見えない所で活躍中!? 身近にあるチタン
知っているようで、知らない!実はこんなに身近にチタンが使われているのを知っていましたか?使用用途の中でも普段の生活に欠かせない物を集めてみました。
・化粧品
化粧品のUVカット効果のある成分として酸化チタンが使用されています。日焼け止めの一般的な材料です。
最近人気のミネラルファンデーションにも入っています。
・食器
軽くて丈夫で、持ち運びに便利なので、アウトドア用品によく使われています。
金属集がしにくい特徴を活かして、日本酒製造のタンクでも活躍しています。
・日用品
メガネのフレームに使われているのはよく知られていますが、生活に欠かせない携帯電話の内部基盤にも使用されています。
・建物
お台場の球体展望台があるTV局や国際展示場など、長年海風にさらされても錆びにくいので、海沿いの建物によく使用されています。
また軽い素材なので、地震が起きた時に屋根の重みで崩れるのを防ぐため、屋根材としても使用されています。
・人体
骨折をしたときに埋め込む人口骨や人工関節、インプラントやペースメーカーなど、医療の現場では大活躍しています。
他には人工透析の機械など、血液に関する医療機器でも使用されています。
・乗り物
飛行機や車、自転車やバイクなどの乗り物にも使用されています。丈夫なのにとても軽いので、燃費向上に役立っています。
エコカーにも欠かせない素材です。
チタンの成分は、どんな成分?
純度は規格によって異なりますが、主な成分はTi(チタンの元素)です。
は主に下記の2種類の金属と化合物に分けられ、それぞれ成分が異なります。 純度が分からない場合は、規格を聞くと分かります。
純チタン |
チタンの純度はJIS規格(日本工業規格)などで決まっていて、JIS規格の純チタンは、第1種から第4種までに分類されています。
数字が小さいほど純度が高く、やわらかくなります。
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チタン合金 |
チタンに銅・鉄・マンガン・モリブデンを加えた合金。
純度は低いが純チタンよりも強度や硬度を高くしている。
αβ合金、64合金(JIS60種)、β合金などの様々な規格がある。
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酸化チタンなどの化合物 |
酸化・炭化・窒化させた化合物。
特に二酸化チタンは顔料として絵の具や樹脂に、皮膚を保護する性質から化粧品(日焼け止め剤)など身近にあるものに入っている場合もあります。
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ちなみに当店で利用しているのは、純チタン材。
デザインや形に合わせて、JIS規格の第2種と第4種を使い分けています。 第2種と第4種の成分は下記の表です。
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Ti (チタン) |
Fe (鉄) |
伸び |
引張強さ |
JIS規格2種 |
99.42 以上 |
0.25 以下 |
伸びる |
弱い |
JIS規格4種 |
98.95 以上 |
0.50 以下 |
伸びない |
強い |
どうして100%じゃないのに純チタン?
どんな金属でも純度100%というものは、存在せず、また余りにも純度が高くなりますと、 表面が柔らかいが故に、また他の表面加工が必要になってくる可能性があります。
この場合、純粋という意味では無く、
純度の高いという意味で「純」が使われています。
歴史の裏にチタンあり!驚きの逸話
沢山あるのに、レアメタル?
アルミ・鉄・マグネシウムに次ぐ地殻埋蔵量で、金やプラチナよりも、ずっと埋蔵量がある金属ですが・・・鉱石として掘り出しても、精錬するのに特殊なプラントが必要になるため、チタンを作れる国は世界でも限られています。
だから本当は沢山あるはずなのに、レアメタルと言われているんです。
その上、加工がとても難しく、空気中で溶接(チタン同士をくっつける作業)をすると酸化してしまったり、硬すぎて成型するのにコストがかかりすぎたりするので、他の金属で代用できない場合や、高性能を求められる場合などでしか使用されきませんでした。
実は・・・かなり残念な生い立ち
チタンは、1790年代発見され、ギリシア神話の「タイタン」にちなんでチタンと命名されました。しかし当時は、ルチル鉱石やチタン鉄鋼の中から元素を発見されただけで、まだチタンとして利用できず、とても残念な元素でした。
そんなチタンにも1900年代に、やっと明るい兆しが見えてきます。
まず1910年にハンター法、その後1946年にクロール法で高純度のチタンを作る事に成功。チタンの元素発見から150年以上、晴れて金属として使えるまで、とても長い時間がかかりました。
あのA国が、密輸入?する程の金属
特に航空機などは、軽さ・強度・耐熱性のある素材が求められ、最近では内装に日本の技術を使った炭素繊維が話題になりました。実はチタンも航空機を作る上でかなり重要な素材で、沢山の逸話や噂が残されています。
・アメリカで作られた世界最初の実用超音速機は、当時のアメリカで生産されたチタン合金の8割以上を使った。
・冷戦時代で、ソ連はアメリカ軍がチタンを使用することを防ぐため世界中のチタン市場を買い占めることを試みた。
・冷戦前は、アメリカはソビエト連邦からチタン鉱石を調達していたが、冷戦中はチタン調達用のダミー会社を設立して、ダミー会社を通して密輸入していた。
アメリカに密輸入させる程、航空機にとって超重要、
無くてはならない金属だという事が分かります。
チタンは黒い金属って本当?
下の写真の3つの指輪のうち、どの指輪がチタン製でしょうか。
答え→3つとも純チタン製。
左と中央のリングには、
K18とPt900の装飾を施しました。
チタンは元々黒っぽい色ですが、磨けばプラチナに近い色になります。
実はこの上の写真の指輪は、チタンをベースにプラチナ・K18の装飾をし、オーダーで製作した指輪です。 (左:チタン艶消し&K18、中:チタン艶消し&Pt900、右:チタンミラー仕上げ)
一般に、以前からチタンは真っ黒な金属だと思われてきましたが、研磨技術の進歩によって、現在はメッキなどをしなくてもピカピカにする事が可能です。
白っぽい色の金属シルバーとの比較
写真右は、左側が当店のチタンの指輪。右側が一般的なシルバー925の写真です。
シルバーと比べると、やや黒い色合いです。
黒っぽい色の金属プラチナとの比較
大きな写真の様に、技術や知識のある職人がきちんと手をかけてあげると、プラチナとの境目が気にならない程きれいになります。
小さな写真と比べると、ミラー仕上げはもっとプラチナに近い色に見えます。
ちょっと困った事は、研磨でここまで光らせるには手間もコストもかかりすぎる事。 (だから量産化する場合は、研磨のみで仕上げてある商品がまだ少ないです。)
もっともっと技術が進んだ未来は、きっと黒いチタンはなくなっているかもしれません。
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