ケフィアについて
「ケフィア(kefir)」の語源についてはいろいろな説があります。
トルコ語のケイフ（＝Keyif、“喜ばしい、楽しみ、健康”という意味）やアラビア語のカイフ（＝keyf、“健康、嗜好、ほろ酔い”という意味、）さらにケフィア発祥の地のコーカサス地方では、カフィール（Kaphir）ケフィール（kefer）と呼ばれ、「爽快な味わい」を意味すると言われています。
一時期流行っていた“ヨーグルトきのこ”とは、このケフィアのことです。ケフィアの乳酸菌は、ネバネバした物質（多糖）を作り、そこにくっつく形で乳酸菌と酵母の固まりが形成されます。この固まりが「きのこ」に似ていることから、この名前がついたのです。
世界には、その風土に根ざした多くの伝統的発酵乳があります。その中の1つがブルガリア地方のヨーグルトです。ヨーグルトはノーベル賞学者のメチニコフにより紹介されましたが、他にもモンゴルのケーミス、インドのターヒーなど様々な発酵乳があります。
また、世界中の長寿地帯で、発酵乳が食生活に取り入れられているという特徴があるのをご存知でしょうか。パキスタンのフンザ、エクアドルのビルカバンバと並んで世界三大長寿地帯の1つとして有名な、カスピ海と黒海に挟まれたロシアのユーカサス地方には、近年注目されている“ケフィア”があります。これは、古代から山岳民族の間でつくられてきたもので、牛乳を山羊の皮袋に入れて自然発酵させ、取り出した分だけ新鮮な牛乳を補いながら連続して発酵させたもので、長い間、人々の健康を支えてきました。
人々はケフィア粒を“預言者の黍（きび）”と呼び、一説によるとマホメットは病人を見つけては「神様の贈り物であるこの霊薬から、ケフィアを作って飲めば病気が治るでしょう」と説いたと伝えられています。
また、現代ではノーベル生理医学賞受賞のメチニコフ博士などにより、ケフィアの有効成分や効能の研究が進められ、飲料としてヨーロッパを中心に世界に広く知れわたっています。
ヨーグルトとは、乳酸菌のみの単独発酵による発酵乳です。
ケフィアとは、酵母と乳酸菌の共生作用を利用して複合発酵させた発酵乳です。
ケフィアに含まれる酵母や乳酸菌は、生きたまま腸まで届きます。通常、何も添加されていないヨーグルトに含まれる乳酸菌の種類は1潤ｵ2種類ほどですが、ケフィアには多種の乳酸菌が含まれており、消化吸収のサポートや、たんぱく質・ビタミン類を合成し免疫力を高める働きなどをします。また、共生作用による副産物や作用なども大切な働きをしてくれます。
免疫強化をサポートし、病原菌からの感染を予防
ケフィアの主な成分はケフィランという、多糖類でねばねばした物質です。
ケフィアには、マクロファージを活性化させる機能があります。マクロファージとは、体内に進入した病原菌を食べる細胞のことで、各種の病気の原因となる細菌やウイルスをとらえて分解します。このようなマクロファージが、ケフィアに含まれるケフィランなどによって活性化され、悪い病原菌を食べ、病気になる確立を減らすお手伝いをしてくれます。
さらに、ケフィアには、免疫力を高めると言わているビタミンＡがヨーグルトの約2倍も含まれています。ビタミンＡは皮膚や粘膜などの形成や働きに大きく関わっており、これらは、病原菌が体内に侵入するのを防ぐサポートをし、ストレスや加齢と共に弱まる免疫力をバランス良く高め、自然治癒力を増大させます。
人間の体には、健康な人でもさまざまな病原菌がいるそうです。体が疲労しているときや体力が落ちたときなどは、体内に備わっている感染防御機能が低下し、病気になりやすくなります。しかし、整腸効果のある乳酸菌を毎日食べていれば、体に抵抗力がそなわります。
腸の蠕動運動を促進、便秘解消をサポート
ケフィアの乳酸菌は、生きたまま腸に届くので悪玉菌の繁殖を抑え、ビフィズス菌などの善玉菌を増やして便秘や下痢を解消、おなかの調子を整えてくれます。酵母が腸管の働きを活発にするので、その結果、便臭が消えガスも臭わなくなります。また、ダイオキシンなどの有害物質が腸壁に吸収されるのを妨げ、体外に早く排出します。
腸内の悪玉菌を抑え、腐敗防止のお手伝い
人間の腸のなかには、約百種類、数にして百兆個もの微生物が生息しているといわれます。これらの中には人間の健康に欠かせない「善玉菌」もありますし、腸内で腐敗を引き起こし、健康に重大な危機を与える「悪玉菌」もあります。
大腸菌、ウェルシュ菌、バクテロイデス菌などの悪玉菌は、腸のなかでアンモニア、硫化水素、アミン、フェノールなどの腐敗性物質を生成することで知られています。
善玉菌の代表は、各種の乳酸菌です。腸内の悪玉菌の多くは耐酸性が低いために、乳酸菌がつくり出す乳酸の力に働きを抑えられたりします。
活性酸素の消去を効果的に助けます
通常、高血圧は加齢によって生じますが、活性酸素が関係しているという見方もあります。
活性酸素が原因となって起きる病気には、動脈硬化や糖尿病など生活習慣病があります。ケフィアには、この活性酸素の消去を助ける働きがあり、血管を若々しく保つのに役立ち、脳卒中や心臓病が気になる方や、老化防止のサポートにもなります。
カルシウムの吸収を高めるサポート
ケフィアの乳酸菌発酵によってできる「乳酸カルシウム」は、吸収率が牛乳の約1.7倍もあります。赤ちゃんや妊婦はもちろん、とくに骨粗しょう症が気になるお年寄りにたいへん適した食品です。カルシウムは、ナトリウムの害を抑える働きがあるので高血圧や脳卒中を防ぐのにも役立ち、骨や歯を丈夫にします。
乳酸菌が発揮する抗菌効果
乳酸菌自身にも、外部から進入する細菌の生育を抑える抗菌作用があり、食中毒の原因となるサルモネラ菌、チフス菌、赤痢菌に対してもケフィアが抗菌作用を発揮したといわれています。
ストレス解消に役立ちます
ストレスは、体の機能をさまざまに阻害します。現代生活でストレスは避けられませんが、ストレスを緩和してくれるものが、薬ではなく日常の食品から摂取できれば、大変好ましいといえます。 カルシウムは神経伝達の面でも影響があり、精神の緊張や興奮を緩和すると言われており、元気な長寿に欠かせません。
現代の日本は食生活の欧米化に伴い、リンの摂取量が多くなりがちで、慢性的なカルシウム不足といわれています。さらにカルシウムは、もともと腸での吸収率があまり良くありません。このため、血液中や筋肉、神経の中にあるカルシウムが減り、筋肉の収縮や神経の調整がうまくいかず、イライラや興奮の原因となります。
ケフィアには吸収しやすい乳酸カルシウムが豊富に含まれており、さらにリンとのバランスもよいため、人体に吸収されやすく、豊富なカルシウムを供給することができます。イライラや興奮を緩和してくれるのにピッタリな食品といえます。
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