2018.09.15
団塊の世代とフレイル

 「団塊の世代」の約700万人が75歳以上の後期高齢者となる2025年。
医療や介護にかかる社会保険費が急増し、 国の財政が一層逼迫(ひっぱく)する恐れがあることから、「2025年問題」と呼ばれています。
こうした経済的な問題だけではなく、高齢者を支える側の負担も深刻な問題で、
50年前には多くの現代世代で1人の高齢者を支えた「胴上げ型」社会であったものが、 今や3人で1人を支える「騎馬戦型」に・・・、そしていずれ近い将来、 1人で1人の高齢者を支えなくてはならない「肩車型」社会がやってくると考えられます。
すでに超高齢者社会を迎え、高齢者特有の健康に関するさまざまな問題が出てきている中で、 健康寿命を延ばし高齢者が充実した毎日を送れるようにすること、
また健康な高齢者を増やすことによって支える側の負担を減らすこと、これらは今後ますます重要な課題になってくるものと思います。
そこで、2014年5月に日本老年医学会が提唱し、昨今話題になっている「フレイル」を取り上げます。

 

★ フレイルとは ★



加齢とともに、体内のさまざまな臓器の機能が衰え、臓器の予備能力も低下してくると、 恒常性(生物の生理状態などが一定するように調節される性質)を保つことが難しくなり、 外的なストレス(軽度の感染や事故、手術など)に対して脆弱性(ぜいじゃくせい:もろくて弱い性質)が増すようになります。 このように加齢に伴って身体がストレスに弱くなっている状態を「フレイル」と呼びます。 フレイルは、「健康状態と要介護状態の中間」に位置する状態と定義されており、介護が必要な状態になる前に、 早い段階で介入・支援し、身体の状態を回復させることが、フレイルの概念の重要な目的となっています。

フレイルを診断する基準には、さまざまなものがありますが、最も広く用いられているのは、米国のFriedが提唱したもので、 次の5項目のうち、3項目以上に該当した場合にフレイル、1または2項目に該当する場合には、プレフレイルと判定されます。
①体重減少(1年間に4,5kg以上の減少)
②疲れやすい
③歩行速度の低下
④握力の低下
⑤身体活動量の低下



 

★ フレイルを起こす要因 ★

 高齢者は加齢によって身体機能が低下することから、活動量が減り、消費エネルギーや基礎代謝量が少なくなって食欲が落ち、 食事の摂取量が減少するため、低栄養や体重減少を引き起こします。すると、 「サルコペニア(加齢に伴う筋力の減少、または廊下に伴う筋肉量の減少を指す)」の状態を招き、 筋力が低下することによってスムーズな歩行が困難となり、ますます活動量が減って、さらに低栄養や体重減少を起こすといった悪循環に陥ります。 この状況を中心に起きた悪循環は「フレイルサイクル」と言われています。 また、フレイルは、このような身体的な要因だけでなく、認知機能の問題や抑うつといった精神・心理的な要因、一人暮らしや引きこもり、 貧困などの社会的な要因も関わって起こるとされており、フレイルの進行を防ぐためには、さまざまな側面から総合的に働きかけることが必要になると考えられています。



★ フレイル対策 ★

 フレイルの主な原因として「サルコペニア」と「低栄養」が挙げられ、食事からの栄養素の摂取と運動療法が対策の基本とされています。

1 フレイル対策に不可欠な栄養素

◎タンパク質
日本人の高齢女性約2000人を対象に行われた、食事摂取とフレイルを検討した調査において、タンパク質の摂取量が増えるに従って、 フレイルと診断される対象者が減少したとの結果が報告されています。
タンパク質は骨格筋の形成・維持に不可欠な栄養素ですので、十分に摂取することが必要です。
肉や魚、卵、豆腐(大豆製品)には、筋肉量を維持するために必要なタンパク質が多くふくまれていることから、こうした食材をしっかり摂ることが重要となります。
特に、一人暮らしの高齢者の割合は年々増加傾向にあり、食事も一人で摂る「孤食」になりがちです。
そうした環境では、献立の品数が少なくなり、栄養が偏ってタンパク質が不足する傾向にありますので、 意識してタンパク質を摂るように心がけて頂きたいです。

