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漆器の色んな知識

漆器の素材や、工程、扱い方など、知っておくとお得な色んな情報をご紹介。

漆器の上手な取り扱い

皆様のご意見の中で『漆器は取り扱いが大変』とか『すぐに洗わないといけないの?』とかの声を多く聞きます。

なぜでしょうか?

おそらくは家庭用洗剤が普及し始めた頃、アルカリ性や酸性の強い物や研磨剤入りの洗剤が出回った事などが大きくそのイメージに影響していると思われます。

また漆器も樹脂製品や価格を安くする為に工程を省いた、安価な商品が普及した事もその一因となっていると思われます。

しかし漆器は本来、毎日使う事を目的としています。
なのできちんと工程をふまえて作った物であれば、ちょっとした事では傷まないように丈夫に作ってあります。
もちろん故意に壁や床に叩き付けたり、包丁やナイフなどで切り刻んだりすれば破損します。

漆器を扱う上での正しい扱い方、、現代の生活の中での扱い方、新しい素材の扱い方など、正しい知識をご紹介する事で、永く漆器をご愛用してもらえたらと思います。

漆器の上手な取り扱い〜基本編〜

漆器は昔から器から家具、調度品、色んな物があり、色んな生活のシーンで使い分けています。
特に分かり易いのが日常的に使う物と冠婚葬祭や四季で使い分ける物、特別な時しか使わない物に分れます。

漆器の使う用途や材質によっても多少、異なりますがまずは基本的に共通しているポイントを幾つかご紹介したいと思います。

※樹脂製品やウレタン塗装、その他最近では新しい漆も開発されています。ここではあくまで木製、漆塗りの基本的な内容になります。

■使う時はお箸を使う事を前提に!食材は一口サイズにカットして

漆器は「箸」の文化で使われてきた食器です。漆器の器を使う時は極力、お箸で食べる用にしましょう。

近年は食生活が変化して、家庭でもナイフやフォークを使うようになっていますが、
金目のナイフ、フォークなどで、食材を切ったり、刺したりする際に塗り面まで深く傷つける事になります。

そうは言っても、お料理の演出上、ナイフやフォークを使いたい場合もある思います。その場合は木の素材やプラスチック等、なるべく柔らかい素材の物を使いましょう。

但し、かなり力を入れてこすったりすればやはり、傷を付けてしまいます。

なので使う際のアドバイスとしては、予め食材を食べ易い大きさにカットしておいたり、柔らかい食材を使うようにしましょう。

■当たり前ですが、レンジやオーブン、蒸し器は避けて下さい。

漆器はある程度乾燥してあれば100度位の熱でも変色したりしません。
普通の味噌汁などを入れても大丈夫なようになっています。ただしそれ以上の高温になると漆が変色したり、木地が変形したりする原因になります。

なので、オーブンなどは何百度という温度になりますので、決して入れないようにして下さい。

熱対策のアドバイスとしては、揚げたての食材などを置くときは、天紙をひいたり、野菜や、葉などの上に置くといいでしょう。
そうする事で揚げたての油が直接漆に触れる事を避けます。また見栄えも良くなります。

※最近ではレンジ対応の商品もあるようなので、しっかりと品質表示を確認してください。

■漆器は日陰が安心

漆器は乾燥していても中の成分は生きています。

なので紫外線を含む直射日光に長時間さらすと次第に変色する原因となります。

ただし長時間といってもお花見に重箱を持って行ったり、外でブランチ程度の時間ならまったく問題ないです。

例えば、花立や花台、置物、漆のパネルなど、漆器の調度品や家具等は直射日光に当たらない日陰を選んで置くといいと思います。

また夏場などは車中でも温度が異常に高くなりますので、お弁当などを持ってお出掛けの際には十分に気を付けましょう

■洗う際は普通にスポンジでOK!

水やぬるま湯で一般の家庭用洗剤でスポンジや布で洗って頂いて結構です。

必ず避けて欲しいのはスチールウールやスポンジの裏に付いている堅い部分でこする事。

小傷の原因と、蒔絵や、金箔などの装飾が剥れる原因となります。

ここでアドバイス、こびりついた食べ物などは無理にこすったりせず、数時間、水かぬるま湯に付けてから洗えば大抵の汚れは落ちます。

■漆は汚れが落ち易い塗料です。市販の家庭用食器洗剤でOK!

漆はその成分の中に脂分を含んでいます。

なので逆に脂分などの汚れは付きにくく、落ち易い塗料です。

ほとんどの汚れは家庭用の洗剤(中性の食器用洗剤)で洗って頂ければ落ちてしまいます。

昔の家庭用の食器洗剤には研摩剤が入っていたり、酸性、アルカリ性の強い物が多かったので洗剤を使ってはいけないというイメージが強いのでしょうが、今は一般で市販されている家庭用の洗剤はほとんどが植物性の中性洗剤です。

なので安心して他の食器と同じように洗って頂いて問題ないです。

■無理せず漆器屋さんに相談しましょう。できれば定期的にメンテナンスを

ほとんどの汚れは落ちてしまいますが、使っていく内に白ばんだり、どうしても落ちない汚れがある場合は、無理に落とそうとせず、漆器屋さん相談して下さい。

漆に付いた落ちない汚れは、漂白剤などでは落ちない汚れです。なので決して漂白剤や、研磨剤などは使わないで下さい。

酸性やアルカリ性の強い洗剤は漆の成分を殺してしまい、余計に白くなったり、変色したりします。

特に蒔絵など高価な加飾がある場合は台無しになってしまいます。まずはお買い上げになった、お店に相談するか、漆器の専門店に行くといいでしょう。もちろん当店でもご相談して頂ければきちんとお返事させて頂きます。

毎日使う器であれば、日々使うたびに見えない程度の傷や汚れが付いてきます。また自分ではそういう変化には気付き難いものです。

早めに修理すれば修理代も安くなります。なのでできれば、定期的(2,3年)置き位にメンテナンスをお薦めします。