TUSCANY イタリアワインとグルメ食材の店
Interview

突撃インタビュー

2022/09/07

マルコ ミラーニ氏 Mr. Marco Milani

コルヴィーナ種80%以上を徹底するアマローネ造りの哲学!ルガーナとヴァルポリチェッラの両地区を牽引するヴェネトの先駆者「ゼナート」突撃インタビュー

イタリアワインの品質向上に大きく貢献したルガーナワインの第一人者セルジオ ゼナート氏によって設立された「ゼナート」。ゼナートは、土着品種トレッビアーノ ディ ルガーナ(トゥルビアーナ)で造られる白の銘醸地「ルガーナ」と、言わずと知れた高級銘柄アマローネの生産地「ヴァルポリチェッラ」で存在感を放つ造り手です。両エリア共に最高品質を生み出す稀有な生産者として確固たる地位を築き上げ、10種以上にも及ぶワインは、イタリア国内外から高い評価を得ています。今回は、アジアセールスマネージャーのマルコ ミラーニ氏をお招きし、その数々のワインの新ヴィンテージや、新登場のセルジオ氏が追求し続けた真のメトドクラシコ パドゼを試飲しながらお話を聞きました。

銘醸地ルガーナの第一人者セルジオ ゼナート氏により設立されたヴェネトの代表格「ゼナート」

「ゼナート」は後に「ルガーナワインの父」として知られる故セルジオ ゼナート氏により設立された家族経営ワイナリー。1960年に創業すると、当時無名だったルガーナを世界に通用する偉大なワインへと仕立て上げ、70年代にはアマローネの生産に取り掛かり、アマローネの搾りかすで再発酵させるリパッソの生産規定の模範になるなど、イタリアワイン界の品質向上に大きく貢献しました。現在は、白の銘醸地「ルガーナ」、赤の銘醸地「ヴァルポリチェッラ」の両エリアで最高品質を生み出す造り手として確固たる地位を築き上げ、彼らの数々のワインは国内外で高い評価を得ています。

※より詳しい歴史は前回のインタビュー記事をご覧ください
「ゼナート」突撃インタビュー(2021年10月19日)

超限定生産!創業者セルジオ ゼナート氏が最後まで追求した真のメトドクラシコ パドゼ

「ゼナートファミリーにとって重要な年」という2008年は、創業者セルジオ氏が残念ながらこの世を去った年。ワイナリーは、そのセルジオ氏が最後に造った2008ヴィンテージのワインを限定でリリースしました。その一つが、「アマローネ アルキーヴィオ ストーリコ ゼナート」。良年のみ造られるトップキュヴェ「アマローネ セルジオ ゼナート リゼルヴァ」を特別にワイナリーで長期間寝かせた逸品です。

そして、また新たに「セルジオ氏が最後に手掛けた」ワインとしてリリースされたのが、「ルガーナ メトド クラシコ パドゼ ゼナート」2008年です。常日頃から試験的にスプマンテを造っていたセルジオ氏が「真の高級品」を追求して造られたメトドクラシコで、なんと1000本ほどしか生産されていません。その新ワインについて、マルコ氏に話していただきました。

創業者セルジオ氏の情熱と野望によって表現された真の高級品
「“ルガーナ メトド クラシコ パドゼ ゼナート”は、トレッビアーノ ディ ルガーナ100%で造られるメトドクラシコです。1000本ほどしか造られていない限定ワインです。2008年は、ゼナートファミリーにとってとても大切な年です。この年に創業者のセルジオがこの世を去ったため、2008年は彼が手掛けた最後のヴィンテージになったのです。64ヶ月もの間、瓶内熟成を行います。通常のブリュットと比較して感じていただけると思いますが、色も違いますし、複雑味も違います。奥ゆかしさがありますよね。

(パドゼにしようとした経緯やコンセプトは? という問いに対して)
セルジオは、スプマンテをよく試験的に造っていたんです。本当のハイクオリティのものを造ろうと思っていて、最終的にパドゼに行きつきました。彼の野望、情熱が突き動かされて出来上がったワインで、真の高級品とはどういうものかを表現したかったんです。今のところ2008年しか生産しておらず、今後の予定はまだ考えていません」

伝統的製法で土着品種コルヴィーナ種の個性を表現!
「ゼナート」が徹底するアマローネ造りの哲学

コルヴィーナ種のキャラクターを表現するべく“比率80%以上”を徹底!
「チューニングのために他品種を微量ブレンド」

マルコ氏に、ゼナートが貫くヴァルポリチェッラ、アマローネの特徴やこだわりについて話していただきました。

「ヴァルポリチェッラという名前はラテン語から派生しています。ヴァルは“谷”、ポリは“たくさん”、チェッラは“セラー”を意味しています。2000年前からブドウ畑が存在していて、古代ローマ人は、この土地で美味しいワインができるとわかっていたのです。

