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漆器の色んな知識

漆器の素材や、工程、扱い方など、知っておくとお得な色んな情報をご紹介。

漆器の工程

漆器はその完成までに多くの作業、工程を必要とします。確かにその工程の多い分価格は上がりますが、しかしその工程によって美しく、丈夫で長持ちする漆器が仕上がります。

現在では素材、工程、産地も多様化し色んな価格の漆器が販売されています。そしてその中には粗悪な工程作業をしたもの、工程を省いたものもあります。

ここではその工程をご紹介する事で、漆器の丈夫さの秘密や、職人さんの存在を知って頂き、上手な漆器の買い方のお手伝いができればと思います。

木製漆器の主な工程

漆器は本来、その素材は「木」です。木のままでは、水分をすったり、もれたりします。

また「木」は長年使う事で、反ったり、割れたりします。丈夫かどうかの分かれ目は「下地」にあるといっても過言ではないでしょう。

その為、少しでも丈夫にしたり、塗り上がりの表情を変えたり、価格を下げたりする為に各産地ごとに使う素材が違ったり、工程や作業内容、技術が違ったりします。またお椀などの「丸物」と重箱や硯箱のような「角物」とは微妙に違ったりします。

ただ、やはりその殆どの工程内容は同じなので、基本的な工程をお椀(丸物)を例に簡単にご紹介致します。また工程の名称や呼び名は産地で違っている事もあります。ここでは一般的に使われている名称、越前漆器の産地で使われている名称、また皆さんに分かり易い言葉に直しています。

@荒挽き

ここではしっかり木を乾燥させます。また季節によって木の良し悪しもあるそうです。そういった木の良し悪しを判別するのも高い経験を必要とします。

乾燥させた後、ある程度のお椀の形に削っていきます。産地によっては「横挽き」「縦挽き」があります。

A仕上げ挽き

@で荒挽きされた物をさらに削り、完成させます。

ここで、布張りで仕上げるかどうかで、木地の厚みをミリ単位で調節して削ったり、蓋物、入り子などの場合、少しでも狂いがあるといけないのでかなりの高度な技術を必要とします。

B−1、下地…木固め

Aで仕上がった木地に一度さっと生漆を全体に塗ります。塗るというよりは染み込ませるといった方がいいかもしれません。

染み込ませる事で、木地の導管まで深く漆が入り、木地が締まり丈夫になります。

B−2.下地…布張り

お椀の変形や歪み、割れを防ぐ為に麻布などを特に木地の傷み易い「端」やヒビ割れので易い「見附」(お椀などの底の部分)に貼ります。

C下地…型地、錆地

漆と砥の粉や地の粉を混ぜて塗っていきます。この漆が固まると殆ど石に近いくらい硬くなります。

また、表面に厚みを作り、後々になっても木地目がでにくくなり、長く美しい塗り面を保つ秘訣になります。

地の粉や砥の粉は産地内の土壌で採れたり(輪島はこれが有名です)、柿渋などを使ったりと産地で特徴があります。

C−2.下地…下地研ぎ

かたくなった表面を砥石や水ペーパー等で研いでいきます。

研ぐ事で表面を均一な面に形を整えたり、次の漆の密着を良くします。この「研ぎ」は地味な作業ですがとても重要な作業です。

C下地…2辺地

C−1、C−2を繰り返します。

中には何度もこの繰り返しをして更に丈夫で堅牢にしている物もあります。

D中塗り

仕上げの漆を塗る前に一度漆を塗ります。

細かな穴、傷を埋めたり、次の漆の密着を良くします。

仕上げ塗りに合わせて色漆を塗ります。朱色や溜色なら朱色を塗り、黒色ならば黒色を塗ります。

E中塗り研ぎ

最後の研ぎ作業です。最後の漆塗りの密着がいいように丁寧に研ぎあげます。

F上塗り

最後の塗り作業です。表面にゴミなどが着かないよう慎重に塗上げます。

F−1、蝋色仕上げ

最後の塗りの後に、墨で磨きあげます。その仕上がりはまさしく鏡です。

この仕上げをする商品は最近では殆どなく、職人さんも少なくなっています。今では高級漆器の代名詞ともいえます。

G加飾

塗り上がった物に色んな技法で絵付けをします。

絵付けの技法としては「蒔絵」、「沈金」、「螺鈿」、「研ぎ出し」など色んな技法があります。

以上がおよその漆器の工程となります。

ここでは紹介できませんでしたが、各工程でも更に細かな作業があります。それについては今後ブログなどで時折ご紹介したいと思います。