パルミチン酸レチノール とは

■パルミチン酸レチノールとは?気になる効果やA反応について解説!
パルミチン酸レチノール 化学式

エイジングケアに欠かせない美容成分のひとつ「レチノール」。
レチノールはビタミンAの一種ですが、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、レチナール、レチノイン酸等……さまざまな種類があることをご存知でしょうか。
この記事ではレチノールの中で「守りのレチノール」と言われるパルミチン酸レチノールの効果や、気になるA反応についてもご紹介させて頂きます。

目次
  • - 美容成分:パルミチン酸レチノールとは
  • - パルミチン酸レチノールの効果
  • - パルミチン酸レチノールの安全性について
  • - ほかのレチノール成分とどう違う?
  • - パルミチン酸レチノールは朝に使っても大丈夫?
  • - まとめ

美容成分:パルミチン酸レチノールとは

パルミチン酸レチノールは、人体に含まれる飽和脂肪酸の一種のパルミチン酸とレチノール(ビタミンA)を化学結合(エステル化)することにより、安定性を高めたビタミンA誘導体です。
本来ビタミンAは光や空気、酸素などの影響を非常に受けやすく、安定性が悪いため、化粧品に配合する際には処方技術や容器に工夫が必要な成分ですが、エステル化することにより安定性を高め、皮膚への刺激性を低減させています。
また、パルミチン酸レチノールは皮膚内に保存されているビタミンAの大部分を占めており、スキンケア製品やメイクアップ製品、シャンプーやトリートメント等のさまざまな化粧品や食品等にも配合されています。

パルミチン酸レチノールの効果

①肌にハリをもたらし、シワを改善する
皮膚は外側から「表皮」、「真皮」、「皮下組織」と大きく分けて3つの層で構成されています。パルミチン酸レチノールはこの表皮と真皮に働きかけ、小ジワおよび深いシワを改善します。
具体的には表皮の水分を保っているヒアルロン酸の産生を促進し、やわらかな肌へと導くことで小ジワを改善し、真皮の肌の弾力を保っているコラーゲンとエラスチンの産生を促進することで深いシワを改善します。
ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンはハリのあるなめらかな肌に欠かせない美容成分ですが、加齢に伴い減少していきシワやたるみの原因となってしまいます。パルミチン酸レチノールでしっかりと補給しましょう。

②肌荒れを改善する
レチノールと言えばターンオーバーを促進する作用が有名ですね。
ターンオーバーのサイクルを保つことで肌のバリア機能が整えられ美肌へと繋がりますが、生活習慣やストレス、加齢、無理なダイエット等さまざまな要因でサイクルが乱れ、バリア機能が低下し、肌荒れに繋がります。
一般的に顔の皮膚は約4週間のサイクルで新しい細胞が産生され、表面の肌へと成長し、角質細胞となって剥がれ落ち、新しい細胞へと入れ替わります。顔はほかの部位よりターンオーバーが早く、他の部位はそれよりも遅くなります。例えばかかとは約120日かかると言われており、ガサガサやひび割れでお悩みの方も多いです。
パルミチン酸レチノールは新しい細胞の分裂・増殖を促進し、健常なターンオーバー機能を保持する働きがあります。

③くすみ・シミを改善する
②にも記述しましたが、パルミチン酸レチノールはターンオーバーを促進する働きがあり、くすみやシミの原因となるメラニンを排出し、色素沈着を改善します。
また、サンバーン(肌が赤くなる日焼け)の主な原因となる紫外線B波を用いた実験で、SPF20の日焼け止めと2%濃度のパルミチン酸レチノールを比較したところ同等の紫外線減弱効果を示したことにより、パルミチン酸レチノールには紫外線吸収作用があるとされ、欧米では日焼け止めにも配合されています。

パルミチン酸レチノールの安全性について

パルミチン酸レチノールは20年以上の使用実績において皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんど無しとされており、安全性に問題の無い成分として多くの化粧品に配合されています。
レチノールにも色々ありますが、最も安全に使えるのがパルミチン酸レチノールです。

ほかのレチノール成分とどう違う?
レチノール 成分 表

1. 成分の安定性が高い
パルミチン酸レチノールはそのほかのレチノール成分と比べ、安定性が高いことから「安定型ビタミンA誘導体」と呼ばれています。
化粧品の成分について調べると、この「安定性」という言葉をよく耳にするかと思いますが、美容成分を化粧品に配合する際、効果のある安定した状態の美容成分を肌に届けられるように処方することが重要です。
安定性が低い成分=こわれやすく、効果が低下しやすい成分です。
一般的にビタミンAやビタミンC、ハイドロキノンなどは安定性の低い成分と言われており、成分の劣化防止の為にカプセル化(リポソーム化)をしたり、空気に触れにくくできるエアレス容器を採用したりと工夫されている製品もあります。
せっかくスキンケアするなら、新鮮な状態の美容成分を肌に届けたいですね。

2. A反応が比較的出にくい
ビタミンAが不足している肌に新たにレチノール(ビタミンA)が入ると、肌が過剰に反応し、赤み、皮むけ、ヒリヒリする感覚が出ることがあり、これらの症状はA反応と呼ばれます。
肌がビタミンAに慣れるとA反応は次第に治まりますが、敏感肌の人やレチノールを初めて使用する人は皮膚刺激性の少ないパルミチン酸レチノール配合のスキンケアがおすすめです。
また、他のレチノール成分と比べ効果はゆるやかですので、継続してケアすることで肌にビタミンA貯金をしていきましょう。

パルミチン酸レチノールは朝に使っても大丈夫?

パルミチン酸レチノールはEU消費者安全科学委員会において光毒性、光感作性共に無く、皮膚に塗って光を浴びても刺激性を生じないと評価されたことから、朝使用しても問題が無いとされています。
ただ、ビタミンAスキンケア中は肌が敏感になりやすい為、日中は日焼け止めを使用し紫外線対策をしましょう。

まとめ

パルミチン酸レチノールは、レチノール初心者の方にもおすすめな有能な美容成分です。
未来の肌の為に、早めに取り入れてエイジングサインへアプローチしていきましょう。



記事作成:きみちゃん
スキンケアオタクで年間20万以上美容に投資しています。

化粧品原料メーカー勤務
化粧品検定1級
化粧品成分検定1級
肌タイプ:混合肌
お肌悩み:毛穴・キメの乱れ
20代後半

記事作成者

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