ヴィーニョ・ヴェルデ・ノヴォ

2017年初コラムにあたりまして、いつもお読みいただいてありがとうございます、
本年もよろしくお願いいたします。

さて、本年の十二支は酉(とり)。そう、鶏のことですが、ポルトガルではその鶏がラッキーチャームとして人々に愛されていることをご存知ですか?
ポルトガルと言えば雄鶏。それは、古くから伝えられている、ひとつの物語に由来します。

昔々、ポルトガル北部の都市バルセロスにて、ある日盗難事件が起こりました。この事件の容疑がかけられたのはひとりの旅人、スペインの聖地サンチャゴ・デ・コンポステーラに向かう巡礼者でした。

無罪を訴えたにもかかわらず、容疑をかけられたまま死刑を宣告されてしまった青年。彼ができる限りの手を尽くしましたが、冤罪を晴らすことは叶いませんでした。

とうとう迎えた執行の日、彼は神に祈り、そしてこう言いました。「私は無実です。その証拠に聖母マリア様は奇跡をおこし、私が刑に処されるそのとき、その雄鶏が私の無実を証明する鳴き声を上げるでしょう。」と、目の前の雄鶏を指さし宣言しました。

間もなく、青年は町の広場に設置された絞首刑台にのぼり、首に綱がかかった刑執行のまさにその瞬間、それまでおとなしくしていた雄鶏が突然甲高く鳴き、集まっていた人々を驚かせました。青年が宣言した聖母マリアの奇跡により、雄鶏が青年の無実を証明し鳴いたのでした。

詳細部分は諸説ありますが、大筋はこのようなストーリー。ポルトガルに広く伝わり、“真実の証”、“バルセロスの雄鶏”と呼ばれ、人々に愛されています。

我が家の冷蔵庫に飾ってあるバルセロスの雄鶏

我が家ではマグネットを冷蔵庫に。カラフルで目にも楽しませてくれるマスコットです。

そして今日紹介したいワインは、このバルセロスにてワイナリーを営むキンタ・デ・パッソスから、ヴィーニョ・ヴェルデ・ノヴォ、2016年収穫の新酒です!!

ヴィーニョ・ヴェルデ・ノヴォ2016

ヴィーニョ・ヴェルデと言えば、フレッシュで溌溂としたイメージのワインですが、新酒であるこのヴィーニョ・ヴェルデ、本来のフレッシュさはそのままに、ロウレイロという名のぶどう品種が持つ清々しいグリーンな香りと、ピュアな果実みが感じられます。

口に含むとバラの精製水のような芳香が鼻孔を抜け、カリンのような甘さとラディッシュのようなみずみずしさと苦味が舌に馴染みます。

爽やかな飲み心地

この味わいの秘密は、発酵が終わる直前に瓶詰めを行うため、絞ったままのぶどうジュースが持っている自然の甘みを保っているおかげ。アロマとミネラルのピュアさを最大限に保つ狙いがあったのです。

実はこのヴィーニョ・ヴェルデ・ノヴォ、初リリースは2014年、メルカード・ポルトガルさんの発案により日本市場のみに出荷された初のプロジェクト。ヴィーニョ・ヴェルデ史上新しい試みとして地元ポルトガルでも注目され人気を集め、2015年はポルトガル国内で、2016年はドイツでも販売されるほどになり、ヴィーニョ・ヴェルデ界で新風となっています。

ヴィーニョ・ヴェルデ史上初のノヴォ

日本市場向けのヴィーニョ・ヴェルデ・ノヴォとあって、お寿司やお刺身にもいいですし、根菜の煮物にも、今の季節はお鍋とも相性ぴったり。

今夜、家族でお鍋を囲み、フレッシュ&フルーティなヴィーニョ・ヴェルデ・ノヴォのグラスを傾けてみてはいかがでしょうか。