カステラの元祖、パン・デ・ロー!

9月も中旬になり少しずつ涼しくなってきました。
秋になると私はなんだか焼き菓子が食べたくなります。食欲の秋ですね。

日本でお馴染の焼き菓子と言えば多くの人に愛されているカステラ。

でも、これが実はポルトガルから伝わったお菓子ということ皆さんはご存知ですか。

色々な説があるのですが、16世紀中期にポルトガルの宣教師が長崎に伝統菓子パン・デ・ロー(PÃO DE LÓ)を伝えたのが始まりと言われています。カステラと呼ばれるようになったのは、メレンゲをしっかり立てて焼く様子がカステロ(お城)に見えることからという一説もあります。

ポルトガルでは多くのお菓子が修道院で生まれていますが、このパン・デ・ローも修道院で作りはじめられました。

ポルトガルのお菓子と言えば黄色いのが特徴ですが、その多くが修道院から生まれました

ポルトガルで食べられているパン・デ・ローは、大きく分けて2つあります。

日本のカステラとは同じお菓子とは思えないような中までしっかり火を通したタイプと、中が半熟のしっとりしたタイプがあります。

中までしっかり火の通ったタイプのパン・デ・ロー

ポルトガルを訪れるとパン屋さんやお菓子屋さん、スーパーなどでよく目にするのがこちらのタイプです。真ん中に穴があり、厚紙に包まれて焼かれています。大きさも日本のカステラからは想像できないほど大きく、直径30㎝程あるものが通常です。

このパン・デ・ローは伝統行事がある時に多くの人が買っていくのをよく目にします。特に北部では、今でもパン・デ・ローを食べる習慣が残っていて、誰もがその時に食べたい分だけカットして食べています。

ポルトワインなどの甘めのお酒に合わせて食べる人が多いのですが、相性が良いので是非お試しください。私は日本のカステラとポルトワインを合わせていただくことがありますが、これもまた美味しい組み合わせですよ。

クリスマスでも色々なお菓子の中にパン・デ・ロー

イースターでも良く食べられます。写真はスーパーでの特売、なんと3.99ユーロ!

もう1つのタイプがこちらで、真ん中に穴なく少しくぼみが中央にあります。これはしっとり感を出すために半熟状態で焼き上げたパン・デ・ローで、先程のタイプより甘く感じます。

日本でも5~6年ほど前に半熟カステラが流行っていましたが、まさにそのようなタイプです。大きさもひとつ目よりは小さく、一人でも食べられてしまうサイズです。

ちょうどいいサイズです

お祭りでもこんな箱に入って売っていました

この半熟タイプは第二都市ポルトの郊外にある町オバール(Ovar)が発祥の地と言われていて、ついこの前の8月下旬にこのタイプについては欧州委員会より地理的表示保護の対象として認定されました。まさに、この地方で製造された物だけこそがパン・デ・ロー・デ・オバールと呼べることになります。

実はこの半熟タイプのパン・デ・ロー、ご家庭でも結構すぐに作ることができます。

材料は卵と砂糖、小麦粉だけと、とてもシンプルなので、思い立った時にも作ることができます。

ナイフを差し込んだだけで中がトロトロあふれ出します。

ではまた次回!