ポルトガル料理に欠かせない食材、ジャガイモ

これまでにコラムでは、ポルトガル料理の主食として「米」「パン」を紹介しました。
どちらもポルトガルの食卓には欠かせない食材ですが、今回はもう一つ、ポルトガルの主食と言える食べ物をご紹介します。

それが、こちら「ジャガイモ(Batata)」です。

ジャガイモの皮をむき切る作業は、量が多いと大変です。写真は5人家族分です。

ポルトガルの友人宅にお邪魔する時、私の担当は野菜の準備。
ポルトガル料理ではこのようにたくさんのジャガイモを使います。

レストランで食事をするときも、ほとんどの場合付け合わせにジャガイモかお米が運ばれてきます。それほどポルトガル人にはなじみ深い食材なのです。

元々、ジャガイモは紀元前からペルーなどの南米で栽培されていましたが、16世紀に入りスペインをはじめヨーロッパに持ち込まれました。ただ、当時は一般家庭の料理には普及されず実際広まったのはそれからしばらく後のことでした。戦争により食糧危機に陥ったフランスでルイ16世の命によりジャガイモの栽培が推進され、徐々に広まり一般市民の重要な食料源になったようです。
ポルトガルでもその流れを受けましたが、少しずつジャガイモを使ったレシピが出てきたのは19世紀になった頃でした。現在のように様々な調理法が浸透したのは20世紀に入ってからとのことです。

さて、ポルトガルでお馴染の色々な調理方法をご紹介したいと思います。

まずは根強い人気を誇る「揚げ」
英語で言うところのフライドポテトですが、多くの家庭やレストランではジャガイモをカットし素揚げしています。冷凍のフライドポテトよりも、1つずつ切った方が形もまばらですが、それが家庭的で良いそうです。

家庭でもこの通り、油用の鍋で一度に揚げます。

メイン(この場合は干だら)が見えなくなるぐらいのポテトの量

もはや付け合わせという量ではありませんが、これがポルトガルっぽいのです。

こちらは家庭料理の人気店。ボリューム満点の一皿。

いかにもお母さんが調理しました!という感じのポテトの切り方。なんだか愛情までもらえる気がします。

B級グルメの定番、フランセジーニャにもフライドポテトはお約束です

フランセジーニャの付け合わせは、日本でも一般的な細いタイプのポテトが多いです。

そして、「揚げ」の次に人気なのは「焼き」ではないでしょうか。
オーブンで焼く料理が多いポルトガルですが、ジャガイモもオリーブオイルと一緒にじっくり時間をかけて焼き上げます。
これが本当に美味しいのです!私もとても好きです。

干しダラや野菜と一緒に焼き上げたバカリャウ・コン・ブロア(Bacalhau com Broa)

オーブンでじっくり焼くと、外はカリッと中はほっくりとなります。絶品です!
このようなオーブン焼きのジャガイモは、バタータス・ア・ムーロ(Batatas a Murro)と呼ばれています。切り込みを入れて、わざとつぶれたような形になっているのです。

付け合わせとして作りやすいのは、「茹で」ですが、ポルトガルでもよく出されます。ニンジンやインゲンなどと一緒に茹でて、塩やオリーブオイルをかけて食べることが一般的です。

クリスマスディナーの様子。クリスマスには茹でたジャガイモが干しダラのお供です。

「茹で」の次は、「煮込み」。
お肉の煮込み料理などでは一緒に煮込むこともあり、日本で言う肉じゃがの様な感じでしょうか。味がしっかりしみ込んでいて美味しいので、ぱくぱくと食べてしまいます。

こちらはウサギ肉の煮込みに合わせて。

チキンの旨味がじっくりしみ込んだ煮込みも。

その他にも、マッシュポテトにしたり他の食材とよく混ぜて使ったり、とにかく多種多様なジャガイモの調理法があります。

マッシュポテト

みんな大好き干しダラの卵とじ(バカリャウ・ア・ブラシュBacalhau à Brás)

こちらもみんな大好き干しダラコロッケ(パステル・デ・バカリャウPastel de Bacalhau)

最後にご紹介したいのが「スープ(ソパSopa)」
ポルトガルでは毎日食べる人もいるほど浸透しているスープ。
具がゴロゴロしているスープはほとんどなく、すべての具がピューレ状になっています。そのベースに入っているのがジャガイモです。ジャガイモ・ニンジン・タマネギ・ニンニク・オリーブオイルの配合を少しずつ替え、スープのメインとなる食材を加えて作っているスープが多いのです。

このようなピューレ状のスープが一般的。

忙しいお母さんの味方、スープが簡単にできるマシーンも人気です。

ポルトガル料理の主食「ジャガイモ」、いかがでしたか。
写真を見ているだけでもボリューム満点でお腹いっぱいになってしまいますね。

食べたらお腹が苦しくなるのはわかっているけど、ついつい食べてしまうジャガイモ。ポルトガル料理の魅力の1つと言っても過言ではありません。

それではまた次回!