ヴァルポリチェッラは、ガルダ湖東の丘陵地帯に広がるエリアです。ルガーナからは20キロ離れています。ゼナートが所有するヴァルポリチェッラの畑は、特に赤土と大きい岩があり、ブドウを育てるのが難しい土壌です。強いものしか生き残らず、弱いものはすぐダメになってしまうんです。

私たちのヴァルポリチェッラは、必ずコルヴィーナ種が80%以上になるようにしています。ヴィンテージによっては85%になりますが、80%を下回ることはありません。コルヴィーナ主体で造っていたという伝統的製法に敬意を払うこと。それが私たちの哲学です。アマローネは当然のことながら、コルヴィーナのキャラクターをはっきり出さないといけないと考えています。

(コルヴィーナ主体で造ること以外に則っている伝統はありますか? という問いに対して)
コルヴィーナ種主体で造ることはもちろん、ブレンドとその比率も重要です。比率は少ないですが、オゼレータやロンディネッラ、クロアティーナを使用しています。モリナーラ種は使っていません。あくまでコルヴィーナが主体ですが、その年のコルヴィーナに足りないものを補うという形で、チューニングのために他の品種を微量ブレンドしています。そのようにして、ワインの均一化を図っているんです」

「最大の魅力は素敵で優しい酸味」の土着品種トレッビアーノ ディ ルガーナ100%メトドクラシコ

マルコ氏:
「トレッビアーノ ディ ルガーナ100%で造られるメトドクラシコです。私たちが拠点を置くルガーナで一般的なスプマンテですね。私たちは、二つのメトドクラシコを生産しています。このブリュットは通年造っているスプマンテで、24ヶ月間、瓶内熟成を行います。トレッビアーノ ディ ルガーナ種の最大の魅力は素敵で優しい酸味です。この酸味のおかげで長期熟成に耐えられるブドウだと再確認しました」
ルガーナ メトド クラッシコ ブリュット2018

試飲
コメント

透き通った麦わら色。白い花や果実の繊細で透明感のある香り。やや黄色い果実も感じます。クリーミーな舌触りで心地よい口当たり。味わいは、ジューシーかつフレッシュで白い果実が広がります。酸味や果実味、クリーミーさ、どの要素も全体的なバランスの良さがあります。

創業者セルジオが生涯追及し続けた真の高級メトドクラシコ

マルコ氏:
「トレッビアーノ ディ ルガーナ100%で造られるメトドクラシコです。私たちは、二つのメトドクラシコを生産しています。通年造っているスプマンテと、パドゼの2008年ヴィンテージです。1000本ほどしか造られていない限定ワインです。2008年は、ゼナートファミリーにとってとても大切な年です。この年に創業者のセルジオがこの世を去ったため、2008年は彼が手掛けた最後のヴィンテージになったのです。そのため、この2008年ヴィンテージで、二つのラインを造ることを決めました。一つは、アマローネ アルキーヴィオ ストーリコ。そして、このパドゼです。64ヶ月もの間、瓶内熟成を行います。通常のブリュットと比較して感じていただけると思いますが、色も違いますし、複雑味も違います。奥ゆかしさがありますよね

(パドゼにしようとした経緯やコンセプトは? という問いに対して)
セルジオは、スプマンテをよく試験的に造っていたんです。本当にハイクオリティのものを造ろうと思っていて、最終的にパドゼに行きつきました。彼の野望、情熱が突き動かされて出来上がったワインなのです。それが、このパドゼとアマローネ アルキーヴィオ ストーリコですね。真の高級品とはどういうものかを表現したかったんです。今のところ2008年しか生産していません。今後どうするかはまだ考えていません」
ルガーナ メトド クラシコ パ ドゼ2008

試飲
コメント

やや麦わら色がかった黄金色。力強さ、複雑さ、リッチで魅惑的な香りで、南国系の完熟果実やイースト香、アーモンドのアロマが漂います。キレのあるフレッシュさがあり、日本のミカンやグレープフルーツなど、オレンジ色や黄色い果実を感じる果実味豊かな味わいです。余韻も長く、果実とともにミネラルのニュアンスに満たされます。

