石畳もポルトガルらしく飾ります

ポルトガルの街をポルトガルらしくするもの。
それは足元にあります。

じゅうたんの様な美しい模様

そうです。
ヨーロッパと言えば石畳、ポルトガルと言えばカルサーダ・ポルトゲーザ(calçada portuguesa)です。

ポルトガルの石畳の特徴としては、その多くがモザイクの様な飾りが施されているところです。白く四角い石灰岩を基調にしていて、黒やグレー、赤茶色などの石灰岩で模様を描くとても可愛らしい石畳です。

リスボンのアウグスタ通りも華やかな模様で飾られています

ポルトガルで石畳が採用されたのは14世紀頃と言われていますが、その時代はまだこのモザイク形式ではなかったそうです。きっかけとなったのが、16世紀国王マヌエル1世の頃。彼が自分の誕生日のお祝いとして、華やかな行進をするために象の模様で道を飾ったのが始まりだとか。ただ、1755年のリスボン大震災で大きな被害を受け、その後はコストが高いこの装飾は避けられるようになりました。

それが19世紀に入り、当時リスボンのサン・ジョルジェ城総督であったエウセビオ・フルタードにより、モザイク形式が採用されるようになったのです。彼はこの大変な作業を囚人の仕事とし、この技術を発展させていきました。というのも、今では観光客で賑わうサン・ジョルジェ城ですが、その当時は兵舎や監獄として使用されていたのです。
このアイディアは成功し、多くの人が石畳を見に訪れるようになったとのことです。更にエウセビオはロシオ広場にもこのモザイク形式の工事することにしました。1848年のことです。

ロシオ広場のカルサーダ・ポルトゲーザは見事です

この波模様は、「マール・ラルゴ(o Mar Largo)」と呼ばれています。広大な海という意味を持ち、大航海時代の栄光を讃えたとも言われています。

今回は私が好きなカルサーダ・ポルトゲーザを3つご紹介します。

まず1つ目はこちら。

庭園に飾られたエレガントな動物たち

ジェロニモス修道院の目の前に広がるインペリオ広場には、このように動物をモチーフにした石畳がたくさんあります。緑も綺麗な庭園ですが、芝生だけではなく床まで手が込んでいます。天気のいい日は、色々な模様を探しながら散策すると楽しいですよ。

2つ目はこちら。

ビーチの前にも波模様

こちらはナザレのビーチ前にあるカルサーダ。
まさにポルトガルらしい風景です。アルガルベ地方などにもよく見られます。

そして3つ目はこちら。

リスボンの街角に突如現れる伝説ファド歌手

こちらはファド歌手、アマリア・ロドリゲスを描いたアート。壁に飾られています。
2015年に制作されたわりと新しいアートです。実物は大きいので、知らずに見つけた時はとても感動しました。9人の職人さんが1カ月かけて制作されたようです。

この他にも素敵な石畳やアートが、ポルトガルのあちらこちらで見ることができます。
制作やリメイクに、時間もコストもかかるこのカルサーダ・ポルトゲーザ。
雨では滑りやすくなり危険だったり、車はがたがたしたり、ヒールはすぐ傷ついてしまう…そんなデメリットもあるので国民からの評判は良かったり悪かったりです。

ただ、それでも作られ続けているのはやはりポルトガル人が効率よりも美しさを求めるからなのかもしれません。私はそんな景観を大切にするポルトガルが好きです。

ポルトガルへ行かれる際は、上だけではなく下も向いて歩いてみて下さいね。

ではまた次回!