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TAKAのボルドー便り


■TAKAのボルドー便り■

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51.クスダ・ピノに出逢う
6月中旬にニュージーランドへ行ってきました。
オークランド大学、ワインサイエンス部門が展開するニュージーランドのソーヴィニヨンブランのアロマに関する研究で、ボルドー大学醸造学部に共同研究の申し入れがあったからです。この共同プロジェクトを軌道に乗せるべく、講演と打ち合わせの為の訪問でした。

ニュージーランドはフランスからはとても遠い国です。足掛け2日間、かかります。しかも今回、行きは香港経由でそこで13時間ものトランジットがありました。

しかし楽しみは香港料理。といっても空港近辺ですから限りがあるのでしょうけれども、初めて現地で食べる料理の味に大満足しました。アジア系のお酒についてなにも知らない私は、定番だけれど紹興酒を注文しました。やはり、いつものように酸化臭が付いていますが、アフターに強いパン・デェピスがはっきりと感じ取れたことに感激しました。

パン・デェピスというのはアルザス地方のお菓子の一つです。銘柄によってはシナモンが強くでますがそこから感じ取れる個々の香りを話題にするのではなく、全体を捉えた香りとしてこの用語を使います。例えばゲヴェルツトラミネールのようなスパイシーなワインの一つに使う表現です。


オークランドの街は東京のそれとかわらない印象です。ただ海がありそれと近代的な建物とが美しい調和を見せています。
季節的には冬なのですが到着した日は日ざしの強さに驚きました。
 


写真はオークランド大学の醸造センターです。
学生の実習でここを使うそうです。
ボルドー大学のそれとあまりかわりません。

 

いままでに、クラウディー・ベイ等の特別に知られた銘柄以外、他の醸造元のワインには殆ど出逢った事がありません。過去にこのページではクロ・ド・ラ・マルゲリットをご紹介したことがありました。何種類かのワインをオークランド大学の人達と試飲してみましたが、やはりアロマ構成はボルドーのそれとはまったく趣を異にします。それがどこから来るのか、それを見つけだせればこのプロジェクトは成功なのですが。

4日間、毎日大学とホテルとの往復で、街を訪問する時間がまるでありませんでした。勿論レストランにもいかないし。本当は名物のシー・フードをソーヴィニヨン・ブランかシャルドネーで楽しみたかったのですが次回に期待したいところです。

しかしもう一つの大きな楽しみが実現しました。それはクスダ・ピノで有名な楠田浩之さんに逢いに行くことでした。オークランドからウェリントンまで飛び、出迎えに出てくれた彼はいつもの元気そうな顔をみせてくれました。
彼の家に到着したのは夜9時半をまわっていました。少々疲れていたものの、奥様が用意してくれたカンパチの刺身を頂き元気百倍。
さっそくクスダ・ピノ2002年を御馳走になりました。

翌日は“少しはワインのことを忘れて、大自然に触れましょう”という楠田さんの言葉にしたがってなんと野生アザラシの群落を見にパリサー岬というところ迄車を走らせました。途中でマーティンボローの畑を訪問しながら・・・、
羊達が戯れる広大な大地を過ぎてそこへ到着します。

こんなに接近してみたのは初めてです。かわいいけれど、あまり近寄ると吠えられます。ご用心あれ。
 
アザラシの浜で集めた不思議な模様の石。
大きな石もありましたが、持ち帰るにはちょっと・・・。それはまるでインディージョーンズの世界にでてくる魔法の石のようでした。こうして家に持ち帰るとニュージーランドの空気を思い出します。

帰りにはクスダ・ワインの貯蔵庫で2003年のカベルネソーヴィニオン、ピノ・ノアール等のバレルテーステイングをさせて頂きました。

どれも明瞭な果実味をたたえながら良好なテクスチャーは見事で、熟成後が楽しみです。

さて、この日の夜はクスダ・ワインの2002年の全アイテムをテースティングできるという貴重な体験をさせて頂きました。

彼は体が自然に受け入れるワインを造りたいと言う。表面的なだけの凄いワイン、というひけらかしではなく、体が求めている時に補え(力かもしれない)になれる一杯。このコンセプトがそのまま彼のワインの味です。
Taka便り第50章の、飲んだ後に良かったと感じるワイン、という響きが欲しいということと、どこかで一致しているように思えました。
 

彼のピノ・ノアールはあまりに有名なので、これだけ少し私の感想を述べさせていただきましょう。じつはこのピノ・ノアール、ニュージーランドでトップといわれるもう一つのピノ・ノアールと比較試飲したのです。

第一印象では掛け値なしで、そのトップさんが優勢です。香りが明瞭で力があり、よく目が詰まっています。それと比較するとクスダ・ピノはやや輪郭が甘く、香りがややジャムの感じが強すぎる印象を持ちました。しかし飲み進むにしたがって、美味しくなるのはクスダ・ピノでした。そのトップといわれるピノは非常に優等生的で、澄まし顔で冷たいのに反して、クスダ・ピノは、彼のコンセプトにしたがった優しい味わいを発揮しています。

翌朝、グラスに残った両者の香りの比較では、印象がまったく逆になっていました。クスダ・ピノがややシャープな繊細な香りを放っているのに対して、もう一方は、香りの輪郭がボケていました。もしかしたらクスダ・ピノは本人にもはかり知れないような変身を遂げるかもしれません。

ニュージーランドの大地に根づく、彼のご健闘をお祈りします。


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