2020.07.15
11「TEVA(テバ)」
スポーツサンダルの魅力!
メンズファッション誌
「smart」元編集長
佐藤 誠二朗さん
メンズ雑誌「smart」をはじめ、これまで多数の編集・著作物を手掛けている佐藤さん。
2018年11月には「ストリート・トラッド ~メンズファッションは温故知新」が発売。
こちらを本屋で見かけて読まれた方もいるのでは!?
そんな佐藤さんが当店の取り扱いアイテムをコラムで熱く語ってくれるコーナーです!
実はあまり知られていないブランドの歴史などもこれを見れば知ることができるかも!?
リバーガイドの実地体験をもとに
Tevaは、世界で初めてのスポーツサンダルを開発したブランドとして有名です。
ときは1984年。地球物理学者という肩書きを持ちながら、グランドキャニオンのリバーガイドを務めていたマーク・サッチャーは、川でおこなうラフティングなどのレジャースポーツの際、
水辺用のものであるはずのビーチサンダルが簡単に脱げてしまうことに不満を抱いていました。
流れの早い川でサンダルが脱げてしまうと、スポーツの楽しさが損なわれるだけではなく、思わぬ転倒事故などを引き起こし大きな怪我につながる危険もあります。
考案したアンクルストラップ付きビーチサンダルを、さらに改良して商品化しようと考えたマークはTevaブランドを立ち上げ、
"スポーツサンダル"という新しい呼び名とともに、市場に投入します。
すると、安全性と機能性を併せ持つTevaのスポーツサンダルは、アクティブなライフスタイルを送る人々から絶大な支持を集め、瞬く間に普及していきました。
Tevaはそれ以降も、川や海などの水辺でのアクティビティで使われることを念頭に、グリップ力に優れた滑りにくいアウトソールや、
衝撃吸収性・速乾防水性に優れたEVA素材のインソール、抗菌・防臭性素材など数多くの技術を開発。
そうした技術を惜しみなく投入したアイテムは、サンダルのみならずスニーカーやブーツなどまで広がり、30年以上にわたりアウトドア業界をリードしていくことになります。
ファーストモデルの復刻版
1984年に世界初の“スポーツサンダル”を開発したことにより、フットウェア業界に革命を起こしたTevaは、
「To Play (楽しむ)」「To Protect (守る)」という二つの考え方を基礎に置き、商品開発をおこなっていきました。
ブランドの原点である水辺は楽しい遊び場である一方、滑ったり濡れたりするために、危険を呼び起こしたり不快感を与えたりすることがあります。
数多くラインナップされたTevaの商品のなかで、有名なのはハリケーンというモデルです。
これは、マークが最初に開発したスポーツサンダルに改良を施したモデルで、その後のブランドを代表する定番アイテムとなりました。
一方、今回ご紹介するオリジナルユニバーサルは、ストラップの形状などはハリケーンと同様ですが、 スニーカーライクなハリケーンのソールと比べると、ビーチサンダルに近いフラットなソールを持っています。
実はこのオリジナルユニバーサルは、名前から推察できるとおり、Tevaブランドの原点であるファーストモデルの復刻版。
ビーチサンダルにストラップをつけたら……というマークのひらめきがそのまま形になったような、シンプルでベーシックなスタイルが魅力のアイテムなのです。
ナイロンストラップ、EVAトップソール、ラバーアウトソールを搭載し、Tevaの基礎概念を凝縮したようなスタイルのオリジナルユニバーサル。
水辺やアウトドアシーンだけではなく、どんなシチュエーションでも履けるオリジナルユニバーサルは、
あらゆる足型にフィットするシンプルでおしゃれなスポーツサンダルとして、多くの人たちに愛され続けています。
ソックスと合わせても非常にスタイリッシュなので、春夏だけでなく一年を通して履けるおすすめの一足なのです。
サンダル is フリーダム!
ところで私ごとで恐縮ですが、何を隠そう、サンダルを偏愛しています。少し暖かくなると靴下は履かなくなり、年がら年中サンダル履き。
これにはちょっとした理由があります。
ストリートスタイルにおけるサンダル履きは、実は長い歴史と深い意味があるのです。
最初にサンダルを日常的なファッションとして扱ったのは、1950年代中頃のアメリカ・ニューヨークのグリニッチビレッジやカリフォルニアのバークレーに集った、
ビートジェネレーションの若者だったと言われています。
ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグ、ウィリアム・バロウズといった文学者が先導したビートは、
薄汚れた現代社会を否定し、アメリカ開拓時代の純粋なフロンティアスピリッツに回帰することを根本理念とする思想。
彼らは伝統社会への軽蔑と離脱を表現するため、ファッションに対してはあえて無関心・無頓着を装いました。
そして自由であることの表現として屋外を裸足で歩くことを好み、サンダル履きの者が多かったといいます。
ビートの思想はその後の1960年代に花開くヒッピーに受け継がれたため、彼らもまたサンダル履きが多かったようです。
ノースフェイスやパタゴニアなど、今日の有名アウトドアブランドの多くがヒッピーカルチャーと深くつながっているという事実からもうかがえるように、
アウトドアシーンとサブカルチャーは、実は根底で強くつながっているのです。
とにかく一言で言えば、サンダルとはフリーダム。
そう考えているので、私はサンダルが大好きなのです。
そして、数ある私物サンダルの中で、一番よく履いているのはTevaです。
サンダル大好きな私が言うのだから間違いありません。Tevaは最高です。未体験の人は、この機会にぜひ!