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2015/11/18 14:35
11月初め、正倉院展へ行ってきました。
見たかったのは、
中倉105 『琥碧魚形(こはくのうおがた)』
正倉院の多くの琥珀はミャンマー産だといわれています。
弊社にも、ミャンマーカチン州から仕入れた赤色や黒色に近い
琥珀がありますので、色や透明度など確認したいと思ったのです。
琥碧魚形の説明文は下記のとおりです。
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中倉105 琥碧魚形 [こはくのうおがた](魚形の腰飾り) 1具
長7.7 厚 1.6(魚形)
高位の人々が身につけた佩飾具(はいしょくぐ)。
魚形は深紅の透明な琥珀(こはく)製で、口や眼、ひれ、鱗などを緻密な線彫りを施し表している。
繋着紐(つなぎひも)には褐色羅(かっしょくのら)が結びつけられているが、これは間縫刺繍羅帯残欠
(まぬいのししゅうらのおびざんけつ)(出陳番号29)とまったく同じものであることから、
もとは両者が一連のものであったことが分かる。天平期の服飾文化を伝える品である。
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つまり、奈良時代の貴族が帯から吊(つ)るした魚形の腰飾りで、
中国の隋唐の時代、役人が宮中に出入するときに身分証とした
魚形の割符「魚符」が、アクセサリー化した可能性があるといわれています。
(写真:奈良新聞)
魚形の説明文には、深紅の透明な琥珀製とありましたので、
透明度や深紅の色とわかるような展示がされているものと思い、
期待していたのですが・・・
実際には濃褐色に見え、透明なのか不透明なのか。。
展示物を守るため、いたしかたないとは思いますが、
照明もかなり暗く、本来の透明度や色は、
全くと言っていいほど判断できなかったのです。
しかし、宝物として納めたということは、納める時点では
多くの貴人を感動させるほど綺麗だったに違いありません。
色が変わってしまったと推測できます。
明治時代に、鏡が補修されていますが、そこに使われている
琥珀は、綺麗な赤色をしています。
正倉院には魚形以外にもいろいろな宝物に琥珀が使われています。
中でも、上述の鏡は芸術性も高くとても美しいので、図録の表紙にも
しばしば使われます。
仏典 大無量寿経には、琥珀も七宝のひとつとして載っています。
(つづく)
奈良 石舞台にて
最終更新:2015/11/18 14:35