こころとからだの健康タイム・対談編20-2

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 このコーナーでは、エヌ・ピュア社長・鳴海周平が各界を代表する人生の達人との対談を通して、「こころとからだの健幸」に役立つ様々な情報をご紹介しています。毎日の健幸にお役立ていただけましたら幸いです。

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Vol.20 ゲスト:おすぎさん 【2】

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鳴海 心の底から泣いたり笑ったり、というように感情を表に出すということは、心身の健康にとても良いと言われていますね。映画はまさに、そういった感情を引き出すことが出来る素晴らしいものだと思いますが、おすぎさん自身は、何かそういった経験はありますか?

おすぎ いい映画を観る度に、心地良い余韻が残るのは、健康にもきっといい影響があるでしょうね。
私が劇的に、そういった体験をしたのは、デザイン学校に通っていた頃です。もう40年近く前になるかな。その日はとても体調が悪かったんです。たぶん風邪をひいていたんだと思うけど、頭は痛いわ、お腹は痛いわ、本当に不調だったんですね。それでも映画を観に行く私もどうかと思うんだけど(笑)、ルルーシュの「男と女」っていう映画を観たんです。とても感動的な映画だったんだけど、観終わったらすっかり治ってるんですよ。あんなに痛かった頭やお腹が全然痛くない。さっきまでのは何だったの?っていうくらい不思議な体験でしたね。あの事があってから、映画のもつチカラの大きさに気付かされて、いい映画を一人でも多くの人たちに教えてあげたい、っていう気持ちがどんどん大きくなっていったような気がします。
今、私は映画評論家というお仕事をさせて貰っていますけど、こういう体験があるから、私は「映画評論家」というより、いい映画を紹介する「劇場勧誘員」だと思っているんです。もちろん、映画は感性で観るものだと思っていますから、私が面白いと思ってすすめても「つまんない」って言う人もいるかもしれない。こればっかりは相性みたいなものもありますから。でも、たくさんの映画を観ることで、感性は確実に高まると思うんです。感性が高まると、心身の健康にもいいじゃないですか。
私は今、毎月36誌に映画のコメントを書いてるんですけど、そのために年間350本くらいの映画を観るんですね。多い時は1日5、6本観ます。それでも上映される全ての映画を観ることは出来ないんです。そして、そのうち「いいなあ。」って思うのは20本に1本くらい。こう考えると、映画がいくら好きな方でも、一生のうちに観られる映画っていうのは限界があるし、ましてや「良かった。」って思える映画との出会いはほんの僅かだと思うんです。
私のコメントがきっかけになって、その方の感性を豊かにすることが出来る「いい映画との出会い」につながってくれたら嬉しいですね。

鳴海 おすぎさんは、オードリー・ヘップバーンの大ファンだと伺いましたが、彼女は59歳の時にユニセフの親善大使に任命されていますね。その時に「まるで人生を終えるにあたっての特別ボーナスをもらったみたい。歳を重ねるって本当に素敵なことよ。」と言っていたそうですが、おすぎさんも一昨年、当時のオードリーと同じ年齢を迎えて「歳を重ねる」ということを、どのようにお感じですか?

おすぎ 私、本当にオードリーが大好きなんです。「ローマの休日」は、もう120回以上見たかしら。だからローマに行っても迷わないで済んだんです(笑)。
オードリーが映画の中で通った所はすべて、“スペイン階段”や“真実の口”にも行きましたから。実際こうして同じ歳を迎えてみると、確かに還暦というのはいろいろな意味での区切りだと思います。永(六輔)さんからも言われてたんですよ。「60歳はひとつの区切り。けじめをつける時期でもあるんだ。」って。ですから、20年以上続けてきた渋谷や札幌でのシネマトークも、今年で止めました。
身体も、そして考え方も、今までの総点検をしてみる、という時期のように感じますね。

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