豊富なキャラクターが魅力のムーミンの物語。主要な登場キャラクターから、ほんの一言だけしか発することのないようなマニアックなキャラクターまで、多くの個性的なキャラクターが存在します。
身近な人によく似た性格をしていたり、自分の内面を映し出したような言動にドキッとすることもしばしば……。ポップでかわいらしいだけではない、誰しも心当たりがある二面性を持ち合わせたキャラクターは、憎らしくもあり、どこか親近感が湧いてきます。あなたのお気に入りを探してみましょう。

主要キャラクター21選

ムーミン(ムーミントロール)

好奇心旺盛で優しく素直なムーミン族の男の子。白くて丸みのある身体とふさふさのしっぽが特徴です。
友人たちをワニから救ったり、毒のある動く植物に襲われていたスノークのおじょうさんを助けたりと、いざというときに頼りになる、勇敢な性格です。しかし、たまに物事を考えすぎて深みにハマってしまったり、極度に心配してしまったりと、さみしがり屋で若干ナイーブなところも。
初期の作品では何かとママに頼りっ切りの甘えん坊なところが垣間見えますが、シリーズを通して成長していく姿が見られます。
日本では「ムーミン」と呼ばれることが多いですが、正式には「ムーミントロール」。トロールとは北欧の伝説に現れる妖精のことです。

ムーミンパパ

ムーミン一家の大黒柱で、家族を愛し、みんなが安心して暮らせるように気を配るお父さん。黒いシルクハットとステッキがトレードマークです。
頼りにされる反面、ちょっと世話の焼けるところも……。背伸びをして頼まれごとを引き受けたがりますが、すぐに挫折してむくれたり、ふいっと家を出てしまう放浪癖があったり、考え事に夢中になってしまう夢想家な一面があります。
ムーミンパパは幼少期、「ムーミンみなしごホーム」の前に捨てられており、そこで育てられました。成長して、ホームから逃げ出したムーミンパパは冒険の旅へと向かい、そこで初めての友ができるのです。その旅の道中でムーミンママとも運命的な出会いを果たし、ムーミン谷へと行きつきました。

ムーミンママ

いつも周りのみんなの世話をし、家族をまとめてくれているムーミンのお母さん。どんなときも慌てず騒がず、頼りになる存在です。エプロンとハンドバッグがトレードマークですが、エプロンは初期の作品では描かれていないことも。ハンドバッグはママにとってとても大切な物で肌身離さず持っています。一度ハンドバッグがなくなった時にはムーミン谷の新聞にも載ったほど大騒ぎになりました。
すがすがしいほどの楽天家でもあり、生命の危険を伴う大災害が迫ろうとも焦ることなく苦難を乗り越えてしまいます。料理上手で掃除や洗濯なども、遊びの延長の様な感覚で、楽しみながらこなしてしまいます。
挿絵画家として生計を立てながら、家族の世話をしていたトーベの母シグネがモデルです。

スノークのおじょうさん)

ムーミンのガールフレンドで、前髪と金のアンクレットが自慢のスノーク族の女の子。スノーク族は感情によって体の色が変わるのが特徴です。
美しいものが大好きで、お化粧やドレス、宝石などに目がありません。もちろん自分のことも“美しいもの”と捉えている様子。ムーミンとはとても仲良しですが、時に気まぐれなことを言ってはムーミンを困らせてしまうことがよくあります。
原作小説では個有名は設定されていませんが、日本ではアニメの影響で「フローレン」や「ノンノン」の呼称が浸透しています。1960年代放送のアニメでは、製作スタッフの身内の愛称である「ノンちゃん」からノンノンと名付けられ、1990年代のアニメではドイツ語でお嬢さんを意味するフローレンへと変更になりました。

リトルミイ

その名の通りとても小さなミムラ族の女の子。「存在するすべての中でもっとも小さい」を意味するギリシャ語「μ(ミュー)」が名前の由来。体の小さなミイですが、その存在感は抜群に大きいのです。怖いもの知らずで、思ったことをそのまま口にする竹を割ったような性格。そんなミイに周囲は振り回されたり、怒ったりすることも頻繁にありますが、家族や仲間を大切に思っていて、仲間が危険な目に合っている時は持ち前の勇敢さと無鉄砲さで体格差を物ともせず飛びかかっていくのです。
観察眼にも優れ、過剰に感傷的になっている人の悩みをずばりと指摘するので、読者的にもハッとさせられるセリフをよく放っています。

