実は万能で簡単!ポルトガルのカタプラーナ鍋

東京で少しずつ増えてきたポルトガル料理のレストラン。
私の知る限り10軒はあります。ポルトガル好きとしてはとても嬉しいです!
この調子で日本各地にポルトガル料理が広まっていくといいですね。

既にポルトガル料理のレストランに行かれた方は、ちょっと不思議なこんな鍋を見たことがあるかもしれません。

UFOの様な形の鍋

そう、これが本日のテーマ「カタプラーナ鍋」です。

真ん中が開くようになっている鍋で、上下が同じような円盤型をしています。
中に入れる具材などから出る水蒸気を蓋の上部に回るようにし、鍋全体に熱が回ることで蒸していきます。素材には銅が最も多く使われています。日本のしゃぶしゃぶ鍋も銅で出来ていることが多いですが、実は銅は熱伝導率が他の素材より高いため、短い時間で調理できるのです。「わからなければ銅の鍋を使えば大丈夫」と言われる程です。

でもちょっと不思議なことに、ポルトガル料理の多くは「蒸す」よりも「オーブンで焼く」ことや「茹でる」ことが多いのです。そこで、なぜこのカタプラーナ鍋が誕生したのか気になって調べてみました。

実はこのカタプラーナ鍋の起源は、ポルトガル南部のアルガルヴェ地方にあります。そのため、リスボンのレストランでは観光客向けに出しているところもありますが、北部ではほとんど見ることがありません。

アルガルヴェ地方では、その昔、アラブ人の影響を大きく受けました。ヨーロッパよりもアフリカの方が近かったため、13世紀頃までは「イベリア半島はどちらかと言うとアフリカ」とイギリスやフランスなどの国々からは思われていたそうです。そのため、食や建築物もアラブ文化の面影を見ることができます。そのひとつがこのカタプラーナ鍋です。

数年前、日本でもヒットした「タジン鍋」。
素材や形は違いますが、料理方法の基本はカタプラーナ鍋と似ています。どちらも少しのエネルギーで必要な熱を加えることができる、しかもヘルシーな料理が簡単にできる調理器具なのです。

カタプラーナ鍋は、13世紀から14世紀には既にその原型となる鍋が存在していたそうです。当時は亜鉛製もあったそうですが、銅職人の技術力の向上から銅製品が増えていきました。ちなみに日本のしゃぶしゃぶ鍋は、19世紀に誕生したものらしいですが、元々はモンゴルから中国北京に伝わった羊肉しゃぶしゃぶが起源の様です。日本もポルトガルも大国から色々な文化を吸収していったことが分かりますね。

さて、一見、料理上級者向けのツールに見えるカタプラーナ鍋。
でも、すでにお話ししてきたように、この鍋は料理が簡単にできる優れものなのです。

野菜と魚介の旨味がぎゅっと凝縮した定番の組み合わせ(リスボンのレストランにて)

カタプラーナ鍋の定番の具材としては、「エビやムール貝+トマトなどの野菜」「タラ+ジャガイモやトマトなどの野菜」「あさりと豚肉+ジャガイモ」などです。特に白身魚は、ふっくらと美味しく出来上がります。

例えば白身魚やエビ、野菜のカタプラーナを作る場合は、火をつける前に鍋にエビ以外の具材を並べます。オリーブオイル→スライスしたタマネギ・トマト・パプリカ・ニンニクなどの野菜→トマトペースト→白身魚→さらにもう一度、スライスしたタマネギやトマトを、順番に重ねていきます。そして、ローリエや塩コショウ、白ワインを加えて蓋をします。5分程鍋を熱したら、エビを加えます。この時、鍋は熱くなっているので気を付けてくださいね。そして、蓋をしてさらに5分程中火にかけて、出来上がりです。

テーブルで蓋を開ければ、食卓がもっと楽しくなります

まるで貝塚…さすがのポルトガル。豪快です。

エビとムール貝の組み合わせは、見た目にも鮮やか。(イベロアメリカーナ Cafe y Bar IberoAmericanaさんポルトガルイベントにて)

カタプラーナ鍋はお肉も柔らかくしちゃいます。(イベロアメリカーナ Cafe y Bar IberoAmericanaさんポルトガルイベントにて)

ちょっと珍しい形のカタプラーナ鍋。
好きな食材と調味料を合わせて蓋をするだけ、とっても簡単に出来上がります。ポルトガル料理だけではなく、おでんや肉じゃがなど和食も美味しく出来そうですね。
こちらでもご購入できますので、是非チェックしてみて下さいね。

次回はポルトガルよりお届けする予定です。
お楽しみに!