ぺんき屋モリエン 塗装Tips

 

【1液型塗料と2液型塗料】




塗料の中には、2つの液を混ぜて使う2液型塗料という種類があります。
1液型塗料と2液型塗料について説明いたします。

簡単に説明すると・・・
1液型塗料は、使いやすい。
2液型塗料は使いにくい。(種類によっては、性能に優れる。)


<使い方>
2液型塗料は、塗料液と硬化剤の2つの液で構成されています。
塗料液と硬化剤には決められた混合比率があり、重量計などで
計測して混合します。

例えば、ファインウレタンU100は、「塗料液:硬化剤=9:1」です。
塗料液 4500g をバケットへうつし、そこに硬化剤 500g を注ぎ
割り箸などでよく混ぜ合わせます。その後、希釈剤である塗料用シンナー
を5%程度まぜて、さらに割り箸などで混合し、塗装作業へ移ります。
(シンナーは2液を混合後に加えます。)

塗料液と硬化剤を混合すると硬化反応が進みます。
混合後に一定時間内に使いきる必要があります。
この時間を可使時間と呼びます。

「可使時間 4時間以内(23度)」と表記されていれば、
塗料液と硬化剤を混合してから、4時間以内に塗装作業を完了して
ください。それ以上時間のたった液は廃棄します。
(可使時間内に塗り終えれる分量だけ混合してくださいね。)

可使時間は、温度が高いと短くなり、温度が低いと長くなります。
例えば、「可使時間 4時間以内(23度)」の場合
 23度 → 4時間以内
 35度 → 2時間以内
 10度 → 8時間以内
このような感じです。

2液型塗料は、定められた割合で混合することが最も重要です。
混合比の誤差が10%以内であれば、ほとんどの性能が正しく発揮されます。
混合比の誤差が5%以内であれば、非常に良い性能が発揮されます。
混合比の誤差が20%以上になると塗膜性能に問題が生じます。
劣化が早かったり、耐久性が悪くなったりします。

防水塗料は、特に混合比率が厳しく、間違った混合をすると
塗料がずっと乾かずにベトベトしたままになります。
「ウレタン防水塗料の塗装方法」を参考にしてください。



<2液型?!>
そもそも2液型塗料など、なぜあるのでしょうか?
塗料は、様々な樹脂を用いて作られます。
フタル酸、メラミン、アクリル、ウレタン、エポキシ、シリコン、フッ素
その中でもウレタン樹脂とエポキシ樹脂は、ベースとなる塗料液に硬化剤を
加えて化学反応で硬化する樹脂なのです。
このウレタン樹脂やエポキシ樹脂などの2液型樹脂を用いて塗料を作ると
2液型塗料となります。


<1液型技術>
ここ十数年の技術により、本来2液型塗料であるウレタン塗料やエポキシ塗料
の1液型タイプが開発されました。
例えば、
・ファインウレタンU100(2液型) → 1液ファインウレタンU100(1液型)
・ハイポン20デクロ(2液型) → 1液ハイポンファインデクロ

これらの商品は、1つの缶の中に塗料液と硬化剤を反応が進まないように
工夫して詰めてあります。
そして塗装後に乾燥が進むにつれて塗料液と硬化剤が反応し、硬化します。
本来2液で使いにくかった商品が1液タイプとなり、簡単に使えるようになりました。



<2液型は使いにくい>
2液型塗料は、どんな風に使いにくいのでしょうか。

・混合作業が手間
・保管しにくい
・硬化不良のリスク
この3点に絞られます。

○混合作業が手間
2液型塗料は、塗装する前に塗料液と硬化剤を一定に割合で混ぜます。
重量計などを使って、重量比で4:1や9:1などの比率で混ぜるのです。
この作業が手間がかかります。

○保管しにくい
塗料液と硬化剤を混合した後は、塗料の硬化反応が進んでいきます。
塗料によってスピードは違いますが、可使時間という設定があり
例えば、「可使時間4時間以内」であれば、塗料液と硬化剤を混合
してから4時間以内に使い切る必要があります。
混合後、時間がたつと容器の中で反応硬化が進み、ゼリー状にかたまり
さらにはカチコチの塊になってしまいます。

使う分量だけ混合し、もし混合後の塗料が余ったら廃棄することになります。

また硬化剤は、大変反応しやすい液体です。
空気中の酸素や水分と反応が進みやすく、フタの締め方がゆるかったり
高温の場所や紫外線のあたる屋外などに放置すると使えなくなります。
保管性が悪いのです。

