もとは京都から伝わった鹿の子絞りが、有松で独自に進化。綿布を使う有松では水洗いを施すため、絹布の京鹿の子絞りより独特のしぼが残りませんが、その分さらりとした風合いになります。
もっとも代表的な技法である三浦絞りは、1644年頃、豊後の国(現在の大分県)の三浦という人が有松に伝えたとされています。力加減によって粒の形が微妙に変わるのが魅力です。
まず最初に平縫いをした後、引き締め、その後糸で巻き上げる。非常に手間のかかる技術を必要とします。写真の柄の他、花や菱、円など、いろいろな柄を表現することができます。
日本だけでなく、アジア各地にも多く見られる絞り技法です。下絵は描かず、布をたたんだ後、芯に巻きつけながら絞るシンプルな技法が、絞り独特の素朴な味わいを生み出します。
糸で括る際、ビニールを用いて強く防染するため、模様が白くきれいに浮かびあがります(昔は竹の皮を使っていました)。大帽子、小帽子、中帽子などの種類があります。
染め上がった模様が、蜘蛛の巣のように見えるから蜘蛛絞り。有松に古くから伝わる技法で、開祖竹田庄九郎が最初に作った手ぬぐいも、この技法を用いていたと言われています。
人目絞りとも書きます。鹿の子絞りよりも粒が小さいのが特徴で、その為、細かい柄を表現する際によく用いられます。鹿の子絞りと併用し、柄に奥行きを出す場合も多く見受けられます。
縫い絞りの技法のひとつで、数ある絞り技法の中でも、もっとも基礎的なものと言われています。生地を縫って模様を表現するため、針目の揃い具合が命です。
染め上がりの柄が、武士が戦のおりに着用した、大鎧の大袖や草摺りの段模様に似ているため、「鎧段絞り」と呼ばれている「手筋絞り」です。
縫い絞り技法のひとつで、植物をモチーフとし「唐松」と名づけられました。有松絞りの伝統の柄のひとつです。唐松絞りといえば、丸い形がよく見受けられますが、四角や菱形の模様も作ることができます。
丸が並んだように染め上がるこの絞りは、日の出の太陽を思わせるところから、「日の出絞り」と呼ばれています。下絵は半円だけを書きますが、布を二つ折りにして縫いますので、できあがりは円形になります。円形を縫い終わったあと、段と段の間を巻きわらを使って巻く方法と、さらにゴム(自転車のタイヤのチューブ)または、ビニールテープを巻く方法があります。
縫い締めた布を筒状にし、さらに上から下へ糸を螺旋状に巻きつける技法。巻き終わった布の形が「竜」のように見えるところから、こう呼ばれています。布を筒状にするとき、防染のため中に芯を入れることがあります。芯には、以前は縄に和紙を巻きつけて使いましたが、今は縄が手に入りにくいため、荷造り用のビニール紐を使います。
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