Vol.1 ~自分自身を表現してくれる~

2020/04/30

 

 

料亭の女将はお客様の脱いだ靴を揃えながら靴を見てお客様を識る。

 

ホテルのフロントマンは記帳しているお客様の腕元の時計を見てお客様を識る。

 

そんな言葉を聞いたことがある人はいないだろうか?

 

現在の女将やフロントマンで実際にそこまでやっている人がどれくらいいるかは分からないが、実際に靴や時計を見て人となりは少なからず見えてくるものである。

 

ビジネスの場に置いて、普段の姿がわからない相手がどのような人物かを判断するのに、その人が使っている小物を見るのは、一番分かりやすい判断材料の1つである。

 

 

例えば、靴だったらブランドも大事だが、手入れの仕方や踵の減り具合で、その人がどのような立場の人かが分かる。

 

踵のすり減っていない人は歩いて移動することの少ない役職の人と推測もできる。

 

腕時計に関しては、自動車に似ているところがある。

 

どのようなブランドを選んでいるのか、どのようなモデルを選んでいるのか、それはどんなメーカーの自動車を選んでいるのか、どんな車種を選んでいるのか、ということと似ている。

 

ラグジュアリーなものやスポーティーなもので持ち主の趣味嗜好が見えてくるものである。

 

 

 

 

そういえば少し余談ではあるが、以前テレビのバラエティ番組で「合コンで女性は男性の何に一番目が行くか?」という企画があった。

 

1位が財布、2位が車のキー、3位が腕時計、となっていた。

 

当時その番組を見ていた友人がそれまで時計なんて時間がわかれば何でもいいと言っていたのに「初めて腕時計の重要性を知った!」と言って買いにきたことを思い出した・・・・

 

 

また、ある人に言わせると「腕時計は社会人にとっての名刺代わりだ」と言う。

 

単なる時間を知る「道具」としてではなく、自分自身を語らずして表現してくれる、そんな分身のような存在になり得るのが「腕時計」なのだと。

 

そして、ゼンマイで動く機械式時計なら、電池で動くクォーツ時計と違って物理的な故障しかしないので、

 

メンテナンスさえしてもらえれば親から子へ、子から孫へと人生を刻んだ時計が代々受け継ぐことが出来るのだ。

 

自分ひとりだけの人生ではなく、世代を超えた時間を刻んでいく・・・そこに大きなロマンを感じずにはいられない。

 

 

自身で購入するのか、はたまた誰かから受け継ぐのか、どのようなカタチかはしらないが、生涯の人生を共に刻む時計と出会えた人は幸せではないかと私は思うのである。