■トキソプラズマ症
トキソプラズマ原虫の一種で、すべての温血動物に感染します。
トキソプラズマは人間にも感染し、特に妊婦に感染すると流産や奇型児出産を招くというので、妊娠中は特に猫との同居を敬遠する向きがありました。
しかし、欧米ではネコの排出する糞便よりも、感染した生肉や生乳から感染するケースが多いと言われています。それでも念のために、妊婦のいる家庭では、妊娠期間中は猫にトキソプラズマの予防剤を投与するのも効果的といわれ現在ではさほど問題とはなっていません。
トキソプラズマに感染しても、ほとんどの猫には症状がでませんが、子猫や、体の弱い成猫が感染すると死ぬこともあります。
トキソプラズマ症の慢性症状のひとつは長く続く下痢です。
また目に虹彩炎やブドウ膜炎をおこし(虹彩や、眼球をおおう脈絡幕の炎症)、目がにごりします。
さらに中枢神経に障害が生じ、体の一部がマヒや、運動失調をおこすこともあります。
このとき猫はまっすぐ歩けなくなり、ふらついたり同じところをぐるぐると回転することがあります。
抗菌薬のサルファ剤などを使って内科療法を中心に行います。
人間への感染の予防としては、
屋内外の出入りを自由にしている猫(とくに子猫)の糞便は、24時間以内に処理することを心がけます。
トキソプラズマ症の原因であるオーシスト(虫卵)は、60℃で30分、80℃で1分、100℃で数秒で死滅するので、猫の食器類やトイレは熱湯消毒を行って常に清潔を保ちます。
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