○硬化不良のリスク
上記の通り、硬化剤はダメになることがあります。
ところが、硬化剤が紫外線や水分などの影響で使えなくなっても
見た目では分からないことが頻繁にあるのです。
このダメになった硬化剤で気付かずに塗料液と混ぜて塗装してしまうと
とりあえず乾燥しますが、実際に塗膜は正しく生成されず、造膜不良の
状態になります。
(「塗装の失敗-造膜不良」を参考にしてください。)
こうなると再塗装など大変大きな問題になります。


<2液型の方が高性能?>
性能に付いて、そもそも1液型のアクリル塗料やEP(水性アクリル塗料)
OP(フタル酸系塗料)は、1液型しかないので性能は比較できません。
ウレタン樹脂塗料やエポキシ樹脂塗料は、本来2液型です。
これらの2液型塗料を、1液型に改良した塗料と比べるとどうでしょうか?
塗料の種類によって違いますが、2液型の方が性能の良い場合が多いです。
特に2液型塗料は、硬化反応が迅速ですので乾燥後初期段階での性能は
2液型塗料の方が優れていることが多いです。

ただし、1液型でも2液型塗料に匹敵する性能を有するものもあります。
特に防水用ウレタン塗料の1液タイプは非常に性能が高く、2液型と
同じような性能を発揮していると当店では実感しております。
(当店の屋上を2液型ウレタンと1液型ウレタンで塗り比べています。)

2液型塗料を1液化する場合にどうしても性能が低下してしまっている塗料
もありますので個別に当店までご確認ください。
外壁用の1液型ウレタン塗料で2液型との性能差があることが多いようです。

一つだけ確実なことは、保管性は2液型塗料の方が1液型塗料より優れています。
これは、先に記述した2液型の「保管しにくい」という事と矛盾しますね。
2液型塗料は、硬化剤の保管性が悪く、また混合の保管は不可能です。
一方で1液型化した塗料は、塗料液と硬化剤が一緒に1つの缶に入っています。
そのため硬化剤を単体で保管する場合以上に保管性が悪くなっています。
温度の高い場所や紫外線のあたる場所では短期間で使えなくなります。
また一定以上の期間、保管すると缶の中で塗料液と硬化剤の反応が進んで
しまい、中でゼリー状に固まってしまいます。

日陰で暑すぎない箇所に保管しておけば、2液型塗料は長く保管できますが
1液型塗料は、一定期間を保管すると使えなくなってしまうのです。
塗料によって様々で保管方法にもよりますが、半年〜1年くらいで使えなく
なる1液型塗料が多いようです。



<湿気硬化型ウレタン>
上記のような塗料液と硬化剤を1つの缶に詰める1液型技術が多いのですが
他にもう一つ湿気硬化型ウレタン樹脂塗料という1液型技術があります。
こちらは、硬化剤の替わりに空気中の湿気で反応して硬化するように開発された
ウレタン樹脂です。

このページで今まで記述してきた1液型塗料は、塗料と硬化剤を1つの缶に詰めた
タイプの塗料の話でした。
この湿気硬化型ウレタンは、同じように1液型ですが、性能面が全く違います。

空気中の湿気を硬化剤として使うため、塗膜性能は2液型ウレタンとほぼ同じです。
もちろん乾燥後の初期性能にも優れ、硬化時間も早い商品が多いです。
一方で空気中の湿気と反応するため、1度開封すると缶の中でも硬化反応が進み
やすく、開封後は保管性が急速に悪化するのが欠点です。


2液型塗料をお買い上げのお客様には、当店オリジナル取り扱い説明書をお送り しています。

2液型塗料は、主剤(塗料液)と硬化剤のセット商品です。

取り扱いの際の注意事項が何点かございますので、
ご使用前には、ご送付いたします注意事項の 用紙を必ずご一読下さいますようお願いいたします。


仕様書やカタログの注意事項はすみずみまでよく読んでからペイントして下さい。

「塗装仕様」部分だけではなく、カタログ最後の方に記載されている「塗装についての注意事項」欄にも必ず目を通してからペイントするようにして下さい。先に読んでおくことで、作業性アップや安全性の確保につながります。

上記ご説明の中でわかりにくい点、またご不明な点がございましたら お気軽にご相談下さい。

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1液型塗料と2液型塗料

塗料と塗装のトラブルについて

塗料の基本的な使い方

新設コンクリートへの塗装

石膏ボードの下地処理について

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塗料による自然発火について

可塑剤移行について


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