちゃね、そうとうの重症や。
さて、という事でこれからいよいよ夏本番、熱い恋の季節の到来。このようなシーンが海やプールで老いも若きも、男女の間てバンバン展開されることでしょう。よろしおますな!
ならば、そこで女性の方に強力な助っ人のご紹介!
光る肌の香りだけじゃどうも心もとないという気弱なあなたにお奨めいたしますのが、こちら当店一押しのティファニーバイザヤードペンダントなのでございます。
これをば光る肌の首元、鎖骨の窪みで輝かさせば、もう鬼に金棒おやつにチョコ棒。水着に着けてこれほどサマになるジュエリーは他にございますまい。小麦色の光る肌にこれほど映えるジュエリーをわたくしは他に知りません。
こちらティファニーバイザヤードペンダントの小粒ながらキラリ輝く最上級のダイアモンドの輝きで、狙った獲物の時間を見事止めることが出来ましたら御慰み!さあ、いざ勝負!
由緒正しいプリンセスをおつけあそばせ
丸い卵も切りよで四角。物も言いよで角が立つ。などと言いますな。
古い落語で「子ほめ」という演目がございまして、このお噺は、このモノの言い様、今風に言うならプレゼンテーションのノウハウを落語で面白おかしく、わたくしのような世の中の道理に疎い者にも分かりやすく諭してくれる、なかなか為になるお噺なのでございます。
落語の中身はというと、例によって長屋のご隠居のところに、あまり頭脳明晰やない主人公の男が、無料で飲める酒、つまりただの酒があると聞いてやってまいります。これは実のところただの酒やなくて、灘の酒の聞き間違い。聞き間違いでも何でもと、尚の事酒をねだるこの男に、ご隠居が滾々と諭します。せっかく来たんやさかい飲まさんこともないが、飲ましてほしいと思うんやったら、お世辞、大阪ではべんちゃらと言いますんやけど、お上手のひとつも言うて、相手をおだてる事をせんことには飲ます方とて馳走のし甲斐がない。またそういうことを普段から心がけておくと、思わぬ褒美が転がり込むものやと。
その後、二人の間でこのお世辞、べんちゃらの使い方について、教える方と教わる方のお馴染みのボケと突っ込みが繰り返された後、さあ、では実践で腕試しとこの男折角の灘の酒をおっちょこちょいやさかい、ごちそうにもならず、勇んでご隠居の家を飛び出します。それから後、彼は方々で的外れなべんちゃらを使い、かえって相手の不興を買うといった失敗を繰り返すというお噺。
まあ、人の世で生きていくという限りは、常に他人の顔色を窺い、お世事の一つも言いながら人間関係を円滑に保つというのは非常に重要な事でありまして、これをしくじると何かと不便が生じるわけなのでございます。
特に商売、商取引におきましてはこうしたお世辞、べんちゃら、ヨイショなどと呼ばれる技は必要不可欠。
例えば、商談には値切りというものがつき物。買う側は少しでも安く買いたい。売る側は少しでも利益の減るのは嫌。双方のせめぎあいとなります。
こういう場合でも、値切られた商人の方が木を鼻でくくったような、つっけんどんな物言いで、「お値引きは一切いたしません」などとぶっきらぼうに答えれば、それで商談終了ともなりかねません。折角の儲けのチャンスを自らの手で潰しているようなもの。
ならばどうするかというと、そこは臨機応変、当意即妙。相手の真意を推し量りながら、しかも相手の機嫌を損ねぬように対応するしかないのです。
しかし実際には値段交渉の段階にたどり着くまでに、笑顔でヨイショ、べんちゃらの一つも二つもかまし、尚且つ信頼できる相手であるという事を印象付ける工夫としての知ったかぶり、商品知識の二つ三つをひけらかし、その合間合間に世間話をちょこっと混ぜながら、浮世を憂い、政治を嘆きながら相互の親近感を高めて行きます。このように事前に即席の親密感を作ってこそ、はじめて相手の値段交渉の矛先も鈍ろうかというもの。
そしていざ値段交渉の段になるとニコっと笑ろて、「いや、少しでもお値引きさせていただいて、気持ちよう買うていただければ、また次にもつながるご縁を頂けるかと、こちらかてそこは商売、長い目ぇで考えさせていただいてまんのでございますが~、いかんせんこちらの商品に限っては・・・」と、こないいかなあかん。
