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TAKAのボルドー便り


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12.樽とマロラクティック醗酵

今回はデュブルデュー教授と私の意外とも思われる一面をご紹介しましょう。

デュブルデュー研究室に於ける白ワイン、とくにソーヴィニオン・ブランに関する仕事があまりに評価されていて、それが為に赤ワインの研究は行われていないと思われている方々が多いようです。しかし実際にはかなり以前から着手しており、特に私があるヴィンテージのトロタノワ(ポムロールAC)からコーヒーの香りを持つ物質を発見したことから本格的な赤ワインの研究に拍車がかかりました。しかし赤ワインの香りの研究では樽の関与は無視できないファクターです。

さてその樽ですがこれがうんざりする程、種類があるのです。一種類であれば分析も楽なのですが・・・。もう、中央フランス、ヴォージュ、ブルゴーニュ、リムーザンという生産地別のキャラクターの違いは日本でも知られ尽くされていると思いますので、ここでは別の樽の仲間を紹介します。

まずこの樽ですが、これは特定の地域からのではなくヨーロッパの各地域から産する樽材の寄せ集めからできています。

次はロシア産のカシ樽ですが、スガン・モロー社の数年にわたるフランス産との比較検討の結果、有意差はないということでここボルドーでもフランス産の樽に混じって仲間入りをしています。

アメリカ産のはヴァニラ香が強いことで知られています。

またこのカシの木は火入れされにくい傾向があるので樽の内面をUの字に削り取ったUースタイブという樽もあります。

今日はこれらの樽からのサンプリングに教授のシャトー・レイノンとグラーブのシャトー・オー・バイーにきています。
教授の赤ワイン用のシェです。
スペースの関係で樽を三段重ねにしています。一番上からのサンプリングは本当に骨が折れる仕事です。樽にしがみついて登るのですが、最初は樽が崩れてくるのではないかと不安です。しかし実際は私の体重くらいでは樽はピクリとも動きません。
オー・バイーではそのスペースを活かして、樽は一列に整然と並んでいます。これならサンプリングも大変楽です。

さて、サンプリングですがこれには少しばかり注意が必要です。赤ワインの熟成では白のそれとは違ってバトナージュ(樽の底に沈澱している澱を撹拌して懸濁状態にする事)をおこないませんから樽の中のワインは一様ではありません。樽材に近い部分がより樽からもたらされる香りが強いことはいうまでもありません。ですから平均されたワインを得るために樽の中央にあるワインをサンプリングします。
シェにあるピペットはこの目的に便利です。この長さは大体樽の半径に等しいからです。
上部を指でおさえてそのまま一杯まで樽にいれてそしてそこで指を放せば、樽の中央にあるワインを取れる、という寸法です。
赤ワインの香りをテーマにするにあたって、解明すべき重要な仕事があります。

それは新樽内でのマロラクティック醗酵です。この話題騒然な技術は、今になっても尚その是非が問われている現状です。新酒の段階で大変滑らかな美しさを持ち、香り高く素晴らしいワインになります。それが為にこの新樽内マロラクティック醗酵のワインを何樽か用意しておき、パーカー氏の訪問の際には新酒評価で高得点を得る目的でそれを提供するシャトーがあることが話題になりました。なぜ数樽だけしか用意しないのか、全部をそうしてしまえばいいのではないか、と思われるかもしれませんが、この素晴らしいワインに問題があるのです。早期に綺麗なバランスを持つかわりに、それが早期に消失します。老化が早い、という言い方は正しくないのですが、ワインの構成要素の五感で捉えられる差が極端である、と言えるかもしれません。

ですから、醸造家達はこのワインの未来に不安を持っています。ちゃんと熟成してくれるのかどうかをまだ誰も知らないのです。私達はこのワインに対して香りの面から追跡してみよう、ということになりました。シャトー・レイノンではこの目的の為に試験的にこの新樽内でのマロラクティック醗酵を行っています。この香りを知るためにはステンレス・タンク内でのマロラクティック醗酵後、新樽に詰めたワインとの比較が重要です。この追跡は瓶詰めまで行う予定です。

きっと興味ある結果を皆さん方にお知らせできるものと思っています。
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