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コラム
TAKAのボルドー便り


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7.貴腐ブドウ

ドワジ・デーヌで今年もやっと貴腐がつきだしました。
今回は貴腐ブドウについてお話ししましょう。
ソーテルヌ、バルザックはご存じのように大変強い良い香を持っています。勿論この香が研究者の興味を引かないわけはなく、いままでに多くの人達がこのワインの香りを探索し、新しい化合物をみつけては論文が提出されています。しかしなかなか決定打となるような魅惑的な香りの物質の報告はまだありません。

よってこの題材をTAKA流に取り上げてみようと思ったのです。しかしまったくの手探り状態ではありません。既にソーヴィニオン・ブランで紹介したチオール化合物達が深い関与を示している論文を発表しています。今年はこの仕事をさらに煮詰めてみたいと思ったのです。

そんなわけで定期的に貴腐ブドウを採集する必要があるわけです。貴腐菌がブドウの表面に現れてくる過程をごらんください。「貴く腐る」とは、本当に良く言ったものです。


はじめは,まだ貴腐がブドウ表面に現れていない状態です。9月頃に較べてブドウの果皮は透き通り、黄色くなっていきます。
そしてつぎに茶色のシミが表面にあらわれてきます。これはすぐ全体を覆うようになります。この状態をチョコレートと呼んでいるのが面白いです。
そして表面に菌糸が現れてきます。最後は水分が飛んで、ミイラ化した状態です。これをコンフィチュールと呼んでいますが、これはジャムの意味です。

この干しブドウ状態になったものを恐る恐る口に運んでみます。ブドウ粒をむしると胞子がまるで埃のように飛び散ります。普通はこんなカビの生えた状態の食品は絶対に口にしないでしょう。
しかし兎に角、試食?してみます。するとどうでしょう!その甘さといったらまるで陶酔の世界です。
そしてただ甘いだけではありません。確かに味があります。これが貴腐からくる味わいなのでしょうか・・・。

貴腐がつきだしたブドウを、例によって100粒ずつ数えてみます。すこしずつ貴腐ブドウがより多く数え上げられていく様子がわかります。
しかし実際には私情をいっさいはさまずに均一にとる、ということはこうなると難しいです。ついつい、貴腐のブドウ粒がかわいい為か、これを選択的に選んで数えてしまいます。
まだまだ修行がたりません。


さて、ここからは貴腐ブドウの圧搾についてお話ししましょう。
貴腐ブドウは殆どの場合、クリオ・エキストラクションされます。クリオは低温の意味で、エキストラクションは抽出のことです。いわゆる、冷凍濃縮のことですが、ひと昔前には「冷凍濃縮器」がソーテルヌのいくつかのシャトーに存在するらしい、という噂が飛び交ったものです。

しかし私が知っている範囲のそれは、収穫したブドウを冷凍庫中で保存して、凍結させてから圧搾するものです。ですから「冷凍濃縮器」は存在しませんが、それにかわる冷凍庫は設置されています。収穫された貴腐ブドウはカジェットと呼ばれる箱にいれられ、凍結されます。

冷凍庫から搬出された貴腐ブドウです。写真ではわかりにくいのですが勿論カチカチに凍っています。


これを圧搾器の中に放り込みます。


そして圧搾を開始します。
左手に写っているのがデュブルデュー教授の父でありシャトードワジ・デーヌの所有者である、ピエール・デュブルデュー氏です。


あんなにカチカチのブドウなのに、果汁が絞れるのかと思っていたら結構それが滴り落ちてきます。しかし中に入っている貴腐ブドウの量を考えれば、普通のブドウにくらべて得られる果汁量はやはり大変少ないものです。


この果汁はそのまま地下にあるタンクへ流れて行く寸法になっています。


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