親しみやすい酸が魅力的!ルガーナのエレガントなエントリー白

マルコ氏:
「個人的に2020年のルガーナを気に入っています。素直でシンプルだけれども、エレガントさが感じられます。親しみやすい酸が大変魅力的ですね。白身魚の料理に合わせられますし、どんな料理にも最適な汎用性の高いワインです。サンベネデットとは、ガルダ湖の真南に位置する、ゼナートが拠点を置く地区の名前です。そのエリアで収穫されるのがルガーナDOCです」
ルガーナ サン ベネデット2020

試飲
コメント

麦わら色。黄色や緑色のフレッシュな果実の香りがあり、やや柑橘系のアロマも感じます。口に含むと、香り同様フレッシュで、ブドウをそのまま食べているような味わい。ジューシーでシンプルな印象です。

土着品種コルヴィーナの魅力が引き出されたリッチな味わいのロゼ

マルコ氏:
「バルドリーノは、ヴァルポリチェッラの少し西側にある小さな町です。バルドリーノ キアレットは、コルヴィーナ主体で造られています。二つのロゼを生産していますが、どちらもステンレスタンクを使用しています。バルドリーノのほうが、飲んだ時にふくよかさを感じられると思います。コルヴィーナの魅力が表現されていますよね」
バルドリーノ キアレット2019

試飲
コメント

玉ねぎの皮色。赤い果実と若干の紫果実のフレッシュな香り。口に含むと、エレガントで華やかな風味が広がり、スミレなど紫の花を潰したようなニュアンスを感じます。軽やかながらも、味わい深さも兼ね備えたバランスの良さがあります。

ゼナートが国際品種で手掛ける新たなロゼ!フレッシュでスムースな飲み口

マルコ氏:
「ロゼ サンベネデットはピノ ネロが使用される、新しい試みによって生まれたロゼワインです。ステンレスタンクで造られています。スムーズでフレッシュな若さを感じていただけると思います。国際品種も使われているのでグローバルなタイプです」
ロゼ サン ベネデット2020

試飲
コメント

玉ねぎの皮色。香りも味わいも非常にフレッシュで軽やかな印象です。口に含んでから飲み込んだ後の余韻まで、一貫してイチゴの風味があり、ジューシーでバランスの取れた味わいです。

コルヴィーナ80%以上の比率にこだわり伝統製法で造るお値打ちヴァルポリチェッラ

マルコ氏:
「ヴァルポリチェッラは、ガルダ湖の東側にある丘陵地帯に広がるエリアです。ルガーナからは20キロ離れたところに位置しています。ゼナートが所有するヴァルポリチェッラの畑は、赤土と大きい岩がゴロゴロあります。ブドウが根付くのが難しい畑で、強いものしか生き残らず、弱いものは死んでしまう大変苦労する場所です。

私たちのヴァルポリチェッラは、必ずコルヴィーナ種が80%以上になるようにしています。ヴィンテージによっては85%になりますが、80%を下回ることはありません。コルヴィーナ主体で造っていたという伝統的製法に敬意を払い、その考えに沿って造っています。それが私たちの哲学です。アマローネは当然のことながら、コルヴィーナのキャラクターをはっきり出さないといけないと考えています」
ヴァルポリチェッラ スーペリオーレ2018

試飲
コメント

ルビー色。凝縮した紫系果実、緑っぽさ、スパイス、甘やかなニュアンスの香り。味わいは香り同様に、紫系果実の凝縮感があり、ベリーやチェリーのような親しみのある果実感が最後まで持続します。ほどよいタンニンと飲み心地の良さがあります。途中から黒コショウなどのスパイスの風味も現れ、複雑な味わいへと移っていきます。

ブドウの50%を短期間アパッシメントして造られる濃厚でリッチな赤

マルコ氏:
「アラネーラの最大の特徴は、短い期間アパッシメントしたブドウを使っていることです。ブドウの半分をアパッシメントしています。ラベルにはシンボルである三つのツバメがいますが、これはアパッシメントに必要な“空気”を表現しています。ツバメは羽で空気を送ってくれますしね。リパッサやアマローネと同じように、普通の赤ワインと比べるとボディを感じられるふくよかさがあるワインに仕上がっています。2017年はとてもいい出来でした。アラネーラは、オンラインでは非常に売れているワインなんですよ」
アラネラ ロッソ ヴェロネーゼ2017

試飲
コメント

やや暗いルビー色。ヴァルポリチェッラ スーペリオーレよりも濃厚で華やかさがあります。味わいは全体的にふくよか。凝縮果実やドライフルーツ、コーヒーの風味があり、親近感がありながら複雑な味わいを楽しめます。