しかしネットショッピングが隆盛の昨今、当社とて今や販売経路は楽天さん一本んで頑張らしてもろてまんねけど、インターネットで顔の見えんお客さんに対する接客はさらに困難を極めます。
まあ普通の販売はクリック一発、接客も何もないわけでございますが、中には商品に対するご質問や、当然値切り交渉などもあるわけなのでございますが、その類のやり取りはほぼ全てメールによってなされるのでございます。
これがなかなか難しい。なんせお互い相手の顔すら見えんねんさかい、ニッコリ可愛い愛想笑いを披露することもできん、ベンチャラの言いようもない。落語「子ほめ」の中のセリフに出てくる「四十五とはお若く見える、どう見ても厄そこそこ」、といくら何でもお姿すら見てないもんは言われへん。
まあ、今のところはお尋ねいただいた内容に、丁寧に真摯にお応えするよりほか方法が見つかりません。どなたか丸い卵を四角く切るような、ネット販売のメールにての必殺ヨイショ術、教えてくれはれへんもんでっかなー。
というわけで、本日のおすすめは丸いダイアを四角く切ったプリンセスカットダイアモンドの指輪のご紹介。
さあ、ご覧いただいてます四角いダイアモンド。先ほど丸いダイアを四角く切ったと申しましたが、これは大きな間違い。素人目には確かにそない見えますんやが、ダイアモンドの原石自体は正八面体といってピラミッドを上下に貼り合わせたようなシェープ。
ですから本来、一番皆様になじみの深い丸いダイアこそは、四角いダイアを丸く切ったというのが正しく、このプリンセスカットはむしろ原石の姿を忠実に反映したシェープと言えるのでございます。
その為こちらのプリンセスカットのダイアモンドは他のファンシーシェープ、例えばマーキーズだったりペアシェープが変形した原石を歩留まり良くカットするための工夫として作り出されるのと異なり、元より型の良い正八面体の原石からカットされる場合がほとんどなのでございます。まあ人間で例えるなら、氏素性の良い家柄の子弟がエリートコースの道を歩み、霞が関の官僚になるみたいなもの、ちょっと違うか?
さて、こちらのプリンセスカットは角ダイアのもう一方の雄、エメラルドカットのソリッドな魅力と、ラウンドブリリアントカット同様の細かいパビリオン部のカットから生まれる眩しい輝き、角ダイア丸ダイア相方の優れた面が楽しめるという事で、20世紀半ばから人気が急上昇致しまして、今もなおその人気に陰りは見えません。
ご覧いただいておりますリングに留まっております中石のプリンセスカットダイアモンドは、重量1.752キャラットの堂々たるボリューム。色味はやや黄色味を帯びるベリーライトイエローながらクラリティ―はVS2とほとんど無傷な良品。その中石を両サイドから各々0.3キャラットのペアシェイプダイアモンドが太刀持ち露払いを務めるという堂々たる横綱土俵入りの風格。ラウンドのダイアはどうもかしこまりすぎるし、かといって集合石のファッションリングでは軽すぎるとお悩みのそこのあなた。これですよ、これこれ!
罪な女のブラウンダイア
爺さんの趣味と言いますと伝統的なところでは盆栽に囲碁将棋、競馬競輪パチンコと定年退職リタイア後の暇な時間をどのように過ごすか、ご同輩の皆さん苦心惨憺。
最近では農地を借りて農作業に精を出したり、また、ロードバイクなる高い自転車を買い込み、老体にピチピチのウエアーを着込み、流線型のヘルメット着用と上から下までばっちり決めてサイクリングに励んだり。
さらにもっとお金に余裕のある方になりますと、ハーレーダビッドソンなんかの厳めしいバイクにさらにサイドカーも連結のうえ、革ジャンなどを小粋に羽織り公道を徒党を組んで我が物顔に疾走する老人暴走族。
さらにその上に行くと高級外車のカッコいいツーシーターオープンカー、助手席にモデルのようなオネエチャンをお飾りの如くに乗っけて、頬全体を白髪の髭で覆い、勝新の如き風貌にキメ、スポーティーなサングラスを掛け、葉巻を燻らしながら公道を走破するというツワモノまでおります。(実際見ましてんこんな人!)