スナフキン

ムーミンの親友で自由と孤独を愛する詩人。緑色のとんがり帽子と着心地のいい着古した服がお気に入りです。人にも物にも執着せず、持ち物も小さなリュックに収まる程度しか持たない究極のミニマリスト。春はムーミン谷でムーミンたちと一緒に過ごしますが、十一月になると、ムーミン谷を離れ、南へと旅立ちます。一人で物思いにふける時間を大切にしており、日々の暮らしはなりゆきまかせで、釣りをしたり夜空を眺めたりしながら過ごしています。また、音楽をこよなく愛しており、フルートやハーモニカで自然の美しさを曲にして演奏することも楽しみの一つです。
普段は落ち着いているスナフキンですが、規則や決まりごとが大嫌いで、公園の「〜べからず」という看板を全部抜いて燃やしてしまったりする過激なところも。

スニフ

ムーミンの友達。大きな耳と細長いしっぽが特徴で、カンガルーにちょっぴり似ています。臆病でプレッシャーに弱く、子どもっぽい自己顕示欲がありますが、好奇心旺盛な性格です。
ムーミンやスナフキンがやろうとしていることに興味を示し、すぐに一緒にやろうとしますが、臆病で飽きっぽい性格が災いして、すぐにあきらめてしまうことが多々あります。お金やお宝といった価値のあるものが大好きで、どうにかして手に入れようとさまざまな算段をたてるのですが、失敗して痛い目にあってしまうのがお決まりです。しかし、「ムーミン谷の彗星」では、途中で出会った子ネコの身を案じて、安全な洞穴から飛び出して行ったりと心優しい一面もみられます。

ミムラ

ミイの姉で、ミムラ夫人のたくさんの子どもたちの一番上のお姉さん。
つやつやの長い髪をおだんごにまとめあげ、赤いブーツを履いています。ミムラ夫人の元で暮らしていたころは、三十人以上の弟や妹の世話の手伝いをしていましたが、ムーミンパパと出会い、世の中のことをもっと知りたいと考えて、ミイを連れてムーミン谷へやってきました。パーティーが大好きで、ダンスが得意。人生をこよなく愛し、小さなことにも喜びを見つけ出す天才です。自分がミムラに生まれたことを本当に気に入っている前向きな性格は、タイプは違えど、ミイと通ずるところがあります。

署長

ムーミン谷の平和を守る警察署長。頑固で融通がきかない変わり者の多いへムル族の一員ですが、性格はおおらかでよく鼻歌を歌ったりしながら陽気にパトロールしている姿が目撃されています。趣味はバラを育てることらしく、休日にはバラ栽培に勤しんでいます。ムーミン一家とも仲がよく、ムーミンママとは園芸の話で盛り上がり、ムーミンパパとはよくお酒を飲んで話に花を咲かせています。コミック版とアニメにのみ登場するキャラクターで、アニメ版ではミムラの恋人という設定が付け加えられています。

トゥーティッキ

小柄な身体に大きな青い瞳で、赤と白のボーダーのセーターとポンポンがついた帽子がトレードマーク。現実主義者で自立したトゥーティッキは、さまざまな問題を解決する知恵を持っています。
冬眠はせず、冬の間はムーミン一家の水浴び小屋で暮らしています。ムーミンが冬眠から目覚めてしまい、初めての冬を楽しむことができたのは冬に詳しいトゥーティッキのおかげ。ムーミンにとって、スナフキンが春と夏の尊敬できる友人とするならば、トゥーティッキは冬における人生の先輩であり友人といえる存在。自然のことに詳しく、鼻で季節が変わることを感じることができます。春がやってくると、手回しオルガンを慣らし、冬眠している生き物たちを目覚めさせる役割も担っています。

ニョロニョロ

白く細長い身体に電気を帯びた不思議な生き物。雷で充電し、触れると感電してしまうことから周囲からは嫌われています。いつも群れをなして行動し、たどり着くことのない目的地を目指す永遠の放浪者。ニョロニョロは耳が聞こえず、言葉を話すこともありませんが、人の心を読めるという噂も……。
なんとニョロニョロは種から生まれます。夏至の前の晩にまかれた「ニョロニョロの種」からしか生えてこないのです。生えてきたばかりのころは特に電気を帯びているようで、スナフキンが公園番のヘムルをこらしめるためにニョロニョロの種をまき、感電させているシーンが書かれています。

モラン

触れたもの全てが凍ってしまう孤独な女の魔物。特徴的な大きな鼻と表情のない顔、大きな口には歯がずらり並び、ぎょろりとした目で静かに見つめてくるその姿は、とても不気味です。
どこからともなくふいに現れると、燃え盛る炎は消え、地面は凍り、周囲は異様な冷たさに包まれます。周囲から忌み嫌われ、恐れられるモランですが、実はただただ孤独を抱えた哀れな魔物なのです。本当は暖かなランタンの光や人々の温もりを人一倍求めています。そんな時に、ムーミンと徐々に心を通わせていくことで、冷たさが和らいで、周囲を凍らすこともなくなっていきました。

