クリスマス飾り、プレゼピオ。

すっかり冬らしい寒さが到来です。
ポルトガルの12月と言えば、もちろんクリスマス。他のヨーロッパの国々と比べると派手さはありませんが、ポルトガル人にとって1年で一番大事な時期であることには変わりません。

2年前くらいのポルトのクリスマスイルミネーション。落ち着いたブルーのライト。

このコラムでも、ポルトガルでのクリスマスの過ごし方やクリスマスの食べ物についてご紹介してきました。日本のお正月のように美味しいもの、甘いものがいっぱいです。

テーブルにはクリスマスのお菓子がずらり。

さて、今日はまた違った視点でポルトガルのクリスマスをご紹介します。
ポルトガルのお家では最近はクリスマスツリーを飾ることも多いですが、伝統的には「プレゼピオ(Presépio)」というお人形が飾られます。

基本のプレゼピオ。

日本のクリスマスでは馴染みのないプレゼピオ。初めて見た時は、とても素朴な飾り物だなぁと思ったものです。プレゼピオは、イエスの誕生の様子を表しています。日本には雛人形がありますが、それよりも宗教色が強いお人形飾りです。昔(平安時代の頃)は、お雛様も宗教的・神事的意味合いを持っていたそうですが、現在は女の子の成長を願う意味の方が大きいかと思います。
ポルトガルをはじめカトリックの国では、このプレゼピオは今でもクリスマスの時期に飾られます。もともとは、1223年に聖フランシスコによって作られた粘土人形が起源と言われています。その時は、イエスの誕生話を民に伝えるため、また教会のない土地で説明するために使用したそうです。そのため、当時はイエスとマリア、ヨセフ、ベツレヘムへ向かった時に乗っていたロバ、牛だけが登場人物でした。その後、中世では大聖堂や教会、修道院などにも広がり、登場人物や建物のバリエーションが増えていきます。16世紀頃になると、イエスのゆりかごも作られるようになったようです。

イエス誕生の様子は必ず飾られます。

プレゼピオは陶人形で、お雛様の様に服を着ているわけではありません。基本的には顔や服もペイントされています。また、お人形が並ぶ場所は、庭や公園にある草や枝、苔などを使い毎年手作りする家庭も多いです。イエス誕生を表す箇所以外の人形の配置は結構自由なようで、その時々で変わっています。

天使もいます。

村人や動物たち。

近年は登場人物が増えていて、イエス誕生の時にはいなかった人物や建物もたくさん飾られています。例えば、民族衣装を着て踊る人々や楽器と演奏する人々など、カラフルで楽しい人形が色々あります。 ショッピングセンターなど人が集まるところには大きなプレゼピオが飾られています。細工が凝っていたり、イルミネーションが点灯したり、と見所たっぷりで楽しませてくれます。

ブラガのショッピングセンターには階段を利用してプレゼピオが飾られていました。

リスボンのロシオ広場に座っていたサンタクロース。このマーケットはドイツや中央ヨーロッパ風です。

ポルトガルのクリスマス飾り「プレゼピオ」、いかがでしたか。
12月上旬から1月上旬まで飾られていることが多いので、この時期にポルトガルへ行かれる場合は是非見てみてくださいね。

ポルトガルのクリスマスの過ごし方については、 こちら。
ポルトガルのクリスマスのお菓子については、 こちら。

それでは、また次回!