奇跡の如く現れる御神米 伊勢神宮
平成天皇即位直後の平成元年1989年には、伊勢地方を台風が二度襲った際に被害を受けた伊勢神宮の神宮神田(神様に捧げる米を栽培する水田)のコシヒカリが完全に倒伏した中央に2株の稲が直立して残っていました。
そしてこの稲の鑑識が行われ、非常に優秀な稲と判断され、更に詳しく分析調査が行われ、篤農家(研究する農家)4名により試験栽培も行われ、1996年1月16日皇大神宮御鎮座二千年の記念に伊勢神宮少宮司より「イセヒカリ」と命名され、伊勢神宮の神饌米とされました。
「大神様から頂戴した稲を謹んで栽培し、品種の登録はしない」という神宮の意向により品種登録されず、10年間「門外不出」としました。
環境の適応性が高く、農薬に対応したコシヒカリは、災害や病気に弱いのが特徴であるのに対して、近年は世界中でオーガニックブームとなる一方で、災害や病気による農産物被害が多い時代となり、農薬や肥料に頼らずとも簡単に栽培でき、耐倒伏性や耐病性に非常に強いイセヒカリの出現は、まさに時代に合わせて奇蹟の如く現れた御神米と言えます。
DNA考古学では、稲の品種寿命は100年以内とされており、1956年に命名登録されたコシヒカリが誕生して2024年現在で既に68年が経っています。
2019年には令和天皇も即位されましたが、時代に合わせた御神米がまた登場するのかもしれません。
伊勢神宮には、太陽を神格化した皇室の祖神「天照大御神」と、衣食住の守り神である「豊受大御神」の正宮(神社の分社・摂社・末社に対して、神社の本宮・本社)があり、歴史的に皇室・朝廷の権威との結びつきが強く、現代でも内閣総理大臣及び農林水産大臣が年始に参拝することが慣例となっています。
また式年遷宮が20年に一度行われ、大神様が本殿から神殿へとお遷りになります。