世界中から愛される元祖DOCリパッソ!じわじわと染みわたる果実とスパイスの風味

マルコ氏:
「リパッサは、ベイビーアマローネと言われており、アマローネで使われた搾りかす(ヴィナッチャ)に漬けて再発酵を促して造られたワインです。通常のヴィンテージでは、フランス産のトノーで18~19ヶ月熟成を行いますが、2017年に関しては1年間の熟成しています。私たちが輸出する65ヶ国どの国でも好まれているワインです」
リパッサ ヴァルポリチェッラ リパッソ スーペリオーレ2017

試飲
コメント

マスク越しでもわかる力強く甘やかな香り。赤系果実と黒系果実のコンポート(砂糖煮)やチョコレート、スパイス。パワフルな口当たりながらも、非常に柔らかいタッチがあります。香りと味わいに共通する、果実、特に紫色の果実やスパイスの風味が余韻としてじわっと染みわたります。

濃厚ながらもエレガントで美しい風味が際立つ洗練されたアマローネ

マルコ氏:
「アマローネ クラシコは、アパッシメントをした後に、3年間フランス産オーク樽で熟成しています。その後瓶内熟成。一方でリゼルヴァは4年間熟成しています。ご存じの通り、2016年はスーパーなヴィンテージです。見つけたら買っておいたほうがいいですね。すぐになくなってしまいます。

伝統的製法に則ってコルヴィーナ種主体で造ることはもちろん、ブレンドとその比率も重要です。私たちゼナートは、モリナーラ種は使っていません。比率は少ないですが、オゼレータやロンディネッラ、クロアティーナを使用しています。あくまでコルヴィーナが主体ですが、その年のコルヴィーナに足りないものを補うという形、チューニングのために他の品種を微量ブレンドしています。そうして、ワインの均一化を図っています」
アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ2016

試飲
コメント

やや濃いルビー色。力強く複雑な香り。ずっしり詰まった豊かな凝縮果実、乾燥イチゴ(木苺も)、木樽由来の甘やかなスパイスの香り。イチゴなどの赤い果実やドライフルーツの濃厚ながらもエレガントな美しい風味が口中を覆います。果実、スパイス、花など複雑な味わいが余韻として持続します。

大樽で4年熟成させて造られる、濃厚かつ非常にソフトで繊細なアマローネ リゼルヴァ

マルコ氏:
「アマローネのリゼルヴァは、65ヘクトリットルの大樽で4年間熟成した後、瓶内熟成をしてリリースされます。通常のアマローネが3年熟成なのに対して、リゼルヴァは4年です。その差によって味わい深さに違いが与えられ、口の中に残る余韻が印象が変わってきます」
アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ セルジオ ゼナート リゼルヴァ2015

試飲
コメント

濃い紫とルビー色が溶け合う色。力強く複雑な香りで、チョコレートのような甘やかさ、繊細な果実、ドライフルーツ、赤い花を感じます。口当たりは濃厚でパワフルながらも非常に柔らかく繊細で、香り同様のニュアンスが口中に広がります。優れた骨格の上に華やかさやドライフルーツの美しい風味があり、いつまでも続く心地よい余韻があります。

インタビューを終えて

2021年10月以来の突撃インタビューとなった「ゼナート」。前回から約1年が経ち、試飲するワインのヴィンテージが切り替わっています。今回の試飲で、そのヴィンテージの違いや、ブレない品質の高さを堪能することができました。例えば、エントリー白の「ルガーナ サン ベネデット」。前回試飲した2019年は、エキゾチックな香りや完熟した黄色い果実が感じられるものでした。今回試飲した2020年は、非常にシンプルでジューシー。ブドウをそのまま食べているようなフレッシュで親しみやすい味わいです。しかし、バランスに優れた味わいであることは両者ともに共通しており、安定感のある仕上がりを感じました。

今回、初めて試飲させていただいた、創業者の故セルジオ氏が最後に手掛けた泡「ルガーナ メトド クラシコ パドゼ」2008年も素晴らしかったです!力強さ、複雑さ、豊かな果実味、ミネラル感、各要素が主張しながらも見事に調和しており、その奥行きのある味わいには驚きました。ヴィンテージ特有の熟成感に加え、キレのあるフレッシュさもあり、まだ生き生きとしていました。

「スーパーなヴィンテージ」という2016年のアマローネも、非常に美味でした。赤い果実のドライフルーツ、花、甘やかなスパイスの複雑な味わいが口中を満たし、濃厚かつエレガントな風味に満たされました。マルコさんが「見つけたら買っておいたほうがいいです。すぐになくなります」と話すほどです!

白の銘醸地「ルガーナ」、赤の銘醸地「ヴァルポリチェッラ」の両エリアで最高品質を生み出す「ゼナート」のワインを、ぜひご堪能ください!

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