スティンキー

毛むくじゃらの体で、悪臭を放ついたずら好きのトラブルメーカー。何かと悪さをしては、ムーミン谷の住人に煙たがられています。いつも平和なムーミン谷の中では、唯一署長さんが捕まえられる貴重な存在。
人を傷つけるような大きないたずらをするわけではないので、愛らしく思えてしまう面もあります。
実は、小説には登場しないキャラクターで、コミックとアニメーションにのみ登場します。しかし、その存在感は抜群で、物語を動かす時に欠かせないファクターとなることも。原作小説では出番のない物語にも悪役として登場し、限られたコマ数や話数のなかで、明確な勧善懲悪の象徴として描かれ、物語が分かりやすくなる立役者なのです。

ご先祖様

ムーミン族の千年前の姿で、長い灰色の毛で覆われた小さいトロール。見た目があまりに違うので、最初ムーミンは本当に自分たちの先祖なのか疑っていましたが、タイルストーブを好むところなど共通点を見つけて、信じるようになりました。冬の間は水浴び小屋の戸棚で暮らしています。

ニンニ

一緒に暮らしていた皮肉屋のおばさんから冷たい仕打ちを受け、姿が見えなくなってしまった少女。それを哀れんだトゥーティッキがムーミンやしきへと連れて来て、姿が見えるようになるまで共に暮らすことに。ムーミンママが愛らしいワンピースをつくってあげたり、秘伝の薬を飲ませてあげたり、優しく接することでだんだんと姿が見えてくるようになりました。顔だけがなかなか見えてこなかったとき、ムーミンパパがふざけてムーミンママを海に落とそうとするのを見たニンニは怒りを爆発させます。怒るという感情を取り戻したニンニは、元の姿に戻ることができたのです。

トフスランビフスラン

小説「たのしいムーミン一家」で、大きなスーツケースを抱えてやってきた小さな二人組。二人はいつも一緒に行動する切っても切れない関係。見た目はそっくりで見分けがつきにくいですが、赤い帽子をかぶっている方がトフスランです。 自分たちだけにわかる奇妙な言葉で会話するため、周りは何を言っているのか理解できません。 自分たちが気に入ったものは勝手に自分たちの物にしてしまう性格で、モランが持っていたルビーの王様やムーミンママのハンドバッグを勝手に自分たちの物にしていました。 悪気があるわけではなく、優しくしてくれたムーミンたちには心優しい一面も見せています。

飛行おに

シルクハットをかぶり、空飛ぶ黒豹に乗って世界中を飛び回る不思議な魔法使い。その能力は自身の姿を変えることと、他人の願いを叶えること。また、かぶっているシルクハットも魔力があり、中に入った物の姿を変えてしまいます。一度ムーミンが中に入り、姿が変わってムーミンであることを周りから疑われてしまったことがありました。 見た目は怖いですが、みんなの願いを叶えてくれる優しさを持っています。

ミーサ

とても傷つきやすく、すぐに涙を浮かべる女の子。あらゆることを気にしすぎてしまい、とても深刻に捉え、卑屈で悲観的というやっかいな性格をしています。小柄でまっすぐな黒髪で、笑顔を見せることはほとんどありません。小説「ムーミン谷の夏まつり」でムーミンたちと行動を共にしたミーサは、最初こそ落ち込んだり怒ったりしていましたが、ムーミンパパが書いたお芝居を演じるうちに楽しむようになり、かつてないほどの幸せを感じることができました。

ミムラ夫人

ミイ、ミムラ、スナフキンの母親で、さらに、他にも30人以上の子どもたちのお母さんでもあります。大勢の子どもたちを安全で清潔で寒さにふるえないようにと愛情深く面倒をみています。寝る前には子どもたちがわくわくする本を読み聞かせるのが日課。大らかで明るい性格のミムラ夫人は愉快に笑って過ごすのが大好きです。ちなみに、スナフキンの父親はムーミンパパの冒険仲間であるヨクサルですが、ミイとミムラの父親は物語中では明らかになっていません。

ロッドユール

ムーミンパパが子供の頃、冒険を共にした仲間の一人。ソースユールの夫で、スニフのお父さん。見た目はスニフと似ておらず、垂れ下がった獣の耳が特徴的で頭に鍋をかぶった人間のような容姿をしています。ですが、性格はスニフとそっくりで臆病でおっちょこちょいな心配性。がらくたを集めるのが大好き。

ソースユール

ロッドユールの妻で、スニフのお母さん。見た目がスニフにそっくりです。小説「ムーミンパパの思い出」の中で、ロッドユールと出会い、恋に落ちます。ボタン集めが趣味で、がらくた蒐集が好きなロッドユールとはコレクター気質なところが似ていたため、意気投合しました。