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2012/11/21 14:24
ネピードーにて 左からHHS氏 マピュー、私 被っているのは
【カチンの民族帽子(ガンパウン)で首長が被るもの】プレゼントしていただきました。
久しぶりのミャンマー、ごく短期間でしたが 充実した楽しい旅をしてきました。
バンコックからヤンゴンへの飛行機も300人以上乗れる大型に変わっていましたし、ホテルも
予約がなかなか取れなくて、結局、バスタブの無いビジネスホテルクラスで75US$、
それがヨーロッパや日本人客で連日満員。
道路は古い車がなくなりこぎれいな車であちこち渋滞です。
実際、変化の速さに驚きです。
まずは翡翠のお話、
● 翡翠鉱山はどうなっているのか?
● 中国との国境貿易は?
● 首都ネピードーでのオークションは開催されるのか?
などなど日本ではわかりにくいことばかりでしたが今回おおよそわかりましたので
お伝えいたします。
まず 代表的な翡翠鉱山、パカンの現状を知りたい。では どなたにお聞きしようか?
すぐ頭に浮かんだのは今年6月、ホテルニューオータニでお会いしたカチン州出身の下院議員
HHS氏。
で、早速通訳マピューの出番、「今年6月、東京のホテルでお会いした翡翠業者が来ており
パカンや国境貿易についてお聞きしたいのでお会いしていただけますか?」と電話。
丁度国会が開会中で多分オバマ氏の訪問のこともあり忙しい時だったにもかかわらず快諾してくださいました。
国会の終わった午後4時すぎ指定されたホテルでお会いして早速本題の翡翠鉱山の現状からお聞きしました。
何しろこちらがお聞きしたいことは山ほどあるにもかかわらず時間は1時間。挨拶もそこそこに質問攻めです。
まずパカンの現状。
2,3百社ある翡翠採掘会社は操業休止中であり従業員もいない。
パカンの町はウル川に沿って細長く伸びているが(グーグルアースで参照してください)町周辺は主に
ビルマ族が住んでおりそこから3~4マイル離れたところまでカチン族が進出してきており手掘りで翡翠
を得ている。翡翠は町まで運んでそこの金持や買付に来た人などに買ってもらっている。
その際取引金額の10%政府側に支払っている。
カチン族の人たちは生活用品などパカンで買って持ち帰っており、まあ、平穏な生活を維持している。
しかし、ビルマ族とカチン族の間ではしばしば小規模な衝突が起きる。
ということで翡翠採掘は微々たるものである。
パカンの人口は正確に把握できないがおよそ40~50万人、最近はラカイン州より
10~20万人来ておりそれを加えるともう少し多いのかな?」
(来た理由についてはムスリムとの紛争のため避難してきた仏教徒の住家として鉱山の
空き家が利用されているのか、あるいは中国への石油およびガスのパイプライン工事
のためかお聞きする時間がありませんでした)
採掘が止まったのは昨年5月15日から現在まで、言うまでもなく政府軍とKIAとの衝突に
よるものです。しかしその前から両者は緊張関係にあり知人の採掘会社が翡翠を車に積んで
引き揚げるときKIAの検問がありそこで厳しい取り立てがあったと言っていました。
また政府側は別に検問をつくりカチン族が持ち出す場合には20~30%徴収し、とても商売に
ならない状態になったことがあります。
政府側もKIA側も仕事ができる状態ではなくなったのです。
また、KIA側は翡翠採掘会社1社につき、12万ドルを要求し支払わなければ採掘させないと
一方的に伝えたことです。
採掘会社にしてみれば中止せざるを得なかったわけです。
当然政府側KIA側にしてみても大きな収入源が亡くなってしまう訳ですし話し合いが続きましたが、
解決には至っていないのです。
以上概略ですがお聞きした内容に若干捕捉してわかりやすくしました。
元々カチンは独立心が強いだけに簡単には問題解決となりそうにありません。
翡翠の供給は確実に減ると予想されます。
気になる価格の動向ですが格別下がる理由がなく当面現状通りか幾分強めになると予想します。
来年3月のオークションは開催の予定ですがまだ正式に決まったわけではありません。
HHS氏との面会も大幅に伸びて午後6時、ネピードーから車をとばしてヤンゴンに到着したのは23時
でした。
HHS氏
氏はカチン州選出の下院議員。
UDPKS(カチン統一民主党)議長 KIAも党のメンバーに入っている。
パカンにも20年ほど住んでいた経験があり
カチン独立軍(KIA)の事情にも精通しており、ビルマ族中心の政府側だけでなくKIAにも
良くしてあげたいという穏やかな考えの持ち主。
それだけに政府側、KIA側双方から信頼できる人として通っています。
今まで政府側及びKIAと6回和平のための仲介をしました。
また、政府軍とKIAが衝突し多くの難民が発生したため3回にわたり義捐金を集め多額の寄付をしています。
なお HHS氏については改めてご紹介します。
最終更新:2012/11/21 18:32