まあ、誰もがなりたくてもこんな勝新風にゃなれない訳で、一般庶民はもっとしょぼいところに落ち着いて余暇を楽しまないといけません。そこで最近とみに老人の間で人気の高まりを見せるのが、カラオケ喫茶なのであります。
わたくしなどまだまだケツの青い初級老人、残念ながらそういう老人の憩いの場所、カラオケ喫茶と言う所には未だ足を踏み入れた事はないのであります。聞くところによると、その店内の様子も様々だそうで、まったくの、紅茶の美味しい喫茶店風の造りもあれば、もとナイトラウンジか何かで、ちゃんと正面にステージが設えてあり、七色の照明を受け、まるで歌手になったかのような気分で歌えるお店もあるとか。
こういった場所は何も爺さんだけに限られたものではなく、婆さんもこれに大挙して加わり、日頃鍛えし自慢の喉を互いに競い合う競技の場でもあります。と、いうのはあくまでも表向きの隠れ蓑。実際にはインターネットでの熱い出会に技術的に追いつけない老人に、夢とロマン、人生最後の一花を咲かすべく、令和版パンチDEデート、男女の出会いの場となっているのであります。
と申しましても老人の男女の比率は平均寿命の男女格差もあり、また爺さんどもの趣味の多様化も手伝って、恒常的に女性多数、ジジイ不足。さてそういった競争率の高い、狭き門の状況において、いかにイケてる爺さん、イケジイを他に先んじてゲットするかはカラオケの歌声だけでは不十分。
やはりそのお召し物から身だしなみといった外見、見た目が重要。特に天井からミラーボール輝く、ステージに工夫を凝らした本格的カラオケ喫茶においては、やはりその照明設備に映えるジュエリーに凝らねばいけません。
もちろん、マイクもつ手をゴージャスに飾る指輪が重要なのは当然の事、しかし指輪だけでは片手落ち。(ここシャレでっさかい、笑うとこでっせ、笑えよ)
やはりそのお顔をさらに魅力的に、よりセクシーに見せる工夫が必要。
という事で今回はお店の七色のカクテルライトに映えて、眉間にしわ寄せ、切なく歌うあなた様のお顔、その表情を、嫌がおうにもセクシーに演出せずにはおかないピアスのご紹介でございます。
さてご覧いただいておりますこちらのピアス。それぞれにメレダイアモンドが縦に三つずつ並び、その下にさらにハートの枠に縁取らてたメレダイアモンドがポイントとして配置され、そしてさらにその下にそれぞれが1キャラットもあるブラウンダイアモンドのブリオレットカットがなんとダイアモンドに直接穴を穿って金具が貫通する形でぶらさがっているのでございます。
おっとどっこい、ブラウンダイアと侮ってはいけません。同じブラウン系のスモーキークォーツとは大違い、月とスッポン、腐っても鯛。ダイアモンドの圧倒的な高い屈折率によって、その輝きが違います。このダイアモンドがカクテル光線を反射しキラキラと輝くサマの幻想的なことと言ったら、もう筆舌に尽くせません。
このきらめきが、あなた様の美声と共にお顔から発せられるとき、オーディエンスの爺様全員はもうあなたの虜。もはやディーバと化したあなたをめぐる恋の争奪戦が始まるのでございます。
もちろんカラオケに限定せずとも、シャルウィーダンス、社交ダンスのお供にも最適。こんなの着けてタンゴでも踊ってみなはれ、パートナーの爺さん興奮のあまり、卒中で倒れるかもしれまへんで。罪な女やわ、わたし後妻業。
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筆者:ハリー中野
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自己紹介
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1979年、大阪の老舗宝石店に入社以来、上は香港ペニンシュラホテルから、下は田舎の地場産業振興会館まで、
ありとあらゆる場所で宝石の伝道師としてジュエリーの普及に尽力。
現在はマルヨの姉妹店ドゥペールノエルにて正しい宝石の買い方からお手入れの仕方まで、
懇切丁寧な接客をモットーに主婦層を中心に幅広い支持を得るにいたる。
自称「宝石の伝道師」
「GIA(米国宝石学協会)」認定資格「GIA.G.G」保持
ドゥペールノエル退職済み
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担当業務
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宝飾品プロデュース、プロモート、コンサルト、商品コメント、ブロガー、Twitter
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元ベテラン店長のひとこと
ベリル拡散や焼きのキツイものが横行する中にあって、純粋無垢の非加熱パパラチア。なるほどこれがインド洋に沈む夕日の色か、思ってたよりずっと爽やか!