床剤を貼る時の下地の知識と接着剤
床材を下地に接着する時は下地の吸水性に接着剤の塗布量や乾燥、接着力に大きく影響します。
接着剤の選定や施工方法によって仕上がりが大きく変わるので下地の種類、特徴におおじて接着剤を選定しましょう。
吸水性のある下地
接着剤と馴染みが良く、エマルジョン形・テラックス形・溶剤形接着剤は特に乾燥固形化しやすい。
デッキプレート仕様の下地は、下地湿気に関係なく耐湿工法をする。
セルフレベリング
石膏又はセメント系の自然流動材を不陸のあるコンクリート等床面に流して、コテ押えなしで仕上げた下地。
石膏系は強度が弱く耐水性が無いため、塩ビ系床材には不適。
セメント系はコンクリートやモルタルに比して厚みが無いため弱い。樹脂が水分を閉じ込める為乾燥が極端に遅い。
コンクリートに水分上昇を防ぐ為プライマーを塗るが、その後乾燥状況により気泡が発生し、床材施工後に膨れ上がる原因になるので要注意。
モルタル
セメントモルタルを金ごてで仕上げた下地。表面が滑らかで吸水性が良く、床材施工に適している。
モルタル下のコンクリートの乾燥不足による湿気が、接着剤の接着力に影響することがあるので注意する。
軽量コンクリート
砂利の代わりに軽量コンクリートを使用し、セメントモルタルを金ごてで仕上げた下地。床スラブとして軽量化できるのが特徴。
軽量コンクリートが水分を含んでいるため下地の乾燥に長時間を要する。
土間コンクリート
地面に直接接した状態でコンクリート仕上げした下地。
吸水性の良いコンクリートが地面の湿気を床材に伝える事で、接着剤の効力に影響することがある。
地面とコンクリートの間にポリエチレンフィルムを敷き、防水層を設ける必要があります。
鉄板上のコンクリート
デッキプレート等の鉄板の上にコンクリートを打設し、金ごて仕上げかモルタル仕上げをした下地。
特に鉄板(デッキプレート)下地とコンクリートの組み合わせは鉄板が水分を逃さず、コンクリート表面からのみ乾燥する。
このため通常の約2倍以上の乾燥期間が必要となります。
更に、鉄板下地と軽量コンクリートの場合は約5倍の乾燥時間が必要なので注意が必要。
コンクリート埋め込み型床暖房
コンクリートの下に敷設された、防水性のある断熱材によって下地湿気が抜けにくいので注意が必要。床暖房の加湿による問題が大きいので注意をする。
*パネル型床暖房はパネルの種類により吸水性の少ない下地・吸水性のない下地に分類する。
吸水性の少ない下地
接着剤との馴染みが悪く下地の表面が緻密なため、接着剤の乾燥を遅らせる傾向にある。
反応形接着剤を使用するか、塗布量を少なくし接着剤の乾燥を促進させる必要がある。待ち時間・残存ワックスにも要注意。
サンダー等で下地の面を荒らし接着性を上げるなどの対策が必要。
木質系の下地(コンパネ等)
ベニアを積層し、接着剤で張り合わせて1枚の板にした材料(合板)を用いた下地。コンパネはコンクリートパネルの略です。 コンクリート打設の型枠に使用される厚さが12mmの耐水合板『ラワンペニア』
他の下地に比べて剛性が少なく、段差、隙間、たわみによる目地の収縮・突き上げになりやすいので注意が必要。
下地接合部分の段差、隙間、釘頭は床材施工後の不陸の原因になるので注意。
また、腐食剤、防蟻剤など使用しており、床材を汚す原因になるので注意が必要です。
フリーアクセスフロア(木質系・コンクリート系)
床下配線システム用。一般的には表面材となる床材のピールアップ性を求められる。
モノリシック仕上げ
コンクリート一発仕上げと呼ばれる下地。乾燥が比較的早く、強度もあるのが特徴。
平滑性に欠け、コンクリートの目の粗さによるコテムラの発生、表面強度のばらつきがあるので注意が必要。
ブロックの浮きに要注意。カラーコンクリート
ワックスが残っている場合には除去が必要。防水層がない場合の下地からの湿気上昇には要注意。
人造石(テラゾー)
大理石や花崗岩などを砕きセメントを加え硬めて表面を磨き上げた人工の床。
ワックスが残っている場合には除去が必要。防水層がない場合の下地からの湿気上昇、段差、目地あき、ブロックの浮きに要注意。
吸水性のない下地
接着剤の乾燥に時間を要する。床材の変質、目地からの接着剤のにじ
み出しの可能性がある。反応形接着剤を使用する。塗布量をやや少なめにして待ち時間にも要注意。
石材系(大理石など)
剛性が強く、僅かな段差、隙間、浮きを床材が拾ってしまうので注意
破損、損傷部分は下地補修剤などで平滑に仕上げる必要がある。
磁気(タイル)
表面の密閉性が高く、吸水性がまったくない。
粒子が球状のため、接着剤が付きにくく施工できい。
金属系
ビス頭、溶接部分等の凸凹、サビと油汚れに注意が必要。
溶剤形のサビ剤がウレタン・エポキシ樹脂系溶剤形接着剤と反応し、防サビ硬化がなくなったり、接着効果がなくなる場合があるので注意が必要。
塗り床
コンクリートの上にウレタン塗料を縫った下地。
繋ぎ目がないため、平滑であれば施工しやすい。一方、さざ波仕上げなどは平滑性にかけていたり凸凹があるため注意が必要です。
下地の剥離、クラックに対してはパテなどで補修する。
重ね張り
現在の床材を剥がさずに施工する場合。
施工後に問題が発生しやすい。既設床材が緻密な材質の場合やワックスが塗布されている場合には特に要注意。
フリーアクセスフロア(金属)
床下配線システム用。一般的には表面材となる床材のピールアップ性を求められる。
下地の吸水性の有無の判断方法
・変化なし 吸水性の無い下地 |
・拭き取ると濡れ色が残る 吸水性の少ない下地 |
・水滴が吸収さえれてしまう 吸水性のある下地 |
下地の吸水性の有無を現場で判断する場合、下地に1~2滴水滴を
落として数秒後の状態で判定する方法が有効です。
下地湿気の測定方法の有無の判断方法
A.ポリエチレンによる簡易方法…1m 四方のポリエチレンフィルムを24
時間下地面に広げ、周囲を空気が逃げないように止める。フィルムの内面に水滴が溜まったり、下地が黒く変色した時には、下地未乾燥。
B.ポリエチレンフィルム法の応用…床材を24 時間1m 四方仮敷きするか、24 時間前に仮設置された荷物や器具を移動させてその下の状態をみる。黒く変色した時は下地未乾燥。
C.コンクリート・モルタル水分計…平坦で日光の直射や通風がなく付着物のない場所を選んで水分計で計測。