ホーム>how to

How to

漆器の色んな知識

漆器の素材や、工程、扱い方など、知っておくとお得な色んな情報をご紹介。

塗装素材の特徴

漆器は「塗物」と言われるように表面には必ず何かしらの塗装をします。本来であれば「漆器」の名のごとく「漆」を塗ったものが、最近では化学塗料を塗ったり、また塗らない物もあります。

現代の生活の中で、高価な漆器以外にも便利な漆器製品は必要だと思います。しかしその分、素材との相性やその塗り方、技法によってメリット、デメリットが幅広く存在します。

ここでは、塗装素材とその技法や、生地素材との相性などをご紹介したいと思います。

■→さらに詳しい情報やブログ記事へ

■漆塗り(手塗り)

本来の漆の特徴は、防腐剤、接着剤、硬化剤、色付けなど幅広く、現代の塗料の中でも大変優秀な素材です。古くはその特徴を活かし、土器、兜や鎧、建材など幅広く使われました。

漆の素材その物はアルカリ性、酸性、水分、熱、衝撃にも大変強い物です。しっかりした下地や研ぎなどの工程を踏まえれば、化学塗料に比べても平均点は非常に高く多くの面でバランスのとれた塗料です。価格の高さはありますが、総合的にはやはり一番お薦めできます。

表記名 漆、漆塗り、漆塗装など(産地、メーカーによって異なります。)
塗装方法 刷毛やヘラで手塗り
硬化方法 大気中の湿度(水分)と温度(20度前後)により化学反応によって硬化、乾燥
密着性(研いだ場合) 木製◎、木粉入り合成樹脂○、ABS樹脂○、メラミン樹脂など△
耐熱性 100度までなら○(しっかり乾いている場合)、高温の油などは×
安全性 植物性なので基本的には安全な素材です。人によってはかぶれる場合がある。
耐久時間 非常に長い
細かな傷には復元力あり、
汚れ 特に油分の汚れは付きにくく、落ち易い
使用洗剤 一般洗剤○、漂白剤×、研磨剤×(蒔絵などが落ちる場合がある)
食洗機の耐応性 あまり使用しない方が良い(長持ちします。)
紫外線滅菌 ×
塗面の特徴 塗面は厚く、しっとりとした質感があり、大変深みのある艶を持ちます。

■漆塗り(吹付け塗装)

漆の表面の質感、美しさがあり、安価にできますが、吹付けできるように成分をうすくするので塗面の厚みや耐久性は落ちます。

漆の見栄えを重視する場合には購入しやすい商品です。

表記名 漆、漆塗り、漆塗装、吹付け漆など(産地、メーカーによって異なります。)
塗装方法 エアガン、スプレーで吹付ける。
硬化方法 大気中の湿度(水分)と温度(20度前後)により化学反応によって硬化、乾燥
密着性(研いだ場合) 木製○、木粉入り合成樹脂△、ABS樹脂△、メラミン樹脂など△
耐熱性 100度までなら○(しっかり乾いている場合)、高温の油などは×
安全性 植物性なので基本的には安全な素材です。人によってはかぶれる場合がある。
耐久時間 漆手塗に比べると落ちる
細かな傷には多少復元力あり(漆手塗に比べると低い)
汚れ 特に油分の汚れは付きにくく、落ち易い
使用洗剤 一般洗剤○、漂白剤×、研磨剤×(蒔絵などが落ちる場合がある)
食洗機の耐応性 使用しない方が良い(長持ちします。)
紫外線滅菌 ×
塗面の特徴 塗面の厚みは漆よりはありません。ただし漆のしっとりとした質感、艶を持ち、手塗に比べ安価です。い

■カシュー漆塗装(吹付け塗装)

安価にできる事と、漆成分も若干混ざっている為、漆の美しさもややあります。また現在では高温で乾燥させる事で、洗浄機にも対応でき、色の幅も多く優秀な塗料です。

吹付け塗料の中では一番のお薦めです。

表記名 カシュー漆、カシュー、カシュー漆塗装など(産地、メーカーによって異なります。)
塗装方法 エアガン、スプレーで吹付ける。
硬化方法 揮発成分の蒸発と温度(60度〜100度)で硬化
密着性(研いだ場合) 木製○、木粉入り合成樹脂◎、ABS樹脂◎、メラミン樹脂など△
耐熱性 80度〜120度までなら○(焼付け乾燥の場合)
安全性 植物性なので基本的には安全な素材です。ただし溶気剤が揮発性の物です。
耐久時間 漆手塗に比べると落ちる
硬度は高いので傷その物は付きにくいが細かな傷は付き易い
汚れ 特になし
使用洗剤 一般洗剤○、漂白剤×、研磨剤×
食洗機の耐応性 乾燥温度と素材によっては対応可。
紫外線滅菌
塗面の特徴 吹付け塗料系の中では塗面は厚めなので質感、深みもウレタンより漆に近い。

■ウレタン塗装(吹付け塗装)

安価にできる事と、色の豊富さが特徴です。市販されているもので、安価な物はウレタン塗装が主流です。研ぎをしっかりする事とベースに塗った上からクリア塗料などで塗る事によって更に丈夫な塗面を作ります。(業務用の漆器は殆どがウレタン系の塗料です。)

ウレタン系はそのグレードや種類の幅も多くいので、使用目的によってうまく使い分けると、さらに漆器の楽しみの幅は広がります。

ただし物によっては薄くした物、乾燥温度、素材によってはすぐ剥げたりする可能性があるので注意して購入する事をお薦めします。

表記名 ウレタン、ウレタン塗装など(産地、メーカーによって異なります。)
塗装方法 エアガン、スプレーで吹付ける。
硬化方法 揮発成分(シンナー系)の蒸発と温度(60度〜100度)で硬化
密着性(研いだ場合) 木製○、木粉入り合成樹脂◎、ABS樹脂◎(特に良い)、メラミン樹脂など○
耐熱性 80度〜120度までなら○(焼付け乾燥の場合)
安全性 基本的にはシンナー系の塗料です。
耐久時間 漆手塗に比べると落ちる
硬度は高いので傷その物は付きにくい。クリア塗料などの2回塗で傷が付きにくくなる。
汚れ 特になし
使用洗剤 一般洗剤○、漂白剤、研磨剤×(物によっては○もある)
食洗機の耐応性 乾燥温度と素材によっては対応可。
紫外線滅菌
塗面の特徴 塗面その物は漆に比べるとかなり薄いです。色の豊富さはありますが、漆のような質感、深みはあまりありません。

素材のグレードと工程、乾燥が決めて

漆、塗料に限らず素材のグレード、工程、乾燥をしっかりした物はそれぞれの特徴を活かしたすばらしい商品です。

メーカーや販売店の企業努力でお買得の物もありますが、しっかりした物はやはり単価に反映されます。その事を考慮して上手なお買物をして頂ければと思います。