皆様、こんにちは。Dr.Tei Kenです。
子宝に恵まれたいけれども妊娠できないのは辛いものです。
高齢出産が増加している現代、不妊治療を行っても妊娠する確率は42歳※で1割弱という厳しい現実があります。
漢方では、不妊は“腎”という器官に関係しています。
“腎”は生命の源で、西洋医学の腎臓、副腎だけでなく、泌尿器や生殖器も含まれます。腎の機能が低下することで、「腎陽虚(じんようきょ)」、「腎陰虚(じんいんきょ)」、「腎精不足」などの漢方的な症状が現れ、不妊に繋がります。
例えば植物の場合、種をまき、発芽や成長に、光・土・水分などが必要なように、妊娠するにも同じことが言えます。
陽虚とは、体内に陽気が不足することで、光が足りず、体内が冷えてしまっているため、種をまいても土が凍っているような状態です。
陰虚とは、潤いや栄養分が足りないことを言い、痩せて干上った土に種をまくような状態なのです。
腎精不足は、男性不妊によく見られますが、女性の場合は無月経となることが多いです。
アキョウは、不妊と流産、産後の病気など、妊娠出産の全過程の治療によく用いられる名薬で、歴代の漢方書にも、アキョウは“不妊、崩中(子宮出血)を治す”という記述があります。
アキョウは「補血滋陰(ほけつじいん)」効果があり、まず陰虚に効き、そして腎精を充実させます。
陰と陽はバランスをとろうとするため、「陰生陽長、すなわち、土が肥えて水分も十分(陰)な木が堂々と成長する(陽)ように、アキョウの充実した陰のパワーは陽を導き、「陰虚」、「陽虚」、「腎精不足」を治し、妊娠しやすい体を作ってくれます。
また、臨床治療の実例も豊富にあります。
【1】50組の不妊患者にアキョウを服用させたことにより、子宮内膜が顕著に厚くなり、妊娠率が24%(50組中12組)になりました。
【2】194組の不妊患者に対してアキョウ含有の漢方処方を用いて6ヵ月間治療を行ったところ、72%(194組中140組)が妊娠し、出産へ至りました。
その他、アキョウが配合されている温経湯による不妊治療においても効果が確認されています。
中国伝統医学では、春はすべての成長の始まり、万物が繁栄すると考えます。そんな季節に少しでも多くの方に新しい命が芽生えることを願って止みません。
※日本産科婦人科学会2010年「不妊治療における年齢別出産率と流産率」より
記事一覧
アーカイブ