クリスマスも近いことですし、今日はシャンパンの話題をお届けしましょう。
良い状態で熟成したシャンパンはコーヒーの香がするのを御存知ですか。
それだけではなく、フュメと呼んでいる、薫製のような香も認められます。この特徴的なシャンパンのブケを説明できる、面白い事実をボルドーにいながらにして極最近つきとめたのです。
ヒントは田崎さんとデュブルデユー教授の言葉でした。田崎さんが書かれたある本の中で、古いミュルソーのヴァーテイカルの試飲で「モカの香」を探せ!というタイトルがありました。デュブルデユー教授に「白ワインでコーヒーの香がするものか?」という質問をしたところ、「ミュルソーとシャンパンだ」という答えが返ってきました。すでに、赤ワイン中のコーヒーの香のする物質をみつけていたので、きっとこれが古いシャルドネーにも関与しているかもしれないと考えました。
この実験の為にシャンパン・メーカーのローラン・ペリエとルイ・ロドレールが快くサンプルの提供に応じてくれました。グラン・シエクルとクリスタルですからこちらも否応無しに緊張が高まります。両メーカーとも90、80、70年代を用意してくれました。そのうえ、デゴルジュマンに関する詳細なインフォメーション付きです。特にローラン・ペリエはすべて2000年にデゴルジュマンされたサンプルを用意してくれました。
|
|
今迄の情報からではシャンパンはデゴルジュマン直後が一番美味しいと言われていました。しかしこの点に関しては、ソムリエ諸氏間でも、またシャンパン・メーカーでも意見が別れます。
ルイ・ロドレール社では、デゴルジュマン後、シャンパンは第二の人生を歩むというふうに考えているようです。デゴルジュマンしたらば早く飲まなければいけないということではないらしいのです。
そこでこの際、香の立場からデゴルジュマンの影響をしらべて欲しいということで4つの異なるヴィンテージで半年から4年前にデゴルジュマンしたサンプルとそれに対応するデゴルジュマンしていないサンプルの比較も行いました。
|
初めて手にするデゴルジュマンしていないシャンパーニュ。 |
|
これは96年と99年のクリスタルです。中の澱の量は意外にも少ない?かな。横に寝かせていた為、澱が縦一直線に沈んでいます。
|
|
瓶を振って均一にすると、やはり結構にごります。 |
この澱を瓶底、または瓶口に集めてみました。意外にも沈むのが早いです。 |
|
ところでデゴルジュマン前のシャンパーニュは御覧のように王冠が被せられています。見えにくいですが中にはプラスチックの中蓋があります。
一見、早く沈むのでルミアージュという作業はいらないのではとも思ってしまいますが、多分答えは次の写真です。
|
|
この澱は重いくせに?やはり軽くもあるらしく、瓶の内壁に堆積して瓶口まで降りてきません。瓶を左右に極軽く振ってやるとスルスルと言う感じで落ちてきます。
またこれは私個人の推測ですが、ルミアージュはバトナージュと同じ原理をかねているのかもしれません。かたや澱を瓶口に集める作業と、撹拌する作業は矛盾しているように思われますが、ルミアージュの場合、早く澱を沈めさせないでワインとの接触を高めているような気がするのですが・・・。もし御存知の方がいらっしゃいましたら、お教え下さい。
研究室でのデゴルジュマンはとてもプロのそれのようにはいきません。瓶底に澱を集めておいて抜栓して、澱をピペットで吸い取るだけです。しかし内圧がかなり大きいので、抜栓は慎重にやらないと中蓋が飛んでいってしまいます。
さて、デゴルジュマンを自分でしたシャンパンの味は如何に?同ヴィンテージで数年前にデゴルジュマンしたサンプルと比較すると、確かに若い、成長が止まったままというより子供のままという印象です。
|