柳宗理の鉄鍋で、おでん

著者

2017.02.02

大場 里江

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柳宗理の鉄鍋で、和のおでん


まだまだ冷たい風に体が冷えて、何だか体がカチコチになってしまうこの季節。
芯から温かくなって、ほっと落ち着くおでんは大活躍です。
おでんを食べると、自然と体がゆるむような、まぁるい気持ちになるから不思議。

さて、おでん二回目の今回は、ほっとなごむ「和」のおでんです。
前回のカジュアルな「ル・クルーゼ」から変わり、「柳宗理の鉄鍋」を使用します。

格好の良い、こちらのお鍋。
・・・私もひそかに欲しいと思っていました。
実際に使えてうれしいな。



マットな黒がたまらない『柳宗理の鉄鍋』

柳宗理さんといえば、20世紀を代表する工業製品のデザイナー。
戦後日本の工業デザインの確立と発展に貢献した、最大の功労者と言われます。
そんな柳宗理さんの有名な代表作と言えば、「バタフライ・スツール」。
見た目のユニークさ実用性を兼ね備えたデザインが人気です。
そして、キッチンツールにも定評があり、カトラリーや鍋等、多くの方に愛されています。

そして、今回使用する鉄鍋は、その柳宗理の浅型の鉄鍋です。
南部鉄器でできており、厚みがあり、重すぎず安定感があります。
鋳鉄調理器具の良さは、冷めにくく、熱を逃がさず温度にムラが出にくいなどなど。
調理の際に少しずつ溶けだした鉄分で、女性には嬉しい貧血予防効果も。
長く使えるお鍋です。

実物はこんな感じ。
柳宗理の鉄鍋で、和のおでん
マットな黒が素敵・・・。
鉄ですから重さがありますが、持ち手が大きいので安心感があります。

鉄製ですから、使う前にはひと手間を。
本体をお湯ですすいだ後、空焚きをして水分を蒸発させます。
その後、油を塗って2〜3分加熱、油がなじんだものを使用します。
鉄鍋は、最初の手間が掛かりますが、そんなに難しくはないですよ。

さて、下準備も施したし、いよいよおでんを煮ましょう。
しっかりと下処理をした具材たちを、いざ投入。
ほわほわ上がる蒸気で窓ガラスが曇り、一気に真冬らしい空気に。
コトコトくつくつと、お出汁の湧き上がる音がなんとも優しい。
美味しそうな蒸気を胸いっぱい吸い込んで、ゆっくりと煮あがるのを待ちます。
蛸がきれいに色づきました。さぁ、みんな出来たよ〜。

鉄鍋おでんを、和で囲む

柳宗理の鉄鍋で、和のおでん

鍋の色が黒なので、すべての具材が鮮やかに映えます。
トマトの赤やはんぺんの白も、ぐっと引き立つ気がします。
鉄鍋なので、火からおろしても温かいのが嬉しいですね。

そして、今回の器はKINTOとマイスターハンド。
柳宗理の鉄鍋で、和のおでん

和の雰囲気ながらも、現代の食卓に合わせやすく、和食以外にも使えるデザインなのが魅力的です。
白と黒がKINTO、滑らかな質感で、厚みがあり使いやすい。
縁がベージュで、透き通る藍色のお皿がマイスターハンド。
縁のざらっとした質感が温かみを感じます。
料理が引き締まり、ぐっと品格が出ます。
どちらも、武骨なデザインのようでいて、でも手に取るとしっくりくる。
こういう器は大好きです。

今回は南天を添えて。
柳宗理の鉄鍋で、和のおでん

鉄鍋おでんを、和で囲む

では、いただきましょう。
熱いうちに、さぁどうぞ。
やけどしないよう、気をつけてね。
柳宗理の鉄鍋で、和のおでん


浅型のお鍋は、卓上でも箸でつつきやすいのが魅力です。 柳宗理の鉄鍋で、和のおでん
カジュアルで可愛らしいしつらえも好きですが、やっぱりしっくりくる「和」のおでん。
大人渋い雰囲気が様になります。

忙しい毎日の中で、休日の夕食にこんなしつらえの「和」おでんはいかかですか。
ゆっくり一つ一つの食材をいただいて、熱燗をひとくち。
思わず顔がほころび、時間をかけて、のんびりいただく。
心がほどけて「今日はこんなことがあったよ」なんて、会話をしながら。
ほっと和む和のおでんを食べて、さぁ明日からまた頑張ろう。
そんな気持ちにさせてくれる気がします。


次回は、食器の王道「ロールストランド」でしつらえます。
雰囲気ががらりと変わり、トマトスープで作る洋風おでん。
お鍋は、ダンスクのコベンスタイルを使用します。
お楽しみに。

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プロフィール

PROFILE

大場里江(料理教室saji 主宰)

調理師学校卒業後、大手企業の料理教室にて料理講師として勤務し、2015年8月「saji」の名で独立。料理教室、フードコーディネート、ケータリングを主に活動しています。『食べる・つながる』をモットーに、身近な方に喜んでいただく、日常で食べたいごはんやおやつを提案しています。

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