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TAKAのボルドー便り


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44.イケムの苦労がわかる!

ソーテルヌは大変魅惑的な香りを放ちます。
しかしその香りの正体はまだ神秘のベールに包まれたままです。
ソーテルヌの特殊性というのはご存知、貴腐菌が付いたブドウから得られるワインということなのですが、今、ある一つのことを証明したいのです。それが単に貴腐菌の作用云々によるのであれば、辛口と甘口ワインの比較で事足ります。困ったのは、それが貴腐菌の作用に依るもの、それとも過熟の為、つまりブドウのライフサイクルとしての老齢期における現象、との区別が難しいと考えていました。しかし一つの解決策を見つけたのです。いわれてみればとっても簡単。しかしやはり考えました。

ところで、困ったことがあると私は研究室を飛び出してブドウ畑や醸造現場に出向きます。そう、なんらかのインスピレーションを得る為にです。そして必要なサンプリングも必ず自分で行います。勿論、学生やアシスタントにそれを頼めるのですが、時間の無駄と知っても自分が使用するサンプルはやはり自分で取りに出かけるというのが信条です。

シェフさんが旬の材料を自ら選びに市場に行くことにも似ていると私は考えています。その時、魚や野菜達の顔をみながらどんな風に料理してみようかということが素材との対話で生まれていることでしょう。

私もそんな会話をしてみたい。そう願ってブドウ畑にでかけます。”ブドウさん、ブドウさん、今、困っているんだ、助けておくれ”、というようなメルヘンチックなことは言わないまでも(いや、無意識に言っているかも?)、しゃがみ込んでブドウを見つめてしばし空白の時間を過ごすということをよくやります。
私にとってはこれは時間の無駄ではないのです。

さて、その解決策とは・・・。
ブドウの房をみれば自ずと答えが!
よほど恵まれた年以外、貴腐菌の繁殖はブドウの房上でかなりまちまちです。上半分、横半分とかが貴腐菌が繁殖しているというのがふつうです。だからこそ”イケムは粒より”という話があるわけです。

お答えは、貴腐菌がまったく繁殖していないブドウ果粒と貴腐菌の発達に応じたブドウ果粒のそれぞれを同じ房から採取するということでした。これなら、同じ房上のブドウですから同じ熟度(糖ではなく生物学的な)であると考えます。もっともブドウの裏、表で微妙に熟度は違うのですが、今の目的にはこれは無視できます。

さて、そんなわけで私もイケムの真似をして、粒より収穫をやってみました。
 
左はまったく貴腐菌がついていないブドウ果粒です。右は俗にチョコレート状態といわれている段階に貴腐菌が発達したものです。

これらを圧搾して果汁を得ます。右が貴腐ブドウから得られた果汁です。

翌週、同様にサンプリングをします。この間、天候にも恵まれチョコレート状態だったブドウ果粒は”コンフィ(砂糖漬けの意)”にまで発達しました。畑で100粒数えたものです。けれども探せば同じ房に貴腐菌がついていないブドウもまだあります。
このグレンセレクション、100粒ずつ4回行います。しかしたった400粒の収穫でもう腰が痛くなってダウンです。粒より収穫している人の苦労がわかります。

この日ちょうどドワジデーヌでは私がいつもサンプリングしている区画で何回目かの”コンフィ”状態のブドウの収穫をしていました。このシャトーでは粒より宣言はしていないものの、”コンフィ”状態のブドウが比較的均一に房上に展開されているので、収穫籠の中身は”粒より”に勝るとも劣らないクオリティーです。

ここで貴腐菌のついたブドウ粒と酢酸菌が蔓延してしまったブドウ粒の比較です。
ブドウの房の先端、4つあるややマロンがかったブドウ粒は貴腐ブドウではありません。
これらは慣れないと特にチョコレート状態のブドウとの区別が困難です。”コンフィ”状態では菌糸がブドウの表面に出て、そこで胞子を形成する為、ブドウ表面が粉が拭いたように見えるので区別は容易です。

 
もっと近くで見るとこんな感じです。
さて、その果汁は。
さすがに貴腐ブドウからは果汁の収量が減ってしまう事がわかります。色が黒いのは果皮の細かい断片が懸濁状態になっているからです。黄金色の液体がこの裏に隠れています。
貴腐ブドウの搾りかすです。
どっか錦松梅に似ていませんか?
フリカケに出来る?
 

 

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