◎アミノ酸(特にロイシン)
筋肉を合成する作用は、アミノ酸すべてにあるわけではなく、体内で作ることの出来ない必須アミノ酸にあり、 中でも特に「ロイシン」に強い作用があることが注目されています。
ロイシンを補給することの有用性を示した試験結果はいくつも報告されており、 「ロイシンの補給は高齢者の筋肉の萎縮を改善する」 「高齢者へのロイシンの補充が食後の筋肉タンパクの合成割合を増加させる」といった効果が認められています。
ただし、高齢者の場合、ロイシンをはじめとする必須アミノ酸の濃度閾値(いきち:感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な、最小の強度や刺激などの(物理)量)が成人よりも高いことが想定されており、 成人の1,5倍くらいの必須アミノ酸を摂取しないことには、筋肉でタンパク合成が進まないと考えられていますので、十分な摂取が必要です。
また、筋肉の他にも、運動機能を保つためには骨の維持も大切になるため、「カルシウム」やカルシウムの吸収を促す「ビタミンD」も、 フレイルの時に、積極的に摂ったほうが良い栄養素です。

2 運動療法

運動の方法としては、「レジスタンス運動」と呼ばれる、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返す運動が効果的とされています。
例えば、次のような運動が効果的とされており、レジスタンス運動として推奨されています。

●スクワット
両足を肩幅に開いて立ち、椅子の背や机などを持って、背中をまっすぐ伸ばしたまま、お尻を下にまっすぐ落とす。
太ももの前に力が入っていることを意識しながら、ゆっくり10回繰り返す。

●上体起こし
両膝を立てて仰向けに横になり、両手を頭の後ろで組んでヘソを覗き込むように頭を持ち上げる。
お腹に力が入っていることを意識しながらゆっくり10回繰り返す。

●ランジ
立った状態で片足を前に出し、膝を曲げながら腰を落として体重をかけていく。
その後ゆっくり元に戻し、足を入れ替えて、同じ動作を交互に10回行う。

ただし、このレジスタンス運動は、アミノ酸が体内に十分にない状態(空腹時など)に行うと、逆に筋肉におけるタンパク分解が進んでしまいますので、 運動とアミノ酸の摂取を同時期(運動後1時間程度後)に行うことが有効とされています。



★ ホノミ漢方でのフレイル対策 ★

 オススメは、パナパールです。
パナパールは低下した胃腸機能を活発にし、衰えた体力を回復させることができますので、 フレイルサイクルを断ち切り、フレイルの進行を防ぐためにお役立ていただけます。
またパナパールには、特に反鼻が豊富に配合されており、必須アミノ酸もバランスよく含まれています。
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くすりのポニー 薬剤師 根本一郎
昭和41年生まれ。有限会社多賀城ファーマシー代表取締役兼薬剤師(薬剤師歴30年)。
東北薬科大を卒業後、先代から52年続く薬局『くすりのポニー』多賀城市本店、仙台市内の陸上自衛隊店、楽天市場店などのネットショップを展開。
医薬品を販売するだけではなく、お客様の健康に繋がる解決方法のアドバイスを心がけている。
「くすりのポニー」は古代の史跡が数多くある歴史ある街、宮城県多賀城市にある漢方薬を多く扱う薬局です。
東北地方太平洋沖地震の被害を受けましたが、たくさんのお客様・ボランティアの方々・当店を支えてくださった
皆様のおかげで2014年には《楽天SHOP OG THE AREA》を受賞することが出来ました。
これからも一層お客様に愛されるショップを目指して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします!
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